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京都防衛フォーラム:榛名研究室/鞍馬事務室(OCNブログ:2005.07.29~/gooブログ:2014.11.24~)

ハノイ米朝第二回首脳会談:トランプ大統領-金委員長,北非核化と朝鮮戦争終戦巡り今夜開始

2019-02-27 20:17:45 | 国際・政治
■ハノイ会談,半島安定化成るか
 朝鮮半島有事は日本にとり悪夢です、大量邦人救出へ自衛隊派遣と大量難民流入に日本国内国連軍施設と戦闘の波及等が考えられる。これを回避する会談がハノイで始まる。

 ソウルへ向け突如大量の北朝鮮戦車部隊が南北境界線を突破、韓国軍の初動の遅れと重戦力の数的不充分により防衛線が次々と突破され、境界線から自動車で一時間の首都ソウルは短期間で陥落、韓国政府は必要な手を打てず大統領以下離散に近い状態で点々と南へ少しでも北朝鮮軍より遠く潰走を続ける。1950年6月25日に朝鮮戦争はこう始まりました。

 米朝第二回首脳会談、日本時間今夜よりヴェトナム首都ハノイにおいてドナルド-トランプアメリカ合衆国大統領と金正恩北朝鮮国務委員会委員長が史上二回目となる首脳会談を行います。主題は北朝鮮非核化及び大量破壊兵器と運搬手段の全面廃棄です。朝鮮半島有事可能性が大きく低減する事となれば日本の安全保障上もこれ以上ない恩恵がありましょう。

 ハノイでの米朝第二回首脳会談、北朝鮮核武装の非核化と大量破壊兵器の検証可能な完全廃棄を求めるアメリカと、経済制裁の終了と休戦協定のまま1953年より停滞する朝鮮戦争終戦を求める北朝鮮、いよいよ間もなく二日間の日程で開始されます。2018年6月の初会談以来の首脳会談、破談に終われば朝鮮半島有事が再燃という可能性は否定できません。

 平和の実現を願いたい。朝鮮戦争再燃となれば在韓居留邦人も危険に曝される。しかし平和と云いましても手段としての平和を求め岳化に恩恵としての平和が失われては全くの無意味で、北朝鮮非核化実現、准中距離弾道弾を含むミサイルの廃棄、これを条件としての経済制裁解除が論点、日本としては邦人拉致被害者の帰国と拉致抑留への謝罪を求めたい。

 ドナルド-トランプ大統領は北朝鮮の非核化が実現した暁には素晴らしい経済発展が待っている、と繰り返し発言しています。実際、北朝鮮のGDPは1980年代までは人口が遥かに大きな中国よりも高かったのです。教育水準はプロパガンダを除けば高水準に在り、勤勉で人件費の安い北朝鮮は潜在的に新興経済国へ躍り出る豊富な可能性を秘めているもの。

 トランプ大統領にとっては、懸念事項として不確実な非核化を押し付けられる事です。北朝鮮は何発の核兵器を保有しているのか、明白としていません。制裁を解除し、その後実は保有が判明、となっては寧ろアメリカが経済制裁の再開を断念し限定空爆まで緊張が突沸する可能性は否定できません。その中でアメリカにとり、検証可能な大陸間弾道弾廃棄は最低条件だ。

 アメリカの視点では、過度な譲歩が懸念事項です。検証不能の核廃絶を成果とされてはなりません。しかし、部分廃棄や検証不能廃棄でも北朝鮮が見返りの制裁解除や人道支援拡大を要求する可能性は否定できず、トランプ大統領は2020年に二期目を目指す大統領選が控えている事もあり外交成果を急ぎ過ぎる事で身の無い果実を掴まされる不安は常に有る。

 金正恩北朝鮮国務委員会委員長には、兎に角国家体制の安全の要求を最低条件としたい実情がある。核兵器を最後の一発まで曝して廃棄した後に、更なる疑惑を突き付けられ、2003年にイラクで発生した二の舞は避けたい。即ち、今回和平を実現しても十年後二十年のの大量破壊兵器保持疑惑を端緒とした日米有志連合による軍事介入を回避したい思いは高い。

 金正恩委員長にはこの他、運搬手段として保有するミサイルを何処まで廃棄するのか。これは北朝鮮工業製品として宇宙開発用ロケットに転用できるミサイル技術は保持したい技術基盤でもあり、この廃棄をどう証明するのか。アメリカが核関連技術者やロケット関連技術者の国外出国等求められた場合に如何に応えるのか、核廃絶の障壁は低くありません。

 朝鮮戦争終戦、KBS等韓国報道機関はその可能性を報じています。朝鮮戦争終戦となれば韓国悲願の南北朝鮮統一、統一の主導権を得られるならばその実現は北朝鮮へも悲願でもあります。ただ、ロイターやAFPにCNN等はその可能性についての論調で冷淡であり、一方で朝鮮戦争終戦となれば日本国内の国連軍施設も運用が終了する為、去就は注目です。

 南北軍事衝突は日本にとり最大の安全保障上の留意事項です。朝鮮戦争は対岸の火事、と誤解されていますが朝鮮半島から日本本土長崎県島嶼部までは数十kmを隔てているにすぎず、対岸の火事とはいえ、その対岸は水路の対岸程度、火の粉も飛べば延焼もある、何より核兵器が使用される可能性がある現状、日本にとり水路対岸の原発火災といえるもの。

 邦人救出任務、韓国国内には5万7000名もの在留邦人が居留しており、特に首都ソウル地域は在留邦人の多くが集まると共に南北軍事境界線から70km圏内に在る為、ロケット弾射程内です。例えれば東京からみれば相模湾で戦闘が始まる状況に近い距離、外国人安全は韓国政府の努力にも限界があり、その救出任務は非常に課題多い難題となっていました。

 核攻撃、北朝鮮は朝鮮半島有事に際し日本本土へ核攻撃を加える蓋然性が非常に高いものとなっています。その根拠として、対日戦以外には用途の低い射程の准中距離弾道弾を1993年より大量配備しており、まさか中国沿岸部等を狙う可能性は低い為に日本国内の人口密集地や国連軍指定施設に防衛施設、原子力施設等を攻撃目標とする可能性が高い為です。

 終戦となれば在韓米軍が撤収し我が国が最前線国家となる懸念はある。朝鮮戦争は、戦争放棄を記した日本国憲法施行から僅か三年後に生起し、結局、日本の安全保障を国連軍が守るという可能性が否定され、一挙に冷戦構造が東西対立へと発展した為、自衛隊が創設される憲政史上の転換点となりました。しかし、終戦と在韓米軍が撤退した場合はどうか。

 最前線国家という懸念は2018年6月のシンガポール第一回米朝首脳会談と共に我が国安全保障問題として指摘される事となり、専守防衛を国是として周辺事態への主導権をアメリカへ依存した我が国には、在韓米軍撤退後に在日米軍が最前線となり、ロシアや中国と大量の地上軍有する北朝鮮とも対峙せねばなりません。終戦は望ましいが留意事項でもある。

 しかし、核実験と毎週繰り返されるミサイル実験、日本本土では第二次世界大戦以来七十数年ぶりに空襲警報が発令され、鉄道緊急停止や小中学校でのミサイル警報への避難訓練、わずか二年前には最大級の緊張にありました。就任間もないトランプ大統領は原子力空母3隻を日本海へ緊急展開させ、最大限の圧力により封じ込めたのは一年と少し前でした。あの緊張が再燃しないよう、見守りたいものですね。

北大路機関:はるな くらま ひゅうが いせ
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