■コマツ撤退,大影響と当然結果
小松製作所、我が国最大の装甲車メーカーですが、仕様外要求や調達中断という相次ぐ防衛省の不合理な施策を前に防衛産業からの撤退方針を示しました。
読売新聞の本日2月21日付報道によれば、防衛産業大手の建機メーカーコマツが、自衛隊車両の新規開発事業を今後は行わない意向を防衛省に伝えていた、とのことです。報道によればその理由として、開発コストに見合う利益が見込めず、開発製造態勢の維持が難しくなった、という。国の国内防衛産業との無理な関係が遂に破綻した、という事でしょう。
コマツの装甲車が無ければ陸上自衛隊の防衛は成り立ちません、こういいますのも冷戦時代の敵が来るならば北海道という時代から、中国北朝鮮へ脅威が多様化し九州や北陸と北海道へ脅威の多様化に併せ、陸上自衛隊装甲車は不整地での機動性に優れた89式装甲戦闘車や73式装甲車、キャタピラー式ともいわれる装軌式から、装輪式へ転換している為です。
96式装輪装甲車や軽装甲機動車は装輪式で、これが小松製作所により生産されているのです。装輪式の利点は道路を高速移動できる点です、勿論防衛用車両ですので頑丈なタイヤ式ですが泥濘に砂泥と海浜では装軌式程自由には動けません、しかし、高速道路を高速走行できますので、北海道から九州へ、九州から東北へ、短時間で展開する事が可能という。
軽偵察車、防衛省は小松製作所へ新たに偵察部隊へ配備する小型装甲車の開発を打診したといわれています。これは軽装甲機動車に無人砲塔を搭載した小型車両で87式偵察警戒車の後継とする構想でした。しかし、軽装甲機動車へ砲塔を搭載する事は重心を悪化させ転覆の懸念が生じますし、前任の87式偵察警戒車は90両量産で終了、採算性が合いません。
しかし、小松製作所が現在陸上自衛隊へ納入した車両は、現役車輌だけで軽装甲機動車、96式装輪装甲車、82式指揮通信車、化学防護車、87式偵察警戒車、NBC偵察車、多岐に登ります。この中でも82式指揮通信車と87式偵察警戒車は制式化から30年以上が経っており後継車両が必要な時機となっています。96式装輪装甲車もまだまだ数が必要という。
即応機動連隊、2018年4月に第15即応機動連隊と第42即応機動連隊が改編創設されましたが、2019年4月にも東北南部と北海道道南に即応機動連隊が改編創設されます、これは機動戦闘車部隊と装輪装甲車を大量配備し機動力を高めた防衛大綱における統合機動防衛力と多次元機動防衛力の骨幹ですが、この為に96式装輪装甲車はもっともっと必要です。
将来装甲車としましてコマツは96式装輪装甲車後継車両開発を受注しましたが、無理な要求仕様に応えた結果、重心が高過ぎ、防御力の将来発展性が低く、不採用となりました。無理な要求仕様とは道路運送車両法に基づく2.5mという普通自動車と同様に起動する為に細身車体が求められたのですが、同時に耐地雷防御力から最低地上高も高く求められた。
96式装輪装甲車は車幅が2.48mに収まっており、あれ以上の防御力を求めるならば特殊大型車両とし車幅に余裕を持たせるべきでした。三菱重工などは技術提案書に過大な車幅を盛り込み、結果書類選考落ちとなっています。コマツは仕様に応える無理な設計を行ったのですが、装備実験隊での試験で仕様を満たしていても装甲車として不適格、となります。
防衛省は開発費の返還を求めます、防衛省としては開発失敗したのだから返せ、となるところでしょうが、コマツとしては仕様書を全て満たしており仕様書外の理由から受け取り拒否、となっては、単なる国による下請け虐め以外何物でもありません。ですから、今回のコマツ防衛産業部門撤退、英断と云いますか、よく昨年中に突き放さなかったなあ、と。
即応機動連隊には、しかし現に96式装輪装甲車が配備されているのですから、毎年50両程度を継続発注し続けるべきでした、実際このままでは装甲車部隊に装甲車が無いという定数割れとなりますが、現実では防衛省はミサイル防衛等の他の予算に重点を置いた為、装甲車の調達数は伸び悩み、十両十数輌という調達が続きます。これでは採算性合わない。
装甲車は今後、防衛省は海外製装甲車を導入するのか、三菱重工へ発注するのか、装甲車に全く経験はないが自衛隊へトラックを納入している日野自動車やトヨタへ発注するのでしょう。代わりはある、という軽い認識なのかもしれませんが、恐らく五年以内に国はコマツへ泣きつく事になるのではないでしょうか。先ず海外製装甲車は費用面で非常に高い。
ピラーニャやボクサー、国産車両に拘らずともスイス製やドイツ製の装甲車がある、と思われるでしょうが、ピラーニャは250両程大量発注した場合でも単価で300万ドル、ボクサーは1100万ユーロほど。自衛隊の装備は高い、と言われた事もありましたが、それは欧州が東西冷戦時代に二千三千と量産した時代、現代では寧ろ国産車両は安価な部類に入る。
海外製装甲車は自衛隊の規格に合いません、何種類も車種ごとにエンジンや変速機に駆動系から違うものとなる上に、現在世界で生産される装甲車で車幅が2.5m以下の物は現金輸送車のような耐爆車両ばかりで、押しなべて大型の物ばかりです。全部統一系統に纏める事が出来れば御の字ですが、予算が無い為に少数長期調達になる自衛隊にそれは無理です。
トヨタや日野、世界のトヨタに期待したいところですが、自衛隊は経験のない企業に発注し痛い目を見た例がある、それはRF-15偵察機開発の失敗です。RF-15は初期型のF-15戦闘機を老朽化するRF-4偵察機の後継とする構想を立てまして、RF-4センサーの開発に経験のある三菱電機と、経験はないが安価に応札した東芝と検討し、東芝に発注しました。
RF-15のセンサーは東芝の技術の粋を集めたもので、水平飛行の際には旧式のRF-4とは比較にならない性能を有したといわれるのですが、戦術偵察機は偵察への妨害へ対空ミサイルや敵戦闘機の攻撃から機動飛行で回避します、すると急激な高度変化の温度変化でセンサーが白濁し、しかも横G等重力変化により機能不随となる不具合が連続してしまいます。
RF-4の運用に熟知し、しかもRF-4の操縦要員を多く祭御擁している三菱電機に対して、東芝は仕様書に盛り込まれていた性能のみから判断し、技術的に可能と入札したのでしょう。しかし戦術偵察機としては使い物にならず、防衛省は開発費の返還を求め、東芝は仕様書は満たしているとして裁判になりました。コマツも含め毎回の流れ、という印象が。
三菱におんぶ抱っこか、と思われるかもしれませんが、防衛省は87式自走高射機関砲と150両から48両へ、89式装甲戦闘車を300両から68両へ、90式戦車も最大900両程度の量産計画が330両へ、端数は再確認せねばなりませんが、多数調達を約束し反故にし続けてきました。三菱だけは仏の顔、ではありますが防衛省は同じことをほぼすべての企業へ。
富士重工等は62機を取得するとしたAH-64D戦闘ヘリコプターの調達を一方的に13機で打ち切り、富士重工は62機分の部品を既にアメリカへ発注しており、しかもAH-64D製造ライン整備費用の不足分支払いを求めましたが、全国に配備する計画はあるが62機取得との確約は行っていないとして裁判となり、結果国が負ける事となりました。これが続く。
欧州では、例えばドイツ空軍が導入予定であったユーロファイタータイフーン戦闘機の調達を下方修正したところ、機体取得費用の六割分の費用を違約金として支払う事となりました。正直なところ、政府が国内防衛産業に甘え過ぎた構図が、遂にコマツから三行半を突き付けられた構図です。国は厳正に受け止めねばなりません、だからこそ安い防衛費で防衛が成り立つのですから。
北大路機関:はるな くらま ひゅうが いせ
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小松製作所、我が国最大の装甲車メーカーですが、仕様外要求や調達中断という相次ぐ防衛省の不合理な施策を前に防衛産業からの撤退方針を示しました。
読売新聞の本日2月21日付報道によれば、防衛産業大手の建機メーカーコマツが、自衛隊車両の新規開発事業を今後は行わない意向を防衛省に伝えていた、とのことです。報道によればその理由として、開発コストに見合う利益が見込めず、開発製造態勢の維持が難しくなった、という。国の国内防衛産業との無理な関係が遂に破綻した、という事でしょう。
コマツの装甲車が無ければ陸上自衛隊の防衛は成り立ちません、こういいますのも冷戦時代の敵が来るならば北海道という時代から、中国北朝鮮へ脅威が多様化し九州や北陸と北海道へ脅威の多様化に併せ、陸上自衛隊装甲車は不整地での機動性に優れた89式装甲戦闘車や73式装甲車、キャタピラー式ともいわれる装軌式から、装輪式へ転換している為です。
96式装輪装甲車や軽装甲機動車は装輪式で、これが小松製作所により生産されているのです。装輪式の利点は道路を高速移動できる点です、勿論防衛用車両ですので頑丈なタイヤ式ですが泥濘に砂泥と海浜では装軌式程自由には動けません、しかし、高速道路を高速走行できますので、北海道から九州へ、九州から東北へ、短時間で展開する事が可能という。
軽偵察車、防衛省は小松製作所へ新たに偵察部隊へ配備する小型装甲車の開発を打診したといわれています。これは軽装甲機動車に無人砲塔を搭載した小型車両で87式偵察警戒車の後継とする構想でした。しかし、軽装甲機動車へ砲塔を搭載する事は重心を悪化させ転覆の懸念が生じますし、前任の87式偵察警戒車は90両量産で終了、採算性が合いません。
しかし、小松製作所が現在陸上自衛隊へ納入した車両は、現役車輌だけで軽装甲機動車、96式装輪装甲車、82式指揮通信車、化学防護車、87式偵察警戒車、NBC偵察車、多岐に登ります。この中でも82式指揮通信車と87式偵察警戒車は制式化から30年以上が経っており後継車両が必要な時機となっています。96式装輪装甲車もまだまだ数が必要という。
即応機動連隊、2018年4月に第15即応機動連隊と第42即応機動連隊が改編創設されましたが、2019年4月にも東北南部と北海道道南に即応機動連隊が改編創設されます、これは機動戦闘車部隊と装輪装甲車を大量配備し機動力を高めた防衛大綱における統合機動防衛力と多次元機動防衛力の骨幹ですが、この為に96式装輪装甲車はもっともっと必要です。
将来装甲車としましてコマツは96式装輪装甲車後継車両開発を受注しましたが、無理な要求仕様に応えた結果、重心が高過ぎ、防御力の将来発展性が低く、不採用となりました。無理な要求仕様とは道路運送車両法に基づく2.5mという普通自動車と同様に起動する為に細身車体が求められたのですが、同時に耐地雷防御力から最低地上高も高く求められた。
96式装輪装甲車は車幅が2.48mに収まっており、あれ以上の防御力を求めるならば特殊大型車両とし車幅に余裕を持たせるべきでした。三菱重工などは技術提案書に過大な車幅を盛り込み、結果書類選考落ちとなっています。コマツは仕様に応える無理な設計を行ったのですが、装備実験隊での試験で仕様を満たしていても装甲車として不適格、となります。
防衛省は開発費の返還を求めます、防衛省としては開発失敗したのだから返せ、となるところでしょうが、コマツとしては仕様書を全て満たしており仕様書外の理由から受け取り拒否、となっては、単なる国による下請け虐め以外何物でもありません。ですから、今回のコマツ防衛産業部門撤退、英断と云いますか、よく昨年中に突き放さなかったなあ、と。
即応機動連隊には、しかし現に96式装輪装甲車が配備されているのですから、毎年50両程度を継続発注し続けるべきでした、実際このままでは装甲車部隊に装甲車が無いという定数割れとなりますが、現実では防衛省はミサイル防衛等の他の予算に重点を置いた為、装甲車の調達数は伸び悩み、十両十数輌という調達が続きます。これでは採算性合わない。
装甲車は今後、防衛省は海外製装甲車を導入するのか、三菱重工へ発注するのか、装甲車に全く経験はないが自衛隊へトラックを納入している日野自動車やトヨタへ発注するのでしょう。代わりはある、という軽い認識なのかもしれませんが、恐らく五年以内に国はコマツへ泣きつく事になるのではないでしょうか。先ず海外製装甲車は費用面で非常に高い。
ピラーニャやボクサー、国産車両に拘らずともスイス製やドイツ製の装甲車がある、と思われるでしょうが、ピラーニャは250両程大量発注した場合でも単価で300万ドル、ボクサーは1100万ユーロほど。自衛隊の装備は高い、と言われた事もありましたが、それは欧州が東西冷戦時代に二千三千と量産した時代、現代では寧ろ国産車両は安価な部類に入る。
海外製装甲車は自衛隊の規格に合いません、何種類も車種ごとにエンジンや変速機に駆動系から違うものとなる上に、現在世界で生産される装甲車で車幅が2.5m以下の物は現金輸送車のような耐爆車両ばかりで、押しなべて大型の物ばかりです。全部統一系統に纏める事が出来れば御の字ですが、予算が無い為に少数長期調達になる自衛隊にそれは無理です。
トヨタや日野、世界のトヨタに期待したいところですが、自衛隊は経験のない企業に発注し痛い目を見た例がある、それはRF-15偵察機開発の失敗です。RF-15は初期型のF-15戦闘機を老朽化するRF-4偵察機の後継とする構想を立てまして、RF-4センサーの開発に経験のある三菱電機と、経験はないが安価に応札した東芝と検討し、東芝に発注しました。
RF-15のセンサーは東芝の技術の粋を集めたもので、水平飛行の際には旧式のRF-4とは比較にならない性能を有したといわれるのですが、戦術偵察機は偵察への妨害へ対空ミサイルや敵戦闘機の攻撃から機動飛行で回避します、すると急激な高度変化の温度変化でセンサーが白濁し、しかも横G等重力変化により機能不随となる不具合が連続してしまいます。
RF-4の運用に熟知し、しかもRF-4の操縦要員を多く祭御擁している三菱電機に対して、東芝は仕様書に盛り込まれていた性能のみから判断し、技術的に可能と入札したのでしょう。しかし戦術偵察機としては使い物にならず、防衛省は開発費の返還を求め、東芝は仕様書は満たしているとして裁判になりました。コマツも含め毎回の流れ、という印象が。
三菱におんぶ抱っこか、と思われるかもしれませんが、防衛省は87式自走高射機関砲と150両から48両へ、89式装甲戦闘車を300両から68両へ、90式戦車も最大900両程度の量産計画が330両へ、端数は再確認せねばなりませんが、多数調達を約束し反故にし続けてきました。三菱だけは仏の顔、ではありますが防衛省は同じことをほぼすべての企業へ。
富士重工等は62機を取得するとしたAH-64D戦闘ヘリコプターの調達を一方的に13機で打ち切り、富士重工は62機分の部品を既にアメリカへ発注しており、しかもAH-64D製造ライン整備費用の不足分支払いを求めましたが、全国に配備する計画はあるが62機取得との確約は行っていないとして裁判となり、結果国が負ける事となりました。これが続く。
欧州では、例えばドイツ空軍が導入予定であったユーロファイタータイフーン戦闘機の調達を下方修正したところ、機体取得費用の六割分の費用を違約金として支払う事となりました。正直なところ、政府が国内防衛産業に甘え過ぎた構図が、遂にコマツから三行半を突き付けられた構図です。国は厳正に受け止めねばなりません、だからこそ安い防衛費で防衛が成り立つのですから。
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