造反議員復党/「情」と〝原則〟

2006-11-24 11:12:29 | Weblog

 郵政造反議員の復党問題で中川幹事長と造反議員トップの平沼赳夫元経済産業省が22日(06年11月)国会内で会談したが、会談はまとまらなかったと「日テレ24」が伝えていた。

 会談後中川幹事長が記者会見し「今日の会談で合意ということにはなりませんでした」と発表。

 テレビはフリップで「踏み絵」と称されている復党条件を掲げた。
 ①郵政民営化を含む「政権公約2005」の遵守
 ②安部総理の所信表明演説への支持
 ③党紀・党則の遵守

 中川幹事長の記者会見の続き「ちゃんと郵政民営化賛成と入れていただかなければいけなかった。昨年9月11日総選挙の総括、そういうことについても反党行為を、まあ反省するということをしっかりと入れていただかないといけませんと――」

 対する記者質問を受けた平沼赳夫議員「そこまで明確に書くってことはなかなかハードルが高いなあっという感じはしますね」

 女性記者の質問「有権者にご自身が一番訴えたいことって、何ですか?」

 平沼「郵政民営化法案と言うのは3つの点で誤っているってことをずっと主張してきて、刺客を破って当選してきましたから、まあ、そのことは有権者のみなさん方に、そこまで言われると、なかなか厳しいなあということは言わざるを得ない」

 NHKの23日夜(06年11月)のテレビが中川昭一政調会長の中川幹事長を批判しているとも受け取れる映像を流した。「反省や総括が必要だと言うのを聞くと、中国の天安門事件を思い出す。政治は最後は情だと思う」と言っていた。

 中川幹事長の〝原則〟に対する中川政調会長の「情」のつば迫り合いである。「情」とはうまいことを言う。「反省や総括」といったうるさい〝原則〟は引っ込めて、「情」で復党を許せと言うことだろう。

 その「情」とは、今まで自民党という同じ釜の飯を長いこと食ってきた仲間ではないか、自分たちの意志で離党したわけではない、また一緒にやりたいと言うことなら、難しいことは言わずに温かく受け入れてやったらどうかという〝温情〟のことだろう。国家主義者の中川昭一にしたら、〝武士の情け〟だとしたいだろうが、武士なんて、単に支配層に属していたから形式張っていただけのことで、中身は一般人と何も変わらず俗物に出来上がっている人種に過ぎない。それに「情」は美しく見えるが、論理無視(=原則無視)を条件として成り立つ。

 また〝情〟だからと言って、底意も何もない無私そのものを中身としていると受け取るのは単純に過ぎる。〝情〟を発動するにはするなりの何らかの必要性に迫られるからで、必要性をキーワードとする以上、利害行為に他ならない。〝情〟にも目的や狙いがあるということである。その必要性(目的や狙い)とは、安倍首相や中川秀直幹事長、参議院の青木、片山虎之助その他と同じ目的を目指すものだろう。世論の反発を買うかもしれない火中の栗を拾おうと言うのである、参院選という一点に絞られているはずである。「反省や総括」に拘り過ぎてややこしくなったら、元も子もなくなるどころか、敵に塩を贈ることになりかねない、〝原則〟を引っ込めて「情」でいったほう懸命ではないかと言ったところだろう

 もし造反議員が小沢民主党に協力することになったなら、自民党のマイナスαはマイナスαだけで済まず、それに加えて民主党のプラスαの2倍のマイナスαとなる可能性もある。

 中川秀直幹事長が安倍首相の意向を受けて復党条件に「郵政民営化賛成」とか「安倍所信表明支持」、その他の踏み絵を用意して踏ませる〝原則〟に拘っているのは、復党に反対意見が多い世論の反発を受けて、来夏の参院選で復党議員が持ち帰る持参金ならぬ持参票が捕らぬ狸の皮算用に早変りして目減りすることを恐れての損得勘定(=利害行為)からであろう。

 大体が復党と言うと、「国民の理解を得るのが第一番だ」と口にするが、「国民の理解」は世論調査では半分以上が反対意見で固まっている。そのような「国民の理解」に素直に、あるいは潔く従うのが「国民の理解を得る」最善の選択であるはずだが、そのような選択は自分たちの得にならない。党側が好都合としている形で踏み絵を踏ませることができたなら、それを以て造反組が望んだ復党であって党側ではないのだとの大義をつくり出すことができる。その大義を「国民の理解」を得る材料として参院選を有利に運ぶことを自分たちの利益と考えているというわけである。

 中川昭一官房長官の「情」も中川秀直幹事長の〝原則〟も、単に表面的な形式を違えているだけの話で、中身は同じ、穴を同じくするムジナ同士、節操をかなぐり捨てた損得一点張りの利害行為に過ぎない。参院選敗北となったら、安倍短期政権の運命が待ち構えていない保証はどこにもないのだから、政治家でもあるし、政治の世界でもある、なりふり構ってはいられないのだろう。

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