安倍晋三の恒例日曜日被災地視察は訪問回数の記録が目的だから、駆け足なのか

2014-10-13 09:43:18 | Weblog



 10月12日日曜日、安倍晋三がまたまた被災地を訪問した。それを伝える記事からでは、訪問地を全て書き込むわけではないから、駆け足の訪問であるのは見えてこないが、首相動静を伝える記事からだと、否応もなしに見えてくる。

 次の記事を参考に時間割を見てみるが、分かりやすいように色付け、その他、手を加えている。時間はそのままだが、不審な点があるなら、リンクを付けておいたから、確認して頂きたい。

 《時事ドットコム》時事ドットコム/2014/10/13-00:06)   

 10月12日日曜日

 午前7時54分 東京・富ケ谷の私邸発。

 午前8時12分 JR東京駅着。

 午前8時20分 はやぶさ5号で同駅発。

 午前9時50分 JR仙台駅着。

 午前9時55分 JR仙台駅発。竹下亘復興相同行。 


 午前10時40分 宮城県亘理町の小野望美さん(小6年生)宅着。小野さんや家族と懇談。
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            |27分在宅。
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 午前11時7分 小野望美さん宅発。

 午前11時20分宮城県亘理町立長瀞小学校着。視察、同校生徒と記念撮影。
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            |29分滞在。
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 午前11時49分 町立長瀞小学校発。

 午後12時00分 宮城県山元町農業生産法人「GRA」着。視察、イチゴとトマトを試食。
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            |21分滞在。
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 午後12時21分
 
 午後12時59分 仙台市若林区の場外市場「杜の市場」着。竹下復興相、副知事、仙台市長等と昼食。
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            |50分滞在。
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 午後1時49分 同所発

 午後1時59分 仙台市若林区サンピアスポーツクラブ仙台着。視察、植樹。
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            |25分滞在。
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 午後2時24分 同所発。

 午後2時41分 仙台市宮城野区の南蒲生浄化センター着。視察。

 午後3時9分~3時13分 報道各社のインタビュー。

 安倍晋三 (視察の感想)「暮らしのためのインフラが着実に復旧し、かつての施設よりも未来型の施設に生まれ変わろうとしているのは本当に勇気づけられる」
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            |インタビュー時間を差し引くと、正味29分滞在。
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 午後3時14分 同所発。

 午後3時46分JR仙台駅着。

 はやぶさ24号に揺られて帰宅の途に。今回の視察で首相になって何回目だと、指折り数えていたのかもしれない。

 首相就任後の宮城県訪問は7回目で、福島、岩手両県を含む被災3県では19回目だと、「産経ニュース」が伝えている。

 最も滞在時間が長いのは昼食の50分。

 宮城県亘理町の小学6年生の小野望美さん宅は27分間滞在しているが、野党時代の2011年4月に避難所を訪問した際に知り合って以来、交流を続けていた関係からの訪問だそうで、西村復興副大臣が同席、家族も交えて歓談して話を弾ませなければならない性格の訪問ということになって、そのような訪問であるなら、果たして27分を長い時間と言えるかどうかである。

 少なくとも腰を落ち着けて3年6カ月の変遷を話し合うには少な過ぎる時間と言える。

 もし次の訪問もあるからと、話を打ち切ってそそくさと腰を上げたとすると、最初から駆け足訪問の予定であったことを物語ることになる。

 29分滞在した宮城県亘理町立長瀞小学校は大震災時に校舎の一階部分が2メートルを越える津波で浸水する被害に遭い、現地に新築したということだが、全校児童263名は全員無事と、「Wikipedia」に書いてある。

 263名のうち、何名かは引っ越しなどで小学校に戻らなかったり、卒業・入学の変動で生徒数に増減があるとしても、少なくとも200名以上の生徒を記念撮影のために一箇所に集めるのにそれ相応の時間がかかるだろうから、正味の滞在時間は29分をかなり少なくすることになる。記念写真の撮影以外に何を落ち着いて視察したというのだろうか。

 安倍晋三が小学校到着と同時に記念撮影ができるようにとの図らいを要請されて前以て全生徒を集めておいたとしたら、駆け足訪問であることの正体を露わにしたことになる。

 仙台市宮城野区の南蒲生浄化センターを視察時、「暮らしのためのインフラが着実に復旧し、かつての施設よりも未来型の施設に生まれ変わろうとしているのは本当に勇気づけられる」と言っているが、生徒一人ひとりに校舎新築前〈=震災前)と新築以後〈=震災以後)の授業への身の入れ方に変化があるかといった、“生徒の生まれ変わり”を尋ねることまでする時間はなかったはずだ。

 教育施設を視察するなら、建物や設備といったインフラを確かめるよりも教育内容や教育方法、生徒の教育姿勢等を尋ねてこそ、意味を持つ。教師にしても、震災という大混乱の経験を経て、教育意識に何らかの変化があるはずである。

 そうでなければ、記念撮影を含めて、駆け足ゆえの表面的な視察と言われても仕方がない。

 残る訪問場所は20分から25分程度の短い時間となっている。 往復の新幹線を使ってかかった時間を除いて、宮城県亘理町の小野望美さん宅訪問の午前10時40分から仙台市宮城野区の南蒲生浄化センター視察終了の午後3時14分までの4時間34分間の1日の訪問スケジュールが昼食先を含めて6箇所の多さである。6箇所も欲張ったと見ることさえできる。

 最初から駆け足訪問を目的にしていたということであるはずだ。

 勿論、それが駆け足であったとしても、一国の首相の訪問だからと、元気づけられることに意義を見い出す向きをあるだろうし、訪問を名誉として後々までの記念にするケースもあるだろうが、復旧・復興は安倍晋三の訪問を受けた場所だけの問題ではない。被災地全体の問題である。

 安倍晋三の復旧・復興が進んでいる場所の訪問・視察の類いが、あるいは訪問・視察を受けた側のその意義や記念が復旧・復興が遅れている個所の遅れを挽回するおマジナイになるわけではない。

 であるなら、首相官邸に関係閣僚その他を招いて、被災地全体に於ける個々の産業や地区ごとの被災住民の生活、インフラ等の復旧・復興の進捗程度を時間をかけてじっくりと話を聞き、その程度を数値化して、遅れている個所の数値を最高点に到達させるにはどのくらいの日数がかかるか、短くすることはできないか等々、議論し合って、復旧・復興の加速を促す方がより意義のある、安倍晋三がかねがね標榜している「被災地の心に寄り添う現場主義」となるはずである。

 復旧・復興が進んでいる被災地を駆け足訪問・駆け足視察しても、必ずしも「被災地の心に寄り添う現場主義」とはならないということである。

 このことは被災地訪問の度毎にほぼ何らかの農水産物を試食し、今回も宮城県の山元町農業生産法人「GRA」を視察、イチゴとトマトを試食しているが、今以て風評被害が収まっていないことにも現れている。

 安倍晋三「私も総理就任以来、49か国を訪問し、200回にわたる首脳会談を行いました」

 今年9月13日、拉致被害者家族会等の集会で挨拶した時の発言である。

 日本の安全保障に最も深く関係する韓国や中国との関係改善を果たす重大な任務を遂行もできずにその意思さえあれば可能となる国への訪問回数を誇り、首脳会談回数を誇るところを見ると、被災3県で19回の訪問・視察というのも、単なる記録が目的でしかないように見える。

 だからこそ、駆け足訪問や駆け足視察ができる。

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