北大路機関

京都防衛フォーラム:榛名研究室/鞍馬事務室(OCNブログ:2005.07.29~/gooブログ:2014.11.24~)

榛名防衛備忘録:装甲機動旅団案・航空機動旅団案は形を変えた現行編制旅団の新配置

2014-06-23 23:55:38 | 防衛・安全保障

◆相互近代化旅団・即応近代化旅団と共通

 年度末から新年度に掛けて提示しました陸上自衛隊に基幹部隊に関する提案について。

Img_3076  現在陸上自衛隊は戦車や自走榴弾砲などの重装備を重視した総合近代化師団と総合近代化旅団を北海道に集中させ、本州以南には重装備を効率化した即応近代化師団と即応近代化旅団を配置しています。そして新防衛大綱では戦車を更なる効率配置として減速として北海道以外の師団と旅団からは廃止、機動運用体制とする提案がなされました。

Img_1736  これは機動師団と機動旅団を現行の即応近代化師団や旅団と総合近代化師団及び旅団から指定し、警備管区に縛られない機動運用体制を構築することで、戦車が無い警備管区への着上陸脅威等が顕在化した際には警備管区を越えて展開させることで補う、というもの。

Gimg_8591  北大路機関では新防衛大綱に基づく戦車定数と特科火砲定数の更なる削減に対し、まず全ての旅団と師団を例外を除き旅団に縮小した上で、半数の旅団を戦車等をもつ重装備の装甲機動旅団へ、残る半数の旅団を軽装備重視とヘリコプターを重点配備する航空機動旅団へ、改編し、各方面隊へ装甲機動旅団と航空機動旅団を配置し、師団としての機能を持たせる提案を行ったところです。

Mimg_1944  しかし、気づかされたのは、装甲機動旅団とは総合近代化旅団そのもので、航空機動旅団とは即応近代化旅団そのもの、ということ。実際に装甲機動旅団として参考としたのは北海道真駒内の第11旅団の編成で、航空機動旅団の編成で参考としたものは東部方面隊相馬原の第12旅団でしたから。

Fimg_6687  装甲機動旅団改編候補部隊として、北方は旭川第2師団と東北方は青森第9師団に東方は管理替えで守山第10師団と中方は千僧第3師団そして西方は福岡第4師団、装甲機動旅団司令部の配置は改編するのではなく師団司令部の位置と旅団司令部の位置をそのまま。

Img_0435  航空機動旅団改編候補部隊は北方が真駒内第11旅団に東北方が神町第6師団と東方が相馬原第12旅団で中方に海田市第13旅団と西方の北熊本第8師団、小型の水陸機動旅団は帯広第5旅団と善通寺第14旅団に那覇第15旅団、第7師団と第1師団は編成と任務特性上そのまま。

Ghimg_2896  機動旅団を装甲機動旅団と航空機動旅団に分ける、この上で、現在方面隊が保有する機能のうち、全般支援に充てる方面特科部隊の多連装ロケットシステムと方面施設部隊の戦闘工兵装備を装甲機動旅団に配置し、火力支援と第一線での障害突破能力を第一線の旅団へ持ってゆく。

Gimg_6856 方面航空隊の多戦車ヘリコプターや多用途ヘリコプターに一部輸送ヘリコプターを航空機動旅団に廻す提案を行いました。これまでは方面直轄部隊が必要に応じて機動運用されていましたが、新案では全旅団が機動運用するのだから、旅団に配置しても構わないですからね。

Img_8285  各方面隊毎の能力を装甲機動旅団と航空機動旅団に付与する、各方面隊は二個旅団を持つ、二個旅団を以て師団を編成するので、師団という戦略単位は残る。二つ以上旅団を有する方面隊は、残る旅団を縮小編制に改編し、第13旅団と第14旅団の中間の規模として両用車両を重点配備し、水陸機動旅団として独立運用する。

Dkimg_7067 普通科連隊については、共に現役一個大隊と予備役一個大隊を配置する念頭で、装甲機動旅団隷下連隊に装甲車を持つ二個中隊と軽装甲機動車化中隊を配置し、2個中隊が戦車中隊とともに機械化大隊を構成し軽装甲機動車はスカウト車両部隊に、という提案をおこないました、戦車を支援するべく装甲戦闘車の必要性を強調しましたが。

Kimg_9773 航空機動旅団隷下連隊は三個中隊のうち一個中隊を軽装甲機動車化させ、残る中隊を高機動車か装甲機動車両により充当させる案を出しています。こうすれば、戦車定数は約300両に収まり、ヘリコプターも多連装ロケットシステムも方面隊からの管理替えなので、予算は管理替えを中心でかからない。

Img_2242 連隊を構成する現役大隊のほかの予備大隊は即応予備自衛官中隊と予備自衛官中隊を基幹として平時の管理は連隊長、有事の際には現役大隊が機動運用で旅団と共に前進、予備大隊は地域警備部隊として残る。方面隊は建設工兵や補給処に地対艦ミサイル連隊や高射特科群と教育部隊という、基本動かない部隊を管理する。

Gimg_5476 ただ、自分ではかなり斬新な提案を行ったつもりなのですが、言い換えれば、現在の即応近代化旅団と総合近代化旅団の編成を念頭に即応近代化旅団はヘリコプターの管理替えを受け、総合近代化旅団は戦車と特科を集中、そして北方にも即応近代化旅団を配置し、本土以南にも総合近代化旅団を配置する、という程度でしかない案なのかもしれません。

Img_9923 本州以南にも少数でいいので総合近代化旅団お配置による装甲機動力を、北方にも即応近代化旅団の配置と機動力に富んだ即応能力を、こう書いてみますと、装甲機動旅団と航空機動旅団に改編する、と内容は同じながら、余りに先進的すぎる改編案の突き付け、という印象にはならないかもしれません。

Img_2617 最も大きな改編提案は、全ての師団を一旦旅団化する、というものですが、師団全廃とは同義ではなく装甲機動旅団と航空機動旅団二個旅団を以て各方面隊に大型師団を置く案ですので編制単位は現実的です。実はかなりの改編案のように見えまして、衝撃と言いますか組織体系への悪影響は少ないでしょう。

Img_64_55  方面隊と師団の位置関係ですが、師団はフォースプロバイダーつまり練度管理責任部隊を構成し、方面隊はフォースユーザー即ち事態対処責任者という位置関係、海上自衛隊の運用をそのまま、として考えるわけです。これにより相互任務区分の明確な棲み分けが出来るでしょう。

北大路機関:はるな

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