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日常よく使われる英語表現を毎日紹介します。毎日日本時間の午前9時までに更新します。英文執筆・翻訳・構成・管理:上杉隼人

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GUIDE TO PLANTS

2022-07-03 08:03:41 | Eating Wild Japan

  ウィニフレッド・バード『日本の自然をいただきます 山菜・海藻をさがす旅』(仮題)が、亜紀書房より10月に発売予定だ。

 本書がすばらしいのは、充実した本文だけでなく(「桐生タイムス」の連載をご覧いただきたい)、非常に味わい深い「野草・山菜ガイド」もついていることだ。

 本日のGetUpEnglishはその一部を英語とあわせてご紹介しよう。

フキ(蕗。または苳、款冬、菜蕗)

一般英語名 バターバー、ジャパニーズ・スイート・コルツフット(バターバーはフキ属の総称。コルツフットもまたフキタンポポTussilago farfaraの一般英語名で、同じキク科でも異なる仲間)

学名 Petasites japonicus

ここで採集できる! 日本全国北海道から沖縄までの山間部および平野部でよく見られる。秋田県以北では、アキタブキ、エゾブキ、またはオオブキ(Petasites japonicus subsp. giganteus)という大型の亜種が多くを占める。中国と韓国も原産であり、北ヨーロッパ、中央ヨーロッパ、ハワイ、太平洋岸北西部、カナダのオンタリオ州では帰化植物*2となっている。

庭で栽培しやすいが、地下茎によって概して勢いよく伸び広がる。

DESCRIPTION: Fuki flower buds are a beloved sign of spring throughout Japan, relished for their pungent, bitter flavor, while the simmered leafstalks are a classic of country cooking. In kaiseki cuisine the buds are sometimes used as a seasonal addition to the light, clear soups served between more elaborate courses. Colonies of the pale-yellow-green buds (fuki-no-to) emerge from the earth in earliest spring, sometimes even melting holes in thin snow as they seek the sun. Approximately the size of a brussels sprout, the oval bud is wrapped in pointed, leaf-like bracts. Male flowers are light yellow while females are white, but both are edible. After the buds blossom, round, toothed leaves emerge on thick, rough stalks. Ainu folklore tells of a race of small people called the koropokkur, or “people beneath the butterbur leaves,” who inhabited the Sakhalin and Kuril islands in ancient times.

これがフキだ! フキの葉柄(ようへい)の煮物は代表的な日本料理である一方、つぼみは日本中で愛らしい春の知らせと思われており、この刺激ある苦味が楽しまれている。懐石料理ではこのつぼみが季節の味として、手の込んだほかの品の合間に出されるあっさりとしたお吸い物の具として添えられることある。

春先になると淡い黄緑のつぼみ(フキノトウ)が地面から一斉に突き出し、溶け出した薄雪の隙間からも太陽を求めて顔を覗かせるものもある。フキノトウは楕円形の芽キャベツほどの大きさで、葉っぱのような先のとがった苞葉に包まれている。雄花は薄い黄色、雌花は白色でどちらも食用になる。つぼみが開くと、太く堅い茎に丸くてぎざぎざのある葉が伸び出す。

アイヌの民間伝承によると、コロポックル(「フキの葉の下に住む人」という意味)と呼ばれる小人種族が、サハリンや千島列島に住んでいた。

毒性のあるもの フキに含まれているピロリジジンアルカロイドは、肝臓に有害で、発がん性があるとも考えられる。生で食べたり大量に食したりしないこと。フキのつぼみは同じく春先に地面から生える有毒のフクジュソウ(Adonis ramosaAdonis amurensis)のつぼみに似ている。このフクジュソウの苞葉にはフキのような白い産毛がない。フクジュソウの花は明るい黄色の大きな花弁を持ち、薄い黄色の穂状の小さな花を咲かせるフキとは異なる。

採集にあたって注意すること 開き始める前のぎゅっとつぼみを閉じたフキノトウを選び、根元からひねりポキッと折って収穫すること。雪国のものがもっとも香りがよいと言われている。強靭な地下茎によって伸び広がるので、通常採りすぎは心配しなくてよい。

時期の終わりには太った葉柄を手鎌やナイフで収穫し、一番やわらかい葉以外はすべて捨てるとよい。湿った土壌で育った大きなフキを探し、太くて(赤みのない)緑の茎を選ぶこと。

調理前にしておくこと(下準備) フキノトウはつぼみを塩で揉んでゆすいだり、さっと湯がいたり、刻んで冷水にさらしたりすることで、苦味はいくらか取れるだろう。ただし、この苦味がフキノトウの持ち味でもあるので、取りすぎないように注意すること。

葉柄は先端と根元を切り落とし、沸騰した十分な量の湯の中で十分間茹でる(うんざりする皮剝きがさらに大変になるので、鍋に入る大きさに切ったら、必要以上に小さく刻まないこと)。もしあれば湯に米ぬかを一握り加える。湯を捨てて冷水にさらす。一本ずつ茎の先端と根元の両側から筋っぽい外皮をむいて、繊維をすべてしっかり取りのぞく。真水に入れて、水が茶色くなったら変えながら十二時間浸す。

やわらかい若葉は茎と一緒に料理されることもある。茹でる以外に下処理は必要なし。

おすすめ調理法 フキノトウはふき味噌(細かく刻んで油で炒めたフキノトウを味噌と混ぜてペースト状にする)、天ぷら(揚げる前に外側の苞葉をはずすこと)、味噌汁、醤油と出汁で炒めたマリネ、茹でたフキノトウの二杯酢マリネ。葉柄は炒め物(特にさつま揚げか油揚げが合う)、煮物、つくだ煮。薬のような匂いは味の濃い調味料で調整すること。日本では成長した葉は一般的に食されないが、韓国ではご飯と肉を包んで利用される*3

*2 本来の生育地から人間が媒介してほかの地域に移され、そこで野生化して繁殖する植物。

*3 第1章「金明姫さんの「フキの葉包みのおにぎり」参照。

  本日も更新が遅れてしまって、申し訳ございません。

 

 

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