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衆議院総選挙二〇一七:北朝鮮政策,核開発と拉致へ制裁強化か交渉模索か?与野党公約を問う

2017-10-05 22:18:49 | 国際・政治
■最強の経済制裁進める日本
 北朝鮮の水爆恫喝を前に如何にして国民を守りつつ、主権を確保するかは日本の将来を直接左右します。

 北朝鮮への外交政策をどのように展開するのか、この命題は我が国安全保障へ直結します。特に現時点で日本への核攻撃を明言している国は北朝鮮一国のみ、軍事的に日本への核攻撃を可能としている国はロシア軍や中国軍等も含まれますが、1997年にロシア軍は日本を核攻撃照準から外すと公言しており、能力的に有していても核攻撃を公言はしていません。

 最大の経済制裁を北朝鮮に対しかけているのは日本です。人的交流の全面停止を行っているほか、北朝鮮への送金や輸出入の全面禁止、北朝鮮船舶の日本国内入港禁止、一国への経済制裁としてはアメリカが核実験及びミサイル実験を契機として国連安全保障理事会制裁決議への盛り込みを求めた石油の全面禁輸よりも遥かに厳しい経済制裁を実行中です。

 我が国が実施している規模の経済制裁を、仮に世界が北朝鮮に対し実施した場合、確実に北朝鮮は数か月程度で崩壊します。人の交流停止は外交関係の遮断を意味しますし、石油石炭は勿論、全ての輸出入を停止するのですから産業が全く機能しなくなります、船舶出入港全面停止は事実上、実質完全な海上封鎖を行われた場合に等しい影響が及ぶでしょう。

 東京への核攻撃プロパガンダは、当時は核武装前でしたがミサイル攻撃の示唆として金正日政権時代からたびたび見られまして、金正恩政権下では最近まで低調ではありましたが、北朝鮮への経済制裁の強化を求めている現在の政府方針に反発し、日本への核攻撃を示唆するという施策は、やはり核兵器を突き付けられての恫喝、決して気分良いものではない。

 衆議院総選挙は同時に政権選択の選挙でもありますので、北朝鮮経済制裁や北朝鮮との外交交渉の実施を含めどのように展開するのかという与野党の方針にも非常に大きな関心があります。勿論、与野党の公約ですので現在の経済制裁を維持し世界へ核開発及びミサイル開発停止の国連安保理決議履行まで制裁強化を要請するという政権公約は当然有り得る。

 核恫喝に負けて譲歩するという選択肢も政権選択の選挙ですので与野党としては当然有り得ます、その選択肢を国民がどう評価するのか、という事が政権選択の選挙なのですから。その上で断言できるのは、現在の日本が実施している北朝鮮への経済制裁は着実に北朝鮮へ影響を及ぼしており、北朝鮮は核恫喝を行ってまで制裁解除を切望しているということ。

 しかし、日本が現在行っている北朝鮮への経済制裁は、邦人拉致事案を受けての経済制裁である事を忘れてはなりません。北朝鮮工作員の日本国内での非合法活動により北朝鮮へ拉致された特定失踪者は多数が帰国に至らず、北朝鮮は一部拉致被害者の帰国と拉致の事実を認めましたが、全拉致被害者帰国を認めず疑義の余地がある死亡記録のみ出しました。

 北朝鮮経済制裁の緩和や、拉致被害者帰国無くして国交樹立無しの原則の緩和を行う可能性はあるのか、特に一部野党話し合いにより解決、という提言は上記の原則を覆し、拉致被害者帰国の可能性を棚上げし交渉を行うという意味に直結します。しかし、経済制裁を維持する限り、北朝鮮核恫喝は今後も継続する。経済制裁可否の立場を明確としてほしい。

 総選挙に際し、この命題を明確化するという事は同時に核恫喝から多くの国民を防護するために少数の拉致被害者という国民を切り捨てる施策を執るのか、核恫喝に耐えつつ交渉の余地を与えず対策、ミサイル防衛や核シェルター建設等多々ありますが、粛々と進めるのか、政権公約に与野党は政策として北朝鮮政策の認識と対応策を問いたいところです。

北大路機関:はるな くらま
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コメント (2)
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