特定秘密保護法規定の「報道又は取材の自由」は憲法第21条保障の「表現の自由」に対する制限に当たる

2013-11-08 08:38:21 | 政治



      生活の党PR

      森ゆうこ生活の党前参議院議員 《特定秘密保護法の関連資料》 

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 11月7日、国家安全保障上、何を秘密とし、国家だけの情報とするか、その秘密指定の恣意的運用と、指定された秘密の「国民の知る権利」保障に対する侵害が懸念されている「特定秘密保護法案」が衆議院本会議で審議入りした。

 勿論、右翼の軍国主義者安倍晋三はすべての懸念を否定している。次の記事から、安倍晋三の発言を見てみる。記事は城内実自民党議員に対する安倍晋三の答弁と、渡辺周民主党議員に対する答弁を取り上げているが、後者の発言と答弁は後程触れることにする。

 《秘密保護法案審議 首相の発言詳細》asahi.com/2013年11月7日22時08分)
  
 城内実自民党議員「『国民の知る権利』の保障に対する認識は」

 安倍晋三「憲法第21条の保護する『表現の自由』と結びついたものとして十分尊重されるべきものと考える。秘密を保護する必要性と政府がその活動を国民に説明する責務とのバランスを考慮しつつ、本法律案を適用していくことが必要だ」――

 「国民の知る権利」が「憲法第21条の保護する『表現の自由』と結びついたもの」と言っていることは、報道機関の報道との関係での言及であろう。

 「特定秘密保護法」案は「報道又は取材の自由」に関して次のように規定している。

 〈第21条 この法律の適用に当たっては、これを拡張して解釈して、国民の基本的人権を不当に侵害するようなことがあってはならず、国民の知る権利の保障に資する報道又は取材の自由に十分に配慮しなければならない。

 2 出版又は報道の業務に従事する者の取材行為については、専ら公益を図る目的を有し、かつ、法令違反又は著しく不当な方法によるものと認められない限りは、これを正当な業務による行為とするものとする。〉――

 だが、「報道又は取材の自由」に対する「十分な配慮」は、この場合、国家権力による「配慮」の文脈での保障となる。いわば、「配慮」の程度は国家権力の一存となる。

 対して日本国憲法は第21条で「表現の自由」その他を次のように保障している。

 〈第21条 集会・結社・表現の自由と通信の秘密

 (1)集会、結社及び言論、出版その他一切の表現の自由は、これを保障する。
 (2)検閲は、これをしてはならない。通信の秘密は、これを侵してはならない。〉――

 憲法は国家権力に関係しない。政権交代が起き、国家権力の中身が変わろうと、改正されない限り、現在の憲法は現在の憲法としての効力を持つ。

 当然、憲法の保障は国家権力に関係しない効力ということになる。

 「表現の自由」に関して憲法上は如何なる制限もなくその権利を保障している。

 勿論、社会上は無制限に保障されているわけではない。第三者の権利や人権を侵害した場合、裁判によって裁かれる。

 いわば社会上、第三者の権利や人権を侵害しない限り、日本国憲法の「表現の自由」に関わる権利保障は社会上、無制限なものとなり得る。当然、そこでは一般社会に於ける通念的な良識をルールとすることになる。

 当然、「国民の知る権利の保障に資する報道又は取材の自由」=「表現の自由」にしても、第三者の権利や人権を侵害しない限り、日本国憲法は国家権力に関係なしに無制限に保障していることになる。

 このことは国家権力の「十分な配慮」を遥かに超えていて、「十分な配慮」は憲法上の無制限の保障に対する国家権力による制限に相当し、このような制限は「特定秘密保護法」案が「国民の基本的人権を不当に侵害するようなことがあってはならず」と規定していることに対して矛盾を示すことになる。

 更に言うと、国家がいくつかの情報を国家機密として秘密指定する場合、政権トップの思想、政治的立場に応じて指定の対象が常に一致することはあり得ず、異なりを生じることになる。当然、「十分な配慮」も一定のルールに基づかないことになって、そこに否応もなしに国家権力次第の判断の違いが忍び込むことになり、秘密指定の恣意性のみならず、判断の違いがもたらすことになる恣意性が加わることになる。

 このことも憲法の保障とは異なる点であろう。

 大体が日本国憲法が無制限に保障している「表現の自由」を国家権力が「十分な配慮」という形で制限すること自体が憲法違反に当たるはずだ。

 次に渡辺周民主党議員の発言と右翼の軍国主義者安倍晋三の答弁を取り上げる。

 渡辺周民主党議員「特定秘密の指定で恣意(しい)性を排除する仕組みは」

 安倍晋三「特定秘密は法律の別表の限定列挙された事項に該当するものに限り、大臣など行政機関の長が責任をもって指定する。また、その指定は外部の有識者の意見を反映させた基準に基づいて行われることとするなど、恣意的な指定がないよう重層的な仕組みを設けている」

 渡辺周民主党議員「有識者とはどういう方々か」

 安倍晋三「安全保障に関する情報保護や情報公開、公文書管理など幅広い分野の専門家から適任者を選任する。選任した有識者は氏名の公表を検討している」(以上)――

 この「適任者」は最終任命権者が安倍晋三である以上、安倍晋三以下、安倍政権に都合がいい「適任者」であって、都合が悪い「適任者」であるはずはない。当然、有識者を介した安倍晋三に都合のいい秘密指定の懸念と恣意性が浮上することになる。

 都合のいい「適任者」の例として、政府の憲法解釈などを示す内閣法制局長官に集団的自衛権行使を容認する外務官僚の小松一郎を任命させたことを挙げることができる。

 この人事は集団的自衛権行使を憲法解釈で容認へと持っていこうとしている右翼の軍国主義者安倍晋三の熱意と響き合わせた「適任者」であって、権力側に偏った「適任者」という、公平性とは逆説を取ることになるが、だとしても、これが自然な人事であろう。

 例え自然な人事であっても、「適任者」は国家権力寄りの人物であることを常識としなければならない。

 結論を言うと、「特定秘密保護法」案が言う「秘密指定」とは安倍政権という国家権力集団が行う秘密指定であり、指定した秘密に対する「報道又は取材の自由」は日本国憲法第21条が保障する無制限な「表現の自由」を「十分な配慮」にとどめる人権制限法であって、秘密指定を行ったり、違反を判定する「適任者」とは、政権寄りの、当然政権の意向を汲むことになる有識者だということになる。

 勿論、国家安全保障上、一定の情報を秘密指定することは必要であろう。だが、報道機関の「表現の自由」は憲法が基本的人権の保障と国家権力行使の拘束・制限を本質的な主眼とし、他のすべての一般法に優越する国家の最高法規である以上、憲法どおりに保障されるべきである。

 もし成立した場合の「特定秘密保護法」に従って報道機関の「表現の自由」が「十分な配慮」程度に制限されるとしたなら、憲法が主眼とする国家権力行使の拘束・制限を無効とすることになる。

 右翼の軍国主義者安倍晋三は日本国憲法が日本国家の最高法規であることを忘れているらしい。

 憲法の人権保障を無視するようでは、安倍晋三が掲げて盛んに宣伝している「積極的平和主義」も当てにならないことになる。

 もし報道機関が秘密指定した情報をスクープ等の形で報道したなら、その情報の秘密を担いながら、漏洩させることになった危機管理の担当者をこそ、罰則の対象とすべきだろう。

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