北大路機関

京都防衛フォーラム:榛名研究室/鞍馬事務室(OCNブログ:2005.07.29~/gooブログ:2014.11.24~)

南西諸島日中境界線付近、自衛隊機OP-3CとYS-11EBへまた中国戦闘機異常接近

2014-06-11 23:51:06 | 防衛・安全保障

◆中国軍暴走、懸念された異常接近行動の恒常化

 本日、先月に続いて中国機による自衛隊機への異常接近行動事案が発生しました。

Okimg_4424 本日1100時頃と1200時頃、東シナ海の公海上、尖閣諸島より300km北の日中中間線付近付近において海上自衛隊のOP-3画像データ収集機と航空自衛隊の電子データ収集機YS-11EBに対し、中国軍のSu-27戦闘機が再度異常接近する事案が発生しました。Su-27はミサイルを搭載していた、とのこと。

Fimg_9151 接近した距離は30mとのことで、これは5月24日に発生したSu-27によるOP-3CとYS-11EBへの異常接近事案と類似した事案と言えますが、決定的な相違点は前回、異常接近を危険行動として批難された中国側の言い分が、中ロ合同演習海域への異常接近というものでした。

Himg_0786 しかし、今期の事案は中ロ合同演習の終了後に発生しています。こういいますのも、5月29日の0500時に護衛艦あさゆき、が対馬海峡において訓練に参加したスラヴァ級ミサイル巡洋艦をはじめとした水上戦闘艦艇の北上を確認しており、今回の異常接近は純粋に度を越した挑発行動といえるわけです。

Img_1794 中国軍機による異常接近などの危険な挑発行為は米軍機に対し繰り返し実施されているとのことで、併せて中国側に反省の発言が見られなかったため危惧された我が国の自衛隊機に対しても前回の異常接近行動が恒常化するのではないか、という危惧が現実のものとなったわけです。

Oaimg_1994 前回、中国機の異常接近行動について、中国外務省筋の情報として人民解放軍の現場が暴走し危険行動が行われているとの報道がなされ、中国当局はこの発言について否定しませんでした。このため、現場が暴走し、中央がこれを抑制できないならばこうした事案が恒常化する危険があると考えられたわけです。

Yimg_5348 現場が暴走、とは、護衛艦ゆうだち、に対する中国軍フリゲイトによる射撃管制レーダ照射事案に際しても示された内容ですが、中国政府として我が国に軍事的な行動を起こす意図があるのか、現場が統制を離れ暴走している状況であるのか、この点が判別できません。

Img_6786 こうした状況下の最大の問題は、現場が暴走しているならば日中間の政府間合意で緊張緩和措置が採られた際にも、現場が暴走しては挑発行為防止に関する協定がむすばれたとしても現場部隊が反故にしてしまう可能性があるためで、中央の統制に従わない軍隊など近世の軍隊のようですが、ナントカ解決策を模索しなければなりません。

Kimg_4710 しかし、毅然とした対応を採るならば現場の暴走を抑えられた事例があります。その最たる事例は2004年11月10日の中国海軍漢級原子力潜水艦領海侵犯事件海上警備行動で、護衛艦と哨戒機による徹底した追尾任務を実施した結果、南西諸島海域での中国潜水艦の行動は激減しました。

Gimg_9092 2013年5月12日においても南西諸島南部に国籍不明の潜水艦が潜航したまま我が国島嶼部の接続水域を航行しましたが、その際にも徹底した追尾任務を実施したため、その後の接続水域への接近は発生していません。現場が暴走しているならば、こうした強い対応も必要になるといえるやもしれません。

北大路機関:はるな

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コメント (4)
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