小野寺五典「赤坂自民亭」:大雨対応の問題ではなく、「国民の生命財産」に敏感に反応する意識・想像力の問題

2018-07-14 11:33:37 | 政治

 気象庁が2018年7月5日14時00分に《西日本と東日本における8日頃にかけての大雨について》の気象状況を発表。その内容を画像にして添付した。

 7月5日から7月8日にかけて非常に激しい雨が断続的に数日間降り続き、記録的な大雨となる恐れがあるからと、土砂災害や低い土地への浸水、河川の増水・氾濫への厳重な警戒を呼びかけている。

 いわばこれらの自然災害の起こり得る危険性の高さを指摘していた。しかも台風上陸の直接の影響ではなくても、通過前や通過後に前線の活発化によって過去に例を見ないような集中豪雨、あるいは短時間記録的大雨が年々発生して大きな被害をもたらす最近の気象傾向となっていることを考えた場合、気象庁が厳重な警戒を呼びかけた以上、特に国・地方共に、結果的に空振りになったとしても、危険性の高さに備えなければならない。

 官房長官菅義偉も、記者会見で年々の自然災害に触れている。2018年7月9日の記者会見。「ロイター」(2018年7月9日 / 18:29)

 菅義偉「ここ数年、従来とは桁違いの豪雨で被害が繰り返し発生している。被害のリスクを減らすためどのようなことができるか、改めて検討する必要がある」

 .2018年7月11日の記者会見。「毎日新聞」(2018年7月12日)

菅義偉「従来とは桁違いの豪雨被害が繰り返し発生している。気象庁が発表する防災気象情報と自治体の避難情報の連携なども含め、検証していく必要がある」

 気象庁の防災気象情報と自治体の避難情報の連携の在り方の検証と見直しに向けた発言だが、「従来とは桁違いの豪雨被害が繰り返し発生している」という言葉で年々の気象傾向であることを指摘している。

 この年々の傾向を200人を超える犠牲者を出した西日本豪雨の惨劇を目の当たりにして気づいたことだとしたら、国政を担う資格を失う。7月11日の当ブログに、〈実際に起きたことを前以って予知する能力は人間にはなくても、前線が停滞したり、前線に向かって南から暖かい空気が流れ込むと、毎年のように集中豪雨や記録的短時間大雨をもたらして洪水や浸水被害・人的被害を発生させる最近の気象傾向から過去の事例相応の最悪の事態を予想しなければならない能力は備えているはずだ。

 備えていなければ、学習能力がないことになるし、学習能力の無さは危機管理能力にも影響することになる。〉と書いた。

 気象庁が7月5日14時00分に記録的な大雨予報と土砂災害や低い土地への浸水、河川の増水・氾濫への厳重な警戒を呼びかけたその夜、「首相動静」を見ると、8時28分、東京・赤坂の衆院議員宿舎着となっているが、安倍晋三出席のもと、「赤坂自民亭」と名付けた飲酒を伴う懇談会を開き、災害時に住民の救助・救命に当たる、いわば「国民の生命・財産を守る」実働部隊自衛隊のトップに位置する関係から、年々の気象傾向から判断して過去の事例相応の最悪の事態を予想、「国民の生命・財産を守る」ことに備えるべく先頭に立って指揮・監督に当たらなければならない防衛相小野寺五典が、例え30分間という短い時間であったとしても自らの役目に当たらずに出席していた。

 しかし小野寺五典は自らの出席に役目上の「支障はなかった」と発言している。
 「2018年7月13日記者会見」防衛省記者会見室

 記者「豪雨災害の中、『赤坂自民亭』が開催されたことにつきまして、批判が上がっておりますが、大臣の受け止めをお願いします」
 小野寺五典「この件につきましては、この会合の写真をネットにアップした西村官房副長官が、国会において、多くの方々を不愉快にさせてしまい大変申し訳ないとお詫びをされたと承知しております。私自身、気象庁が注意する呼びかけ、不安な気持ちを持たれている方々がおられる中で、あのような情報を発信することは適切ではなかったと思います。

 その上で、少し補足をさせていただきますと、政府の対応につきましては5日の午後の時点で、防衛省においては災害発生が予想される自治体への連絡員を派遣しており、実際、6日未明には京都府や高知県から災害派遣要請があって、部隊を派遣するなどの対応をしております。私自身も、日中に防衛省においてこうした対応を指示しており、退庁後も、適時、防衛省から連絡を受け、対応をさせていただいておりました。

 また、翌日には近畿、中国、四国を担任する中部方面隊の総監部、これは兵庫県伊丹市でありますが、ここを私が訪れ、部隊を指揮する中方総監に対し、現場の状況を報告させ、その後の対応について速やかにできるよう、しっかり指示をしてまいりました。特に対応に支障があったとは思っておりません」

 記者「関連してなのですが、大臣が10日の会見で、議員宿舎で待機をしていて、その後、集会場で行われた場所に行って、顔を出し、防衛省から随時連絡を受け、指示を出していたとおっしゃっていました。大臣は酒を飲みながら、飲み会から指示を出し、飲み会で報告を受けていたということでいいですか」

小野寺五典「そういうことはありません。顔を出して、そこで乾杯等はいたしましたが、その後、会は長くやっていなかったと思いますので、会が終会したあと、私の方に連絡があり、その都度対応をしていたということであります」

 記者「飲み会で酒を飲みながら連絡を受けて、酒を飲みながら指示を出していたということで間違いないでしょうか」

 小野寺五典「そういうことはありません」

 記者「飲んでないのですか」

 小野寺五典「私は、乾杯はいたしましたが、今、おっしゃるように会合の最中に連絡があったとか、会合の最中に連絡をしたということはありません」

 記者「待機というのは、大臣室の代わりに議員宿舎に待機しているわけですが、そういう時に宴会に出るというのは待機じゃないのではないですか」

 小野寺五典「集会が行われたということでありますので、私どもとしては、これは会員相互の集会が行われていたという認識であります。

 記者「酒を飲むのは宴会とか飲み会と言うのではないですか」

 小野寺五典「どのような意図をもって、今、そのような質問をされているのかわかりませんが、私どもとしては、支障がない対応をしていたと思っています」

 記者「飲み会で報告を受けて、飲み会で酒を飲みながら指示を出していたのは問題がなかったとおっしゃるのですか」

 小野寺五典「少なくとも、その対応について支障があったとは思っておりません」

 記者「飲み会で報告を受けて、飲み会で酒を飲みながら指示を出したことに問題はなかったということですか」

 小野寺五典「繰り返しになりますが、酒席の場で、私が連絡を受けたり、酒席の場で報告をしたということはございません」

 記者「10日の会見ではそうおっしゃっています。『特に防衛省から随時連絡が来ておりましたし、その都度指示を出しておりましたので、特に支障がなかったと思っております』とおっしゃっていますが如何ですか」

 小野寺五典「少なくとも、集会場にいた時点でそのようなことはありません」

 記者「その時間だけ空白だということですか」

 小野寺五典「どのようなイメージでお話をされているかわかりませんが、集会場にいた時間というのは30分程度だったと思います。当然、連絡が入ったのは、その前からも随時きていますし、また、その後連絡が来たこともございますが、少なくとも集会にいる間に連絡がきたり、私の方から指示をしたということはございません」

 記者「その30分の間だけ連絡がなかったということですか」

 小野寺五典「少なくとも、そのようなことはなかったということであります」

 記者「問題はなかったということですか」

 小野寺五典「支障はないと思っております」

 記者「問題はなかったというふうに判定はされないのですか」

 小野寺五典「少なくとも、私どもとしては、その時点で対応をしっかりさせていただきましたし、また、その後も指示をしておりますので、支障はなかったと思っております」

 記者「政府がそういう態勢をとっていた時に、飲み会に行って酒を飲んで指示を出していた行動に問題はなかったとおっしゃるのですか」

 小野寺五典「例えば、今、お話されているような、一部、今回の報道の中で『赤坂自民亭』という、何か居酒屋とかホテルの集会場とか、そのようなイメージで、発信をされたのであれば、これは正確を欠いていると思っております。会員相互の会議室での交流の場ということでありますので、私も宿舎待機の時間でありましたが、そこに顔を出させていただきました」

 記者「何の問題もないとおっしゃるのですか」

 小野寺五典「少なくとも、誤解を受けるようなことはあってはならないと思いますし、その集会の場の内容について、写真をアップした西村官房副長官が、このような事について、『適切ではなかった』というお話をされておりますし、私もそのように思っております」

 記者「ツイッターにアップしていることではなくて、防衛大臣がこのタイミングで集会に出て乾杯をしたということについて問題があったかなかったかということを聞きたいのです」

 小野寺五典「集会があって、その場は交流の場ですから、乾杯をさせていただきましたが、少なくとも支障はなかったと思っております」

 記者「問題はなかったのですか」

 小野寺五典「支障はなかったと思っております」

 7月5日14時00分の気象庁の防災情報を受けた防衛省及び小野寺五典自身の当日の対応を小野寺五典の発言の中から拾ってみる。

 防衛省は「5日の午後の時点」で、「災害発生が予想される自治体への連絡員を派遣」。小野寺五典自身は日中は防衛省で様々な対応の指示、退庁後は議員宿舎の自室で防衛省の連絡を受けたり、その連絡に対して対応していた。

 その後、「赤坂自民亭」に出席したが、「会合の最中に連絡があったとか、会合の最中に連絡をしたということ」はなかった。但し、「会が終会したあと、私の方に連絡があり、その都度対応をしていた」と言っている。

 話していることが事実だとすると、「赤坂自民亭」出席前後は防衛省から連絡を受けたり、その連絡に対して対応していたのだから、出席中に防衛省から何の連絡もなく、その連絡に対して自身の方からも防衛省に連絡しなかったと言っていることは、たまたま無かった偶然であって、その偶然に頼って不謹慎の批判をかわしているものの、防衛省の災害関連の事務方が小野寺五典にいつでも連絡できる態勢で絶え間なく役目に臨んでいたのに対して小野寺五典の方は、「赤坂自民亭」出席以外の時間に「しっかりと対応していて、支障はなかった」といくら主張したとしても、防衛大臣という役割上、災害発生の予想時は退庁後も防衛省といつ何時でも連絡を取り合うことができるよう、随時役目に臨むことができる態勢でいなければならなかったが、30分と言えども、飲酒を伴う懇談会に出席したことによって自らの役目から離れていたことになる。

 このことを否定して、「赤坂自民亭」に出席していても、役目から離れていたわけではないと主張するなら、「酒席の場で、私が連絡を受けたり、酒席の場で報告をしたということはございません」と、そうした場合は自らの役目に反するかのようなニュアンスで発言すること自体が誤魔化しの情報発信となる。あくまでも正直に「『赤坂自民亭』出席の30分の間も防衛大臣としての役目を果たすことができる態勢で臨んでいたが、その30分間、偶然にも何の連絡を入らなかったし、自分の方からの連絡を取ることもなかった」と発言しなければならない。

 小野寺五典がどう言い繕うと、自然災害の現場で「国民の生命・財産を守る」役目を直接的に担い、その使命と責任を負っている組織のトップに位置している以上、どこにいようと、その使命と責任を組織全体で果たすべく指揮・監督する立場から、「国民の生命・財産を守る」意識と想像力を常に敏感に研ぎ澄ましていなければならない。

 でなければ、危機管理は満足に果たすことはできない。

 「国民の生命・財産を守る」意識と想像力を常に敏感に研ぎ澄ましていない政治家が「国民の生命・財産を守る」役目を直接的に担い、その使命と責任を負う組織のトップに君臨していたとしたら、資格のない政治家が使命と責任を負う奇妙な倒錯を見せつけることになる。

 小野寺五典が以上のような意識と想像力を常に敏感に研ぎ澄ますことのできる政治家であったなら、例え30分と言えども、飲酒の伴う懇親会「赤坂自民亭」に出席するといった軽率な振舞いはできなかったはずだ。

 支障がなければ、何をしてもいいというわけではないのだから、「しっかりと対応していて、支障はなかった」で済ますことのできる問題ではない。「国民の生命・財産を守る」意識と想像力をどの程に敏感に研ぎ澄ましていたかで、小野寺五典を判断しなければならない。

 このような問題点を問わなければならない小野寺五典の「赤坂自民亭」出席を、「この件につきましては、この会合の写真をネットにアップした西村官房副長官が、国会において、多くの方々を不愉快にさせてしまい大変申し訳ないとお詫びをされたと承知しております。私自身、気象庁が注意する呼びかけ、不安な気持ちを持たれている方々がおられる中で、あのような情報を発信することは適切ではなかったと思います」とSNSへの情報発信の問題にすり替えている点にも、政治家としての小野寺五典がどの程度か判断できる。

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安倍晋三の22年連続人口増の東京一極集中にブレーキを掛けることができないでいる地方創生は焼け石に水

2018-07-12 09:54:54 | 政治
 安倍晋三:従軍慰安婦強制連行否定2007年3月16日閣議決定

「政府が発見した資料の中には、軍や官憲がいわゆる強制連行を
直接示すような記述も見当たらなかった」
とする
“政府発見資料”とは如何なる資料か、公表すべき

 日本の人口減少と東京一極集中の加速を次の記事が伝えている。「NHK NEWS WEB」(2018年2018年7月11日 17時01分)

 総務省が現在の住民基本台帳を基に纏めた2018年1月1日現在の国内の日本人人口は1億2520万9603人。昨年と比較して減少数約37万4055人で、平成21年をピークに9年連続の減少であると同時に昭和43年の調査開始以降最多の減少数。

 2017年1年間の出生数は2年続けて100万人を割る、昭和54年度の調査開始以降最少の94万8396人。

 都道府県別で人口増は東京、埼玉、神奈川、沖縄、千葉、愛知の6都県、41道府県では減少。

 東京の人口増は22年連続記録更新中で、昨年と比較して約7万人増の約1311万人という東京一極集中への加速。

 6年続けている全国最多の減少数は約3万4800人減った北海道。

 市区町村別で最も増えたのは福岡市の約1万1000人。最減少は同じ福岡県の北九州市の約6000。

 この福岡市増と北九州市減から窺うことができる人口移動からは都道府県単位の一つの自治体に於ける東京一極集中の地方版を見ることができる。県庁所在地として経済・インフラ共に発達して、その魅力によって同じ自治体の地方に当たる各都市から人口を吸収する。

 安倍晋三が政権を獲った2012年総選挙用のマニフェスト、「自民党J-ファイル2012総合政策集」」には次のような記述がある。

 〈地域コミュニティの再生

 地域の「きずな」を再生するため、町内会や自治会など地域に根ざした活動を行う団体等を支援します。各集落、小学校校区単位のコミュニティ活動や自治会またNPOなどの身近な団体活勣を支援する『コミュニティ活動基本法』を制定し、地域内の活性化を図ります。

 また、地方における人口定住を図るために、地域の様々な政策課題について、「集約とネットワーク」の考え方により、中心市と周辺市町村の相互連携を強化し、圈域全体を活性化します。

 さらに、個性豊かで誇りある地域づくりに向けて、民間アドバイザー派遺等の人材支援を推進するとともに、地域の人材力の向上を支援します。
〉――

 「地方における人口定住」とは東京一極集中化阻止の公約となる。その時点で東京一極集中は16、7年間連続記録を打ち立てていたはずだから、満を持しての公約の打上げだったはずだ。

 だが、政権を獲ってから5年半以上の年月が経過しているが、東京一極集中の22年間連続更新中の記録を打ち破ることができないでいる。

 2014年12月27日閣議決定の「まち・ひと・しごと創生総合戦略」でも、東京一極集中是正策として、「地方への人材還流、地方での人材育成 、地方の雇用対策」を掲げている

■東京圏から地方へ約10 万人の人材を還流(2020 年までの5年間の累計)
■地方から東京圏への転入をとどめる人材育成、雇用対策により約20 万人の地方への定着を図る(2020 年までの5年間の累計)
■上記により、2020 年までの5年間の累計で30 万人の若い世代の安定した雇用の創出を目指す――

 先ず最後の「2020 年までの5年間の累計で30 万人の若い世代の安定した雇用の創出を目指す」は自発的非正規を除いて正規雇用での創出を言っているはずだ。でなければ、「安定した雇用」とは言えない。

 また、自発的非正規であったとしても、正規と同一労働であった場合は同一賃金を約束できていなければ、同じく「安定した雇用」と言うことはできない。

 だが、年々正規雇用が減少し、非正規雇用が増加、しかも同一賃金は殆ど実現できないでいるし、都市と地方の賃金格差は無視できない額となっている。

 勿論のこと、この賃金格差が東京一極集中、あるいは東京圏一極集中、さらには地方の大都市への一極集中とは無関係ではない。

 扶養手当、住宅手当、通勤手当等を含めて同一賃金が保証されていない状況下で東京圏が人口増加を続けているということは、「2020 年までの5年間の累計」として掲げた上記政策のどれも実現できないでいることになる。

 「まち・ひと・しごと創生基本方針」は2014年から始まって2015年、2016年、2017年、2018年と策定し、それぞれを閣議決定している。2018年6月に閣議決定した、「まち・ひと・しごと創生基本方針2018について~わくわく地方生活実現政策パッケージ~」は、「東京一極集中の現状」に触れている。

○若者を中心に、地方から東京圏へ毎年10万人を超える転出超過
○地方の若者は3割減少(15年間で△532万人)
○15歳以上の就業者は、地方では大幅に減少
(15年間で△228万人、東京圏は+160万人)

 「若者を中心に、地方から東京圏へ毎年10万人を超える転出超過」で、「地方の若者は3割減少(15年間で△532万人)」であるなら、2014年12月27日閣議決定の、「2020 年までの5年間の累計」で「東京圏から地方へ約10 万人の人材を還流」政策にしても、「地方から東京圏への転入をとどめる人材育成、雇用対策により約20 万人の地方への定着を図る」にしても、これらの地方創生は絵に描いた餅でしかなく、焼け石に水と言うことではないのか。

 安倍晋三の国会答弁や記者会見発言を見ると、どの政策も同じだが、力強い物言いとそのような物言いに合わせた派手なゼスチャーからすると、実現を疑わせない説得力を撒き散らしはするが、個人消費額が満足に増えないという一点で失敗を指摘できるアベノミクス経済政策を説明するときと同様、パフォーマンスに過ぎないことが分かる。

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安倍晋三の広島市土砂災害時ゴルフ続行に懲りない西日本豪雨災害を他処にした「赤坂自民亭」での酒席懇親会

2018-07-11 10:14:51 | 政治
 安倍晋三:従軍慰安婦強制連行否定2007年3月16日閣議決定

「政府が発見した資料の中には、軍や官憲がいわゆる強制連行を
直接示すような記述も見当たらなかった」
とする
“政府発見資料”とは如何なる資料か、公表すべき

 安倍晋三を筆頭として防衛相小野寺五典、法相上川陽子、官房副長官西村康稔、自民総務会長竹下亘、同政調会長岸田文雄等々総勢40人超(とネットに出ているが)が7月5日の夜に東京・赤坂の衆院議員宿舎内で「赤坂自民亭」と名付けた懇親会名目の飲み会を開いていたという。

 その面々の画像をマスコミ記事から引用して載せておいてみる。 
    
 次いで次の記事から 7月5日の気象状況を見てみる。

 《東・西日本、8日まで大雨=梅雨前線活発、厳重警戒-気象庁「早めに避難を」》「時事ドットコム」/2018/07/05-23:38) 
 東・西日本では5日、梅雨前線が停滞して活発となり、激しい雨が降った。西日本を中心に土砂災害警戒情報や避難勧告が相次いで発表され、大阪府茨木市や神戸市、京都市などの一部には避難指示が発令された。気象庁は8日頃にかけて記録的な大雨になる恐れがあるとして、土砂災害や河川の増水、低地の浸水に厳重に警戒するよう呼び掛けた。

 兵庫県猪名川町では5日午前、男性作業員3人が増水した水路に流され、県警によるとこのうち1人が死亡した。

 気象庁の黒良龍太主任予報官は記者会見し、「偏西風に沿って梅雨前線が停滞し、南から暖かく湿った空気が流れ込んでいる」と説明。「台風の接近と違い、どこで記録的な大雨になるか予想できない。自治体などの情報に注意し、早めに避難してほしい」と話した。落雷や竜巻・突風にも注意が必要という。

 高知県馬路村では5日午後10時40分までの24時間雨量が424.0ミリ、石川県白山市では午後9時までの同雨量が301.5ミリに上った。

 6日午後6時までの24時間予想雨量は多い所で、東海と四国400ミリ、関東甲信と近畿300ミリ、北陸と九州250ミリ、中国200ミリ、沖縄150ミリ。その後、7日午後6時までの同雨量は多い所で、四国300~400ミリ、関東甲信と北陸、東海、近畿、九州200~300ミリ、中国100~150ミリ。

 気象庁のこの7月5日の記者会見は「気象庁報道発表資料」として、「西日本と東日本における8日頃にかけての大雨について」気象庁/報道発表日平成30年7月5日)と題したページに掲載されている。
 
 以下記事を纏めてみる。

 7月5日、東日本・西日本と広範囲に亘って梅雨前線が停滞して活発となり、激しい雨を降らしたことに加えて、気象庁は8日ごろにかけて記録的な大雨になる恐れがあるとして、大雨が4日間続く恐れがあるとの予報のもと、西日本を中心に土砂災害警戒情報や避難勧告を相次いで発表した。

 24時間雨量で300ミリや400ミリ超を既に降らしていて、7月6日午後6時までの24時間予想雨量は多い所で300~400ミリ、7日午後6時までの24時間予想雨量はやはり多い所で400ミリと予報し、7月午前に水害に遭った3人のうちの1人の死亡が既に発表されていた。

 実際に起きたことを前以って予知する能力は人間にはなくても、前線が停滞したり、前線に向かって南から暖かい空気が流れ込むと、毎年のように集中豪雨や記録的短時間大雨をもたらして洪水や浸水被害・人的被害を発生させる最近の気象傾向から過去の事例相応の最悪の事態を予想しなければならない能力は備えているはずだ。

 備えていなければ、学習能力がないことになるし、学習能力の無さは危機管理能力にも影響することになる。

 特に「国民の生命・財産を守る」責任を有する政府の人間はそのような能力を備えていなければ、学習能力も危機管理能力もないということだけではなく、国民の負託に応えることはできない。

 台風が直接的には関係しない、前線のみか、主として前線が関係した過去の主な豪雨災害を気象庁等のページから見てみる。

 2017年7月5日から7月6日に掛けて台風3号通過後に福岡県と大分県を中心とする九州北部で発生した九州北部豪雨(7月5日~7月6日)は死者が40名にも達している。

 2016年6月19日~6月30日にかけて梅雨前線の停滞と活発な活動再開によって西日本を中心に大雨をもたらして、死者6名、行方不明者1名、負傷者12名、住家全壊36棟、半壊157棟、一部損壊187棟等の被害を出している。

 2015年は台風単独か、台風と梅雨前線が影響し合って人的被害や住家被害を発生させているが、梅雨前線単独の豪雨災害は見当たらない。

 2014年は安倍晋三のゴルフを優先させた自己愛によって記憶にまだ新しいはずだが、8月15日から20日にかけて前線の影響で近畿地方や北陸地方、東海地方を中心に局地的に大雨をもたらし、特に8月20日に広島市北部の集中豪雨では北部各所に土砂災害を発生させて、土砂災害の直接の死者74名を出している。

 その他に負傷者68名、住家全壊179棟、半壊217棟、一部損壊190棟、床上浸水1,086棟、床下浸水3,097棟等が発生している。

 台風が発生して日本に接近・上陸しなくても、前線の影響で過去に例を見ないような集中豪雨、あるいは短時間記録的大雨が年々発生する最近の気象傾向となっている。

 当然、少なくとも政府の人間は気象庁の予報次第では過去の事例を振返って、“万が一”を想定しなければ、危機管理は成り立たない。“万が一”という恐れへの思いこそが、危機管理の基本となる。

 既に死者が出て、気象庁が7月5日に、7月5日から8日にかけて記録的な大雨を予想し、その影響による土砂災害や河川の増水、低地の浸水への厳重な警戒を呼びかけていたその夜、懇親会の名のもとに一杯機嫌となっていた「赤坂自民亭」の出席者の内、“万が一”の恐れへの思いを頭に描いた出席者は存在したのだろうか。

 「共同47NEWS」(2018/7/9 18:26)

 竹下亘(7月9日午後記者会見)「正直、これだけすごい災害になるとは予想しなかった。もう開いてしまった。どのような非難も受ける」

 実際の結果は予想できなくても、気象庁の天気予報は「国民の生命・財産を守る」危機管理上、常に注意を払っていなければならないし、注意を払っていさえすれば、天気予報に応じて最近の気象傾向を参考に“万が一”を想定しなければならなかったはずだ。

 だが、天気予報から年々の豪雨発生と大きな人的被害の発生を特徴とする最近の気象傾向を危機管理の参考にすることができなかった。それを、「どのような非難も受ける」と言いつつ、「もう開いてしまった」と開き直っている。

 この言葉は“万が一”の恐れを想定する能力を持たず、それゆえに当り前の危機管理に当たることができなかったことへの配慮もなく言っているのだから、豪雨災害の死者を冒涜する。

 同記事は自民政調会長の岸田文雄の発言も伝えている。

 岸田文雄(5日時点の豪雨対応に問題はなかったとの認識を示した上で)「今回の豪雨は今まで経験した災害と比べ異質だと感じる。災害の変化についても考えなければいけない」

 結果だけを見て、表面的に批評を述べているに過ぎない卑怯な責任回避の発言となっている。気象傾向の変化も、その変化に応じた「災害の変化」も、既に始まっていた。日本の国土が自然災害に脆弱であることは過去の台風によってその姿を曝け出すことになっていたが、集中豪雨や記録的短時間大雨によっても脆弱であることを年々否応もなしに証明することになっていた。

 当然、こういった姿も危機管理のうちに計算しておかなければならないはずだが、計算もしていなかった。

 「朝日デジタル」(2018年7月10日15時13分)
   
 小野寺五典「防衛省として、5日午後の時点で連絡員を派遣し情報収集している。(懇親会「赤坂自民亭」に)私も出ていた。指示をし終わった後、宿舎で待機していたので、その際に集会所に行って顔を出した。だが防衛省からは随時連絡が来ており、その都度指示を出していたので特に支障はないと思っている」(記者会見で)

 「5日午後の時点で連絡員を派遣し情報収集」に当たらせていたのだから、いわば直接指揮・監督しない遠隔操作の状態であっても物事を進めることができるのだからと「赤坂自民亭」への出席を正当化しているが、そのような酒席への出席が救助・救命に当たる直接の実働部隊組織のトップが指揮・監督の現場を離れていてもいいという理由とはならないし、遠隔操作であっていいわけでもないのだから、「国民の生命財産を守る」役目と責任を負っている以上、7月5日時点の天気予報から国民の命に関係してくる可能性――“万が一”の恐れを想定する危機管理を自らのものとして、それなりの行動を取らなければならなかったはずだが、取ることができなかった。

 小野寺五典はこのような思いに至ることは決してないだろう。

 この小野寺五典の釈明は広島土砂災害時の2014年8月20日に安倍晋三が夏休み中の山梨県の別荘から富士河口湖町のゴルフ場「富士桜カントリー倶楽部」に向かい、8月20日午前7時26分に到着、ゴルフを開始し、死者が発生してもなおゴルフを続け、午前9時19分になってやっとゴルフを中止したときの当時防災担当相だった古屋圭司の安倍擁護発言と似ている。

 記者「総理が指示後にゴルフを始めたことについて野党から批判の声が上がっているが初動については」

 古屋圭司「それは全く批判は当たらないと思います。というのは私もこの状況を聞きまして、携帯電話で秘書官あるいは内閣府の幹部と連絡を取って、初めて連絡が不明者がいると出たのが6時十何分ですね。

 それは常に官邸にも総理秘書官経由で報告を致しておりまして、最終的に死亡者が出たということがはっきりしたのが8時37分とか8分とかその頃に3人。それから、行方不明者がいらっしゃると。

 もうその時点で、総理にも連絡をして、その時点ではこちらに帰る支度をしてますので、まったくそういう批判はあたらない。常に連携をしながら対応をしているということだと思います」――

 要するにゴルフ続行中も安倍晋三と連絡を取り合っていて、首相官邸の災害対策本部と連携して対策に当たっていたのだから、いわば遠隔操作の状態で災害対策本部を指揮・監督していたのだから、その場に居なくても問題はないとゴルフ続行を正当化しているが、この正当化の論理は小野寺五典の釈明と同じ構造そのものとなっている。

 「国民の生命と財産を守る」第1位の最高責任者たる安倍晋三がその指揮・監督に当たる現場たる災害対策本部に詰めていなくて、山梨県のゴルフ場で携帯電話か何かを使った遠隔操作の状態で指揮・監督に当たる。

 このことを以って「国民の生命と財産を守る」ことの責任を真に果たしていたと言うことができるだろうか。

 古屋圭司は「最終的に死亡者が出た8時37分とか8分に総理にも連絡をして、その時点ではこちらに帰る支度をしてます」と安倍晋三のゴルフに問題はないとしたが、広島市消防局は安倍晋三ゴルフ当日の8月20日午前4時過ぎ頃から土砂崩れと住宅が埋まって行方不明者が出たという通報が相次いで寄せられたこと、午前5時15分頃 、午前3時20分頃の土砂崩れで土砂に埋まった子ども2人のうち1人が午前5時15分頃心肺停止の状態で発見されたと発表している。

 2時間近くも土砂に埋まっての心肺停止の状態だから、現実的には医師の死亡宣言待ちの死者と見なければならないはずだから、古屋圭司のウソの情報を撒き散らしてまでした安倍晋三のゴルフ正当化は、実際には官邸の方からいくら連絡しても言うことを聞かなかったというのが実態で、安倍晋三自身が集中豪雨災害よりもゴルフを優先させた結果の自己愛から出たゴルフ続行だったのだろう。

 安倍晋三も一番のトップとして「赤坂自民亭」に出席していた。「国民の生命と財産を守る」第1位の最高責任者でありながら、気象庁の予報に従って過去の事例に習い、“万が一”を想定して「先手、先手」(安倍晋三の「平成30年7月豪雨非常災害対策本部会議」での発言)で「国民の生命と財産を守る」危機管理に直接当たらなければならなかったはずだが、「非常災害対策本部」を設置したのは「赤坂自民亭」出席7月5日から3日後の7月8日午前8時の後手、後手であった。

 広島市土砂災害時ゴルフ続行に全然懲りていなかったようだ。安倍晋三の「赤坂自民亭」出席は総裁選のお願いを目的としていたということだが、これも自己愛優先の行動ということなのだろう、

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河野太郎の日中の国の資金力の違いを考えない王毅中国外相訪問国数の差を縮める対抗心はバカげた身の程知らず

2018-07-10 10:47:43 | 政治
 
 安倍晋三:従軍慰安婦強制連行否定2007年3月16日閣議決定

「政府が発見した資料の中には、軍や官憲がいわゆる強制連行を
直接示すような記述も見当たらなかった」
とする
“政府発見資料”とは如何なる資料か、公表すべき

 

 2018年7月3日、外相河野太郎が都内で講演した。「朝日デジタル」(2018年7月3日18時29分)

 〈頻繁に外国を訪問する中国の王毅外相に「とにかく目標は打倒王毅だ」と伝えていると明かし、自身の訪問国数を王毅氏並みに増やそうとしていることを紹介〉、〈外遊を増やすため、自身の国会出席を軽減することなどを訴えた。〉と言う。

 そして、〈王氏の訪問国数が日本の外相の2倍以上であることを引き合いに「この差を縮めて王毅さんの背中がもう少し大きくなるように頑張る、と一方的に宣言した」と言及。その後、王氏が河野氏と会うたびに「何カ国行きましたか」と尋ねると言い、「その差がどんどん開いているのが現状。けんかの相手先を間違えた」とぼやいた。〉・・・・・・

 他の記事によると、日本の外相が5年間で訪問したのは約110カ国なのに対して中国の外相は約270カ国に上ることを紹介したという。

 河野太郎は2017年12月18日の自民党外交部会で訪問国数を増やすために「来年の話をすると鬼が笑うかもしれないが、来年は是非外相の専用機を1機」をと発言し、その理由として外務省での記者会見で日本の外務大臣と王毅中国外相との訪問国数の比較を持ち出している。

「外務省」2017年12月19日)
 
 河野太郎「2013年1月から5年間で,日本の外務大臣,私(大臣)の前任の岸田さん,それから私(大臣),併せてこの5年間で97か国を訪問をいたしましたが,同じ時期に例えば,中国の王毅(おう・き)外務大臣は延べ262か国を訪問をしております。ほぼ3倍近い訪問国の差がついている。

 日本の外務大臣は国会の対応がございますが,中国の外務大臣は特に国会対応がないというスタート時点での大きな差がある中で,この差をどう埋めるかということをやはり真剣に考えていかなければいけない時期に来ているのだろうと思います。

 かつてのように日本のODAが抜群に多いというわけではなくて,アフリカを始め様々な所で中国の投資・援助が日本を遥かに上回るという中で,外務大臣の訪問数も延べでこれだけの差がついているという現状を考えると,やはり少しどういうふうにやっていったらいいのか,国会の対応は別として,ロジ(後方支援担当)の効率化というところは真剣に考えていく必要があると思っております。

   (中略)

 外務大臣あるいはそのスタッフが移動する際,すべて民間の商用機を使わなければいけないというのは,かなり日本の国益を考えるとハンディキャップとして大きいのだろうと思います。専用機を購入するという手もあるでしょうし,あるいはレンタル,リースをする,あるいは日本の企業が持っているビジネスジェットを空いているときにお借りをする,これはもちろん対価を払ってというやり方,様々なやり方があると思いますので,これはやはり真剣に検討しなければいけないと思っております」

 質疑に入って――

 記者「専用機の件なんですけれども,いつ頃までに導入したいとかですね,今想定している時期はあるのでしょうか」

 河野太郎「次の概算要求の中でどういう遣り方がいいのかというのを検討した上で,今外務大臣が移動すると,そのスタッフ,警備その他移動しているわけですから,コストを削減しながら効率的・効果的な移動ができるようにするために,多分いろんなやり方があると思いますし,民間企業の協力を得られれば,そういうやり方もあるのだろうと思いますので,いろんなことを検討していきたいと思っています」(以上)

 日本の外相と中国の外相の訪問国数の違いは自身の発言の中で既に答を出しているのだが、単細胞だから気づかない。「かつてのように日本のODAが抜群に多いというわけではなくて,アフリカを始め様々な所で中国の投資・援助が日本を遥かに上回るという中で」と言っている。

 「中国の投資・援助が日本を遥かに上回」れば、被援助国に取っては日本より中国の方が遥かに歓迎される国となって、投資・援助の交渉目的のみならず、投資・援助によって完成したインフラ等の竣工式出席目的等で自ずと訪問国が日本より遥かに上回る道理を取る。

 当然、訪問国数を増やすには外相専用機を手当することではなく、中国よりも投資・援助を遥かに増やすことが答となる。

 この外相専用機問題を取り上げた2017年12月21日の当ブログ、《河野太郎に外相専用機は不要 何様だと思っているのか、日本の外相は首相のメッセンジャボーイに過ぎない - 『ニッポン情報解読』by手代木恕之》に次のように書いた。

 〈外交能力、あるいは外交成果の多くは訪問国数や会談数で決まるわけではない。相手国の国益に対応可能な国の資金力(それが例え借金したカネであっても、借金できる余裕が資金という形に変えていくことができる)を裏づけとして生み出す国の力=国の影響力にかかってくる。

 当然、「日本の外務大臣は国会対応があるが、中国の外務大臣は国会対応がない」といった問題ではなく、中国と日本という国の対外影響力を考えた場合、河野太郎が日本の外相と中国の外相を比較すること自体が間違っている。〉――

 日本と中国の国の資金力(=国の力=国の影響力)の違いを見てみる。「中国の対外援助、14年間で41兆円「慈善ではなく利益を基準」=米調査機関」マネーボイス/2017年10月18日)

 〈ウィリアム・メアリー大学の対外援助調査機関「エイドデータ調査研究室(AidDataResearchLab、以下エイドデータ)」によると、2000年~2014年の15年間で、中国は対外援助として3960億米ドル(約41兆円、期間中の平均為替レート参照)を支出した。これは、世界最大の援助国・米国の3990億米ドルに届きそうな額だ。〉

 中国の1年平均の対外援助額は264億ドル。日本の2016年のODA実績は168億ドル。約100億ドル近くの差が出ている。日本円に直すと1兆円を超す。日本の国家予算(一般会計)の約100分の1以上に相当する巨額な差となっている。
    
 この差が日本と中国の国の資金力の差、国の力=国の影響力の差となって現れていて、結果的に両国外相の訪問国数の差の違いとなっているはずである。

 しかも中国は対外援助という点で日本よりも後発国に位置している。中国の大国化志望からすると、後発国のハンディを覆すためには対外援助額の増額のみならず、関係を強めて影響力を浸透させる目的から訪問回数を増やして、結果的に訪問国数の増加に繋がっている側面もあるはずである。

 ところが、河野太郎は、バカげた身の程知らずの話だが、国の資金力と、その裏付けが形成することになる国の力=国の影響力を考えもせずに自身の訪問国数を王毅中国外相のそれに近づけることだけを考えている。その目標達成のために外相専用機の購入と国会出席の軽減を訴えている。

 いわば国の資金力にモノを言わせた各種援助が伴わない外国訪問は、その回数を増やしたとしても、国の力=国の影響力となって跳ね返ってこない。

 河野太郎が外国を訪問したとしても、安倍晋三の外国訪問と同じく、北朝鮮問題に関しては核実験とミサイル実験を行った北朝鮮に対する国連安保理の制裁決議に基づいた決議履行の確認か、北朝鮮の非核化への連携の確認、あるいはトランプが自国産業への保護主義に走ると、自由貿易体制維持の確認を行うことことぐらいで、形式的範囲を出ない外国訪問が殆どとなっている。

 勿論、ときには外国のある政策に対していくらの援助をするといったことを伝えるために訪問することもあるが、中国がそれ以上の援助をするイタチごっこが続いている。

 中国の外交に対抗するに日中の国の資金力の違いに依拠しない、外国訪問回数にも関係しない、国の力=国の影響力の構築に向けた
新たな外交の創造に努めたとしても、やはりカネの力には敵わないだろう。

 となると、中国以上に経済を発展させて、国の資金力を貯め込むしかないが、先進国最悪の借金大国、少子高齢化の人口減少国家では、それも覚束ない。

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巨大災害:精々できるのは猛威が去ったあとの生き残った被災者支援、それを安倍晋三は「先手先手で」と言う

2018-07-09 11:31:37 | 政治
 安倍晋三:従軍慰安婦強制連行否定2007年3月16日閣議決定

「政府が発見した資料の中には、軍や官憲がいわゆる強制連行を
直接示すような記述も見当たらなかった」
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“政府発見資料”とは如何なる資料か、公表すべき

 安倍政権は2018年7月8日午前8時に災害対策基本法に基づき内閣総理大臣が臨時に設置する「非常災害対策本部」を設置した。「首相動静」時事ドットコム/2018/07/08-14:41)を見ると、7月8日午前8時31分に東京・富ケ谷の私邸を出発。同42分に官邸着。同9時2分から同22分まで、非常災害対策本部会議に出席している。

 「平成30年7月豪雨非常災害対策本部会議(第1回)」(首相官邸/2018年7月8日)

 安倍晋三「今回の大雨により、川の氾濫や土砂崩れなどによる死者は48人、心肺停止の方が28人となり、甚大な被害が広範囲で生じ続けています。

 お亡くなりになられた方々に、心よりお悔やみを申し上げますとともに、全ての被災者の皆様にお見舞いを申し上げたいと思います。

 今なお、安否不明の方が多数いらっしゃいます。浸水の恐怖の下で、孤立して救助を求めている方もおられます。救命救助、避難は時間との戦いです。5万4000人の救助部隊の諸君が、懸命に救助に当たっていますが、事態の変化に応じ、救助部隊の体制を機動的に強化するなど、引き続き、全力で救命救助、避難誘導に当たってもらいたいと思います。

 また、現在、多くの方が避難所などで、不安な時を過ごしています。各位にあっては、これまでの災害の教訓を十分にいかし、被災府県、被災市町村としっかりと連携しながら、プッシュ型で、不足している物資の供給、災害対応に当たる要員の人的支援、ライフラインの早期復旧に向けた支援を行うなど、また明日から暑くなると予想されるわけでございますが、避難所の環境への対応、そしてまた、仮設、そして公共住宅の活用も含めたみなし仮設等の準備に向けてしっかりと対応していただきたいと思います。先手先手で被災者の支援に当たってください。

 現在も、大気が不安定な状態が続いており、岐阜県、愛媛県、高知県では大雨特別警報が発令されています。国民の皆さんには、引き続き、自治体や気象台が発表する避難や気象情報等に十分注意し、早めに避難するなど、安全確保に努めていただきたいと思います」

 安倍晋三は先ず、「死者は48人、心肺停止の方が28人」と、西日本の13府県に亘る広域豪雨が既に多くの死者を出し、心肺停止状態で発見された被災者が28人にものぼっていることを明らかにしている。

 《「心肺停止」と「死亡」の違い》違いがわかる事典)によると、心肺停止とは心臓と呼吸(肺の動き)が停止した状態を言うが、心臓マッサージやAED(自動体外式除細動器)、人工呼吸などで蘇生する場合があるものの、心臓が停止し、脳に血液が行かなくなると、4~5分程度で脳は回復不可能な障害を受ける関係から、その間に迅速な救命措置を受ける機会を失うと、死に至ることになると解説している。

 但し日本では、心肺停止(心停止と呼吸停止)のほかに、脈拍停止と瞳孔散大の4つを確認し、医師が死亡を宣言しなければ「死亡」とはならず、医師以外の者が死亡を宣言することはできないと言うことだから、誰が見ても明らかに死亡していると分かっていても、医師の死亡宣言待ちの死者であって、そのような死者を心肺停止という状態に置いていることになる。

 このことを裏返すと、28人の心肺停止者は、例え残酷な言い方ではあっても、心肺停止で発見された時点で、あるいは心肺停止で発見されてから5分も経過した時点で医師の死亡宣言待ちの死者と見ることができる。

 いずれにしても安倍晋三が言っている「死者は48人、心肺停止の方が28人」は(「非常災害対策本部会議」開催前の7月7日22時52分の時点で「NHK NEWS WEB」記事は、「51人死亡、3人重体、48人安否不明」と伝え、今朝8月9日のNHKニュースでは、「88人死亡、4人重体、58人不明」と伝えていた)自然の猛威に直撃された人的被害であって、猛威の直撃に対して政治は為す術もなく、無力であることの証明でもある。

 安倍晋三が「多数いらっしゃいます」と言い、NHKニュース「58人」と伝えている安否不明者にしても、近親者は最後の最後まで無事を祈ることになるだろうが、大雨による山崩れや土石流の直撃を受けて家が崩壊し、土砂や泥水と共に建物内に身動きできない状態で閉じ込められた場合、あるいは直接山崩れや土石流の直撃を受けるか、大水に飲み込まれて流された場合、土砂・泥水が呼吸困難状態をつくることになって救出の可能性を極端に小さくし、逆に死亡状態で発見される可能性が大きくする現実から、そのうち死者の数に入れられることになることも、自然の猛威の直撃に政治が為す術もなく、無力であることの例に洩れない。

 また、安倍政権は防災・減災をあれ程言いながら、自然の猛威を振るうに任せざるを得ない点でも、政治の無力を証明して有り余る。

 結果、当座の間政治が精々できることは自然の猛威が去ったあとのその直撃を避けることができた「被災者の支援」ぐらいとなる。だから、安倍晋三にしても、「浸水の恐怖の下で、孤立して救助を求めている」猛威の直撃を避けることができた生存者に対する「救命救助」しか、やることとして残されていない。

 当然、行政府の長として安倍晋三は自然の猛威に対して政治は為す術もなく、無力であることを誰よりも弁え、謙虚な気持で自然災害に対峙し、生死の別なく、国民の一人ひとりである被害者と向き合う責任を有していることになる。

 ところが、自然の猛威に対する政治の無力ゆえに残されている「被災者の支援」はどの災害でも、これまでも様々な局面で何らかの手落ちがあって、満足に政治の責任を果たしているとは言えない。当然、この点についても、謙虚な気持で万全を期す対応を指示しなければならない。

 安倍晋三は、「救命救助、避難は時間との戦いです」と言い、「先手先手で被災者の支援に当たってください」と言っている。確かに被災者支援に関しては「時間との戦い」も、「先手先手」も、必要な対応事項ではあるものの、既に死者と安否不明者が100人近くにも達している自然災害そのものに関しては「時間との戦い」も、「先手先手」も政治の無力ゆえに何の役にも立っていなかったし、何ら出番を与えることもできなかったのだから、これらのことと、各災害で繰返すことになってきた被災者支援の不完全性への用心との兼ね合いで、そうすれば何ら手落ちは生じることはないといった完璧性へのニュアンスを窺わせる言葉ではなく、「被災者の希望に応えることができるよう、手落ちなく慎重に事に当たって頂きたい」ぐらいに言葉のトーンを抑えるべきだったろう。

 完璧性を約束できるわけでもないのに言葉にそのニュアンスを持たせるのは聞こえの良さを狙っているからに他ならない。安倍晋三がよく使う手だが、聞こえの良さで自身の有能さをひけらかそうとする。

 死者・生者関係なしに被災者に親身であったなら、言葉の使い方で有能さを見せようなどといった謙虚さとは正反対の不届きな気持は起こらない。誤魔化しの弁舌の達者な政治家が気づかずに陥る自らが拵えた罠といったところだろう。

 大体が重大な土砂災害や浸水災害が発生する怖れが著しく大きい状況が予想される大雨特別警報が岡山県下に発令されたのは2018年7月6日午後19時39分。それまで大雨注意報や洪水注意報が断続的に発令され、大雨警報に続いて大雨特別警報となった。

 広島県に大雨特別警報が発令されたのが2018年7月6日午後19時40分。広島県もその前に洪水警報や洪水注意報、大雨注意報が断続的に発令されていた。「NHK NEWS WEB」 記事が次々と死者が出たことを次々に伝え始めたのは、調べた限り、7月7日の夕方からである。広島県と岡山に大雨特別警報が発令されたのは7月6日20時近く。安倍政権が「非常災害対策本部」を設置したのが7月7日の内にではなく、丸々一日置いた7月8日午前8時。

 この点を取っても、自然の猛威に対する畏れ多さや謙虚さは窺うことはできない。安倍晋三が災害が起きるたびに使う「国民に寄り添う姿勢」にしても、同じ性根から出ている聞こえの良さを狙った言葉に過ぎないのだろう。自身の有能さをひけらかすことだけが長けている。 

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安倍晋三と加計孝太郎との2015年2月25日の面会は事実であることの決定的な状況証拠の提示

2018-07-06 11:52:25 | 政治
 安倍晋三:従軍慰安婦強制連行否定2007年3月16日閣議決定

「政府が発見した資料の中には、軍や官憲がいわゆる強制連行を
直接示すような記述も見当たらなかった」
とする
“政府発見資料”とは如何なる資料か、公表すべき

 中村時広愛媛県知事が参議院の要請に基づいて2018年5月21日に提出した加計学園獣医学部認可に安倍晋三が不正に関与したのではないかとの疑惑が持ち上がっている、その経緯の一端を記しているとされる、いわゆる「愛媛県新文書」のうち、2015年2月25日に安倍晋三と加計学園理事長加計孝太郎が面会して、安倍晋三自身は加計孝太郎と獣医学部新設について話し合ったことはないとしているのに対して話し合ったことが記載されている1枚を読み直し、尚且その面会を安倍晋三側・加計学園側が共に否定している発言等を振返って、改めて面会が事実であったのかどうかを考えてみることにした。

 先ず「愛媛県新文書」のうち、面会の事実が記されている1枚を見てみる。文書上端右側に「17」の数字が入っている。

 「報告」     

 「獣医師養成系大学の設置に係る加計学園関係者
  等との打ち合わせ会について」
                   27.3
                   地域政策課

1 加計学園から、理事長と安倍首相との面談結果等について報告
 したいとの申し出があり、3月3日、同学園関係者と県との間で打
 ち合わせ会を行った。

2 加計学園からの報告等は、次のとおり。

①2/25に 理事長が首相と面談(15分程度)。理事長から、獣医師
  養成系大学空白地帯の四国の今治市に設置予定の獣医学部では、
  国際水準の獣医学教育を目指すことなどを説明。首相からは「そ
  ういう新しい獣医学大学の考えはいいね。」とのコメントあり。
また、柳瀬首相秘書官から、改めて資料を提出するよう指示が
  あったので、早急に資料を調整し、提出する予定。
 
②下村文科大臣が一歩引いたスタンスになっており、県において
  も、官邸への働きかけを非公式で実施いただけないかとの要望
  があったが、政治的な動きが難しい旨回答。
③検討中の大学付属施設(高度総合検査センター等)の設置には、
多額の費用が必要であるが、施設設置に伴う国からの補助がな
  い中、一私学では困難であるので、国の支援が可能となる方策
  の検討を含め、県・市の財政支援をお願いしたい。

  なお、3月4日には、同学園と今治市長が面会し、ほぼ同内容
  の説明があった。
  
3 おって、3/3に開催された国家戦略特区諮問会議では、特区法
 改正案に盛り込む追加規制緩和案が決定されたが、新潟市の国家
 戦略特区(獣医学部設置に係る規制緩和)は、含まれていない。
 今後、26年度までに出される構造改革特区提案(愛媛県・今治
 市)に対する回答と合わせて、国家戦略特区の結論も出される模
 様。

4 ついては、加計学園の具体的な大学校構想が示されたことから、
特区提案の動向を踏まえ、今後の対応方針について、今治市とし
っかりと協議を進めていきたい。

 この文書に記載されている内容の一つは2015年2月25日の安倍晋三と加計孝太郎との面談結果について報告したいとの加計学園側からの申し出によって愛媛県が2015年3月3日に加計学園側との間で打ち合わせ会を行ったというものである。

 その打ち合わせ会で愛媛県は加計学園側から安倍晋三と加計孝太郎との15分程度の面談内容についての報告を受け、〈 また、柳瀬首相秘書官から、改めて資料を提出するよう指示があったので、早急に資料を調整し、提出する予定。〉だということを加計学園は愛媛県側に説明した。

 と言うことは、首相秘書官柳瀬唯夫は安倍晋三と加計孝太郎の2015年2月25日の面会に同席していたことになる。愛媛県が自らの文書を参議院に提出した2018年5月21日から11日前の2018年5月10日の衆院予算委員会柳瀬唯夫参考人招致で柳瀬唯夫は立憲民主党の長妻昭の質問に対して首相官邸での加計学園関係者との面会の日付と回数について発言している。

 柳瀬唯夫「総理に御一緒した際に、加計学園の方とお会いしたことがございました。その後、2015年の2月から3月頃に一度、官邸にアポイントをとって来られましたので、そのときにお話を伺いました。そして、同じ2015年年4月に、今話題になってございます面会させていただきました。それでその後、今治市が戦略特区の提案を出すということをお話しに一度来られたという記憶がございます」

 長妻昭「そうすると、2015年4月2日以降は、今治市と加計学園に一度しか会っていないということですか」

 柳瀬唯夫「官邸でお会いした3回は覚えてございます。それ以外はちょっと覚えが、官邸でお会いした覚えは、それ以外はございません」・・・・・

 首相官邸で「2015年の2月から3月頃に一度」と「2015年年4月(2日)」に一度、そして「2015年年4月(2日)」以降、一度の計3回、首相官邸で加計学園関係者と面会した。

 2015年2月25日の安倍晋三と加計孝太郎の面会を記した文書を愛媛県が2018年5月21日に参議院に提出する前の参考人招致だから、2015年2月25日と日付を特定した遣り取りはなかったが、「2015年の2月から3月頃に一度」面会しているとしているのは愛媛県文書の一枚に「平成27年3月24日→同日には首相官邸に出張していません」との記載があることから、その日に訪問したのは加計学園関係者と今治市に限られていたのか、あるいは今治市も除いて加計学園のみの訪問かいずれかであって、2015年4月2日の首相官邸訪問の際の柳瀬唯夫との面会を記した別の文書には、〈《藤原地方創生推進室次長の主な発言(内閣府)11:30》 加計学園からは3月24日に1度話しは聞いている〉との文言があることからすると、柳瀬唯夫が「2月から3月頃」と記憶を曖昧にしているのは2017年7月24日衆院予算委、翌7月25日参院予算委それぞれの参考人招致で不都合な事実については「記憶にありません」、あるいは「はっきりと覚えていないのですが」と明確な答弁を避けてきたことに一貫性を与えるために2018年5月10日午前衆院予算委、午後参院予算委の参考人招致でも適宜利用した記憶の曖昧さであると同時にそのことに便乗して「2月から3月頃」という文言で、2015年2月25日の首相官邸での安倍晋三と加計孝太郎との面会を隠して3月24日の面会一回のみする誤魔化しを働かせた可能性は疑うことができる。

 もし2015年2月25日の面会が事実であるなら、柳瀬唯夫が首相秘書官として同席していたと考えるのは順当であろう。

 柳瀬唯夫は両者の面会に同席していて、加計学園獣医学部新設について何らかの話がついたから、加計孝太郎に同伴していた加計学園側関係者に「改めて資料を提出するよう指示」した。

 この「改めて」という言葉の意味は、ブログで一度書いているが、以前一度出したが再びという意味ではなく、構造改革特区で出しているが、国家戦略特区で行うからという意味での「改めて」の提出指示ということなのだろう。

 もし面会が事実でないなら、いわばニセ面会情報であるなら、「柳瀬首相秘書官から、改めて資料を提出するよう指示が あったので、早急に資料を調整し、提出する予定」という付属事項までつける必要はない。つけたのは意味もないただのオマケと化す。

 事実だからこそ、このようなオマケではない付属事項がつくことになる。

 愛媛県新文書が明らかにすることになった安倍晋三と加計孝太郎とのこの2015年2月25日の15分の面会を安倍晋三は国会で否定し、加計学園は中村愛媛県知事が参議院に愛媛県の新文書を提出した5月21日から4日後の5月26日に面談を否定するコメントを発表している。

 〈当時は、獣医学部設置の動きが一時停滞していた時期であり、何らかの打開策を探しておりました。そのような状況の中で、構造改革特区から国家戦略特区を用いた申請に切り替えれば、活路が見いだせるのではないかとの考えから、当時の担当者が実際にはなかった総理と理事長の面会を引き合いに出し、県と(今治)市に誤った情報を与えてしまったように思うとのことでした。〉(一部抜粋)

 要するに国家戦略特区を用いた加計学園獣医学部新設・認可に「活路」を見い出すために「実際にはなかった総理と理事長の面会」という「誤った情報」を、いわばニセ面会情報を愛媛県と今治市に吹き込んだものだということになる。

 加計学園理事長の加計孝太郎自身は2018年6月19日になってやっと記者会見を開き、同じように面会を否定している。そしてニセ面会情報を愛媛県と今治市に吹き込んだことについては、「本人が事を前に進めるために申し上げた」、あるいは「まあ、前に進めるためにやったという事実しか伺っておりませんので、ま、虚偽の発言と言えば虚偽の発言になんだろうと思いますけれども、前に進めるためにあくまでもやったというふに聞いております」と申し開いている。

 加計学園獣医学部新設・認可の「活路」を見い出す意図・目的のもとの、あるいは新設・認可の「事を前に進める」意図・目的のもとの愛媛県と今治市に対するニセ面会情報の吹き込みであったとしても、両自治体共に獣医学部新設許可と認可の権限を何ら握ってはいないのだから、ニセ面会情報の吹き込みは両自治体止まりであったなら、何の意味もないし、何の役にも立たない。
 
 愛媛県や今治市より先の新設許可と認可の権限を握っている関係省庁、あるいはそのような関係省庁に影響力を行使し得る有力政治家に吹き込み、信じ込ませてこそ、ニセ面会情報は意味を持ち、役に立つ可能性が生じる。

 新設許可と認可の権限を握っている関係省庁に影響力を行使し得る第一番の有力政治家は安倍晋三を措いて他に存在しない。安倍晋三と加計孝太郎との面会が事実ではなく、ニセ面会情報であるなら、新設許可と認可の権限を握っている関係省庁に影響力を行使し得る第一番の有力政治家だからと言って、安倍晋三に安倍晋三自身と加計孝太郎のニセ面会情報を吹き込み、信じ込ませたとしたら、奇妙なお笑いが生じる。

 あるいは安倍晋三にニセ面会情報を吹き込むのは不可能だからと言って、首相秘書官である柳瀬唯夫を通して獣医学部新設許可と認可の権限を握っている関係省庁に働きかけるべく安倍晋三と加計孝太郎とのニセ面会情報を柳瀬唯夫に吹き込み、信じ込ませたとしても、首相秘書官である以上、面会したという情報だけでは働きかけの腰を上げることはないはずだ。
 
 なぜなら、首相の指示という第一要件を欠いていることになるからだ。第一要件を満たして正式な役目とするために具体的な考えを仰ぐべく安倍晋三を訪れたときにニセ面会情報は否応もなしに露見することになる。

 と言うことは、安倍晋三と加計孝太郎の面会が事実であるなら尚更、事実でなくても、ニセ面会情報は安倍晋三を含めて首相官邸に対して必要ではないし、通じるだけの効き目は持っていないことになる。

 そうである以上、ニセ面会情報を獣医学部新設許可と認可の権限を何ら握ってはいない愛媛県と今治市にのみ吹き込み、信じ込ませる程度のレベルにとどまらせていたことになって、その意味のなさ・役に立たなさ自体が面会が事実であることの何よりの決定的な状況証拠となり得る。 

 このことを否定するなら、ニセ面会情報を愛媛県と今治市のみに吹き込み、信じ込ませることができたなら、どう「活路」を見い出すことができると考えたのか、あるいはどう「事を前に進める」ことができると考えたのか、具体的に計画していたことを明らかにすべきだろう。

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安倍晋三の「日本の女性就業率は25歳以上の全世代でアメリカを上回った」の相変わらずの自己都合な情報操作

2018-07-05 11:37:45 | 政治
 安倍晋三:従軍慰安婦強制連行否定2007年3月16日閣議決定

「政府が発見した資料の中には、軍や官憲がいわゆる強制連行を
直接示すような記述も見当たらなかった」
とする
“政府発見資料”とは如何なる資料か、公表すべき

 女性の地位向上をテーマにした第64回国際ゾンタ世界大会がパシフィコ横浜で開催され、安倍晋三がビデオメッセージを寄せた。「NHK NEWS WEB」(2018年2018年6月30日 11時52分)

 安倍晋三「安倍内閣は女性政策は日本の未来を切り開く成長戦略だと位置づけ、この5年間取り組んでまいりました。その結果、上場企業に於ける女性役員数は倍増しました。そして一昨年、日本の女性就業率は25歳以上のすべての世代であの米国を上回りました。

 私たちは今、貧困や地球環境などさまざまな課題に直面しており、女性ならではの視点や力はこうした世界的な課題の解決に欠くことができないと確信しています」―― 

 「上場企業に於ける女性役員数は倍増しました」と自慢しているが、どのような「倍増」なのか、具体的な内訳は隠したままである。

 2015年12月25日の「第4次男女共同参画基本計画」で「上場企業役員に占める女性の割合」を2015年2.8%から2020年10%へと目指すことで閣議決定している。つまり5年間で7.2%の増加、各年平均して1.44%ずつの累増を目指している。

 では、実際の5年間の女性役員の割合を見てみる。

 2013年  1.8%
 2014年  2.1%
 2015年  2.8%
 2016年  3.4%
 2017年  3.7%

 確かに2013年1.8%から2017年の5年間で3.7%へと倍増している。この点は真っ正直な情報提示ということになる。但し各年、+0.3→+0.7→+0.6→+0.3の僅かずつの増加であって、5年間を平均すると、毎年0.38%の増加率にとどまっていて、この増加率で2018年から2020年までの3年間をプラスしても、2020年まで10%の半分には満たない4.48%にしか達しないことになる。

 こういった具体的な増加傾向に関わる不都合な情報は隠蔽し、「倍増」という言葉だけを踊らせて、安倍内閣の女性政策がさも成功しているかのように大宣伝する。とてもではないが、こういった自己都合な情報操作は人間が鉄面皮に出来上がっていないとできない。

 「鉄面皮」とは「ツラの皮がまるで鉄でできているように恥知らずで厚かましいこと。厚顔無恥」(goo辞書)を言う。

 「一昨年、日本の女性就業率は25歳以上のすべての世代であの米国を上回りました」と言っていることにしても、どのような就業形態なのか、形態別の比率を比較せずに言うのは自己都合な情報操作以外の何ものでもない。

 「女性議員比率 と社会の幸福度に関する計量分析」長谷川羽衣子&ひとびとの経済政策委員会/2018年1月27日)には次のような記述がある。

 〈列国議会同盟の謁査によると2017年12月1日時点における女性議員比率(一院または下院)の世界平均は23.6%である。日本の女性議員比率はその半分にも満たない10.1%で、OECD最下位、193カ国民中157位という非常に低い水準である。日本の女性議員比率は、初めて女性が国政選挙に参加した1946年に8.4%を記録したものの、それ以降は1996年までの実に53年間、1~3%というあまりにも低い水準に留まっていた。その後は少し増加したものの、現在に至るまでほぼ10%前後で推移しており、内外から問題があると指摘されながらも一向に改善の兆しが見えない。〉――

 日本の女性議員の極端な少なさは言われて久しいが、上場企業に於ける女性役員と同じく上がこのお粗末さでは下はさして自慢できない。

 「平成27年版働く女性の実情(Ⅲ部)」(概要版)厚労省)には次の記述がある。

 〈女性の役員を除く雇用者に占める「正規の職員・従業員」の割合は、昭和60 年(67.9%)から平成27 年(43.7%)までほぼ一貫して低下傾向にあり、「非正規の職員・従業員」の割合は昭和60 年(32.1%)から平成27 年(56.3%)までほぼ一貫して上昇傾向にある。なお、「非正規の職員・従業員」が「正規の職員・従業員」を上回ったのは、平成15 年であった。「非正規の職員・従業員」のうち、「パート・アルバイト」の構成比は昭和60 年の28.5%から平成27 年の44.1%に上昇している。〉

 2015年(平成27)

  「女性正規職員・従業員」43.7%
「女性非正規職員・従業員」56.3%(うち、「パート・アルバイト」44.1%)

 「パート・アルバイト」が女性非正規の約半数近くを占めている。

 正規の割合よりも非正規のそれが上回る形で増加している傾向はさして変わらない。この正規対非正規の就業率を隠して25歳以上の全ての世代での日本の女性就業率がアメリカを上回ったということだけを言い、雇用形態の内訳に関わる情報を隠して自らの女性政策を自慢するのはやはり自己都合な情報操作そのものであろう。

 正規雇用よりも非正規雇用が増えていることを言うと、政権側は決まって不本意非正規雇用は男女合わせて5分の1程度で、5分の4はなりたくてなっている本人希望の非正規だとの理由を挙げて、必ずしも政策的な間違いでないと主張する。

 次の記事から不本意非正規雇用と本人希望の非正規の比率を見てみる。

 「労働力調査(詳細集計)平成29年(2017年)平均(速報)」総務省統計局/2018年2月16日)
  
 現職の雇用形態についた主な理由

 男性(非正規の職員・従業員647 万人)
 「自分の都合のよい時間に働きたいから」 ······· 157 万人(26.6%)と8万人増加
 「正規の職員・従業員の仕事がないから」 ······· 134 万人(22.7%)と,13 万人減少

 女性(非正規の職員・従業員1389 万人)
「自分の都合のよい時間に働きたいから」 ······· 383 万人(29.1%)と,16 万人増加
「家計の補助・学費等を得たいから」 ········· 330 万人(25.0%)と,2万人増加

 但しここで正規と非正規の賃金格差を見ておかなければならない。「正社員・非正社員の賃金差の現状」内閣府)  

 文飾当方。

 〈正社員と非正社員の賃金差等にみられる処遇の違いが大きいことは、我が国の特徴として指摘されてきた。所定内給与額を所定内実労働時間数で除した時給の平均で比較すると、2005年時点では非正社員と正社員の差は1.7 倍、また、所定外給与やボーナスなどの特別給与額を含めた年収全体で時給を比較すると、その差は2倍以上であった。その後、2016年までの10年間で正社員の時給の伸びは1.5%程度であったのに対して非正社員の時給は10%以上上昇した結果、両者の差は縮小したが、2016年時点の非正社員と正社員の差については、所定内給与額ベースで1.5倍、年収ベースで1.8倍程度となっている。

 所定内給与額とは定期給与のうち時間外手当、早朝出勤手当、休日出勤手当、深夜手当等の超過労働分以外の給与を言う。

 時間外手当から深夜手当などまでは当初から格差のある定期給与額よって計算されるから、これらの手当も正規、非正規で格差がつくことになり、全体給与では〈所定内給与額ベースの1.5倍、年収ベースの1.8倍〉以上の格差がつくことになる。

 事実、ネットでは年収で言うと、2倍から2倍以上の格差があると記述されている。

 要するに非正規雇用を選択する理由として「自分の都合のよい時間に働きたいから」、「家計の補助・学費等を得たいから」は男女共に賃金格差を承知していて、そのような格差のある少ない収入(=自分が就いている非正規の職業の給与)で十分に生活を送ることができる人々だということである。

 どのような人々かと言うと、既婚者で、夫の収入がそれなりにあって、あるいは妻の収入がそれなりにあって、妻、あるいは夫が自分が自由に使うことができる小遣い稼ぎか、あるいは女性の場合は非正規選択の後者の理由、「家計の補助・学費等」の足しにするため、あるいは主婦か主夫の立場にあるが、趣味に十分なカネをかけることができる程には伴侶に収入がなく、何もしないのは時間を持て余してしまうから、趣味に使う程度のカネを稼ぐといった人々か、親の収入からだけでは学費を十分に賄うことができなくて、学費や生活費の足しにアルバイトに出る大学生といった人々であろう。

 あるいは何らかの大きな志を持っていて、その志を実現するための時間を大切にするために一定の職業には就かずにアルバイトで日々の生活を凌いでいるといった人々も入るだろう。

 大まかに言って、この最後の例を除いて、他の人々は自分以外の誰かによってある程度生活が守られている環境にある。

 だとしても、非正規雇用にはそのような人々が多く含まれているからと言って、非正規の増加を情状酌量することはできない。なぜなら、「正規の職員・従業員の仕事がないから」という不本意非正規雇用者が依然として134 万人も存在していて、しかも正規社員と同じ様な仕事していながら、賃金に大きな格差があることは無視できないからだ。

 そしてこういった不都合な情報は隠蔽したまま、「一昨年、日本の女性就業率は25歳以上のすべての世代であの米国を上回りました」と都合のいい情報だけを手の内のカードとして見せ、暗に安倍内閣の女性政策がさも成功しているかのような場面を手練れのマジシャンか何かのように目の前に描いて見せる相変わらずの自己都合な情報操作だけは得意ときている。

 NHKの6月の世論調査で内閣支持率は38%、不支持率は44%と不支持が6ポイント上回り、不支持の理由として「人柄が信頼できないから」が54%とダントツで1位を占めたが、森友・加計疑惑だけではなく、鉄面皮にも自己都合な情報だけで政策宣伝に務める人柄の信用なさ・胡散臭さも「信頼できない」の中に入っていなければならない。

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安倍晋三の「前川次官も含めて私から指示を受けた人は誰もいない」の詭弁をいつまでも野放しにする野党の面々

2018-07-03 11:50:35 | 政治
 安倍晋三:従軍慰安婦強制連行否定2007年3月16日閣議決定

「政府が発見した資料の中には、軍や官憲がいわゆる強制連行を
直接示すような記述も見当たらなかった」
とする
“政府発見資料”とは如何なる資料か、公表すべき

 以前も、いつだったか、同じようなテーマのブログを書いたが、依然として安倍晋三の詭弁を野放し状態にしているから、再び書くことにした。文飾は当方。

 2018年6月25日参議院予算委員会 国民民主党浜口誠

  浜口誠「それでは次に移ります。森友・加計を始めとする問題に移らせて頂きます。その前にですね、あのー、先週新聞で河村衆議院の予算委員会の委員長と総理が会食されたとき、もう集中審議やめて欲しいと、こんなご発言があったと。まあ、その後、訂正の記事が出てますけども、勘弁して欲しいと。もう集中審議、勘弁してほしいと。

 この事実、そういう会話があったのか、まず聞きたいと思います」

 安倍晋三「あの、河村衆議院予算委員長はですね、当該発言はその後撤回したと承知しておりますが、何れにせよ私はそのような発言をした事実はございません。

 まあ、政府としては国会からの求めがあれば、誠実に審議に対応すべきことは当然と考えておりますし、今日もですね、丁寧に答弁をさせて頂きたいと、このような思いのもとに今ここに立たせて頂いているところございます」

 浜口誠「まあ、火のないところには煙は立ちませんから、総理、正直が一番。正直が一番ですよ。それがないと、国民皆さんの信頼回復が至りませんから。もう一度正直が一番だということを申し上げておきたい思います。

 で、この前ですね、先週加計学園の加計理事長、記者会見、行われました。で、色々一連のですね。総理との面会があったのかなったのか。あるいは愛媛県への報告が嘘だったのかどうか、これらについての記者会見が行われました。25分、短い記者会見でしたけども、この記者会見を以って加計理事長の説明責任は果たされたと、総理はお考えですか。どう捉えていますか」

 安倍晋三「あの、先ずですね、今回の加計学園による記者会見は加計学園と愛媛県や今治市との遣り取りに関して行われたものであり、そもそも政府としてその内容は評価についてコメントする立場には、ございません。

 いずれにしても繰返し答弁してるとおり、私はご指摘の平成27年2月25日に加計理事長とお会いしたことはないわけでありまして、総理大臣については官邸に於いても、自宅に於いても、いつも(マスコミの)みなさんが出入りしている人の名前は逐一確認しているところであり、その動静、首相動静にも載っておらず、自宅も含めてお会いしていないということでございまして、いずれにせよ、私はコメントする立場にはないと言うことでございます」

 浜口誠「まあ、今日の日経新聞にですね、世論調査にも総理とですね、加計理事長が2015年4月、2月25日の会っていないということのですね、そういった説明について全く納得していないという方が7割もいますよ。まだ、まだ国民の皆さんも、やっぱり納得していないですよ。本当かなあと、嘘を言っているんじゃないかと、どちらかが。ま、こういうのがですね、国民の素直な受け止めだということは改めて申し上げておきたいというふうに思います。

 その上で加計理事長の記者会見で安倍総理のこれまでの発言等と食い違いがあるんですよ。総理、昨年の4月の24日、衆議院予算委員会の席上で加計理事長から新しい学部・学科の新設に挑戦していきたいと、こういった趣旨のお話は聞いたことありますと申し上げておられますけども、一方で、この前の加計理事長の会見では獣医学部に対しては総理に話したことはないと。

 これ食い違ってます。全然矛盾してます。このことだけを取っても、加計理事長に国会に来て頂いて、きちんと説明を、話をして頂く必要があると思います。委員長、是非加計理事長、この国会に証人喚問としてお呼びすることを求めたいと思います」

 委員長「えー、後刻理事会で協議をさせて頂きます」

 浜口誠「その上で総理として加計理事長、同じようにですね、今私証人喚問求めましたが、この国会に来て頂く必要があると思われていますよね。思われてるのか、思われてないのか、国会が判断することですから答えられません。それはやめてください。思われてるのか、思われてないのか。そのどちらかで答えてください」

 安倍晋三「あの、要はですね、行政プロセスに対して、まあ、不正があったのかどうか、ということでございました。それについてはですね、えー、前川次官も含めて、私から指示を受けた人は誰もいないわけでございまし、そして民間議員もですね、えー、一点の曇りもないということは明確に述べておられるとおりでありまして、行政のプロセス自体には全く問題がなかったことは明確ではないかと、このように考えているところでございます。

 その上で、まあ、証人喚問等についてはですね、私は今行政府の長として行政を代表する者として立っているわけでございますので、委員会、また国会の上に於いては国会で自主的にお決めになることだと、このように考えております」

 浜口誠「やー、総理、いつもそれでですね、話がはぐらかされてしまうんですけども、本当に膿を出すと言われてるんであれば、全容解明に向けてですね、しっかりやっていくということを言われてるんであれば、これはしっかりとこの場に来て貰いたいということを総理の口からちゃんと言って頂く必要があると思いますよ。

 じゃあ、改めて聞きます。じゃあ、総理が言っている膿を出すということはどういうことなんですか。何回も繰り返し膿を出していきたいと言ってますけども、具体的にどういう状況になれば、膿を出し切ったということになるのか。分かりやすく国民の皆さんに説明してください」

 安倍晋三(原稿読み)「えーまあ、行政を巡る様々な問題について国民のみなさんの信頼を揺るがす事態になっていることに対して国民の皆様に深くお詫びを申し上げたいと思います。

 各々の事案についてはどこに問題があったのかを徹底的に解明し、そして二度とこのような問題が起こらないように再発防止に全力を傾注すると、これが膿を出してることであります。

 で、公文書の改竄については先日財務省に於ける調査結果を発表したところでありますが、何よりも職員のコンプライアンスに対する意識を変えていかなければなりません。同時に電子化などを通じて公文書の適正な管理を徹底して参ります。国民の皆様に疑念を与えた結果となったことについては深く反省し、襟を正し、今後とも誠実に説明責任を果たして参りたいと考えております」

 浜口誠「国民の皆さんにどこまで伝わったかよく分かりませんけど、嘘偽りは墓場まで持っていくってことは許されませんから。このことは最後に申し上げて、質問を終わります」(時間切れ)

 浜口誠が加計問題追及の場面に移って最初に取り上げた河村衆議院予算委員長の発言など、どうとでも修正可能なのだから、取り上げること自体、時間のムダというものだろう。

 「産経ニュース」は次のように伝えている。

 安倍晋三首相と党幹部らの会合が6月21日、東京都内で開かれ、同席していた河村建夫が会合終了後に「(安倍晋三が)『予算委員会お手柔らかに。集中審議は勘弁してくれ』って言うから(私が)『なかなかそうはいかないでしょう』と言った」と記者たちに発言。

 だが、翌日、「(『勘弁』との)発言はなかった。もし言い方がそう取れたとしたら間違いだ」と前夜の説明を訂正したという。

 安倍晋三が会合で「集中審議は勘弁してくれ」と言わないのに会合終了直後に河村建夫がわざわざ付け加えるのは考えにくい。言わなかったから、訂正した自発的なものではなく、「膿を出す」、あるいは「丁寧な説明を尽くす」と言っていた手前、国会で新たな追及のネタとされ、さらには内閣支持率を下げる不評価を避けるために安倍晋三が河村建夫に指示を出した訂正の可能性が高い。

 だが、事実か否かを知っている二人が連携して否定した場合は手も足も出ない。他の会合出席者も同調するのは目に見えている。意味もない追及に過ぎない。

 浜口誠は「総理、正直が一番。正直が一番ですよ」と正直さを求めているが、詭弁・強弁・意味のない答弁・無関係な答弁を得意とし、総理大臣席からヤジを飛ばすくせに野党議員がヤジを飛ばすと、「ここは大事なところですから、少し静かにして頂けませんか」と自身はヤジに無関係な政治家を装うことができる狡猾な安倍晋三に正直さを求めてどうするというのだろう

 加計孝太郎が2018年6月19日に記者会見を行って、愛媛県文書に記載のあった2015年2月25日の安倍晋三との面会を否定した。この記者会見を以って「加計孝太郎は説明責任は果たしたと考えているのか」と浜口誠が問い質したのに対して安倍晋三は、「総理大臣については官邸に於いても、自宅に於いても、いつも(マスコミの)みなさんが出入りしている人の名前は逐一確認しているところであり、その動静、首相動静にも載っておらず、自宅も含めてお会いしていない」と2015年2月25日の面会を否定している。

 首相動静に載っていないことを面会否定の根拠とするこの言い抜けは何回も国会答弁に使っている。次もかなり前にブログで取り上げたが、2018年5月22日のTBS「ひるおび!」で民主党菅内閣で総務大臣を務めていた片山善博が首相官邸エントランスで安倍晋三を待ち構えているマスコミの目に触れずに官邸や公邸にできるできる「脇道」があること、総理の執務室への入室にしても、記者クラブに通じているモニターに映らずにそれが可能となる通路が存在すること、自身もマスコミに気づかれずに利用していたこと、いわば首相動静が訪問者チェックに100%完璧ではないことを素っ破抜いていた。

 2018年5月28日の参院予算委員会で立憲民主党の福山哲郎よりも先に質問に立った野党議員に対して安倍晋三は首相動静を使って加計孝太郎との面会を否定、福山哲郎の番となった。

 福山哲郎「総理、2月の25日前後、電話で、加計理事長とこの件で電話で話をされた可能性はありますか。若しくは電話で、総理はこのことは話さないと言われていたかもしれませんが、電話でやられた、何か会話をされた記憶はございますか」

 安倍晋三「まず、加計理事長とは獣医学部新設について話はしたことはございません。話をしていないと言っているわけでございますから、電話でもないということでございます。

 一方、じゃ、その近辺に電話で話したかどうかということでございますが、これ電話で、3年前に友人と電話で話したかどうかということについては、これ正確にお答えすることはできません」

 福山哲郎「つまり、これ、面会も(前の質問に対して)首相動静で否定をされているだけ、電話は否定をされていない。私も官房副長官で官邸におりました。首相動静になくても面会することは可能です。首相の公邸に行くことも可能です。あらゆる可能性がありますが、そのことについては明確に反論されていませんので、このことについては、最後の最後まで面会は100%は否定できないと私は考えています」

 自身の官房副長官という経歴から、首相動静が訪問者チェックに100%完璧ではないことを言いながら、「首相動静は面会否定の根拠とすることはできません」と言い放つのではなく、愛媛県と今治市職員、加計学園事務局長が2015年4月2日に首相官邸で面会した柳瀬唯夫首相秘書官の、愛媛県文書に記載のそのときの言動へと質問を変えている。

 結果として性懲りもなく首相動静を面会否定の根拠とすることを安倍晋三に許すことになっている。 浜口誠にしても秘書が伊達についているわけではないのだから、首相動静が面会否定の根拠となるのかどうかの情報を集める指示ぐらいは出すべきだろう。でなければ、いつまで経っても同じ質問、同じ答弁の繰返しを続けることになる。

 浜口誠から加計理事長の国会証人喚問は必要かどうかを尋ねられて、安倍晋三はこれまた何度も国会答弁で使っていて常套句となっている答弁で切り抜けている。

 「前川次官も含めて、私から指示を受けた人は誰もいないわけでございまし、そして民間議員もですね、えー、一点の曇りもないということは明確に述べておられるとおりでありまして、行政のプロセス自体には全く問題がなかったことは明確ではないかと、このように考えているところでございます」

 これまた以前にブログに書いたことだが、前川前次官が安倍晋三のこの「私から指示を受けた人は誰もいない」の中の一人とされていることの正体が明らかになる答弁を2017年7月24日の衆院予算委員会閉会中審査で参考人招致された立場で行っている。

 前川喜平前文部科学事務次官「この今治市における加計学園の獣医学部の新設の問題につきましては、文部科学省は基本的には内閣府からさまざまな指示を受けていたということでございますので、その結果はペーパーに残っておりまして、その中に、『官邸の最高レベルの言っていること』、あるいは、『総理の御意向と聞いている』、こういう文言があることは御承知のとおりでございます。

 私は、これは事実であるというふうに思っておりますし、そのように恐らくは内閣府の藤原当時の審議官がおっしゃったのであろう。その先のことは、これは分かりません。藤原さんが誰からそれを聞いたのか、それは分かりません。

 私自身は、総理から直接伺ってはおりませんが、しかし、9月9日と記憶しておりますけれども、和泉総理補佐官から、国家戦略特区における獣医学部の新設について文部科学省の対応を早く進めろ、こういう指示をいただきまして、その際に、総理は自分の口からは言えないから代わって私が言うんだ、こういうお話がございました。

 これにつきましては、私は、総理は御自身では言えないのだというふうに思いましたので、そのことについて総理にお伺いするということは考えてもみなかったわけであります」――
 
 要するに前川前次官は和泉洋人を通して安倍晋三から指示を受けた。対して安倍晋三は指示は「総理から直接伺ってはいない」との前川喜平前次官の発言のみを利用して、「前川次官も含めて、私から指示を受けた人は誰もいないわけでございます」と拡大解釈させて行政プロセス正当性の根拠に狡猾にも利用している。

 同じ日に参考人招致された和泉洋人は勿論のこと、「そう言った記憶が全く残っておりません」と否定している。だが、これは利害を一致させている仲間、あるいは一味の証言と見るべきで、その証拠能力は限りなく疑わしい。

 逆に仲間、あるいは一味ではない前川前次官の証言にこそ証拠能力を置くべきだろう。

 浜口誠は安倍晋三が前川前次官の発言を利用して加計学園獣医学部認可に関わる行政プロセスの正当性を言い立てたのに対して、「やー、総理、いつもそれでですね、話がはぐらかされてしまうんですけども」といった他愛もない反応を示すのではなく、「前川前次官は和泉洋人総理補佐官を通して首相の指示を受けたと参考人招致で発言をしています」ぐらいは言うべきだったろう。

 例え安倍晋三が和泉洋人がそのことについて同じ参考人招致の国会で「記憶にないと否定している」と言い返したとしても、仲間か仲間ではないか、一味か一味ではないかで証拠能力に差があることぐらいは突きつけるべきだったろう。

 2018年5月28日の参院予算委員会でも共産党の小池晃が2015年2月25日の安倍晋三と加計孝太郎の面会を尋ねたのに対して安倍晋三は前川前次官の発言を行政プロセス正当性の訴えに利用している。

 安倍晋三「そこで、小池委員、大切なことは、ではプロセスに問題があったかどうかということについて言えば、これは、プロセスについては、八田座長が参考人として述べられているように、プロセスには一点の曇りもないということを言われていて、そして、私からですね、私から、前川次官も含めて私から直接依頼や指示を受けた人は誰もいないということは明らかになっていると、このように思います。

 小池晃「これが今話題の御飯論法というやつですよ。全くすり替えてまともに答えようとしないわけですね。

 プロセス、プロセスとおっしゃるけど、八田座長が言ったのは、国家戦略特区諮問会議のワーキンググループに入ってきたその段階でのプロセスでしょう。これ、今私言ったのはその前段階じゃないですか、全て。その前段階でこれだけ、結局まあ総理自身が関わっていることについては全く説明ができないという中身なんですよ」
 
 小池晃は結果的に前川前次官の発言を行政プロセス正当性の訴えに利用しまくりの安倍晋三の常套句を次の次に質問に立った自由党共同代表の山本太郎のところまでバトンタッチさせることになった。

 山本太郎「委員長、安倍総理、加計孝太郎理事長、渡邉加計学園事務局長、柳瀬元秘書官、藤原元次長、和泉首相補佐官、前川喜平元次官、愛媛県の中村知事、一度に証人喚問してください」

 金子原二郎委員長「後刻理事会で協議をさせていただきます」

 山本太郎「いやいや、現役の総理でも証人喚問で呼べないという理由はないと思いますので。総理、この問題早く決着付けるためにも、この証人喚問が実現するように是非与党側の背中を押していただきたいんですけど、お願いできますか。如何でしょう」

 安倍晋三「この獣医学部の新設については、もう再々申し上げておりますように、プロセスについてはこれはまさに民間議員の皆さんが議論をして進めていくわけでございます。そして、どこにするかということについても、地域を認定していくためのこのプロジェクトチームがこれ議論をしていくわけでございますし、それは既にオープンになっていて、一点の曇りもないということは明確になっているわけでございます。私から指示や依頼を受けたことはないということは、前川前次官も含めてこれはもう明らかになっているんだろうと、こう思う次第でございます。

 まあ獣医師会等の相当強固な抵抗があったわけでございますが、開学された獣医学、開校された獣医学部は16倍の倍率で既にこれスタートしているわけでありまして、学生の皆さんも真摯に今勉強をしているんだろうなと、こう想像しているところでございます。

 いずれにいたしましても、委員会等を設置する等、またこういう証人喚問等については、これはまさに院がお決めになることだろうと、このように思っております」

 山本太郎「すぐには答えずに縷々御説明いただきましたが、最終的には国会がお決めいただくことだというふうに最後に御説明いただいたと思います、国会が判断するってね。

 これ、逃げないでいただきたいんですよ。一点の曇りもなければどうしてここまで引っ張られる話なんですかってことなんですよ。ワーキンググループの議事要旨の中にも、いてたはずの加計学園がいなくなったりとかするわけでしょう、そういうルールだからってことで。一点の曇りもないどころか、曇りしか見えないからこれだけ問題になっているわけなんですね。

 是非、与党側にこの証人喚問、全員をいっときにやるという証人喚問をやるように背中を押していただきたい、指示していただきたいんですよ。でも、それは国会がお決めになることだというふうに逃げないでいただきたい」――

 行政プロセス正当性の常套句を一撃のもとに破裂させるのではなく、その命を永らえさせ続けている。多分、こういった状況に前川前事務次官自身が業を煮やしたのだろう、安倍晋三が「前川次官も含めて、私から指示を受けた人は誰もいない」と言っていることに対して自身の事実認識に反するから、いわば行政プロセス正当性の根拠に利用しないでくれと2018年5月15日に弁護士を通じてコメントを出している。

 それは2017年7月24日の衆院予算委員参考人招致で答弁したのとほぼ同じ内容の、総理補佐官の和泉洋人を通して安倍晋三から指示を受けたといった趣旨となっている。

 前川前次官が弁護士を通じてコメントを出したのは2018年5月15日。共産党の小池晃も自由党の山本太郎も、安倍晋三の前川前次官の発言を利用した行政プロセス正当性の常套句を罷り通らせたのは2018年5月28日の参院予算委員会。なぜ前川前次官の抗議を用いて一矢を報いることぐらいのことはしなかったのだろうか。

 その情報を手に入れていなかったのだろうか。

 加計学園が愛媛県文書に記載されている2015年2月25日の安倍晋三と加計孝太郎の面会を否定するコメントを2018年5月26日に出した。

 「構造改革特区から国家戦略特区を用いた申請に切り替えれば、活路が見いだせるのではないかとの考えから、当時の担当者が実際にはなかった総理と理事長の面会を引き合いに出し、県と(今治)市に誤った情報を与えてしまった」

 要するに獣医学部新設と認可に向けた活路を見い出す意図と目的を持って愛媛県と今治市に安倍晋三と加計孝太郎とのニセ面会情報を吹き込んだ。

 加計孝太郎が記者会見を開いて、同じく安倍晋三との面会を否定したのは2018年6月19日。そこで、「事を前に進めようとして言ったんだということの報告は受けております」と発言している。

 但し愛媛県にしても今治市にしても、獣医学部新設許可と認可の権限を握ってはいない。それらの権限を握っている関係省庁やあるいはそのような関係省庁に影響力を行使し得る有力政治家に加計学園と同じく、獣医学部新設許可と認可のお願いをする側であって、当然、お願いをする側の愛媛県と今治市にニセ面会情報を吹き込んだだけでは何の役にも立たないし、何の意味もない。お願いをされる側にまで吹き込まなければ、「活路を見い出す」ことにもならないし、「事を前に進める」ことにもならない。

 このお願いをする側・お願いをされる側の関係は2015年4月2日の首相官邸訪問に於ける首相秘書官柳瀬唯夫と愛媛県・今治市、加計学園の関係に如実に証明することになる。

 以上のことから導き出すことのできる答は唯一つ、ニセ面会情報を愛媛県と今治市に吹き込んだのは加計学園事務局長渡邉良人だから、この男を加計孝太郎共々国会証人喚問に立たせて、「ニセ面会情報を愛媛県と今治市に吹き込むことがなぜ活路を見い出すことになると考えたのか、事を前に進めることになると考えたのか」を問い質さなければならない。

 最初に取り上げた国民民主党浜口誠の質疑は加計孝太郎の記者会見後でありながら、加計孝太郎の記者会見発言の一部が安倍晋三の国会答弁と食い違っているという理由だけで国会証人喚問を求めるのは策があるとは言えない。その点を追及したとしても、口裏合わせをされて巧妙・狡猾に言い抜けられて終わることになるに違いない。

 少なくとも安倍晋三の「前川次官も含めて私から指示を受けた人は誰もいない」の詭弁をいつまでも野放しにさせずに、そろそろ引っ込めさせて欲しい。

 首相動静を使った面会否定もいつまでも使わせるべきではないだろう。

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6月27日対大塚耕平党首討論:安倍晋三の新外国人受け入れ政策が日本人社員の賃金に影響しないは体のいい奇麗事

2018-07-02 11:14:57 | 政治
 安倍晋三:従軍慰安婦強制連行否定2007年3月16日閣議決定

「政府が発見した資料の中には、軍や官憲がいわゆる強制連行を
直接示すような記述も見当たらなかった」
とする
“政府発見資料”とは如何なる資料か、公表すべき

 2018年6月27日の党首討論で国民民主党共同代表大塚耕平と安倍晋三との間の党首討論で2018年6月15日閣議決定の「経済財政運営と改革の基本方針2018」、いわゆる「骨太の方針2018」の政策項目の内の「新たな外国人材の受入れ」について議論が行われた。

 「党首討論詳報」産経ニュース/2018.6.27 17:24)

 大塚耕平「今日は骨太の方針についておうかがいをしたいと思います。今月、閣議決定されました。非常に大事なことがいくつも含まれております。一つは外国人労働者の本格的受入れであります。もちろん私たちも外国人労働者がいないと成り立たない中小企業や産業が増えていることは理解しておりますので、外国の方を受け入れて、多様性のある社会を目指す。この方向性については共有したいと思います。
 しかし、今回の骨太の方針、ちょっと拙速感が否めないかなというふうに思います。外国人労働者の増加が国内の労働者に与える影響とか、あるいは社会保障制度に与える影響、こういうことをじっくり検討した上で踏み切るべきだと思います。総理もよくご承知の通り、技能実習生は今国内に26万人、この技能実習生を含んで127万人の外国人労働者。しかし、これは統計上の話で、もっとたくさんいらっしゃると思います。

 しかも、技能実習生は去年秋の見直しで、在留期間が3年から5年になったところであります。総理、あの、技能実習生の皆さんは、これは就労目的ではない在留資格で入っておられるんです。今回、骨太の方針で書いてある来年の4月から新たに外国人労働者を本格的に受け入れる、これは就労目的の在留資格を設けるというふうになってるんですね。これはもう大転換です。しかも、5年間の在留資格で、5年が経過した後に、これも新しい在留資格ですよ。さらにその後に新たなやはり在留資格で、いわば期限を切らずに在留をして、しかも家族を呼び寄せることができる。これは一部の専門家の皆さんは、移民政策だというふうに表現される方もいらっしゃいます

 これは後ほど総理にも移民政策の定義はおうかがいをいたしますけれども、こういう大変更、大転換をですね、来年の4月までの1年間で入国管理法等の国会審議を全部終えて、そして国民の皆さんの理解を得るというのはなかなか僕は難しいんじゃないかなと思います。そこで、この25年間、すでに実績を積んでいる技能実習制度、これを拡充あるいは改善をするなりで、当面は対処しつつ、今申し上げたような点をしっかり検討する必要があると思います」

 安倍晋三「確かにですね今、委員がご指摘になったようにわれわれは今回、在留資格についてですね、就労を目的とした新たな在留資格を創設をいたしました。これはあの、大塚委員からも、今までもご指摘をいただいたようにですね、今まで技能実習制度という形で受け入れてきたのでありますが、果たして本当に技能実習制度なのかという指摘もございましたし、さまざまな問題が起こっていたのも事実でございます。でありますから、私たちはしっかりと正面からですね、今回はこの就労を目的とした新たな在留資格を創設をさせていただいた。

 もちろん相当な議論がありました。自民党は保守党でありますから、こういうことに対しましては極めて慎重な議論があった。そこで、しかし、実際に人手不足が生じている中において、人手不足が生じているわけでありますから、そこで働いてる人たちのですね、いわば職業の確保には影響がない。と同時にですね、当然ですね、この賃金にも影響がないようにしなければなりませんから、そこで働いてる人たちの平均賃金を下回るものはだめだということにしていきます。そして、もちろん審議をですね、どう行っていくかということは、これは今までも申し上げていることで恐縮なんですが、国会でですねしっかりと審議をしていただき、結論を出していただきたいとわれわれは思っております。

 で、定義についてはですね、国際的には定義はないではないかということはその通りでございますが、私は政府としてどのように考えているかということを今申し上げたいと思います。政府としての定義でありますが、今回の受け入れは移民政策には当たらない。そして移民政策とはどういう政策であるかということでございますが、例えば国民の人口に比して、一定程度のスケールの外国人およびその家族を期限を設けることなく、受け入れることによって国家を維持していこうとする政策。で、そういう政策はとらないということでございます」

 大塚耕平「総理、あの、国際的な定義はないというのは前段では私申し上げてないんですが、今から申し上げようと思ったんですが、確かに国際的な定義はないんです。ただ、よく引用されるのは1997年の国連事務総長の報告書に、自国以外に移動して少なくとも12カ月居住する皆さんは、移民というこういうカテゴリーで議論されておられますので、骨太の方針で掲げられたこの新しい仕組みによって入っていらっしゃる皆さんはそういう定義には当てはまると思います。

 総理、あの、3月にですね、予算委員会で私は総理の5年間で日本人の皆さんの労働生産性が9%上がったけれども、賃金は2%しか上がっていないという数字をお示ししたと思います。その上で申し上げますが、アメリカで移民の政治経済学の権威と言われているハーバード大学のジョージ・ボージャス教授という方の研究、あるいは2015年に出たイングランド銀行のレポートによると、アメリカやイギリスでは外国人労働者の増加が国内労働者の賃金の低下をもたらしたという分析結果があるんです。

 安倍政権の5年間で、統計上60万人以上の外国人労働者が増え、実際にはもっと増えていると思いますが。そして、さっき申し上げたように賃金が労働生産性に追いつかないというのは、ひょっとしたらそういうことも影響しているかもしれない。こういうこともよく分析する必要があると思うんです。その上で、どうもここ数年間、特に大変恐縮ですが、安倍政権のもとでは、賃金が抑制されて外国人労働者に依存するという、こういう傾向が続いていると思います。

 私たちは本来は日本人であれ外国人であれ、賃金は働きに見合ってしっかり上昇していきですね、そしてそのことが、消費や国民経済の活性化につながって、産み育てやすい社会ができて、日本人の少子化傾向が是正されて、そしてやがては日本人の労働者も増えてくる。こういう社会を目指すべきであり、国民民主党はそういう方向に向けた政策をこれからしっかり出していきますので、政府にも正面から受けとめていただきたいと思います。

 その上で、骨太の方針のもう一つ、財政健全化についてもうかがいたいと思います。財政健全化、国と地方の基礎的財政収支、プライマリーバランスを黒字化するのが2020年から2025年に5年先送りされました。アベノミクスはですね、私の記憶では景気を回復させて税収を増やして、その税収をもとに財政健全化をする、そのために異常とも思える金融緩和を選択したわけであります。そしてこの金融緩和、アベノミクスを5年間やってきて、ここにきて財政健全化を5年間先送りしたら、丸々先送りで、財政健全化には全く寄与していなかったというふうにも理解、そのようにも受けとめざるを得ないというふうに思います。

 その上で申し上げますけども、総理、過去の財政健全化の失敗の例の典型はですね、甘い経済見通しのもとで運営したときです。今回も2025年に向けて、また名目成長率3%、実質成長率1%の前提で試算しておられますけれども、安倍政権の5年間、私昨日改めて計算しましたけれども、名目では2・0%、実質では1・0%。やはりこういう前提も、堅実で正直で現実的な前提を置いてこそ初めて財政健全化も地に足のついた対応が出来ます。

 さらには異常な低金利ですから、今、利払い費が極端に圧縮されてますよね。その分、政策経費が膨張しているわけですよ。これ、異常な金融緩和、修正局面に入ったら、財政健全化計画も、そして予算編成も一気に苦しくなります。私は1997年に当時の政府が作った財政構造改革法、これあの当時私、まだ日銀におりましたけれども、あれは金融危機で、1年で停止になりました。今こそ、あのような財政構造化、構造改革法のような対応が必要だと思っております。われわれ国民民主党はこれをしっかり皆さんにご提示できるようにこれから検討を進めてまいりますが、この財政構造健全化法のような対応についてどのようにお考えになるか、できれば手短かにお答えいただきたいと思います」

 大塚耕平「今日は骨太の方針についておうかがいをしたいと思います。今月、閣議決定されました。非常に大事なことがいくつも含まれております。一つは外国人労働者の本格的受入れであります。もちろん私たちも外国人労働者がいないと成り立たない中小企業や産業が増えていることは理解しておりますので、外国の方を受け入れて、多様性のある社会を目指す。この方向性については共有したいと思います。

 しかし、今回の骨太の方針、ちょっと拙速感が否めないかなというふうに思います。外国人労働者の増加が国内の労働者に与える影響とか、あるいは社会保障制度に与える影響、こういうことをじっくり検討した上で踏み切るべきだと思います。総理もよくご承知の通り、技能実習生は今国内に26万人、この技能実習生を含んで127万人の外国人労働者。しかし、これは統計上の話で、もっとたくさんいらっしゃると思います。

 しかも、技能実習生は去年秋の見直しで、在留期間が3年から5年になったところであります。総理、あの、技能実習生の皆さんは、これは就労目的ではない在留資格で入っておられるんです。今回、骨太の方針で書いてある来年の4月から新たに外国人労働者を本格的に受け入れる、これは就労目的の在留資格を設けるというふうになってるんですね。これはもう大転換です。しかも、5年間の在留資格で、5年が経過した後に、これも新しい在留資格ですよ。さらにその後に新たなやはり在留資格で、いわば期限を切らずに在留をして、しかも家族を呼び寄せることができる。これは一部の専門家の皆さんは、移民政策だというふうに表現される方もいらっしゃいます

 これは後ほど総理にも移民政策の定義はおうかがいをいたしますけれども、こういう大変更、大転換をですね、来年の4月までの1年間で入国管理法等の国会審議を全部終えて、そして国民の皆さんの理解を得るというのはなかなか僕は難しいんじゃないかなと思います。そこで、この25年間、すでに実績を積んでいる技能実習制度、これを拡充あるいは改善をするなりで、当面は対処しつつ、今申し上げたような点をしっかり検討する必要があると思います」

 安倍晋三「確かにですね今、委員がご指摘になったようにわれわれは今回、在留資格についてですね、就労を目的とした新たな在留資格を創設をいたしました。これはあの、大塚委員からも、今までもご指摘をいただいたようにですね、今まで技能実習制度という形で受け入れてきたのでありますが、果たして本当に技能実習制度なのかという指摘もございましたし、さまざまな問題が起こっていたのも事実でございます。でありますから、私たちはしっかりと正面からですね、今回はこの就労を目的とした新たな在留資格を創設をさせていただいた。

 もちろん相当な議論がありました。自民党は保守党でありますから、こういうことに対しましては極めて慎重な議論があった。そこで、しかし、実際に人手不足が生じている中において、人手不足が生じているわけでありますから、そこで働いてる人たちのですね、いわば職業の確保には影響がない。と同時にですね、当然ですね、この賃金にも影響がないようにしなければなりませんから、そこで働いてる人たちの平均賃金を下回るものはだめだということにしていきます。そして、もちろん審議をですね、どう行っていくかということは、これは今までも申し上げていることで恐縮なんですが、国会でですねしっかりと審議をしていただき、結論を出していただきたいとわれわれは思っております。

 で、定義についてはですね、国際的には定義はないではないかということはその通りでございますが、私は政府としてどのように考えているかということを今申し上げたいと思います。政府としての定義でありますが、今回の受け入れは移民政策には当たらない。そして移民政策とはどういう政策であるかということでございますが、例えば国民の人口に比して、一定程度のスケールの外国人およびその家族を期限を設けることなく、受け入れることによって国家を維持していこうとする政策。で、そういう政策はとらないということでございます」

 大塚耕平「総理、あの、国際的な定義はないというのは前段では私申し上げてないんですが、今から申し上げようと思ったんですが、確かに国際的な定義はないんです。ただ、よく引用されるのは1997年の国連事務総長の報告書に、自国以外に移動して少なくとも12カ月居住する皆さんは、移民というこういうカテゴリーで議論されておられますので、骨太の方針で掲げられたこの新しい仕組みによって入っていらっしゃる皆さんはそういう定義には当てはまると思います。

 総理、あの、3月にですね、予算委員会で私は総理の5年間で日本人の皆さんの労働生産性が9%上がったけれども、賃金は2%しか上がっていないという数字をお示ししたと思います。その上で申し上げますが、アメリカで移民の政治経済学の権威と言われているハーバード大学のジョージ・ボージャス教授という方の研究、あるいは2015年に出たイングランド銀行のレポートによると、アメリカやイギリスでは外国人労働者の増加が国内労働者の賃金の低下をもたらしたという分析結果があるんです。

 安倍政権の5年間で、統計上60万人以上の外国人労働者が増え、実際にはもっと増えていると思いますが。そして、さっき申し上げたように賃金が労働生産性に追いつかないというのは、ひょっとしたらそういうことも影響しているかもしれない。こういうこともよく分析する必要があると思うんです。その上で、どうもここ数年間、特に大変恐縮ですが、安倍政権のもとでは、賃金が抑制されて外国人労働者に依存するという、こういう傾向が続いていると思います。

 私たちは本来は日本人であれ外国人であれ、賃金は働きに見合ってしっかり上昇していきですね、そしてそのことが、消費や国民経済の活性化につながって、産み育てやすい社会ができて、日本人の少子化傾向が是正されて、そしてやがては日本人の労働者も増えてくる。こういう社会を目指すべきであり、国民民主党はそういう方向に向けた政策をこれからしっかり出していきますので、政府にも正面から受けとめていただきたいと思います」

 大塚耕平は安倍政権の新外国人受け入れ政策は外国人技能実習制度が在留資格の入国となっているのに対して無期限に延長可能な初期的期限5年の就労目的の在留資格を設けることになっていて、移民政策にも等しいと主張している。

 大塚耕平自身は「一部の専門家の皆さんは、移民政策だというふうに表現される方もいらっしゃいます」と言っているが、専門家の発言を借りた自身の言葉であろう。

 あとの方で「2015年に出たイングランド銀行のレポートによると、アメリカやイギリスでは外国人労働者の増加が国内労働者の賃金の低下をもたらしたという分析結果があるんです」と言い、「安倍政権のもとでは、賃金が抑制されて外国人労働者に依存するという、こういう傾向が続いている」と発言しているが、要するに大塚耕平は移民政策に反対の思いでいる。

 その反対の思いが外国人労働者の本格的受入れよって受ける「国内の労働者に与える影響」、あるいは「社会保障制度に与える影響」を少ないと見ていて、それらのことを真剣に議論すべきだとの提言となって現れている。

 その一方で大塚耕平は「外国の方を受け入れて、多様性のある社会を目指す。この方向性については共有したいと思います」と発言しているが、外国人採用によって「多様性のある社会」を実現させる代償としてある程度のマイナスは引き受けなければならないという姿勢を示すことができていないのだから、「多様性のある社会を目指す」は見せかけの言葉と化す。

 大体が外国人技能実習制度自体が在留期限を設けた国籍を与えない体のよい一時的な移民政策であり、諸外国の移民政策にしろ、外国人技能実習制度共々人手不足の解消と同時に人件費と生産単価抑制の道具として利用している側面を否応もなしに備えていることは否めないのだから、自ずと国内労働者の賃金抑制の要因となって機能することを問題視すること自体が間違っている。

 日本が中国その他の格段に人件費の安い国に工場を移して、その安い人件費のもと安い製品を大量に生産して日本に輸出し日本で販売する、あるいは安い部品を大量に生産して日本に輸出し、それらの部品を使って国内生産の部品と共に製品に組み立て、国内で販売する、若しくは外国に製品として輸出するのも、結果として国内人件費と生産単価抑制の要因を成し、後者の要因は消費者の利益となって現れている構造は無視できない。

 このこと安倍政権が始めた外国人研究者や技術者、経営者等を活用する「高度外国人材活用」にも現れている。

わが国における外国人労働者を巡る状況について」
(平成22年12月4日厚生労働省外国人雇用対策課)は「一部上場企業本社における外国人社員活用実態に関するアンケート調査」から「高度外国人材の活用状況」を次のように記載している。

 〈その職種をみると、「営業・販売」、「システム開発・設計」が多くを占めている。

 年収を見ると、正社員でも400万円台が最も多い(25.4%)。

(参考)従業員1000人以上の企業における正社員の平均年収は673万円(厚生労働省「賃金構造基本統計調査報告(平成19年度)」〉――

 従業員1000人以上の企業に於ける正社員の平均年収673万円に対して職種が「営業・販売」、「システム開発・設計」が多くを占めているにも関わらず、高度人材活用とされる外国人の年収は273万円も低い400万円台が最も多い25.4%も占めている。

 人手不足も兼ねているだろうが、同時に人件費抑制の対象とされている。多分、本国の人件費と比較した場合は破格の扱いで、不満はないはずだとの考えで日本人人件費よりも安くして使っているのだろう。

 勿論、この人件費抑制策は日本人の人件費に対してもマイナス要因となって働くことになる。

 要するに体のよい一時的な移民政策であろうと、恒久的な移民政策であろうと、日本人従業員に対しても賃金抑制の結果的なマイナス要因となるとを批判すること自体が見当違いということになる。企業は人件費の抑制とこのことを利用した製品単価の抑制を常に考えている。

 大塚耕平が内心では安倍政権の新外国人受け入れ政策は移民政策だと反対していながら、表向きは拙速過ぎると批判しているのに対して安倍晋三は「人手不足が生じているわけでありますから、そこで働いてる人たちのですね、いわば職業の確保には影響がない」とか、平均賃金以下は禁止するから、日本人社員の「賃金にも影響がない」といった答弁をしている。

 〈外国人技能実習制度は日本の企業において発展途上国の若者を技能実習生として受け入れ、実際の実務を通じて実践的な技術や技能・知識を学び、帰国後母国の経済発展に役立ててもらうことを目的としている。〉とネットで紹介しているが、その賃金は最低賃金法に定める最低賃金額以上の額を支払うことと規定している。

 外国人技能実習制度を利用した雇用外国人に対しての報酬は、“最低賃金法に定める最低賃金額以上の賃金”に限るという規定が制度の素晴らしい名目に反して最低賃金額で働かすことのできる職種を抱えた職場に雇用が集中する結果を招いている実態があるはずである。

 その実態とは、あからさまに言うと、日本人が従事したがらない3K職種などに低賃金で使える労働者として受け入れる状況を招いているということであろう。

 このことは次の記事が証明している。「技能実習、7割の事業所で法令違反 過去最多を更新 悪質なケースは34件」(JOINT/2018.6.25)

 外国人の技能実習生を受け入れている事業所に対して厚生労働省が昨年実施した調査の結果である。

 全国の労働局などが監督指導を行った5966ヵ所のうち、70.8%にあたる4226ヵ所で何らかの法令違反を確認。「労働時間違反」が1566ヵ所(26.2%)で最多。以下、「安全基準違反」が1176ヵ所(19.7%)、「割増賃金の支払い違反(不足など)」が945ヵ所(15.8%)。

 〈繰り返し指導しても改善がみられないなどとして送検された悪質なケースは34件。この中には、最低賃金を下回る賃金で継続的に働かせていたり、時間外労働を非常に長くさせていたりするところがあった。〉・・・・・・

 記事は、〈前年から222ヵ所増え、4年連続で過去最多を更新している。〉と伝えている。

 外国人技能実習制度が“最低賃金額以上の賃金”で使いなさいよと言っていることが殆ど役にも立っていないことの証明でもある。

 だとすると、安倍政権の「新たな外国人材の受入れ」制度に関して「平均賃金を下回るものはだめ」と規定すること自体が「平均賃金」での雇用に集中する状況を招きかねないばかりか、既に見てきたように高度人材活用の外国人の年収が、従業員1000人以上の企業に於ける正社員の平均年収673万円に対して273万円も低い400万円台が最も多い25.4%も占めている事例から見ても、人件費抑制対策とされかねない危険性を抱え、この危険性は、当然、日本人の人件費に対してもマイナス要因となって働くことになって、「賃金にも影響がないようにしなければならない」と言っていることは体のいい奇麗事に過ぎないことになる。

 「人手不足が生じているわけでありますから、そこで働いてる人たちのですね、いわば職業の確保には影響がない」と言っていることに関しても、平均賃金以下の日本人労働者が多く存在している以上、平均賃金周辺の仕事は外国人に任せることになって、同程度の仕事をしている日本人従業員は職業の確保自体に影響はなくても、同程度の賃金で雇用できる外国人に押しのけられる形で平均賃金以下の仕事に回されない保証はなくなる。

 つまりどのような外国人採用であっても、企業が従業員の利益第一ではなく、自らの利益第一の原則に立つことと不利を被らない日本人労働者が現れないとは断言できないことを考えると、外国人受け入れが人手不足の解消のみに役立って、日本人労働者の賃金に関係しないといった安倍晋三の言い回しはどう解釈しようと、実態を反映しないその場限りの答弁であって、だからこその奇麗事と言うことになる。

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