日本国民のかつてない右傾化が安倍晋三の右翼国家主義を助け、2014年衆院選自民圧勝に導いた

2014-12-15 07:22:43 | Weblog

 2014年12月衆院選挙は自公与党が憲法改正発議可能な3分の2の317議席を上回る前回2年前の325議席プラス1の326議席を獲得する圧勝で終わった。

 この圧勝は日本国民のかつてない右傾化が安倍晋三の右翼国家主義の助けとなったからだろう。

 日本の韓流ブームは2003年4月からのNHKBS2の韓国ドラマ『冬のソナタ』がヒットしたことによって始まったとされる。それは大きなブームにまで達した。

 ブームはいつかは終焉する。終焉するまでの間、日韓国民は精神的に蜜月の関係にあった。韓流ブーム開始後、波はあったものの、9年後の2012年8月10日、当時の李明博韓国大統領が竹島に上陸したことで下火にもなっていた韓流ブームに先ず第一撃を与えた。

 そして李明博大統領の日本の天皇批判発言が韓流ブームにトドメを刺した。精神的な蜜月感情が一気に嫌韓感情へと裏返った。

 李明博韓国大統領は8月10日の自身の竹島上陸から5日後の日本の植民地支配から独立した記念日8月15日の前日8月14日、忠清北道(チュンチョンブクト)の大学で公演した。

 李明博韓国大統領「(天皇も)韓国を訪問したいならば、独立運動をして亡くなられた方々のもとを訪ね、心から謝罪すればいい。何か月も悩んで『痛惜の念』などという言葉一つを見つけて来るくらいなら、来る必要はない」(YOMIURI ONLINE

 これが大方の日本国民の精神に根づいている日本民族優越意識を痛く刺激した。なぜなら、日本人の日本民族優越意識を根拠づけている精神の核は日本の天皇制であり、天皇の存在だからだ。

 いわば天皇は日本国民統合の象徴であるよりも、日本民族優越性の象徴として日本人の精神に生きづき続けている。それが李明博韓国大統領の天皇批判発言によって火がついた。

 嫌韓感情は日本民族優越意識によって日本国民を上に置いて、韓国人を下に見る人種差別の構造を内容とするようになった。

 そして李明博韓国大統領の2012年8月14日の天皇批判から4カ月後の2012年12月26日の天皇を信奉する日本民族優越主義者であり右翼の国家主義者である安倍晋三の登場以来、嫌韓感情は益々過激且つ攻撃的な姿を取るようになった。

 そのキッカケは安倍晋三の歴史認識発言と靖国神社への真榊奉納や参拝そのものに対する韓国と中国の反発に対する日本民族優越意識に基づいた、結果的に安倍晋三の歴史認識と歴史認識に基づいた靖国神社参拝を擁護することになる日本側からのより激しい反発である。

 在特会の在日韓国・朝鮮人に対するヘイトスピーチ(差別的憎悪表現)が嫌韓感情を直接行動で代弁し、日本国民の優越民族意識を示威する役目を担っている。在特会に関係する自民党政治家が結果的に嫌韓感情や嫌中感情に基づいた日本民族優越意識を補強することになっている。

 尤も彼ら自体が日本民族優越意識に染まっているのだから、当然の在特会支援と言わなければならない。

 だからなのだろう、安倍内閣は今年2014年8月に国連人種差別撤廃委員会(ジュネーブ)から人種や国籍で差別を煽るヘイトスピーチを法律で規制するよう勧告を求められていながら、現行法の適用での処理に重点を置いて、新しい法規制に不熱心となっている。

 ヘイトスピーチや日本国民の日本民族優越意識に則った嫌韓感情からの韓国人に対する嘲笑・侮蔑はかつての朝鮮人差別の再来である。

 日本人の嫌中感情は沖縄の尖閣諸島に対する中国の領有権主張と中国公船による領海侵犯と安倍歴史認識等に対する中国側からの批判に対する日本国民の日本民族優越意識からの反発によって醸成された。

 安倍晋三の中国批判一辺倒の姿勢が対中外交の無策を隠したものだと気づかずに結果的に巧まずして多くの日本国民の嫌中感情を煽る役目を果たしていた面があるはずである。安倍晋三自身、日本を上に置きたい日本民族優越意識が災いして、バランスの取れた外交を演ずることができなかった。

 いわば安倍晋三の日本民族優越意識が日本国民の現在の嫌中・嫌韓感情を太い幹にまで育み、日本国民の右傾化を側面援助したと言うことができる。そして日本国民のその右傾化が巡り巡って今回の2014年12月総選挙の安倍自民党圧勝の助けとなった。

 天皇制及び天皇の存在を根拠とした日本民族優越意識は日本人が侵されている島国根性を土壌として育んだ狭隘且つ独善的なメンタリティに過ぎない。個々の人間が個の存在として自律し得たとき、国籍や民族で人間の優劣を価値づける価値観はあまりにも閉鎖的であり過ぎ、島国根性の独善性・閉鎖性に依拠せずに育まれることはないだろうからである。

 そのような独善性・閉鎖性から離れて、何人でもない、どの民族でもない、国籍や民族から自律した個々の存在として相互に対峙することができるようになったとき、国籍や民族で人間の優劣を価値づける差別観から免れることができる。

 在特会の人間や嫌中・嫌韓感情から中国や韓国及び双方の国民に対して差別意識をぶっつける日本人は個として自律していない人間だと言うことである。

 安倍晋三の右傾思想と日本国民の右傾化が化学反応し合って、日本は益々危険な国としての姿を露わにするに違いない。

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