10月12日「たかじん―」、長谷川、加藤、竹田の琉球独立は即中国に侵略されるが如き言うおバカさん加減

2014-10-14 09:11:33 | Weblog


 10月12日放送「たかじんのそこまで言って委員会」は「日本最悪のシナリオ徹底討論SP」と題して、「富士山噴火」、「残存左翼勢力大暴走」、「日本が世界から孤立」、「日本銃社会化」等、日本最悪のシナリオを想定、果たしてそうなるかどうか、そうなった場合、どうなるかを、例の如く辛坊治郎を司会者に、金美齢、津川雅彦、桂ざこば、加藤清隆、長谷川幸洋、竹田恒泰の面々が独善的な議論を繰り広げていた。

 そこに紅一点として山口もえ、元米国在沖縄総領事のケビン・メアが加わっていた。

 「日本最悪のシナリオ」の、なぜかトップバッターとして、「琉球独立」が名誉の席を占めていた。

 私自身は沖縄は独立すべきだと思っている。元々独立国だった。1609年、 薩摩藩が侵攻し、琉球王国は薩摩藩の従属国化させられ、厳しい搾取を受けた。そして今なお米軍基地が沖縄経済の多様化を阻害してきたという点で搾取を受けていると言うことができる。

 沖縄の米軍基地経済依存の割合はかなり減っているものの、沖縄の米軍基地経済依存の歴史が沖縄経済の多様化を阻害してきた歴史でもあって、その悪影響が現在でも相当に色濃く残っているはずだと言うことである。

 番組はもし沖縄が独立して米軍と自衛隊が撤退すれば、邪魔者がいなくなった中国が武力によって沖縄を併合して、沖縄周辺海域に眠る石油や天然ガスも尖閣諸島も全て中国のものになって、沖縄は中国人民共和国琉球自治区となるという最悪のシナリオを設定、「琉球独立はあり得るか、あり得ないか」パネラーに尋ねていた。

 山口もえ「あり得ない――日本国であって欲しいので」

 金美齢「あり得ない――ノイジーマイノリティ」

 長谷川幸洋「あり得ない――独立しても中国に侵略される」

 竹田恒泰「あり得る――中国が支援する」

 桂ざこば「あり得ない――独立してもやっていけない」

 津川雅彦「あり得る――スコットランドのように自主投票で」
 
 ケビン・メア「あり得ない――沖縄県民はそんなアホではない」

 加藤清隆「あり得ない――中国の『特別自治区』になる」

 長谷川幸洋と竹田恒泰、加藤清隆はどうしてそうなると思うのか、そのおバカな発想が理解できない。

 それぞれのおバカな発言は簡単に記すに留める。

 金美齢「琉球独立を騒いでいるのはノイジーマイノリティ(少数派だが、声高に騒いでいるから、目立っている)に過ぎない。新聞がそれに乗っかっている」

 少数派で片付けようとしている。例え現在少数派でも、気運次第で無視し難い勢力とならない保証はない。

 長谷川幸洋「この間スコットランドで、住民投票あった。独立派が結局否決されてしまったわけだが、ヨーロッパを例に取ると、一番ヨーロッパの中で独立してるのに殆ど近い国は実はスイスで、スイスを例によく考えてみなければならない。

 沖縄がスイスのように独立した時にどういうことになるかと言うと、スイスはやっぱり自分で守っている。EUにも入ってない。NATOにも入ってない。各家庭に全部、自動小銃が政府から配られている」

 竹田恒泰「シェルターもあります」
 
 長谷川幸洋「ついこの間までは手榴弾まで配られていた」

 金美齢「「国民皆兵なんです」

 長谷川幸洋「国民皆兵です。青年男子はみんな予備役ですから。スイスは沖縄と違って山の中にあって、道路の壁のところには全部爆薬が埋められている。 いざ戦闘になったら攻められないように。

 そういうスイスとこの沖縄を考えると、沖縄は海に囲まれている。あっという間に中国にやられれてしまう。そもそも各家庭で機関銃持って、人民解放軍と戦うというところまでやるのだろうか。

 スイスの場合は焦土作戦ですから。焦土作戦で沖縄は首里城も焼き尽くしてしまってもいい戦う覚悟があるのだろうか。

 こういう話をしないと、独立論は現実にならない」――

 スイスと沖縄の戦略的価値の違いを一切抜かしたおバカな議論に過ぎない。しかもスイスはフランス、ドイツ、イタリアといったNATO諸国に囲まれている。東隣のオーストラリアはNATO加盟国ではなくても同じく中立国である。スイスから見たら、軍事的脅威なき国々である。

 もし中国が本気になって独立した沖縄を侵略する気になったなら、機関銃や手榴弾で太刀打ちできる相手ではない。覚悟を言ったのだとしても、今更軍備拡大競争をしても始まらない軍事的武器を比較に持ち出すのはおバカもいいとこである。

 何も「各家庭で機関銃持って、人民解放軍と戦う覚悟」を持たなくても、あるいは軍事力に頼らずとも、独立を確保することのできる方法はある。

 加藤清隆「あまり知られてない話を紹介すると、国家主席の習近平は福建省時代、省長をやっていたとき、沖縄に4回も行っている。

 習近平は今国家主席でトップです。彼の意向が相当反映されて人民日報の記事になり、あるいは沖縄をどうしても中国が欲しがっているという厳然たる事実がある。そういうのに(沖縄の新聞が琉球独立というノイジーマイノリティというのに)乗っかってしまえば、一体どういうことになるか」

 つまり新聞が琉球独立というノイジーマイノリティに乗っかって沖縄世論を形成、下手に独立を果たしたなら、たちまち中国の餌食になると言っている。

 竹田恒泰「(既に)琉球新報が乗っかっちゃうわけですから。でそもそもですね。琉球独立って憲法違反なんですね。これあの政府解釈なんですけど。これ1997年の衆議院予算委員会で大森内閣法制局長官答弁で、『琉球独立に関しては、現行憲法にはその規定がなく不可能』というのがこれ政府見解。

 だから、それを無視して琉球が独立したら憲法違反です」

 1609年の薩摩藩の武力による琉球王国の従属国化と琉球を強制的に近代日本国家に組み込んでいき、琉球王国を廃絶に追い込んだ1872年(明治5)以降の日本政府の、いわゆる「琉球処分」という歴史的事実は侵略そのものを意味している。

 このような侵略に対して国連総会は2007年9月13日、「先住民族の権利に関する国際連合宣言」を採択、第28条で、「先住民族は伝統的に所有し、または占有もしくは使用してきた土地、領域および資源に関して自由で事前の情報に基づいた合意なくして没収、収奪、占有、使用され、または損害を与えられたものに対して原状回復を含む手段により、またはそれが可能でなければ正当、公正かつ衡平な補償の手段により救済を受ける権利を有する」と規定している。

 独立国としての原状回復を求める権利を国際的に有していることになる。

 いくら日本国憲法が「国の最高法規」であったとしても、あくまでも一国の最高法規であって、日本が国際関係の中で存続している以上、日本も締結国として名を連ねている国際連合宣言を優位に位置づけなければならないはずだ。

 加藤清隆「辛坊さん、琉球独立は憲法違反でもあり、刑法違反でもある。刑法の中に外患誘致罪というのがあって、外敵を引き入れて、国内の安寧秩序を乱す行為は外患誘致罪、これは死刑ですからね」

 まるで琉球が独立したら、中国を引き入れることを決めているかのようなおバカな考えに取り憑かれている。

 もし独立した琉球が中国の支配下に入ることを望んだとしたら、中国は「外敵」ではなく、友好国となる。またそれ以前の問題として、独立した時点で日本の刑法は適用外となる。

 勿論、独立前に中国軍を呼び入れて、日本からの独立を宣言するという手段も存在する。しかしそうした時点で琉球自体の独立の保証は限りなく失われることになる。

 沖縄県民がそれでもいいと望んだとしたら、日本国憲法も刑法もクソもないことになる。

 だが、沖縄はそういった選択はしないだろう。

 番組にしても、おバカなパネラーたちにしても、琉球独立を前提に話を進めているから、当方も独立を前提とする。沖縄が住民投票なり、一方的独立宣言なりして琉球独立を獲ち取ろうと望んだなら、望んだ時点で前以てアメリカやイギリス、ドイツ、フランス、その他の主要国に対して、「独立を果たした場合という条件づきで、主権国家として承認すると声明を出して貰いたい」と要請、「承認されないままに独立を果たした場合、中国に侵略される危険性に迫られることになる。万が一、そうなった場合、あなた方の国益にプラスのなるだろうか」と問う。

 どの国もそのような要請を断ることはできないはずだ。中国侵略の想定は完璧には否定できないからだ。そうである以上、要請を断ったなら、中国の覇権主義・領土拡張政策に手を貸すことになる。あるいは貸したことになる。

 独立前の沖縄は日米安全保障条約によって守られる。独立後は西欧各国による外交上の国家承認によて守られることになる。日本も独立した琉球を主権国家として承認しなければならなくなるだろう。

 中国がただ一国取り残された形で琉球を国家として承認しないままでいたとしたら、侵略の意図を内に秘めていると勘繰られ、中国脅威論をなお一層燃え上がらせることになる。

 一旦、国家として承認した場合、西欧各国の承認に加えて、承認した琉球への侵略は不可能となる。


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