■初会談ではF-35の話題
海上自衛隊最大の護衛艦、いずも、をトランプ大統領が安倍総理と共同で視察する可能性が出てきました。
トランプ大統領の来月五日からの訪日に合せ、安倍総理大臣が横須賀基地のヘリコプター搭載護衛艦いずも、に招待し日米首脳が共同で視察する方針で調整が進められている、複数のメディアが報じました。晴海埠頭いずも入港や、ヘリコプターによる視察が検討され実現すれば、自衛隊最大の護衛艦から日米の強い同盟関係を強調する事に繋がるでしょう。
安倍総理大臣は2015年の自衛隊観艦式において、観艦式実施海域近傍で日米共同訓練中であった原子力空母ロナルドレーガンを表敬訪問しており、観艦式当日に観閲官が同盟国原子力空母を表敬訪問という特別な視察を実施していますので、トランプ大統領の日本訪問予定は多忙な予定を重ねていますが、護衛艦いずも視察が実現の可能性は十分にあります。
いずも型護衛艦は満載排水量27000t、ヘリコプター搭載護衛艦として建造されましたが海上自衛隊最大の護衛艦です。8月に日本を訪問したイギリスのメイ首相が横須賀基地の護衛艦いずも、を視察していますし、フィリピンを親善訪問した護衛艦いずも、をフィリピンのドゥテルテ大統領が表敬訪問するという、国際的に知名度を集める護衛艦となりました。
はるな型護衛艦、はるな、ひえい、しらね型護衛艦しらね、くらま、と続く海上自衛隊ヘリコプター搭載護衛艦は長期間の運用を経て能力構築と戦術研究の両面で、対潜戦闘と艦隊戦闘において日本型、日本独自の運用体系を構築するに至りました、また、海上戦闘の骨幹として標準化させる等、体系化しており、いずも型護衛艦、はその最新発展型です。
F-35B戦闘機、仮にトランプ大統領が護衛艦いずも表見訪問を行った場合、垂直離着陸が可能で海上自衛隊ヘリコプター搭載護衛艦での運用が可能である第五世代戦闘機F-35Bの日本配備の可能性について、話題が及ぶのかが大きな関心事となります。南西諸島防衛やミサイル防衛等、我が国重要影響事態に際し、このF-35Bが果たす能力は無視できません。
NIFC-CA海軍統合対空火器管制として自衛隊はイージス艦と航空自衛隊が導入を進めるE-2D早期警戒機の連接等、自衛隊が保有する各種装備をネットワークで結ぶことでその保有する能力を最大限発揮するデータリンク能力構築を進めています。そしてアメリカ海軍ではイージス艦のSPY-1レーダーを補完する索敵手段にF-35を充てる技術を構築中です。
海上戦闘では、情報優位が戦闘を左右します。従来は航空機による索敵を実施していましたが、ステルス性を有さない従来型の哨戒機には索敵と敵航空機や対空火器からの生存には限度があり、レーダーによる索敵もその索敵を露呈する危険がありました。F-35はステルス性と、統合光学情報システムにより、脅威対象に捕捉されず索敵を行う事が可能です。
艦上固定翼哨戒機、としてF-35Bは能力を発揮し得ます。海上自衛隊は来年度予算概算要求にイージス艦などに搭載する艦対空ミサイルSM-6の取得開始を盛り込みました、これは対航空機やミサイル迎撃に用いる射程370kmのミサイルです。イージス艦は水平線の向こうに位置する目標情報を得られず、一例としてF-35Bのような索敵手段が理想となります。
いずも型護衛艦、ひゅうが型護衛艦、4隻とも全通飛行甲板構造を採用しているのですから、海上自衛隊には固定翼航空機を導入し運用する展望は当然考えられていた事でしょう。また、海上自衛隊には早期警戒管制機等、イージス艦の能力を最大限発揮する上で必要な装備を欠き、航空自衛隊の余裕にも限界がある為、独自の艦上索敵手段は検討された筈です。
しかし、例えば、護衛艦ひゅうが型、ひゅうが、いせ、は5機程度、いずも型の、いずも、かが、で7機程度搭載するとして、海上自衛隊全体で30機程度が必要となります。F-35BはP-1哨戒機と同程度に高価で、そして海上自衛隊にF-35B要員を養成する航空訓練基盤は無く、政治的合意に基づく防衛計画として長期的に整備しなければ配備は実現しません。
日米首脳会談においてF-35Bについて言及があるならば、日本の海上防衛への大きな転換点となる可能性もあります。特に海上自衛隊最大のヘリコプター搭載護衛艦を視察した後であれば、発言の意味も大きくなります。そこまでいかずとも、岩国航空基地のアメリカ海兵隊F-35B発着試験を日米共同訓練の際に実施するという程度の合意は考えられます。
トランプ大統領と安倍総理は、2017年2月10日にフロリダ州パームビーチで行われた初の日米首脳会談において安倍総理自身の発言として、F-35の調達費用低減へのトランプ大統領の尽力に謝意を表明しています。日米首脳会談に空軍仕様のF-35Aの話題が出ているのですから、日本の全通飛行甲板護衛艦を視察した際に、垂直離着陸型のF-35Bへ話題が及ぶかは、大きな関心事といえましょう。
北大路機関:はるな くらま
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海上自衛隊最大の護衛艦、いずも、をトランプ大統領が安倍総理と共同で視察する可能性が出てきました。
トランプ大統領の来月五日からの訪日に合せ、安倍総理大臣が横須賀基地のヘリコプター搭載護衛艦いずも、に招待し日米首脳が共同で視察する方針で調整が進められている、複数のメディアが報じました。晴海埠頭いずも入港や、ヘリコプターによる視察が検討され実現すれば、自衛隊最大の護衛艦から日米の強い同盟関係を強調する事に繋がるでしょう。
安倍総理大臣は2015年の自衛隊観艦式において、観艦式実施海域近傍で日米共同訓練中であった原子力空母ロナルドレーガンを表敬訪問しており、観艦式当日に観閲官が同盟国原子力空母を表敬訪問という特別な視察を実施していますので、トランプ大統領の日本訪問予定は多忙な予定を重ねていますが、護衛艦いずも視察が実現の可能性は十分にあります。
いずも型護衛艦は満載排水量27000t、ヘリコプター搭載護衛艦として建造されましたが海上自衛隊最大の護衛艦です。8月に日本を訪問したイギリスのメイ首相が横須賀基地の護衛艦いずも、を視察していますし、フィリピンを親善訪問した護衛艦いずも、をフィリピンのドゥテルテ大統領が表敬訪問するという、国際的に知名度を集める護衛艦となりました。
はるな型護衛艦、はるな、ひえい、しらね型護衛艦しらね、くらま、と続く海上自衛隊ヘリコプター搭載護衛艦は長期間の運用を経て能力構築と戦術研究の両面で、対潜戦闘と艦隊戦闘において日本型、日本独自の運用体系を構築するに至りました、また、海上戦闘の骨幹として標準化させる等、体系化しており、いずも型護衛艦、はその最新発展型です。
F-35B戦闘機、仮にトランプ大統領が護衛艦いずも表見訪問を行った場合、垂直離着陸が可能で海上自衛隊ヘリコプター搭載護衛艦での運用が可能である第五世代戦闘機F-35Bの日本配備の可能性について、話題が及ぶのかが大きな関心事となります。南西諸島防衛やミサイル防衛等、我が国重要影響事態に際し、このF-35Bが果たす能力は無視できません。
NIFC-CA海軍統合対空火器管制として自衛隊はイージス艦と航空自衛隊が導入を進めるE-2D早期警戒機の連接等、自衛隊が保有する各種装備をネットワークで結ぶことでその保有する能力を最大限発揮するデータリンク能力構築を進めています。そしてアメリカ海軍ではイージス艦のSPY-1レーダーを補完する索敵手段にF-35を充てる技術を構築中です。
海上戦闘では、情報優位が戦闘を左右します。従来は航空機による索敵を実施していましたが、ステルス性を有さない従来型の哨戒機には索敵と敵航空機や対空火器からの生存には限度があり、レーダーによる索敵もその索敵を露呈する危険がありました。F-35はステルス性と、統合光学情報システムにより、脅威対象に捕捉されず索敵を行う事が可能です。
艦上固定翼哨戒機、としてF-35Bは能力を発揮し得ます。海上自衛隊は来年度予算概算要求にイージス艦などに搭載する艦対空ミサイルSM-6の取得開始を盛り込みました、これは対航空機やミサイル迎撃に用いる射程370kmのミサイルです。イージス艦は水平線の向こうに位置する目標情報を得られず、一例としてF-35Bのような索敵手段が理想となります。
いずも型護衛艦、ひゅうが型護衛艦、4隻とも全通飛行甲板構造を採用しているのですから、海上自衛隊には固定翼航空機を導入し運用する展望は当然考えられていた事でしょう。また、海上自衛隊には早期警戒管制機等、イージス艦の能力を最大限発揮する上で必要な装備を欠き、航空自衛隊の余裕にも限界がある為、独自の艦上索敵手段は検討された筈です。
しかし、例えば、護衛艦ひゅうが型、ひゅうが、いせ、は5機程度、いずも型の、いずも、かが、で7機程度搭載するとして、海上自衛隊全体で30機程度が必要となります。F-35BはP-1哨戒機と同程度に高価で、そして海上自衛隊にF-35B要員を養成する航空訓練基盤は無く、政治的合意に基づく防衛計画として長期的に整備しなければ配備は実現しません。
日米首脳会談においてF-35Bについて言及があるならば、日本の海上防衛への大きな転換点となる可能性もあります。特に海上自衛隊最大のヘリコプター搭載護衛艦を視察した後であれば、発言の意味も大きくなります。そこまでいかずとも、岩国航空基地のアメリカ海兵隊F-35B発着試験を日米共同訓練の際に実施するという程度の合意は考えられます。
トランプ大統領と安倍総理は、2017年2月10日にフロリダ州パームビーチで行われた初の日米首脳会談において安倍総理自身の発言として、F-35の調達費用低減へのトランプ大統領の尽力に謝意を表明しています。日米首脳会談に空軍仕様のF-35Aの話題が出ているのですから、日本の全通飛行甲板護衛艦を視察した際に、垂直離着陸型のF-35Bへ話題が及ぶかは、大きな関心事といえましょう。
北大路機関:はるな くらま
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