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《12月1日(月) 小沢代表 日本記者クラブ主催党首討論会出席》
本日午後、小沢一郎代表が日本記者クラブ主催の党首討論会に出席します。
討論会の模様はNHKにて生中継される予定です。是非ご覧ください!
・日 時:平成26年12月1日(月)13:00~15:00
・中継予定:NHK
・内 容:8党党首による討論。
各党首が今回の総選挙で最も訴えたいことを主張し、質疑応答形式の討論を行います。
☆「日本記者クラブ」サイト(外部サイト)
11月30日のNHK総合テレビ「日曜討論」は衆院選公示に向けた9党・9党首討論を行った。番組冒頭部分で第2次安倍政権発足以降、雇用が100万人増え、名目賃金は上がったが、実質賃金は減っていると統計グラフで紹介している。そしてアベノミクスの是非を各党首に尋ねた。
安倍晋三は勿論、第2次安倍政権発足以降の雇用100万人増を大きな成果として誇る発言をしている。それが事実なのか、見てみる。
島田敏男司会者「自民党安倍さん、各党から厳しい批判の一方で応援の発言もありました。非常に複雑なんですけど、で、各党からの意見を受けて」
安倍晋三「大切なことはですね、実体経済がどうなっているか、ということなんだろうと思います。我々が政権を取ってから、倒産件数は2割削減致しました。そして現在の倒産件数も実は24年振りの低さになっています。
そして100万人に雇用を作りました。確かに非正規の人数も増えたんですが、民主党政権時代は雇用そのものが減っている中にあって、100万人近く非正規の雇用が増えてきました。
そこでようやくですね、正規についても、この7月、8月、9月、10万人増えてきました。そして新規の、おー、おー、えー、求人倍率についてはですね、とうとう1になりました。
これは正規ですよ。これはとうとうですね、今までの、えー、えー、統計を取って、最高の値になっています。賃金上昇についても15年振りの高さになってきたということであります。
そして実質賃金、これが大切なとこなんですが、実質賃金についてはですね、例えば我が家で、私が30万円給料を貰っていてですね、景気が良くなったら、うちの女房がパートで働こうと言って、10万円所得を取ったら、我が家は40万円になったんだけれども、平均が20万円になってしまう。
ですが、大切なのは、総雇用者所得で見なければならない。総雇用者所得に於いて、えー、消費者引き上げ分を除けば、6月から、これは実質もちゃんと増えている」
島田敏男司会者「ただですね、安倍さん。短く答えて頂きたいんですけど、景気回復が実感がね、全国津々浦々にまで広がっていないと、これは世論調査などで明瞭な数字として出てくるんですよ。その点はどうです」
安倍晋三「それはその通りだと思います。アベノミクスは道半ばであって、中小・小規模事業者に於いては6割の企業で、中小・小規模事業者でも賃上げは行っていますが、 4割は行っていないわけです。
そして同時にですね、同時に3%消費税を引き上げましたので、我々は2%賃金を引き上げることに成功しました。物価安定目標の2%を超えたいんですが、なかなか3%には至っていない。
だからこそ、私たちは経済対策で継続もしますし、経済対策で消費を、これからも上げていきたいと思っています」(以上)
安倍晋三は、「100万人に雇用を作りました。確かに非正規の人数も増えたんですが、民主党政権時代は雇用そのものが減っている中にあって、100万人近く非正規の雇用が増えてきました。」と言って、非正規雇用100人増をアベノミクスの成果だと誇示している。
正規だろうと非正規だろうと雇用が増えさえすれば企業が利益を上げていることになり、国の経済規模も大きくなる。特に企業にとって非正規雇用の利益率の方が正規雇用の利益率よりも高いはずで、だから、年々非正規雇用を増やしてきた。
いわば安倍晋三は正規と非正規の賃金格差とその格差によって生じる難婚・晩婚・非婚といった家族構成、あるいは住居等々の生活環境格差に関してはさして問題にしていないから、正規雇用以上の非正規雇用増を誇ることができる。
特に女性の非正社員の過半数が家計赤字で、男性の割合を上回ると、シンクタンク「連合総研」の調査を引用して「asahi.com」が2014年10月29日付けで伝えていた。
安倍晋三が非正規雇用の生活実態に真剣に目を向けていないということは人間らしい生活、特に世界第3位の経済大国という日本の地位に対する逆説でしかない状況に無頓着であることの証明としかならない。
その程度の人間性であるということである。
安倍晋三は集団的自衛権行使容認の閣議決定について、「国民の命を守り、幸せな生活を守っていく大きな責任を果たすため、ことし7月に憲法解釈の一部を変更する閣議決定を行った」と発言しているが、集団的自衛権行使では「国民の命を守り、幸せな生活を守る」が、非正規雇用に関してはそれが守ることにはなっていない状況は、「守る」という言葉自体を疑わなければ、両者の整合性を取ることができない。
また求人倍率が1になったことについて、「これは正規ですよ」と言っているが、求人倍率の統計は正規・非正規の区別はない。パート、アルバイト、派遣、正規、すべてを引っくるめた倍率である。これは単なる言い間違いではなく、アベノミクスの正当性を訴えたい一方となっている気持が、その正当性の根拠の一つとして正規雇用の増加に目を向けさせていることからの発言であろう。
もし終始、統計に正直であろうという気持ちがあったなら、頭の中に整理されていることになって、間違えることはないはずである。
「我々が政権を取ってから、倒産件数は2割削減致しました。そして現在の倒産件数も実は24年振りの低さになっています」と言っていることについては何日か前のブログに書いたが、倒産件数の2倍以上も休廃業・解散件数が年々増えていることについては触れていない。
休廃業・解散件数の中には無計画に創業して、たちどころに行き詰まって休廃業・解散に追い込まれた企業も数多く含まれているだろうが、2倍以上という件数は倒産に至る前に休廃業・解散を選択せざるを得なくなったといった企業がより多く存在すると解釈すべきで、言ってみれば、準倒産状態と見做すこともできる。
要するに安倍晋三は都合のいい統計だけを用いている。都合の悪い統計は横に置いて、都合のいい統計のみを用いることは巧妙・狡猾なレトリック以外の何ものでもない。
では、「正規についても、この7月、8月、9月、10万人増えてきました」と言っていることを考えてみる。
《労働力調査(詳細集計) 平成26年(2014年)7~9月期平均(速報)結果》(総務省統計局/2014年11月11日公表)を見てみる。
〈【雇用形態別雇用者】
・役員を除く雇用者5257万人のうち,正規の職員・従業員は,前年同期に比べ10万人増加し,3305万人。非正規の職員・従業員は44万人増加し,1952万人〉と確かになっている。
正規だけ統計通りの正確な数字を上げ、非正規に関しては統計通りに正確な数字は言わず、隠す。これも巧妙・狡猾なレトリックに入る。
求人倍率1にしても、正規雇用の前年同期比10万人増にしても、全般的な企業業績の回復を受けた正規雇用増と言うよりも、人手不足による人材囲い込みからの正規化の傾向が強いと聞く。
特に人手不足に悩まされている外食産業や小売業、アパレル、流通業等々が「正社員化」という名の非正規から正規への人材囲い込みが進んでいるという。
全般的な企業業績の回復を受けた正規雇用の10万人増ではないことは7~9月GDP実質前3カ月間比マイナス0.4%、年率換算マイナス1.6%と個人消費の長期的な低迷が何よりも証明している。
つまり、アベノミクスの成果として誇ることのできる統計ではないということでありながら、狡猾・巧妙なレトリックを用いて成果としているに過ぎない。
また、人手不足・人材不足は人口減少を受けた生産年齢人口減少の反映でもある。日本の生産年齢人口は1990年代をピークに減少しているという。民主党政権も同罪だが、このことに安倍政権は何ら対策を打ってこなかった。
こういったことにこそ視線を向けるべきだが、視線を向けることなくアベノミクスの成果とする矛盾にすら気づいていない。
安倍晋三は実質賃金が減少していることにもレトリックを用いて統計上の現象だとするゴマカシを働いている。
「そして実質賃金、これが大切なとこなんですが、実質賃金についてはですね、例えば我が家で、私が30万円給料を貰っていてですね、景気が良くなったら、うちの女房がパートで働こうと言って、10万円所得を取ったら、我が家は40万円になったんだけれども、平均が20万円になってしまう。
ですが、大切なのは、総雇用者所得で見なければならない。総雇用者所得に於いて、えー、消費者引き上げ分を除けば、6月から、これは実質もちゃんと増えている」云々。
前段で、実質賃金は増えているのだと思わせようとしている。ではなぜ、個人消費は伸びないのか、その説明はない。
平成24年1月1日から12月31日までの1年間の所得を調査した、《平成25年 国民生活基礎調査の概況》(厚労省)によると、〈所得金額階級別に世帯数の相対度数分布をみると、「200~300万円未満」が13.3%、「100~200万円未満」及び「300~400 万円未満」が13.2%と多くなっている。
中央値(所得を低いものから高いものへと順に並べて2等分する境界値)は432 万円であり、平均所得金額(537万2千円)以下の割合は60.8%となっている。〉としている。
但し中央値の432万円は50%近く、それ以下の世帯は全世帯の約半数近くを占める。「近く」と言うのは、棒グラフ上の平均所得金額537万2千円の位置が500万円~600万円所得の分布帯の左半分以下に位置していて、正確な金額が記してないために目分量で読み取ったからである。
年間所得432万円は月割にすると、36万円である。最低の生活者世帯は年間100万円以下となっていて、6.2%を占める。安倍晋三は夫婦揃って40万稼いでも平均すると20万円になってしまうと言っているが、世帯単位で安倍晋三が言う40万円以下の36万円の世帯が全世帯の約半数を占めるのである。
安倍晋三は平均所得金額以下の世帯が60.8%を占め、さらに月40万円以下の世帯が全世帯の半数近くを占めているといった国民生活の実態に無頓着だからこそ、実質賃金は増えているのだと思わせようとしてレトリックを駆使することができたに過ぎない。
この無頓着は非正規の生活実態に無頓着であることに対応する。
もう一つ、実質賃金が増えていると思わせるために、「大切なのは、総雇用者所得で見なければならない。総雇用者所得に於いて、えー、消費者引き上げ分を除けば、6月から、これは実質もちゃんと増えている」と言って、ゴマ化している。
安倍晋三が用いている「総雇用者所得」は雇用者所得のことらしい。統計上、「総雇用者所得」という名目は存在しないという。勿論、総額という意味で使っているのだろうから、間違いではない。
しかし消費税増税は政権を獲得する前からスケジュールに入っていたことであって、政権獲得後はそのことに備えて経済対策を打っている。
先ず12年度補正予算、10.3兆円の経済対策を組み、2.4兆円の公共事業を組み込んでいる。
そして2013年度予算。一般会計総額は約92兆6千億円で、約5兆2千億円の公共事業費を計上している。さらに13年度補正予算で5.5兆円の経済対策を盛りみ、そのうち1.0兆円を公共事業に回している。
さらにさらに2014年度予算は一般会計総額95兆8823億円。公共事業費は約6兆円。そして当初予定していた来年10月の消費税率10%引き上げに備えた経済対策として2014年度補正予算を年内に編成する検討を始めたものの、解散で立ち消えとなった。
要するに消費税8%増税前は増税をスケジュールに書き込んだ、それ相応のカネをかけた経済対策を打ち、増税後は駆け込み需要の反動をスケジュールに書き込んだ、それ相応のカネをかけた経済対策を打ってきたのである。更に10%増税に備えた経済対策を用意したが、増税を1年半先送りした。
アベノミクスの不足分について「だからこそ、私たちは経済対策で継続もしますし、経済対策で消費を、これからも上げていきたいと思っています」と体裁のいいことを言っているが、公共事業を含めたその経済対策が何ら効果がなかったということである。にも関わらず、そのことを棚に上げて消費税増税が実質賃金を下げる原因となったとしている。
これほど薄汚い狡猾・巧妙なレトリックはない。
非正規等の低所得層に向ける目と言い、統計のゴマカシと言い、自分に都合がいいだけの解釈を行って、アベノミクスの成功を言い立てようとしている。胡散臭いばかりの人間性としか言いようがない。
生活の党 2014年総選挙公認候補予定者