安倍晋三が望む日本の軍事的プレゼンスの世界的関与は非常に危険な要素を孕んでいる

2015-02-14 09:16:38 | Weblog


 ――グレーゾーン事態はブラックゾーン事態への変身を限りなく抱え込んだ安保法制である――

 安全保障法制整備の与党協議〈座長高村自民党副総裁)を控えて自民党メンバーが会談、グレーゾーン事態の際の防護対象にアメリカ軍に加えて防衛協力を進めているオーストラリア軍も加える必要性で認識を一致させたと「NHK NEWS WEB」が2月12日付で伝えていた。

 この必要の認識は自民党の総裁は安倍晋三だから、安倍晋三の必要性の認識と見なければならない。

 まあ、手を広げるということである。手を広げていって、自衛隊の日常的活動とする狙いがあるのかもしれない。

 こうして日本の軍事的影響力を世界に広めていき、日本のプレゼンスを高めていく。安倍晋三の最終目的はここにあるようだ。軍事的にも「世界の真ん中で輝く」日本にしようという魂胆なのだろう。

 この認識で2月13日からの与党協議に臨んで、反対意向の強い公明党を説得しようということらしい。

 但し公明党は最初は反対の姿勢を示すが、最後には議会勢力を反映した自民党案有利な妥協に持っていくことを常套手段としている。

 どうも「グレーゾーン事態」の意味が理解し難い。「Hatena Keyword」によると、「グレーゾーン事態」とは〈安全保障分野において、武力行使はされてはいないものの、国の主権が脅かされかねないと判断される事態を指す語。戦時でも平時でもない緊急時を指す。2014年、現行法に則っていては十分な対応が取れないとし、グレーゾーン事態を想定した制度再編の検討を本格的に開始。
 グレーゾーン事態に該当する具体的なケースとして、「武装している可能性のある集団が離島を不法占拠した」場合が挙げられている。〉とある。

 〈武力行使はされてはいないものの、国の主権が脅かされかねないと判断される事態を指す〉。その具体的ケースとして「武装している可能性のある集団が離島を不法占拠した」場合だとしている。

 確かに主権侵害の例とすることはできる。だが、離島不法占拠武装集団の排除には海上保安庁では手に余るから言って武装した自衛隊部隊を派遣した場合、武力行使抜きで排除できるというのだろうか。

 多人数の自衛隊に包囲されてたちまち戦意喪失して投降してくれればいいが、常に無条件で投降するとは限らない。逆に不法占拠ではなく正当な占拠だと、その正当性を衝撃性を持たせて世界に広く知らしめ、記憶させるために玉砕を覚悟で危険な反撃を試みる危険性も考えなければならない。

 そうなれば、自衛隊側からも少なくない犠牲者が出ることも想定しなければならない。

 いわば「武力行使はされてはいない」という状況の継続性はたちまち失い、双方共に“武力行使する”状況へと転換することになる。

 このような転換の確率が例え低かったとしても、その可能性が排除できない以上、安全保障上の危機管理から言って、「グレーゾーン事態」という想定そのものが妥当性を失うことになる。

 他国艦船防護について言うと、防護は攻撃の危険性がある場合にのみ防護を必要とするはずである。いわば防護は攻撃の危険性を前提とする。

 閣僚はSPの防護対象となり得るが、一般議員がなり得ないのは特別な例を除いて攻撃の危険性を低いか、ゼロと見ているからであって、このことと同じである。

 だが、他国艦船防護を武力行使はされてはいないものの、国の主権が脅かされかねないと判断される「グレーゾーン事態」の事項に入れようと目論んでいる。

 ここにある矛盾をどう解消しようとしているのだろうか。矛盾があることさえ、認めていないのだろうか。

 両国艦船が日本の領海内を航行中、攻撃を受けた場合、日本の領海と他国艦船に対して守らなければならない安全な航行に他国の不法な干渉を受けたことになって日本の主権侵害に当たるが、武力行使を受けたのだから、「武力行使はされてはいない」状況には当たらない。もしこの艦船の防護に自衛隊が当たるとしたら、紛れもなく集団的自衛権の行使となる。

 但し集団的自衛権の行使要件の重要な一つとした国家存立と国民生存存立の権利が根底から覆される明白な危険に迫られた事態に当たるとは言えない。

 矛盾は更に広がる。

 大体が軍隊は衝突(軍隊とデモ隊が衝突して、デモ隊が武器を使用していないにも関わらず、軍隊が武器を使用するというケースもあるが〉に始まって紛争や戦争という形で双方共に“武力行使する”状況に備えて存在する。 

 この存在理由からして、最初は武器使用はなくても最終的には武器使用に至る確率の高い「グレーゾーン事態」の想定は軍隊が存在した当初から一つのケースとして軍事活動の中に含まれているはずもので、わざわざ持ち出すまでもない。

 武装集団が離島を不法占拠した場合は、不法占拠自体が主権侵害に当たるのだから、「グレーゾーン事態」を持ち出さずに自衛隊が個別的自衛権に基づいて出動し、例え武力行使はされようがされまいが武装集団自体を排除して主権回復に務めなければならない。

 だが、わざわざ「グレーゾーン事態」を想定して、そこに自衛隊活動を様々にはめ込もうとしている。最初は離島防衛を想定していながら、それを手始めに自衛隊活動を他国軍隊と関り合いを持たせようと意図している。

 日本の軍事的プレゼンスの広範囲化が行われることになる。

 繰返しになるが、自衛隊活動の広範囲化と他国艦船防護を手始めとした日本の軍事的プレゼンスの世界的関与の印象しか浮かんでこない。

 だからこそ、自衛隊の活動範囲を地理的条件を外して、地球の裏側までを望んでいる。自衛隊と共に日の丸の旗を世界中になびかせようということなのだろう。

 その反動としてのテロの攻撃も想定しなければならない。テロ攻撃の危険率が高まるということであり、そのことを覚悟しなければならない。

 どう転んだとしても、グレーゾーン事態はブラックゾーン事態への変身を限りなく抱えることになる安保法制と言うことになる。

 果たしてそこまですることが必要なのだろうか。国家主義者・軍国主義者ならではの発想を見る思いがする。

 非常に危険な要素を孕んだ安倍晋三が考えている日本の軍事的プレゼンスの世界的関与に見える。

 安倍晋三の「戦後70年の間に日本は自由で、そして民主的で、人権を守り、法の支配を尊重する国を創り、平和国家としての歩みを進めてきた」とする言葉をウソにする。

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