■期待された電子戦専用機
入間基地のEC-1とは比較にならない高性能のEA-18G,新防衛大綱画定に際して幾度か検証されている旨の報道がありましたが、この点について。
EA-18G電子攻撃機は新防衛大綱へ盛り込まれることはありませんでした。EA-18Gについて、この航空機はF/A-18F戦闘攻撃機の電子戦専用型で、必要に応じ空対空戦闘能力を行使できる米海軍の主力電子戦機です。過去には電子戦能力を駆使し、無敵を誇った空軍のF-22戦闘機との異機種戦闘訓練において初戦で勝利判定を得た例外的な機種でもある。
航空自衛隊がEA-18Gの検討を行ったことは、実はあまりありません。過去には戦闘機として F/A-18E戦闘攻撃機を検討候補の一つとした事例がありますが、これは戦闘機としての検討で、結局F-35A戦闘機へ決定しました。しかし、電子戦機を過去に検討したことはないのかと問われたならば、専用機取得そのものは、航空自衛隊長年の悲願でもあります。
電子戦専用機取得、航空自衛隊はEC-1電子戦訓練支援機を装備していますが、こちらはC-1輸送機を改造し、レーダーサイトなどに電子攻撃訓練環境を構築することが目的の航空機となっています。もちろん、有事の際にも機能しますが、輸送機としては空中機動性に優れるC-1も輸送機、戦闘機派生の電子戦機と比較したらば鈍重であることは否めません。
F-15戦闘機へ増槽型電子戦ポッドを追加し、これも段階近代化改修に対応しないアナログ配線のF-15-Pre-MSIPという機体の将来利用方法として検討されたもの名のですが、この古いF-15を電子戦専用機とする案は過去にも検討されていますが、結局F-15戦闘機の自衛用電子戦装置の改良強化に留まり、EF-15,というべき電子戦専用機は実現していません。
EF-15,航空自衛隊は電子戦専用機をどのように運用するかといいますと、電子戦機の運用は基本的に攻勢電子戦となります。日本の防衛政策は専守防衛であり、たとえば着上陸を受けた場合に敵が構築する地対空ミサイルシステム、日本へ侵攻する敵艦隊、これらの索敵レーダーや火器管制レーダーを無力化し、対艦攻撃等各種任務を容易とすることが狙い。
しかし、21世紀の今日にはそれ以上に重要な任務があるものと考えます、それは無人偵察機の無力化というもの。無人偵察機、市販用クワッドドローンを転用した、航続距離も上昇限度も対したものではない機種であれば、電子戦機はそれほど必要ではありません。しかし、渡洋作戦能力を有する高度な無人機は妨害耐性も強く、対処は困難となるでしょう。
MQー9無人偵察機、これは戦闘行動半径が6000kmに達するアメリカ製無人機で、90km圏内の地上目標を精査する複合光学センサーとともに、JDAM精密誘導爆弾やヘルファイア空対地ミサイルの運用能力を有しています。幸いMQ-9は我が国同盟国のみの装備ですが、中国空軍などはMQ-9と同程度の行動半径を有する無人機を開発中となっています。
F-35戦闘機が緊急発進した場合でも、相手が無人偵察機であれば無線が通じない等、平時の場合には領空外へ退去する無線に応じない可能性があります。また、有事の際には攪乱攻撃のように24時間を一定間隔で飛来し、防空能力の消耗を図る運用というものも想定せねばなりません。しかし、EA-18Gが配備されたならば、自律飛行機も含め対応ができる。
EA-18Gの取得は政治主導であったとも考えられ、自民党部内において求められた背景には、2014年頃から南西諸島方面へ顕著に飛行が確認されている中国本土や中国艦艇から運用される国籍不明無人機への危機感というものが考えられるでしょう。ただ、F-35A,F-35Bの取得優先などの巨額防衛事業が優先し、今回の防衛大綱へは盛り込まれなかった構図です。
北大路機関:はるな くらま ひゅうが いせ
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(第二北大路機関: http://harunakurama.blog10.fc2.com/記事補完-投稿応答-時事備忘録をあわせてお読みください)
入間基地のEC-1とは比較にならない高性能のEA-18G,新防衛大綱画定に際して幾度か検証されている旨の報道がありましたが、この点について。
EA-18G電子攻撃機は新防衛大綱へ盛り込まれることはありませんでした。EA-18Gについて、この航空機はF/A-18F戦闘攻撃機の電子戦専用型で、必要に応じ空対空戦闘能力を行使できる米海軍の主力電子戦機です。過去には電子戦能力を駆使し、無敵を誇った空軍のF-22戦闘機との異機種戦闘訓練において初戦で勝利判定を得た例外的な機種でもある。
航空自衛隊がEA-18Gの検討を行ったことは、実はあまりありません。過去には戦闘機として F/A-18E戦闘攻撃機を検討候補の一つとした事例がありますが、これは戦闘機としての検討で、結局F-35A戦闘機へ決定しました。しかし、電子戦機を過去に検討したことはないのかと問われたならば、専用機取得そのものは、航空自衛隊長年の悲願でもあります。
電子戦専用機取得、航空自衛隊はEC-1電子戦訓練支援機を装備していますが、こちらはC-1輸送機を改造し、レーダーサイトなどに電子攻撃訓練環境を構築することが目的の航空機となっています。もちろん、有事の際にも機能しますが、輸送機としては空中機動性に優れるC-1も輸送機、戦闘機派生の電子戦機と比較したらば鈍重であることは否めません。
F-15戦闘機へ増槽型電子戦ポッドを追加し、これも段階近代化改修に対応しないアナログ配線のF-15-Pre-MSIPという機体の将来利用方法として検討されたもの名のですが、この古いF-15を電子戦専用機とする案は過去にも検討されていますが、結局F-15戦闘機の自衛用電子戦装置の改良強化に留まり、EF-15,というべき電子戦専用機は実現していません。
EF-15,航空自衛隊は電子戦専用機をどのように運用するかといいますと、電子戦機の運用は基本的に攻勢電子戦となります。日本の防衛政策は専守防衛であり、たとえば着上陸を受けた場合に敵が構築する地対空ミサイルシステム、日本へ侵攻する敵艦隊、これらの索敵レーダーや火器管制レーダーを無力化し、対艦攻撃等各種任務を容易とすることが狙い。
しかし、21世紀の今日にはそれ以上に重要な任務があるものと考えます、それは無人偵察機の無力化というもの。無人偵察機、市販用クワッドドローンを転用した、航続距離も上昇限度も対したものではない機種であれば、電子戦機はそれほど必要ではありません。しかし、渡洋作戦能力を有する高度な無人機は妨害耐性も強く、対処は困難となるでしょう。
MQー9無人偵察機、これは戦闘行動半径が6000kmに達するアメリカ製無人機で、90km圏内の地上目標を精査する複合光学センサーとともに、JDAM精密誘導爆弾やヘルファイア空対地ミサイルの運用能力を有しています。幸いMQ-9は我が国同盟国のみの装備ですが、中国空軍などはMQ-9と同程度の行動半径を有する無人機を開発中となっています。
F-35戦闘機が緊急発進した場合でも、相手が無人偵察機であれば無線が通じない等、平時の場合には領空外へ退去する無線に応じない可能性があります。また、有事の際には攪乱攻撃のように24時間を一定間隔で飛来し、防空能力の消耗を図る運用というものも想定せねばなりません。しかし、EA-18Gが配備されたならば、自律飛行機も含め対応ができる。
EA-18Gの取得は政治主導であったとも考えられ、自民党部内において求められた背景には、2014年頃から南西諸島方面へ顕著に飛行が確認されている中国本土や中国艦艇から運用される国籍不明無人機への危機感というものが考えられるでしょう。ただ、F-35A,F-35Bの取得優先などの巨額防衛事業が優先し、今回の防衛大綱へは盛り込まれなかった構図です。
北大路機関:はるな くらま ひゅうが いせ
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