エセ教育家下村博文の政治資金規正法違反疑惑に見る素朴な疑問

2015-02-27 08:12:09 | 政治


 2月26日発売の「週刊文春」(3月5日号)が下村の活動を支援すると規約にある「博友会」なる団体から政治団体として届け出をしていないままに下村の政党支部へのカネの流れがあるとする違法献金疑惑を報じているという。

 勿論、政治資金規正法は「特定の公職の候補者を推薦し、支持し、又はこれに反対することを本来の目的とする団体」は政治団体に当り、都道府県の選挙管理委員会又は総務大臣に届け出の義務が生じる上に毎年、政治資金収支報告書を提出しなければならないと規定している。

 断るまでもなく、カネの流れを明確にするためにである。裏を返すと、規定してもカネの流れをゴマカス政治家は多々存在するのだから、野放しにしたら、政治家は天井知らずの金額で如何ようにもカネの流れをゴマカスからに他ならない。

 もし隠したカネの流れがあったとしたら、勿論のこと政治資金規正法違反となる。

 下村博文は2月26日の衆院予算委で疑惑を追及され、その疑惑が事実無根だからなのか、事実有根だが、認めるわけにはいかないとき持ち出さざるを得ないパターンとしてなのか、疑惑を否定している。

 但し後者の場合が多いと相場は決まっている。
 
 《下村文科相「私の政治活動とは無関係だ」》NHK NEWS WEB/2015年2月26日 12時24分)   

 柚木民主党国会対策副委員長「(博友会は)人を集めて会費制のパーティーをやっており、規約にも下村大臣の活動を支援するとある。政治団体として、本来、届け出るべきではないか」

 下村博文「東京都選挙管理委員会に届け出ている『博友会』以外に全国に地域の名前がついた『博友会』は6つあるが、塾の経営者など民間教育者らの有志の方で構成する懇親のための任意団体だ。私の事務所は一切、タッチしておらず、私も財政面も含め、これら団体に係る具体的な運営に関する事柄は一切、知らない。

 地方の『博友会』の方からは、『年に1回ぐらいは顔を見せて話をしろ』と言われており、懇親会は政治的目的を持った会合ではなく、ましてや政治資金を集めるような集まりではない。地方の『博友会』から寄付を受けたり、パーティー券を購入して貰うことはない。地方の博友会は私の選挙区外にあり、私の政治活動とは無関係の任意団体だ。

 その中の一部の有志が個人的に政党支部に寄付をしていただいたり、東京での政治資金パーティーにお越しいただいている。個人からいただいた寄付やパーティー券の購入は法令に従って適正に収支報告している。地方の『博友会』の方々にも自分が代表を務める政党支部から寄付のお願いを毎年、出しており、さまざまな個人や企業、団体から政党支部に浄財をもらっており、地方の『博友会』に所属されている方もいる」

 柚木民主党国会対策副委員長「会費制の講演会に出席して謝礼や車代は受け取っているのか」

 下村博文「講演料とか、いわゆるお車代というのは一切、貰っていない」

 博友会幹部(NHKの取材に対して)「数年前から全国各地で団体ができたが、活動は年に1回の下村大臣の講演会程度なので、あくまで下村大臣を支援する勝手連的なものに過ぎず、政治団体ではない。また、下村大臣から献金を集めるよう求められることもないし、そのための団体でもない」

 菅義偉(2月26日午前の記者会見)「具体的な事実関係については承知していないが、今朝、下村文部科学大臣から報道されている内容について、『違法なものは一切なく、国会の場でしっかりと説明を果たしていきたい』と報告があった。予算委員会での審議で説明されており、説明責任は十分、果たされたと思うし、違法性について全く問題ないと考えている」

 記者「政権運営に与える影響については」

 菅義偉「そこは全くない。違法性はなく、しっかりと説明責任を果たしたと思う」――

 菅義偉は疑惑の追及が始まったばかりなのに下村博文一人の言い分だけを聞いて、「違法性はない」と無罪判決を言い渡す。独裁国家の裁判みたいだ。

 もう一つ、《下村文科相「違法性なく今後も説明尽す」》NHK NEWS WEB/2015年2月26日 12時35分)見てみる。      

 下村博文「事実確認をしっかりとしないまま違法献金だと報じており、単なる誹謗中傷で強い憤りを感じる。

 きょうの衆議院予算委員会で質問され、説明できる機会だったので非常によかったと思う。何ら法的に問題がないことなので、これからもそういう話があれば、詳しく説明したい。直接、政治資金を出してもらったり、パーティー券を買ってもらったりはない。講演料とかいわゆる車代は一切貰っていない。

 任意団体ということで、私も秘書も内容には一切タッチしていない。独自にやっている。ちょっと誤解があったのは、『博友会』という名前を使ったことだ。東京の『博友会』は、政治資金規正法に則って届け出ている団体で、同じ名前だと誤解が生じるということは反省点としてある。政治団体として届け出た方がいいのではないかという議論が、任意団体の中でされているということなので、そういうことであれば、是非そうして貰った方がいいかもしれない

 (任意団体への年会費が、下村大臣が代表を務める自民党の支部への寄付として処理されていたという報道について)領収書の但し書きに、年会費と書かれた領収書があるということだが、事務所に確認したところ、過去にそのような但し書きをした領収書があったことは事実だということが分かった。相手のご要望で、但し書きには年会費と書いてくれというようなことがあって書いたという記憶があるというのが事務方から上がってきているが、やはり適切ではないので、そのような但し書きは現在ではしていない」――

 下村は「単なる誹謗中傷だ」と憤りを見せている。この憤りがホンモノであることを願う。「誹謗中傷」と言ったことの正当性が最後の最後まで維持されることを願う。

 この記事で分かったことは博文会が年会費制で、それを資金に団体を成り立たせているということである。もし年会費制ではなく、領収書の但し書きに年会費と書いてくれと頼まれてその通りにしたとしたら、頼んだ側は何らかのゴマカシを働いたことになり、頼まれた方はそのゴマカシに加担したことになるばかりか、年会費制を前提にしていたとしても、領収費目が年会費ではないにも関わらず年会費としたこと自体も、何らかのゴマカシがそこに介在していたことになる。

 年会費制かそうではないかは下村博文側も把握しているはずだ。

 最初の記事で柚木国対副委員長は講演会は会費制だと言っている。金額いくらの会費なのだろう。調べたところ、近畿博友会が開催した2013年春の大阪の講演会は1人2万円の会費で、約200人が集まったと報じている記事がある。

 2万円程度が閣僚級の講演会や政治資金パーティの一般的な会費相場ではないだろうか。

 会費を取って行う政治資金パーティは政治団体主催が、これも相場となっている。経費を差し引いてその利益を政治家の活動資金とする必要上、政治団体の主催でなければ旨味はない。

 但し会費制の講演会の場合、政治団体主催とは限らない。講演料とお車代程度の収入しか頂くことができない場合もあるだろう。


 講演会は下村博文の政治団体主催ではなく、各地の博文会が主催だとしている。


 下村博文はその講演会から「講演料とか、いわゆるお車代というのは一切、貰っていない」。下村博文の政治団体への資金の流れもない。

 だとしたら、多額の支出は主として会場費のみとなる。ホテルで行ったとしても、東京グランドホテルの場合は237平方メートル、使用時間2時間、使用目的「セミナー」、収容人員200人で10%のサービス料、8%の消費税込みで約80万円以下である。

 セミナーは講演に代用できる。

 237平方メートルで200人が収容できる。これを基準に収容面積から他を見てみると、京都グランのホテルの場合、収容面積370平方メートル、使用時間2時間で24万円。

 2013年春に近畿博友会が主催した大阪の講演会は1人2万円の会費で約200人が集まった。計400万円。会場費その他で100万円かかったとしても、300万円の利益となる。

 年会費まで取っていて、下村博文に払う講演料もお車代もなし、下村博文の政治団体への上納金もなしで、1人2万円の会費を徴収する必要、300万円も利益を上げる必要がどこにあるのだろうか。 

 これが素朴な疑問である。

 下村博文以外に講演者がいたとしても、本人が一切の報酬を受け取らないのに他が受け取ることができるだろうか。よしんば受け取ったとしても、下村ゼロに対していくら有名人であっても、100万円も受け取ることはできまい。100万円出さなければならない有名人なら、下村ゼロを考えて、最初から呼ぶことはせず、数万円か、せいぜい数十万円で済む講演者を選ぶはずだ。

 また、「但し書きには年会費と書いてくれというようなことがあって書いたという記憶がある」と下村は釈明しているが、では実際の領収費目は何だったのだろう。なぜ「年会費」としなければならなかったのか。

 博友会幹部を国会に参考人として呼び、実際の領収費目と「年会費」としたことの理由と、講演会入場会費1人2万円という金額設定の理由、300万円近いと見られる利益を上げなければならない理由を問い質して貰わなければ、素朴な疑問は解消しない。

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする