猪瀬都知事は徳洲会からの5千万円受領に纏る疑惑の説明責任を果たさない限り、オリンピックを語る資格なし

2013-11-23 09:37:32 | 政治



      生活の党PR

      《11月19日の衆議院本会議『社会保障プログラム法案、小宮山国対委員長反対討論全文』》

      《11/24 鈴木克昌代表代行・幹事長『日曜討論』(NHK)出演のご案内》

     番組名:NHK『日曜討論』(生放送)

     日 時:平成25年11月24日(日)9:00~10:00

     出演者:鈴木克昌代表代行・幹事長
 
     ☆衆議院議員 鈴木克昌 オフィシャルサイト
      
     内 容

     ○一票の格差”を巡る最高裁判決について
     ○特定秘密保護法案について
     ○終盤国会にどう臨むのか    等      

 猪瀬東京都知事が大手医療法人徳洲会から5000万円を受け取っていたことが判明。どのような経緯でその5000万円が徳洲会から猪瀬都知事に渡ったのか、見てみる。

 猪瀬都知事は昨年11月29日都知事選告示前の11月上旬、知人と共に神奈川県鎌倉市の病院を訪れ、入院中の徳田虎雄・前徳洲会理事長(75)に対して都知事選に立候補する考えを伝えた。前理事長はその後秘書を通じて支援を表明。徳洲会から猪瀬氏側に5000万円が提供されたという。

 要するに選挙資金の無心に行ったのではなく、徳洲会グループの票を期待してなのだろう、立候補の挨拶だけのために面会したことになる。

 だが、徳田虎雄・前徳洲会理事長の次男徳田毅自民党衆院議員に昨年12月の衆院選で運動員を買収した疑いが浮上、9月、徳洲会グループは東京地検特捜部の強制捜査を受けることになった。

 この強制捜査後、猪瀬都知事は5000万円を「個人的な借入金」としていて、全額返却している。

 この時期の符合自体が否応もなしに疑惑の臭いを掻き立てる。

 次の記事が伝えている猪瀬都知事の釈明発言から、5000万円受領の正当性を探ってみる。

 《都知事「個人の借り入れ金で選挙活動と無関係」》NHK NEWS WEB/2013年11月22日 18時19分)

 5000万円の「選挙運動費用収支報告書」への未記載について。

 猪瀬都知事「個人的な借入金であり、選挙活動と全く関係ない」――

 5000万円は「選挙活動と全く関係ない」と言っているが、借用するに至る経緯は選挙資金を使途目的としている。入院中の徳田虎雄・前徳洲会理事長に自分から会いに行き、都知事選に立候補する考えを伝えたところ、徳洲会から5000万円が提供された。猪瀬都知事自身も選挙資金だと認識したはずだ。それを「選挙活動と全く関係ない」「個人として」借用したとしている。

 では、個人的などのような使途を目的に借入したのだろうか。カネを借りるについては個人的な借用だろうと、団体向けの借用だろうと、目的とする使途が存在する。借金は貸し手に対して何らかの恩義が生じるから、使い道はないが、貸してくれるというのだから、取り敢えずは借りておくかといったことは先ずしない。無駄な恩義をつくるだけのこととなる。

 また貸手も、使い道を把握しないまま資金提供を申し出ることはないはずだ。貸手側からの申し出であっても、相手が必要とする使い道を推察した上での申し出であろうから、相手の返事によって、資金そのものを必要とするかしないかを把握することになり、必要とする場合は、使い道そのものを事実として把握することになる。

 もし「選挙活動と全く関係ない」「個人的な借入金」が事実なら、前理事長は使途目的を確認しないまま、あるいは使途目的の推察を間違えたまま5000万円という大枚の資金提供を行ったことになる。

 当然、猪瀬都知事はどのような使い道の「個人的な借入金」であるか、説明責任を果たさなければならない。但し5000万円を最初から内緒のカネとしていたために「個人的な借入金」としたという説明が最も分かりやすい。

 今年3月提出の「資産報告書」に借入金の存在を記入しなかったことについて。

 猪瀬都知事「不手際だった。大変申し訳なく思っている。11月22日に報告書を訂正した」(下線部分は解説文を会話体に直す)

 「個人的な借入金」としているのだから、「選挙運動費用収支報告書」に書かなかったことは理解できるとしても、「資産報告書」に書かなかったことは「不手際だった」では済まない。

 猪瀬都知事「いかなる政治団体や利益団体とも特別な関係を持つつもりはなくオリンピックの開催実現に向け、頑張っていきたい」――

 東京オリンピック主催責任者であることを以って免罪符にしようとしている。あるいは開催実現に向けた責任遂行を以って疑惑の免罪符にしようとしている。

 ここに狡猾さ・巧妙さを感じる。

 記事は総務省と政治資金に詳しい専門家の見解を伝えている。

 総務省「選挙のために資金を借り入れた場合は、例え使わなかったとしても選挙後に選挙管理委員会に提出する『選挙運動費用収支報告書』に記載する必要がある。」(下線部分は解説を会話体に直す)

 岩井奉信日本大学法学部教授「お金を借りること自体には法的な問題はないが、猪瀬知事が、政治資金にしよう、あるいは選挙に使おうと思って借り入れたとなれば収支報告書の虚偽記載の可能性が出てくる。

 そもそも金融機関ではなく、徳洲会という医療法人グループ側からお金を借りるというのは常識的に考えておかしい。猪瀬知事は、このお金の性格や意味を有権者に納得のいくように説明すべきだ」――

 5000万円の返却が東京地検特捜部の強制捜査後になったことについて、別の「NHK NEWS WEB」が都知事の発言を伝えている。

 猪瀬都知事「去年11月に徳田虎雄前理事長のところにあいさつに行き、資金提供という形で応援して貰うことになった。個人としての借用をお願いした。

 受け取った現金は手つかずだったので返却しますと申し入れたが、向こう側の事情があってもう少しあとでと言われたので妻の貸金庫に入れておいた。早く返却した方がいいんじゃないかと指示してことし9月に秘書が返却した。もっと早く返すつもりだった」――

 前段の発言だと、選挙資金として「応援して貰うことになった」が、「個人としての借用」としたということになり、前の「選挙活動と全く関係ない」という発言と明らかに矛盾する。

 また、このこと以前の問題として、選挙活動を使途目的としていながら、「個人としての借用」とすること自体が矛盾する。使途目的を選挙活動とした「個人としての借用」という奇妙な経緯を辿ることになる。やはり5000万円を最初から内緒のカネとして隠しおくために「個人的な借入金」としたという説明が最も分かりやすいことになる。

 後段では5000万円の「現金は手つかずだった」としている。選挙活動に使うつもりでいたが、別に保管しておいた5000万円まで使う必要が生じなかったということだとしても、「個人としての借用」という矛盾は残ったままとなる。

 岩井日本大学法学部教授が「お金を借りること自体には法的な問題はない」としていて、そうでありながら、なぜ選挙資金を「個人としての借用」としたのか。

 猪瀬都知事がどう釈明しようと、疑惑が消えるどころか、逆に釈明の言葉自体から疑惑が噴き出してくる。

 この記事を書いている途中で、朝7時からのNHKニュースが、関係者の話として徳田虎雄徳洲会前理事長が次男の徳田毅衆議院議員から電話で「猪瀬さんが『余ったら返すので先ずは1億円をお願いしたい』と言っている」と伝えられ、「5000万円で対応しろ」、「足がつかないよう議員会館で渡せ」と指示していたと伝えていた。

 早速NHKのサイトにアクセスして、そのニュースを取り出した。《徳洲会側「猪瀬知事が1億円お願い」》NHK NEWS WEB/2013年11月23日 4時50分)

 次男の徳田毅衆議院議員は父親の指示通りにだろう、議員会館の事務所で知事本人に直接、現金で5000万円を手渡した。

 記事は11月22日の猪瀬都知事の記者会見での発言も伝えている。

 猪瀬都知事(受け取った資金は個人的な借入金だと強調したうえで)「徳洲会側から申し出があり、厚意を断るのは失礼だと考えて借りた。5000万円という額になった理由は分からない」――

 関係者の話が事実なのか、猪瀬都知事の釈明が事実なのかが問題となる。「徳洲会側から申し出」が事実なら、徳洲会側が選挙資金として必要だろうと使途目的を推察した申し出であり、その申し出を猪瀬都知事が受入れた選挙活動資金としての5000万円ということになる。

 いわば5000万円は選挙活動資金であるという事実は動かないことになる。では、なぜそれを「個人としての借用」としたのかの疑惑は前よりも膨らんで依然として残る。

 次の記事も新たな疑惑を伝えている。《徳田毅氏の母「借用書知らぬ」 猪瀬知事の説明と食い違いか》47NEWS/2013/11/22 23:34 【共同通信】)

 猪瀬知事が記者会見で、「借用書は返してもらったと聞いている」と話していることに対して、〈東京都の猪瀬直樹知事が、徳洲会グループから5千万円を受け取った際に書いたとしている借用書について、知事側から現金を返された徳田毅衆院議員の母親が「知らない」とグループ内で説明していることが22日、関係者への取材で分かった。〉としている。

 記事解説。〈返金と同時に借用書が返還されないのは不自然で、知事と徳洲会側で資金提供の経緯について見解が食い違っている可能性がある。〉――

 NHK記事が伝えている関係者の話として徳田虎雄徳洲会前理事長が「足がつかないよう」用心していたが事実なら、借用書は証拠として残る危険性を考えて、天下の猪瀬都知事である、借りた覚えはないなどと言うはずはないと借用書を用いない信用貸しということもある。

 先ずは借用書が事実存在するなら、借用書自体を見せなければならない。それがニセモノでない限り、徳洲会側の関係者の指紋、あるいは汗ぐらいはついているはずだ。

 大体が返金が代理人を通じたものであっても、返金と同時に受け取った借用書は代理人から、借りた本人である猪瀬都知事に直接手渡されるのが常識である。それを「借用書は返してもらったと聞いている」と第三者からの報告のみで良しとして、代理人の手許に残したままなのは常識的には考えられない。

 猪瀬都知事はNHK記事の関係者の話が事実なのか、自身の釈明が事実なのかの点も含めて誰もが理解できるように説明し、疑惑を払拭しなければならない。

 もし説明も疑惑の払拭もできなければ、猪瀬都知事は今後オリンピックを語る資格はない。オリンピック憲章はオリンピックの根本的精神を次のように謳っている。

 〈オリンピズムの根本原則

1. オリンピズムは人生哲学であり、肉体と意志と知性の資質を高めて融合させた、均衡のとれた総体としての人間を目指すものである。スポーツを文化と教育と融合させることで、オリンピズムが求めるものは、努力のうちに見出される喜び、よい手本となる教育的価値、社会的責任、普遍的・基本的・倫理的諸原則の尊重に基づいた生き方の創造である。〉――

 オリンピック開催責任者がこのような精神を体現せずして、果たしてオリンピック開催に向けた責任者としての振舞いは許されるだろうか。

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