安倍晋三を広島・長崎の平和祈念式典にもう呼ばない方がいい 口先だけの核廃絶メッセージに意味はない

2016-08-21 05:42:00 | 政治

 安倍晋三がオバマ政権が検討している核兵器の先制不使用政策についてハリス米太平洋軍司令官に対して「北朝鮮に対する抑止力が弱体化する」等の理由で反対の意向を直接伝達したと、米政府高官の話として米紙ワシントン・ポストが報じていると8月16日付の各マスコミが一斉に伝えていたが、案の定、この報道を否定した。

 「時事ドットコム」記事から見てみる。  

 8月20日午後、リオ五輪閉会式出席のために向かった羽田空港で記者たちの質問に答えたそうだ。

 安倍晋三「(オバマ大統領が考えているとされている核先制不使用政策について)米側はまだ何の決定も行っていないと承知している。今後も米政府と緊密に意思疎通を図っていきたい。

 (ハリス米太平洋軍司令官と)核先制不使用に関するやりとりは全くなかった。どうしてこんな報道になるのか分からない。

 オバマ大統領と共に広島を訪問し、核なき世界に向けて共に強いメッセージを表明した。今後、着実に前進するよう努力を重ねていきたい」

 確かに安倍晋三は日本が唯一の戦争被爆国である悲劇を踏まえて核兵器のない世界に向けた努力の積み重ねを約束している。

 そのような安倍晋三がハリス司令官にアメリカは核兵器の先制不使用宣言を行うべきではないと言うはずはない。

 8月19日、国連の核軍縮作業部会がジュネーブで開かれた。核兵器禁止に向けた2017年の交渉会合招集を国連総会に勧告する報告書を採択したという。

 その結果、新たな核兵器禁止条約づくりの議論が国連総会で今秋から開始されることになったという。

 この動きを有効足らしめるためには各国が核兵器禁止で姿勢を一致させることが求められる。

 つまり全会一致で勧告案が採択される必要があった。

 だが、現実は全会一致は夢のまた夢であったようだ。

 米ロなど核保有国は部会に欠席。唯一の戦争被爆国日本は他の12カ国と共に棄権。反対が22カ国。核兵器禁止の交渉会合を2017年に開くことには日独を含む24カ国が時期尚早だとして不賛同を表明したとマスコミは伝えている。

 日本政府とは安倍政権を指す。

 8月6日の広島平和祈念式典でも8月9日の長崎平和祈念式典でも、「唯一の戦争被爆国として、非核三原則を堅持しつつ、核兵器不拡散条約(NPT)体制の維持及び強化の重要性を訴えてまいります。核兵器国と非核兵器国の双方に協力を求め、また、世界の指導者や若者に被爆の悲惨な実態に触れてもらうことにより、『核兵器のない世界』に向け、努力を積み重ねてまいります」と同じことを約束しておきながら、核兵器禁止に向けた2017年の交渉会合招集を国連総会に勧告する報告書の採択には積極的に賛成するのではなく、禁止にブレーキをかけるような棄権に回った。

 この棄権には日本が唯一の戦争被爆国だという強い自覚、だからこそ、核兵器禁止に立ち向かわなければならないという強い決意はどこにも見当たらない。

 平和祈念式典での約束に悖(もと)るこのような二重基準からすると、ハリス司令官に対してオバマ政権が検討している核兵器の先制不使用政策に反対の意向を伝えたとしても、逆に二重基準に整合性を与える。

 伝えなかったとする方が矛盾が生じることになる。

 日本国憲法は核兵器の保有を禁止していないとする安倍晋三の憲法観とも整合性を見い出すことができる。

 安倍晋三の核兵器禁止に向けて平和式典で言っていることと実際の行動に違いがあるのだから、平和式典での核廃絶に向けたどのようなメッセージも意味がないことになり、来年から広島の平和祈念式典にも長崎の平和祈念式典にも呼ぶのはやめた方がいい。

 その二枚舌を好き勝手に野放しにしておくことはない。

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