北大路機関

京都防衛フォーラム:榛名研究室/鞍馬事務室(OCNブログ:2005.07.29~/gooブログ:2014.11.24~)

MV-22普天間配備問題 難しい“政治的に危険な航空機”レッテルの払拭手段

2012-09-10 22:53:48 | 国際・政治

◆安全技術確立では科学的安全性しか確保できず

 MV-22,岩国航空基地での飛行が開始されれば、一つ撮りに行こう、と探っていたのですが中々気配が無い、来月には普天間に移駐する計画だったはずですが。

Img_1369 MV-22はCH-46の後継機として海兵隊へ配備中で、重輸送ヘリコプターCH-53Kに強襲航空機MV-22,それに多用途に用いるUH-1Yとなっていますので、必然的にCH-46の後継機はMV-22でしかありえないという事。第二海兵航空団と第三海兵航空団への配備が行われ、残るは岩国へ配備されている第一海兵航空団への配備ということで配備された機体、絶対に安全化、という問いが行われるMV-22ですが、そんなことを言うならば旅客機であるボーイング737やエアバスA320も絶対に安全とは言えない、過去に墜落事故は起きている、という点を説明しなければなりませんが、批判する立場の方々はその責務を放棄しています。

Img_1049 こうした記事を本日作成したのは、概算要求関連の記事を作成する体力が無い中で、沖縄で自称11万参加のMV-22配備撤回を求める集会が行われた、という事に起因するのですが、事故が起きれば沖縄の全基地封鎖を求める運動になる、と那覇市長が掲げており、そもそも事故の定義は県内市街地への墜落全損事故を示すのか、胴体着陸まで含むのか不明確だと感じたのですが、一方で、国内で墜落事故の事例がある自衛隊ヘリコプターと比較した場合でも、何故ここまで極端に反対運動が繰り広げられるのか、どうしてもわかりませんでした。

Iimg_9937 CH-53重輸送ヘリコプター、沖縄国際大学港内に墜落事故を起こしたヘリコプターとして沖縄では知られているはずなのですが、重大事故の発生率ではCH-53がMV-22の三倍以上、沖縄には配備されていないものの訓練飛行で岩国航空基地より展開するAV-8B攻撃機の事故率はCH-53よりももう少し上となっています。この数字が定着すると、今度は小規模事故、これには整備中に梯子からの転落まで含まれるそうなのですが、提示されてきまして、これは言い換えれば重大事故の発生率が低いという事を黙示的に認めたことになるのではないのか、ともったりもしたのですけれども。

Img_0056 実際問題として、落ちていない機体、というのは相当特殊な事情がある航空機なのですが、これは仮に危険な航空機だから配備しない、という方針でも示されたならば、もっと危険な航空機、という事で次にCH-53DとAV-8Bも槍玉にあげて、安全な航空機などあり得ない、と空の鎖国でも宣言するつもりなのではないのか、と少々勘繰ってしまいます。数字の上では墜落事故の危険が相対的に低い航空機、という事になるのですけれども、その航空機が危険と言われる理由、飛ぶものは全部危険運動偶然の第一号、となった以外の理由で考えられるのは、科学的以外に危険である航空機、というもの。

Img_1662 政治的に危険な航空機、もしくは危険でなければならない航空機、と考えられ運用されている、これが比較検討が可能な科学的根拠を持つ安全性を度外視して危険だ、と主張できる理由の一つであると考えます。これ、東西冷戦時代には政治的に成功機、として無理に量産された航空機があり当然運用率や事故率に反映された機体、もしくは性能としては傑作機としての要素を有していながらも政治的に、多分に財政的な理由で欠陥機という烙印をおされ生産が中止された航空機があることを思い出します。

Img_9188 実態以上に危険性が強調された装備品、と言いますと、航空機以外では、例えば気化空気を吸うだけで燃焼し露出皮膚が白骨化するという白隣弾、煙でしたら当方も今年の富士総合火力演習で目いっぱい浴びたのですが、これが平和運動を中心に誤解を含み伝えられましたし、クラスター弾も様々な種類が一緒くたにされ誤解を交え指摘されたものです。この実例などは分かりやすいのでしょうか。

Img_0155a 名目的に危険な航空機、信条として危険という印象を植え付けられている航空機、という表現に切り替えてもいいのですが、政治的に危険である航空機、というのは、政治的理由、今回は住民運動に利用されているという形なのですが、住民運動の背景の部分を政治的に解決するほか、解決の糸口というのは中々考えられません。なによりも、航空機の安全性を強化するだけでは科学的に事故率を低減することは出来ても、心情的に、もしくは政治的に危険なのだ、という印象は運用実績を積みかさせるほか解決手段が無い、これが難しいものですね。

北大路機関:はるな

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コメント (6)
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