■激戦半年,南方のISIL事案
フィリピンISILミンダナオ騒擾、ようやく終息の見通しです。一歩間違えれば、九州沖縄や中国大陸へのテロ移動を自衛隊が警戒する必要も出ていた可能性がある。

日本でテロ対策の法整備が強調されるたびに指摘されるイスラム武装勢力ISILの存在ですが、この組織は最近まで中東の組織、近年アフリカ地域へ勢力を伸ばした組織であると考えられてきました。そしてシリア軍がロシア軍協力で反撃に転じ、イラク軍も有志連合協力により緒戦の劣勢を戦車部隊が中心となり反撃、アフリカでも拠点の大半を失いました。

しかし、フィリピンにおいてISILが攻勢に出ており、今年に入り南部ミンダナオ島のマラウィ市を中心にミンダナオ島一帯で遊撃戦を展開した事には驚かされました。状況が鎮静化出来なければ、フィリピンから日本へのテログループ浸透の懸念が顕在化し、我が国南西諸島一帯での対テロ任務という新しい脅威に発展しかねない危険な状況があったのです。

フィリピンミンダナオ島で5月23日以来続くイスラム武装勢力ISILとの戦闘は漸く終息の見通しが立ちました。フィリピンのデルフィンロレンザーナ国防相が16日の記者会見で発表したところによれば、フィリピン親ISIL組織アブサヤフの首魁イスニロンハピロン容疑者が16日早朝から実施されたフィリピン軍による掃討作戦により殺害されたとのこと。

フィリピンISILマウテグループの首魁としてフィリピン国内におけるISIL組織を構成していたオマルマウテ容疑者も戦闘により死亡したものとみられ、フィリピン軍ではDNA鑑定を進めています。約半年間にわたるフィリピン軍との戦闘は、このマウテグループがミンダナオ島のマラウィ市警察庁舎を800名の兵力で攻撃し市内を占拠し、始まりました。

一両日中に戦闘終了を発表できる可能性がある、ロレンザーナ国防相はこう強調しましたが、人口20万のマラウィ市街地に立てこもった800名のイスラム過激派を相手にフィリピン陸軍15万名から鎮圧部隊が総動員され、鎮圧作戦に半年近くの期間を要した訳です。そしてフィリピンにISILが確たるものとなれば、日本や中国への影響も無視できなくなっていたでしょう。

中東のイラクやシリアでの支配地域大半をイラク軍とシリア軍反撃により奪還されたISILは新しい拠点としてイスラム武装勢力アブサヤフが影響力を残すフィリピン南部に中東に代わる拠点を構築する構想があり、特にフィリピン軍は軽歩兵主体で戦車を一両も持たず海空軍ともにISILの海上移動を阻止できない点から、格好の標的となった可能性がある。

フィリピン軍は米豪軍からの軍事援助を受け治安作戦を実施、オーストリア海軍は六月の時点でフィリピン軍を上空から支援するべくAP-3C哨戒機を派遣しています。アメリカ軍とフィリピン軍の協同は、現在のフィリピンドゥテルテ政権がアメリカとの軍事協力に否定的な姿勢を強調していた為、一時中断していましたがISIL浸透を機に再開されています。

我が国はミンナダオ島騒擾にフィリピン軍への軍事支援等、直接関与はしていません。しかし日比防衛協力の一環としてフィリピン軍への海洋観測機へ転用可能な海上自衛隊TC-90練習機無償供与、また陸上自衛隊で運用しフィリピン軍も同型を運用しているUH-1多用途ヘリコプター部品について予備部品及び補修部品四万点の無償供与を進めています。

フィリピンは多島国家で首都マニラは北部のルソン島に位置し、国土の中央部は東部のビサヤ諸島とパラワン島、そして南部にミンダナオ島と島嶼部が広がります。武装勢力はミンダナオ島の大都市マラウィを占拠し、20万の住民は大半が非難、戦闘が郊外へも拡大した事から膨大な国内避難民が発生、進まない治安作戦が事態常態化を懸念させていました。
北大路機関:はるな くらま
(本ブログに掲載された本文及び写真は北大路機関の著作物であり、無断転載は厳に禁じる)
(本ブログ引用時は記事は出典明示・写真は北大路機関ロゴタイプ維持を求め、その他は無断転載と見做す)
フィリピンISILミンダナオ騒擾、ようやく終息の見通しです。一歩間違えれば、九州沖縄や中国大陸へのテロ移動を自衛隊が警戒する必要も出ていた可能性がある。

日本でテロ対策の法整備が強調されるたびに指摘されるイスラム武装勢力ISILの存在ですが、この組織は最近まで中東の組織、近年アフリカ地域へ勢力を伸ばした組織であると考えられてきました。そしてシリア軍がロシア軍協力で反撃に転じ、イラク軍も有志連合協力により緒戦の劣勢を戦車部隊が中心となり反撃、アフリカでも拠点の大半を失いました。

しかし、フィリピンにおいてISILが攻勢に出ており、今年に入り南部ミンダナオ島のマラウィ市を中心にミンダナオ島一帯で遊撃戦を展開した事には驚かされました。状況が鎮静化出来なければ、フィリピンから日本へのテログループ浸透の懸念が顕在化し、我が国南西諸島一帯での対テロ任務という新しい脅威に発展しかねない危険な状況があったのです。

フィリピンミンダナオ島で5月23日以来続くイスラム武装勢力ISILとの戦闘は漸く終息の見通しが立ちました。フィリピンのデルフィンロレンザーナ国防相が16日の記者会見で発表したところによれば、フィリピン親ISIL組織アブサヤフの首魁イスニロンハピロン容疑者が16日早朝から実施されたフィリピン軍による掃討作戦により殺害されたとのこと。

フィリピンISILマウテグループの首魁としてフィリピン国内におけるISIL組織を構成していたオマルマウテ容疑者も戦闘により死亡したものとみられ、フィリピン軍ではDNA鑑定を進めています。約半年間にわたるフィリピン軍との戦闘は、このマウテグループがミンダナオ島のマラウィ市警察庁舎を800名の兵力で攻撃し市内を占拠し、始まりました。

一両日中に戦闘終了を発表できる可能性がある、ロレンザーナ国防相はこう強調しましたが、人口20万のマラウィ市街地に立てこもった800名のイスラム過激派を相手にフィリピン陸軍15万名から鎮圧部隊が総動員され、鎮圧作戦に半年近くの期間を要した訳です。そしてフィリピンにISILが確たるものとなれば、日本や中国への影響も無視できなくなっていたでしょう。

中東のイラクやシリアでの支配地域大半をイラク軍とシリア軍反撃により奪還されたISILは新しい拠点としてイスラム武装勢力アブサヤフが影響力を残すフィリピン南部に中東に代わる拠点を構築する構想があり、特にフィリピン軍は軽歩兵主体で戦車を一両も持たず海空軍ともにISILの海上移動を阻止できない点から、格好の標的となった可能性がある。

フィリピン軍は米豪軍からの軍事援助を受け治安作戦を実施、オーストリア海軍は六月の時点でフィリピン軍を上空から支援するべくAP-3C哨戒機を派遣しています。アメリカ軍とフィリピン軍の協同は、現在のフィリピンドゥテルテ政権がアメリカとの軍事協力に否定的な姿勢を強調していた為、一時中断していましたがISIL浸透を機に再開されています。

我が国はミンナダオ島騒擾にフィリピン軍への軍事支援等、直接関与はしていません。しかし日比防衛協力の一環としてフィリピン軍への海洋観測機へ転用可能な海上自衛隊TC-90練習機無償供与、また陸上自衛隊で運用しフィリピン軍も同型を運用しているUH-1多用途ヘリコプター部品について予備部品及び補修部品四万点の無償供与を進めています。

フィリピンは多島国家で首都マニラは北部のルソン島に位置し、国土の中央部は東部のビサヤ諸島とパラワン島、そして南部にミンダナオ島と島嶼部が広がります。武装勢力はミンダナオ島の大都市マラウィを占拠し、20万の住民は大半が非難、戦闘が郊外へも拡大した事から膨大な国内避難民が発生、進まない治安作戦が事態常態化を懸念させていました。
北大路機関:はるな くらま
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