政府・与党面々の小渕優子の「説明責任」言及は本人の問題への矮小化と安倍晋三の任命責任回避

2014-10-20 06:39:31 | Weblog


 小渕優子経産相の政治資金収支報告書に収支の金額の桁外れの不一致や不適切な支出項目が見つかって、国会で野党から利益供与が行われていたのではないかと追及を受けている問題で、政府・与党の面々が発言をしている。

 「asahi.com」記事と「NHK NEWS WEB」記事から拾ってみる。

 石破茂地方創生相「小渕氏自身がきちんと説明責任を果たすと承知している。資質については、責任感も使命感も非常に高い方と認識している」

 甘利明経済再生相「政治資金は最終的に政治家自身が責任をもって説明しなければいけない。現場の作業はどこの事務所も関係者を信頼して任せているところがあるから、本人が詳細を把握されていないと思う。いずれ説明をする時が来る」

 山谷えり子国家公安委員長「一般論として、透明性を高め、信頼性を持って政治家が活動できる状況を自らつくることは大事だ」(以上asahi.com

 稲田朋美自民党政務調査会長(NHKの日曜討論)政治資金の使いみちは、国民の政治に対する信頼、ひいては日本の民主主義の質に関わる問題だ。

  公職選挙法や政治資金規正法の疑念が生じた場合には、政治家としてきちんと説明責任を果たす必要がある。小渕大臣も今、事実を調査しているので、政治に対する信頼という意味で、きちんと責任を果たすと考えている」(NHK NEWS WEB

 石破茂は「小渕氏自身が」と言い、甘利は「政治家自身が」と言い、稲田朋美は「小渕大臣も」と含める形で、それぞれが小渕優子自身の説明責任の問題としている。

 山谷えり子の「信頼性を持って政治家が活動できる状況」とは今回の場合、説明責任の履行が可能とする「状況」のことである。それを「自らつくることは大事だ」と言っているのだから、小渕優子自身の説明責任の問題と把えていることに変わりはない。

 だが、説明責任の問題のみで片付けていいのだろうか。

 安倍晋三は2014年9月3日の第2次安倍改造内閣発足後のインタビューで、5人の女性を閣僚に起用したことに因んでだろう、自らの内閣を「女子力開花内閣」だと評した。

 当然、女性閣僚に関しては慎重の上にも慎重を期して人選を行い、人選に間違いはないという万全の自信で任命したはずだ。

 でなければ、「女子力開花」とまではいかないことになる。「女子力開花内閣」と誇った以上、その誇りに対して責任を持たなければならない。

 特に小渕優子に関しては通商政策及び産業政策のみならず、原発政策(原発再稼働や廃炉問題)、風力や太陽光等々のエネルギー政策まで所管する重要閣僚と言われている経産大臣に40歳の若さで、しかも女性初という形で抜擢・任命したのである。

 いわば職責のその重要度に応じた人選の的確性が任命責任に関わる重要な要素となっていく。

 もし小渕優子が説明責任を果たすことができずに責任を取って経産大臣を辞任することになったなら、「女子力開花内閣」と誇りながら、その一端が崩れた責任も然ることながら、重要閣僚としてその人選を行った安倍晋三の任命に関わる不的確性の責任は重いものとなる。

 行政能力は十分過ぎる程あり、そこを見込んだ人事だったが、資金管理に問題があったという弁解は許されない。第三者に任せた資金管理は人事管理でもあり、それらは行政能力に関係することになるからだ。資金・人事管理を含む行政能力と人格が一対となって閣僚としての存在性が成り立つ。

 にも関わらず、閣僚や与党の面々が小渕優子の政治資金の収支に関わる疑惑を本人が説明できるかできないかの説明責任の範囲のみにとどめるのは問題の矮小化であって、安倍晋三の任命責任に火の粉が降りかからないようにするための予防線としか言い様がない。

 いわば安倍晋三の任命責任の回避を謀っている。この上安倍晋三自身が自分から自らの任命責任に目をつぶるようでは、一国のリーダーとしてあるべき人格に欠陥を見ないわけにはいかない。

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