安倍首相は11月6日(06年)、郵政造反議員の復党問題で、「私の所信に賛成し、首相指名で私を支持した(ことを前提に)、その上で党員の声、国民の声を勘案しながら判断したいということで、党の幹事長、執行部に検討していただきたい」(『郵政離党組の復党問題 「国民の声も判断材料に」』06.11.7.『朝日』朝刊)と語ったという。
これに対して「塩崎官房長官は6日の記者会見で『なんと言っても国民に分かりやすい、理解しやすい解決が為されなければいけない』云々と語り、さらに「『(昨年9月の郵政解散・総選挙の)論理ときちっと整合性が取れているか』と述べ、郵政民営化への賛成が条件になるとの見方を示した」(同記事)ということだが、それでも一旦は郵政民営化反対の姿勢を取りながら、民営化法案が国会を通過し、既に法制化されて時計の針は戻せない、離党・除名を指示した小泉首相から安倍首相に政権が変わっている、そういった状況変化にあるから郵政民営化反対を貫く理由がなくなった、だから郵政民営化には賛成しますと態度を変えることにしたとしても、節度・節操、あるいは信念という点で決して「国民に分かりやすい、理解しやすい」理由とは言えない。
最も「国民に分かりやすい、理解しやすい」方法は、郵政民営化法案が参議院で否決され、衆議院解散に打って出たときに小泉首相が反対票を投じた自党議員に取った非公認、その後の離党勧告・除名等の措置は間違いだった、安倍政権への交代を機に安倍首相がそれを今回改めて、彼らの名誉回復を図るとすることではないだろうか。
但し、安倍氏は小泉政権でそれを支える幹事長・官房長官と重要な役割を担ってきている。郵政民営化造反議員に対する小泉決定にも自らも手を染めているだろうから、いくら自分が首相になったから、その決定を覆すとするのは矛盾が生じることになるが、それでも「党員の声、国民の声を勘案」を始めとしてどのような条件をつけようとも、復党を認めるとなると、小泉決定の否定、少なくとも変更に当たる。
小泉首相が取った決定は間違いだった、だから改めるとすることが一番筋が通る「国民に分かりやすい、理解しやすい」復党容認ではないだろうか。