安倍晋三と岸田が言っている中東訪問時2邦人拘束グループが「イスラム国」の確定情報なしは犯罪的なウソ

2015-02-07 10:41:28 | 政治
 


 これは情況証拠からの糾弾である。情況証拠であっても、それを積み重ねれば、裁判は犯罪確定の判決要件としている。

 鈴木貴子民主党衆議院議員が提出した質問主意書に対する政府答弁書で、安倍晋三が中東訪問に出発した先月16日の時点で湯川さんと後藤さんの2人がイスラム過激派組織「イスラム国」に拘束されていた可能性は否定できないものの、「確定的な情報には接していなかった」とし、「安倍晋三の中東訪問はこうした状況も踏まえたうえで行った」と、そう答えたと、昨日2月6日 13時18分発信の「NHK NEWS WEB」記事が伝えていた。

 薄汚い真っ赤なウソである。

 岸田外相の2月2日衆院予算委での細野豪志民主党議員に対する答弁。

 岸田外相「先ず、あのー、湯川さんに対しましてはえー、昨年の8月16日、何者かに拘束をされた疑いがあるという情報がもたらされました。そしてそのとき、その直後、併せて映像が公開されたということもありました。

 この時点で、えー、何者かに拘束されたという、この情報を得ています。えー、そして、えー、その直後に外務省として対策室及び現地対策本部を立ち上げました。

 そして後藤さんですが、11月1日(ついたち)に後藤さんが行方不明になったという情報を得ています。ただこの段階では、何者によって拘束されたのか、これについては、あのーえー、十分に情報を得ておりませんでした。

 えー、そしてその後、今年に入りまして1月20日(はつか)湯川さん及び後藤さんの映像が公開されるということになりまして、その時点でISIL(アイシル)関係者の犯行による可能性が高いということを把握しました」

 犯行グループが「イスラム国」の可能性が高いことを知ったのは安倍晋三の1月16日(2015年)の中東訪問の4日後の1月20日だと言っている。

 こうした方が都合がよいからに過ぎない。

 岸田はこの日の答弁で、湯川さんの場合は昨年2014年8月16日に拘束情報を得て、後藤さんの場合は11月1日だとしていたが、多くのマスコミ記事が11月に「イスラム国」から後藤さんの妻に身代金要求のメールが届いたと報道しているにも関わらず、この点について明確な答弁は避けた。

 細野豪志「(後藤さん拘束後)身代金の要求があったのは事実なのか」

 岸田「奥さんとは緊密に連絡を取ってきた。できる限り(奥さんの)気持に添って対応してきた。そういう遣り取りは1月20日映像が公開されて広く事実が公になるまでは後藤さんの安全の問題もあるので、非公開とした。その間の具体的な遣り取りについては(公表を)控えさせて貰いたい」
 
 細野豪志「この事案の検証を考えるとき、事前に身代金を要求されていたかどうかは重要なポイントだから、政府には説明責任がある」

 岸田「メールで犯人側から何らかの要求があったかは後藤さんの奥様に対する様々なメッセージがあったわけだから、政府としては明らかにするのは控えさせて頂きたい」

 犯行グループが身代金の要求以外に何を伝えると言うのだろうか。時候の挨拶か。元気でやっていることを伝えろと言われて、そのとおりにメールを打ったということか。

 もしそれが単に拘束されていることを伝える後藤さん自身のメールなら、拘束グループの名前は記したはずだし、身代金の要求なら、中東にはテロ集団があまたあるのだから、尚更に犯行グループの名前を記さなければならないだろう。

 政府は11月1日に後藤さんの拘束情報を得た。マスコミが後藤さんの妻に身代金要求のメールが届いたと報道していることからすると、政府は後藤さんの妻への身代金要求のメールによって知ったとするのが常識的判断であろう。

 このように情況証拠が揃っているにも関わらず、メールが身代金要求であったかどうかを隠す。これも明らかにしたら都合が悪いからだろうが、このことは後で述べる。

 別の情況証拠を提示してみる。

 アメリカではこれまでに「イスラム国」に拘束されたアメリカ人の男性3人が殺害され、現在人道支援活動家の当時26歳のアメリカ人の女性が一昨年8月に拘束されたまま安否不明だという。「イスラム国」は彼女の解放と引き換えに660万ドル(日本円で約7億7500万円)の身代金とアメリカで服役しているパキスタン人の女、アーフィア・シディキ受刑者の釈放を要求していると、2月4日発信の「NHK NEWS WEB」が伝えていた。

 但し身代金要求が母親やその他の近親者に対するメールによって行われたのか、あるいは動画配信によって行われたのか、そこまでは伝えていない。

 ところが、昨日2月6日だったと思うが、NHKテレビの「おはよう日本」が殺害された米国男性3人のうちの1人の母親が「イスラム国」からメールで身代金要求を受け、政府に相談したところ、米政府は身代金要求に応じない姿勢であることを伝え、身代金を払わないよう警告したといった趣旨のニュースを母親のインタビューを交えて伝えていた。

 そこで記事になるのを待っていたが、今以て記事にはなっていない。安倍晋三の周辺が記事にするのを抑えたのではないかと疑った。何しろNHK会長は安倍晋三のお友達の籾井勝人である。アメリカの母親がメールで身代金要求を受け取った事実から後藤さんの妻のメールの事実を推定されたら、後藤さんの妻がメールを受け取った時点で犯行グループが「イスラム国」であることを把握していたという疑いとなって一人歩きした場合、政府が公表している事実に反することになって都合が悪いからだ。

 勿論、このことは情況証拠にはならない。単なる疑惑である。ゲスの勘繰りと言われるかもしれない。だが、推定は可能である。

 より詳しい事実を知るべくネット上を探してみた。

 《 「イスラム国」が息子殺害…母が米政府批判》日テレNEWS24/2015年2月5日 15:34)   

 記事は冒頭、〈後藤健二さんらジャーナリストがイスラム過激派組織「イスラム国」に相次いで殺害されたことを受け、アメリカ・ワシントンで4日、政府の対応のあり方を考えるシンポジウムが行われた。息子を殺害された母親も参加し、政府の対応を批判した。〉と紹介している。

 去年8月に「イスラム国」に殺害されたアメリカ人ジャーナリストのジェームズ・フォーリーさんの母親も参加した。

 記事の母親の発言個所を記事通りに拾ってみる。

 〈フォーリーさんの母親は「政府が情報を共有してくれず、私たちには何も知らされなかった」
 母親は、「イスラム国」から身代金を要求するメールが届いた際、政府が動いてくれなかったことなどを明らかにした。母親はまた、「アメリカには国民を失った日本やイギリスと連携し、お互いから学んで欲しい」と強調した。〉

 これを会話体に直すと、次のようになるはずだ。

 母親「『イスラム国』から身代金を要求するメールが届いた際、政府は動いてくれなかった。以後も政府は情報を共有してくれず、私たちには何も知らされなかった。

 アメリカには国民を失った日本やイギリスと連携し、お互いから学んで欲しい」・・・・・

 NHKの「おはよう日本」が母親に身代金を払わないよう警告したと伝えていたことは、《[岩田太郎]【米国式自己責任論に陥るな】~イスラム国人質事件・ 迷惑はお互い様の精神を~》Japan In-depth/2015/1/27)によると、 〈米国家安全保障会議(NSC)の高官が、「もしフォーリー氏の100万ドルの身代金を支払えば、テロリストに資金提供をしたテロ幇助の罪に問う」と3回も脅迫した〉となっている。
 
 「日テレNEWS24」の記事も母親に「イスラム国」から身代金要求のメールがいつ届いたのかは書いてない。だが、少なくとも「イスラム国」が男性を殺害する以前でなければならない。

 フォーリー氏が行方不明となったのは2012年11月。「イスラム国」が殺害の動画を公開したのが2014年8月19日。米国防省は翌日の8月20日、「イスラム国」によってシリアで拘束されていた複数のアメリカ人の救出作戦を行い、失敗していたことを明らかにしている。

 救出対象者にこの男性が含まれていたかどかは明らかにしていなかったそうだが、救出が行われたこと、身代金支払いが成功していなかったことなどを考えると、殺害はこの二つの事実を受けた残酷な報復と見るしかない。

 日本政府は昨年の8月16日の湯川さん拘束状況を受けた早い時点でヨルダンに現地歳作本部を立ち上げているのだから、ヨルダンやトルコ、その他の中東諸国から情報を得るべく情報収集の動きに出ていたはずだ。そしてアメリカに対しては遅くても後藤さん拘束情報を得た11月1日以降の早い段階でアメリカ側が握っている情報を得るべく、連絡を取り合ったはずだ。

 日本政府はこのことを決して否定することはできない。もしアメリカ側が握っている情報を収集する努力を怠っていたなら、日本政府の情報収集のあり方が根本から問われることになる。

 いわばメールを手段とした身代金要求の存在を知ることができ、メールを送った犯行ブループが「イスラム国」だと把握しすることができた。当然、この事実と後藤さんの妻へのメールを照合しなければならない。

 もし妻のメールに身代金要求がなかったとしたら、アメリカの事実は照合対象とはならない。

 だが、なければ、なかったと正直に明きらかにしても、嘘をついたわけでも何でもなから、何の不都合も生じないし、その場限りで身代金要求があったかどうかの問題は片付く。だが、あったにも関わらず、なかったと言うと嘘になって、後で露見した場合不都合が生じる。どちらとも明かさなければ、後で露見したとしても、プライバシーの関係で差し障りがあったからだと理由をデッチ上げて言い逃れすることができる。

 但しなぜこのような曖昧な態度を選択してまで身代金問題に関わる疑惑の尾を長引かせるようなことまでするのかという疑問が残る。推定するにメールで身代金の要求があったと明かしたら、不都合が生じるからとする以外に答を見つけることはできない。

 要求があれば、要求が誰か、明記していることになって、自ずと犯行グループが明らかになる。

 どのような不都合かと言うと、安倍晋三が中東訪問に出発した先月16日以前の早い時期に犯行グループを「イスラム国」と特定していたという事実が明らかになることであり、なお且つ身代金要求があったことを知っていたという事実にしても明らかになることである。そのような事実を把握していながら、1月17日にエジプトで「イスラム国」に対して宣戦布告となる挑発的な文言を含んスピーチをしたという事実こそが最悪の不都合事実の仲間入りをすることになる。

 以上、情況証拠を積み重ねてみた。 

 大体が「イスラム国」に拘束されていた可能性は否定できないものの、「確定的な情報には接していなかった」としていること自体、真っ赤なウソになる。可能性の程度によって情報の確度(確実さの程度)が決まってくる。確度が高ければ、危機管理上、「イスラム国」を犯行グループと想定した対応策を講じなければならない。

 確度は低かった見ていたとすると、やはり政府の情報収集のあり方に関わってくる。マスコミが後藤さんの妻へのメールを「イスラム国」からだとしているのに政府はそのことを把握していなかったことになる。

 例え確度を低く見ていたとしても、後藤さんがシリア入りしたことと(外務省は3回シリア入りを止めている)「イスラム国」がシリア北部を中心的な支配地域としていて、最悪・最強のテロ集団であることを前提とすると、尚更に「イスラム国」の場合を想定した行動を採らなければならなかったはずだ。

 それを可能性は否定できないものの、「確定的な情報には接していなかった」として、安倍晋三は自らの中東スピーチを正当化し、政府の2邦人解放努力を正当化している。

 この薄汚い矛盾の数々こそが何よりの政府対応の真っ赤なウソを証明して余りあるし、これらのウソは犯罪的ですらある。

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