みのもんたの感性

2007-02-16 08:27:25 | Weblog

 07年2月14日のTBS「みのもんたの朝ズバッ!」。司会者みのもんた、ゲスト民主党参議員の岡崎トミ子、自民党衆議員河野太郎、コメンテーター岸井成格(しげただ・毎日新聞特別編集委員)。2月13日に衆議員予算委で行われた「格差問題」の質疑に関して。

 みのもんた「我々国民が見ていても、どこに格差があるか、分からないんですよ。あのー、菅さんにしても、ひじょーにボクなんか、岡田さんにしても、前原さんも、何で折角野党のね、人たちは時間貰ってるのに格差って言葉を使うんだけども、ここが格差だよ、こういう格差があるよ、具体的に挙げて、何で話しないんですか」
 岡崎トミ子「そうですね。やっぱりあの――」

 (「そうですね」はないだろう。「そんなことありません」とキッパリ否定して、自分たちの主張の土俵に引きずり込むべきだが、その一言でみのの言い分を正当化させてしまう。愚かしいことだ。)

 みの(遮って)「格差あることは格差がある。我々国民が見ても、どこを見ても格差があるんだ、分からないんですよ。野党の菅さんたちにこういう格差、こういう格差って、指摘してね、それについて返事しろって言って欲しかったですね」

 (それはみのが一員として所属している富裕層の視線でしか社会を俯瞰できない感性の限界を抱えているからだろう。このことを裏返すと、一般庶民の味方・正義の味方を演ずるのは単なる視聴率稼ぎのポーズでしかないことを証明していると言える。)

 岡崎「そうですね。そういう議論を進めて欲しかったなと私も思いますけれども、やっぱりあの、働き方のパートの人たち、請負の人たち、そういう人たちが3分の1なんです。それが正社員と非正規社員との間に格差になって、少子化問題にまで、こうなっているというのが現状ですから――」

 (「どのような格差があるのか、国民は大体のところは分かってるんです。ただ、政府は格差自体を認めない、小泉さんは格差はどこの国にもある、どの社会にもあると開き直っていたくらいですからね。自分たちの失政となるから、格差を過小評価する態度に終始してますから、こういう格差があるとストレートに攻めても、景気回復を持続させていけば企業が利益を上げる、その利益を順次下に回して生活を底上げしていくと、直接働きかけるのではなく、間接的な方法に頼るだけのことで、低所得者を直接思いやる政策ではないですから」ぐらいのことは言えないのだろうか。)

 みの「だから、例えばあの、小学生の未来とかね、中学生の未来とかね、教育受けられる、受けられない、こういう順序でこうなっているの、どうすれば打開できるんだ、細かく聞いてくれれば分かるんだけども」

 (自分の言っていることが教育の機会均等の原則に反し日本社会に現存するた重大な格差の一つであり、そのことは「我々国民が見ても、どこを見ても格差があるんだ、分からないんですよ。」の主張を自ら否定する発言だという認識すら持てない。その程度の頭しかないと言うことなのか。それと報道番組の司会者なのだから、もう少し論理的に喋れないものなのだろうか。)

 岸井成格「ある程度そうなってますけどね。これはさっきも言ったように総括質問なんです。だから、今度一般質問に入ってから具体的に一つ一つやっていくっていう、そういう順序なんですよね」
 みの「まあ、野党もあれでしょ?具体的な案をどんどん出しなさいよって――」
 岡崎「出しています。あの、法案を出していますので――。その中では例えば最近の問題で、今は平均637円ですけれども、例えば東京の719円で見たとしても、1年間1800労働時間働いても、年間130万の収入なんですよ。つい働けど働けど、わが暮らし貧困だというのが問題なんです。働いても暮らせないというのが。そこが問題なんです」
 みの「何かそういう細かいところまで分かってらっしゃる野党のみなさんが領収書5万以下って言うのがはっきりしないんですか?」

 (格差問題を討論しているのに、何で急に政治資金の領収書問題に移るんだ。)

 岡崎「今は意見が一致してますよね(と左隣の河野太郎に同意を求める)でも、本当に全部さらけ出した方がいいだろうという――」
 河野太郎「どこまでいいだろうと線を引くのが事務作業が大変だと言うなら、全部出せばいいんですよね。全部出すなら、一々仕分けしなくていいわけですから」

 (単純。出せるものなら、今までだって領収書を出していただろう。出せないから、領収書不要の中にあれやこれやぶち込む操作を必要とした。操作しきれないものは隠す。出せなくて、領収書不要でも操作できないとなったら、すべて隠すだけのこと。)

 みの「ボクねえ、その、大変だっていう感覚を先ず国会議員はなくさなくてはダメだと思う」
 岡崎「ハイ」
 みの「ウン」と納得顔。

 (全く以て単純。何が「大変」なものか。事務所経費に関して領収書不要なのをいいことに事務所経費ゼロの国会議員宿舎に相当額をおんぶさせて、さも経費がかかったように見せかけた、そのことの正当化に「大変」を口実に使っているだけのこと。何も「大変」ではない。表に出せないカネを事務所経費にうまく化けさせた達成感は何とも言えず、一杯上げた国会議員もいたに違いない。)

 岸井「議論、みのさんが言うのが分かるのはね、やっぱり今度の政治決戦っていう中で野党、特に民主党、野党第一党として、自民党とここが違うから政権交代が必要だっていうことを訴えてるわけでしょ?だったら、この国会の論戦の総括の中んで基本政策をきりーっと出すべきなんですよ。それが出ていないから、遣り取りも何となく活発もならず、不満があるんですよね」
 
 (民主党に必要なのは立場・立脚点を明らかにすることではないだろうか。国民の中でどの階層に立つか。民主主義・自由・人権を自らの価値観として共通の価値観を有する国際社会の一員としての立場を維持しながら、生活・暮らしに関しては一般生活者の立場に立つことを明確に宣言すべきではないか。そうすればすべての政策が国民の目にはっきりとするだろう。勿論、国の経済も大事で、それとのバランスも必要になるが、一般生活者の生活により直接的に目配りを効かせた政策を採択する。企業利益の国民生活への波及・循環に待つ富の再配分ではなく、個人消費の利益の全体経済への波及・循環による国の活性化を図る。いわば自民党の〝上から下に〟ではなく、民主党は〝下から上に〟の立場を採る。社員の給与を上げると、企業の国際競争力が低下し、経済に悪影響を及ぼすと言うなら、公務員の人員のムダ・仕事のムダを徹底的に排して、その余剰金を財政再建にだけでななく、各種減税原資に回して、企業の法人税、個人の所得税を減税して、結果的に両者の所得を増加させるという方法も効果的ではないだろうか。個人消費が増加すれば、国の税収も増加する。公務員の数を減らし、且つ不正な随意契約とが談合とか天下りとかを禁固刑に処する程の厳罰を以て禁止する。

 この方法を採るなら、民主党は最低賃金を全国平均で時給1000円への引き上げを主張しているということだが、1000円の全国一律上げでもいいのではないか。平均だと、経済が活発な東京とか愛知、静岡と言った中部圏、大阪等の近畿圏が取り過ぎて、過疎県が現在と変わらないという状況が起こりかねない。過疎県であっても個人消費が少しでも活発になれば、
全体への波及が少しは望める。最低賃金の一律上げが地方の小規模経営の中小企業の打撃となるというなら、そのために国は何らかの助成を行うか、元請の大企業が負担すべきだろう。大企業でございますと今あるのは今まで散々下請泣かせを行ってきた前科を土台にしてのことなのだから。)

 岡崎「いや、働き方という意味では格差の問題をきちんと提示しております。格差の拡大の問題と、これ働き方の問題ですね、それと働いて暮らせないという問題ですね。貧困という問題。ワーキングプアというこの状況。ですから、その最近の問題ですとか、長時間労働の問題ですとか、パートの均等待遇の問題ですとか、きっちり、あの出して、私たちの、その楽屋(?)なんかもきっちりと出て、戦おうと思っております。そこはきっちりと出してるんですけすがね」
 河野太郎「格差というよりも、要するに働く人がおカネをたくさん貰うのは悪いことでは何でもないわけですから、やっぱり格差問題よりも貧困問題なんだと思うんですよ。そのお、英語で言うと分かりにくくなっちまいますけど、ワーキングプアと言われているような。だから、そのー、だから、その底辺をどうやって(両手を平を上にして上げる仕草をする)――」
 みの「働けど、働けど――」と茶化す。

 (河野太郎は自民党議員らしく、格差隠し、格差過小評価の立場に立っている。格差の最大値が貧困であって、格差と貧困が密接につながっていることを無視している。それに「働く人がおカネをたくさん貰うのは悪いことでは何でもない」のは、あくまでも公正な機会均等のルールに裏打ちされた社会的達成を条件としなければならないはずで、親の収入次第で学歴が規制されるとか、学歴や年齢、性別で就業が規制される、あるいは政治家の口利きで商売を有利に進めて利益をたくさん上げる、談合で仕事を獲得する等々の機会不公正・機会不平等の社会ルールの下では、必ずしも「悪いことでは何でもない」とは言えない。保険会社が口実を設けて払うべき保険金を払わないで、会社の利益とする。銀行や証券会社が自分たちの利益を上げることだけを考えてリスクの説明なしで金融商品を売り、損を与えても責任を取らない。誇大宣伝で会社の利益を上げる。銀行が一方で貸し剥がしを行いながら、その一方で暴力団や総会屋に多額の金銭供与を行う。世の中にはいくらでも「働く人がおカネをたくさん貰うのは悪いことでは何でもないわけです」とはいかない例がゴマンと転がっている。河野太郎なる国会議員は世間を生きていながら、世間知らずの人間にできている。)

  岸井「そこがね、見ている国民とか視聴者からすると分かりにくいんですよ。その、自民党と民主党の違いが。みんな何となく実感は、それはありますよ、それは――。働き方の格差とかね」
 河野「格差をなくせって言うなら、昔の共産主義を目指しているんですかっていうことに――」
 岸井「そう、そう、そうなるんでしょ?」

 (格差をなくすことがなぜ「共産主義を目指」すことになるのだろう。それは共産主義だと格差是正を否定する口実に過ぎない。大体が格差是正と共産主義を結びつけること自体が短絡的単細胞人間でなければできないワザ。共産主義は決して悪ではない。ただ単に自己利害から抜け出れないために共産主義の理想を実現させるだけの知恵を人類は持たないだけの話。上から下までそれぞれの段階で平等の美名の陰に隠れて自己利害に精を出してそれ相応の怠惰な特権階級をつくり、、結果として社会の運営の効率性を欠くことになった。
 その点、自由主義国家であっても公務員の地位にある政治家・官僚・役人の類が自らの地位・待遇の上にアグラをかいて自己利益獲得に邁進し、非効率な仕事を専らとして、一種の怠惰を特権階級と化していることとたいした違いはない。)

 岡崎「あまりにもひど過ぎるんです」
太郎「格差がいけないことかって言えば、そうじゃないんですよ、要するに下をどう上げるかっていう話で、一生懸命働いた人が一生懸命おカネを稼ぐのは別に悪いことじゃないですけどね」

 (国の税制が企業に有利で、一般国民に不利になっている。あるいは金持ち優遇税制と言うこともある。そのような不公平税制の恩恵によって一生懸命働かなくても、おカネをたんまりと稼ぐことができる層が一方にでき、額に汗してもたいしておカネを稼ぐことができない層が他方にできる。その結果の格差も、河野太郎に言わせれば、「格差がいけないことかって言えば、そうじゃないんですよ」と言うことになる。物言いがどことなく舌っ足らずなのは器質の問題だから仕方がないとしても、考えまでが舌っ足らずなのは如何ともし難い。)

 岡崎「それは否定しないんですよ。あんまり格差が開きすぎている。働き方によって二極化が進みすぎているという問題があると思います」

 (おい、おい、民主党、しっかりしてくれ。〝格差〟とは所得格差とか待遇格差だけの問題ではないではないか。学歴格差、税制格差、地域格差、男女格差、障害者差別という格差、官民格差、元請と下請との格差、年齢格差、学校格差等々は公平なルールによっては生じることのない格差であろう)

 太郎「格差って言ったら、上を降ろせっていう議論になっちゃいますから、そうじゃないよと。下をどう上げるのかっていう議論なんですっていう話を――」

 (相変わらず考えが舌っ足らずだ。企業が最低賃金を上げることに反対しているのは、そのことによる人件費の全体的な高騰が製品コストに跳ね返って、世界市場での競争力を損なうことを恐れているからだろう。いわば、「下を」「上げる」ことが「上を降ろ」すことになる論理からの反対である。「民主党など野党側の格差是正策は、高所得者層の税や社会保険料を引き上げ、低所得者層に再配分することで、格差拡大を防ぐイメージだ。(東京新聞インターネット記事)」に対して、「政府・与党はこれを『結果平等の古い自民党の政策』(塩崎長官)などと批判。格差そのものは否定せず、規制緩和などによって大企業や高所得者層の活動を支え、結果的に雇用創出や賃金上昇など、低所得者層にも恩恵が回る好循環を生み出すことを掲げている。(同)」ということも民主党の「上を降ろせ」に対する自民党のその不要論となっている。「企業も痛みを分かち合うべきだ」という主張も、同じ線上の主張で、そういった議論・主張もあることを頭に入れておくべきだろう。)

 (民主党の政策を自民党は「結果平等の古い自民党の政策」と批判しているが、自民党は一度として結果平等の社会を実現したことはないではないか。「結果の平等」など人間がいくら逆立ちしたって、実現できようがない夢の調和であって、問題としなければならないのは妥当な結果か不平等な結果かであろう。結果が他人の力を排した個人の裸の才能・裸の努力・裸の人間性で決まるなら、いわば財力とか口利きの縁故とか門閥とか学歴とか性別とかで決まるのではなければ、その結果の違いは妥当として受け入れなければならないが、機会の不均衡を出発点とした場合はその殆どは不平等の結果となって現れる。民主党の政策は機会の平等に近づけようとするものだろう。)

 岡崎「ですから、先ほど申し上げたように最低賃金制の問題ですよね。この地域別だと言うことについて、1000円ぐらいに上げなきゃいけないという――」
 みの「ただね、岡崎さんね。ボクが思うのはね、最低賃金と今おっしゃいましたよね。でも、最低賃金が保証されるってのは、それはまずいことですよ」
 岡崎「でもね、働いて――」
 みの「そこが全然違うんです」
 岡崎「働いて暮らせない国って、どういうものなんでしょうか?」
 みの「それとは違う話を今しているんですよ、ボクは。岡崎さんに聞きたいのは」
 岡崎「ええ」
 みの「一生懸命働いて最低賃金を獲得した人と、一生懸命働かないで最低賃金を獲得した人と同じっていうのはおかしくないですか?」
 岡崎「いや、だから、最近は働いた人に対して払われる問題ですよ。生活保護という問題について今言っておりません」
 みの「じゃなくてね、最低賃金ってのは何を以て最低賃金と言うんですか?」
 岡崎「暮らせると言うことです。今――」
 みの「じゃあ、最低賃金を保証するから、最低の生活を保証して上げるから、それだけ貰えればいいよって、ウン、生活で甘んじている人が出てくるわけですよ」
 岡崎「でもやっぱり、私は基本的に健康と幸せな暮らしを実現するという、下から叩き上げていく考え方で物事は決めていく。欧州の考え方はそういう考え方ですけど、それを是非日本の中でも実現していく」
 岸井「じゃあ、そういう議論になったら、ちょっとこういう話を聞いたら、そういう政党の違いが、基本的に考え方の違いがあるかってことがね、見えてこない。なかなか」

 (何を言っているのか分からない。)

 みの「そうするとね、あのー、民主党の言っていることも自民党の言ってることも、次元的には同じになってくるんですよね(苦笑を洩らす)。それで恐らく一つの法律が生まれてくると最高なんですよねえ――。今のこれだと結論出ないで、多数決で決まっちゃうような気がしてしょうがないんですよねえ――」
 岡崎「あ、そうですねえ。だから――」
 みの「それが凄く残念なんですね」
 岡崎「予算委員会の中で、議論を進めていくべきだというふうに思います」(以上)
 * * * * * * * *
 なぜ岡崎民主党参議院議員はみのが「最低賃金が保証されるってのは、それはまずいことですよ」といったとき、「なぜまずいのですか」と問い質さなかったのだろう。
 
 「最低賃金」とは「一生懸命働いて」「獲得する」達成を目的とした労働賃金ではなく、保証されるべき賃金、生活保証の金額であろう。最初に賃金ありであって、「一生懸命働」くとか「一生懸命働かない」とかは採用後の問題であり、使用者側が処理する問題である。給与相当に働かないが、募集しても3Kが原因して応募者がなかなか現れないから仕方なしに使うしかないということもある。リストラするも、使い続けるのも使用者側の判断である。「一生懸命働かない」からとリストラする使用者側の資格は「一生懸命働」く人間をそれ相応の賃上げで評価することによって正当性を獲得し得るが、日本の製造現場ではなかなかそうはなっていない。

 また、「それだけ貰えればいいよって、ウン、生活で甘んじている人が出てくるわけ」であっても、賃金は労働の対価として支払われる関係にあるから、最低賃金相当の労働を提供すれば支障はないわけであって、最低賃金内の「生活で甘んじ」る「甘んじ」ないは個人の問題であろう。「甘んじ」ない人間はさらにうえの賃金・社会的達成を目指して、労働に精を出す。

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