■Jアラート警報と列車運行
有事の際にも列車は運行されるのかという視点、自衛隊が輸送で依存する鉄道輸送の脆弱性について更に考えてみましょう。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/0d/c7/c0b226287a22c0099e7594f1e21949e2.jpg)
初の計画運休が実施された平成26年度台風19号、JR西日本が1200本もの列車を運休させたことで、鉄道への被害は抑えられました。そしてJR西日本路線を利用するJR貨物の貨物列車も運休し車両への被害はありませんでした。しかし、平成26年度台風19号を観返しますと、日本本土へ接近する頃にはマリアナの頃より相当勢力が落ちていたのですね。
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台風19号は、ただし、激甚災害に指定されることはなく、実際に被害を視ましても住宅被害は全壊家屋なし、半壊家屋3棟と床上床下浸水298棟となっています、犠牲者が出ていますが計画運休を実施する規模としては少々大袈裟のようにもおもえてなりません。万一を考えて鉄道は輸送機関としての使命を計画的に安全第一の美名と共に取り下げた構図だ。
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計画運休はその後定着しまして、一旦計画運休を数日前に決定したならば、台風の勢力が急激に収まろうと列車は計画通り止まり続け、更には運転士の安全確保を第一とする事で新幹線車両基地が水没したとしても車両を退避させないという人命第一振り、多数新幹線が全損する中でも一種建前を貫き利用者の運賃で補填する姿はある意味感心できるもの。
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しかし、一旦動かさないと決定し、これを継続する事は、勿論危険がある為に動かさない事には賛成するのですが、危険がなくなろうと動かさない事を決定したのだから動かさない、という目的と手段の混同には少々疑問があります。そして日本の鉄道には計画運休と共にもう一つ、突如重要な輸送機関が一気に麻痺する状況があるのですね。Jアラートだ
。
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Jアラート、周辺事態の際に計画運休が決断されるか、という視点についてですが、ここで忘れては成らないのは北朝鮮ミサイル実験に際してのJアラート発令時の列車運行停止です。Jアラートでのミサイル警報、当方は沖縄那覇市内にてJアラートがスマートフォンから鳴り響く初めての経験に際して、なるほど21世紀なのだなあ、と妙に感心しました。
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空襲警報が個人情報端末に届いたぞ、と驚いたものですがミサイル実験が北朝鮮から本州上空を飛翔し太平洋側へ着弾する弾道経路が多発するようになりますと、Jアラートのミサイル警報にあわせて鉄道網が緊急停止する、という事例が散見されるようになりました。ここで前述の疑問が生じるわけです、有事の際に鉄道輸送は可能なのか、という疑問が。
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Jアラートが発令されても弾道ミサイルが快速電車を撃破したとか新幹線が破損した、という事例はありません、もちろん北朝鮮は核実験を継続し事実上の核保有国として認識されているため、弾道ミサイルであっても通常弾頭であれば精々中層ビルが全壊する程度の被害で収まりますが、核弾頭であれば15ktのものであってもかなり広範囲が破壊されます。
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15kt規模の核攻撃を仮定しますと爆発する高度にもよりますが、半径500m以内が致命傷を負い、熱戦被害は2000m圏内に、また爆風被害は更に外苑部に広がります。弾道に何を搭載しているのかは未知数であり、しかも実験なのか核による奇襲攻撃を実施しているのかは安易にレーダー情報から判別できるものではなく、万一を考えると停止は理解できる。
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特に高高度を飛翔するロフテッド軌道では不確定要素が大きくなる。ただ、わずかな危険でも鉄道会社は最大限の安全策を執っているのですね、一見は安全第一の美談とも見えますが、これでは輸送機関の使命を果たしていません。Jアラートでは数十分で安全確認が示されるのですが、本土有事の際、特に交通網が標的となり得た場合、どうなるのでしょう。
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JR各社は数週間単位の計画運休を実施し事実上交通が麻痺する懸念はないでしょうか。武力攻撃事態法では指定公共機関に協力を求められるとしており、そのなかにはJR各社も含まれています、法的に有事の際に自衛隊輸送を要請することは法的に可能なのですね。しかし鉄道網が危険にさらされた場合、鉄道会社はどのように運行維持するのでしょうか。
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鉄道会社への有事の際の脅威、これは必ずしも航空攻撃やゲリラコマンドー攻撃により鉄道施設が破壊されることを示すのではなく、万一の可能性が生じただけの場合も含め、JRは貨物列車で自衛隊の輸送支援に当たってくれるのでしょうか。安全が確認され次第運行、という部分が強調され事実上再開の見込みなし、という状態が続く懸念も否定できません。
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自衛隊が鉄道を実際にJRに代わって運行し維持する、若しくは自衛隊が出来なくともJR以外の協力企業をJRに代えて鉄道運行を行い、保線や復旧も行う準備を整える事は出来ないか、レーガン政権時代に空港職員ストで全米空港網が麻痺した際に空軍管制官を大統領令で動員、航空運航を維持したようできないものか、考えはします、が、難しいのですね。
北大路機関:はるな くらま ひゅうが いせ
(本ブログに掲載された本文及び写真は北大路機関の著作物であり、無断転載は厳に禁じる)
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(第二北大路機関: http://harunakurama.blog10.fc2.com/記事補完-投稿応答-時事備忘録をあわせてお読みください)
有事の際にも列車は運行されるのかという視点、自衛隊が輸送で依存する鉄道輸送の脆弱性について更に考えてみましょう。
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初の計画運休が実施された平成26年度台風19号、JR西日本が1200本もの列車を運休させたことで、鉄道への被害は抑えられました。そしてJR西日本路線を利用するJR貨物の貨物列車も運休し車両への被害はありませんでした。しかし、平成26年度台風19号を観返しますと、日本本土へ接近する頃にはマリアナの頃より相当勢力が落ちていたのですね。
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台風19号は、ただし、激甚災害に指定されることはなく、実際に被害を視ましても住宅被害は全壊家屋なし、半壊家屋3棟と床上床下浸水298棟となっています、犠牲者が出ていますが計画運休を実施する規模としては少々大袈裟のようにもおもえてなりません。万一を考えて鉄道は輸送機関としての使命を計画的に安全第一の美名と共に取り下げた構図だ。
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計画運休はその後定着しまして、一旦計画運休を数日前に決定したならば、台風の勢力が急激に収まろうと列車は計画通り止まり続け、更には運転士の安全確保を第一とする事で新幹線車両基地が水没したとしても車両を退避させないという人命第一振り、多数新幹線が全損する中でも一種建前を貫き利用者の運賃で補填する姿はある意味感心できるもの。
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しかし、一旦動かさないと決定し、これを継続する事は、勿論危険がある為に動かさない事には賛成するのですが、危険がなくなろうと動かさない事を決定したのだから動かさない、という目的と手段の混同には少々疑問があります。そして日本の鉄道には計画運休と共にもう一つ、突如重要な輸送機関が一気に麻痺する状況があるのですね。Jアラートだ
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Jアラート、周辺事態の際に計画運休が決断されるか、という視点についてですが、ここで忘れては成らないのは北朝鮮ミサイル実験に際してのJアラート発令時の列車運行停止です。Jアラートでのミサイル警報、当方は沖縄那覇市内にてJアラートがスマートフォンから鳴り響く初めての経験に際して、なるほど21世紀なのだなあ、と妙に感心しました。
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空襲警報が個人情報端末に届いたぞ、と驚いたものですがミサイル実験が北朝鮮から本州上空を飛翔し太平洋側へ着弾する弾道経路が多発するようになりますと、Jアラートのミサイル警報にあわせて鉄道網が緊急停止する、という事例が散見されるようになりました。ここで前述の疑問が生じるわけです、有事の際に鉄道輸送は可能なのか、という疑問が。
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Jアラートが発令されても弾道ミサイルが快速電車を撃破したとか新幹線が破損した、という事例はありません、もちろん北朝鮮は核実験を継続し事実上の核保有国として認識されているため、弾道ミサイルであっても通常弾頭であれば精々中層ビルが全壊する程度の被害で収まりますが、核弾頭であれば15ktのものであってもかなり広範囲が破壊されます。
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15kt規模の核攻撃を仮定しますと爆発する高度にもよりますが、半径500m以内が致命傷を負い、熱戦被害は2000m圏内に、また爆風被害は更に外苑部に広がります。弾道に何を搭載しているのかは未知数であり、しかも実験なのか核による奇襲攻撃を実施しているのかは安易にレーダー情報から判別できるものではなく、万一を考えると停止は理解できる。
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特に高高度を飛翔するロフテッド軌道では不確定要素が大きくなる。ただ、わずかな危険でも鉄道会社は最大限の安全策を執っているのですね、一見は安全第一の美談とも見えますが、これでは輸送機関の使命を果たしていません。Jアラートでは数十分で安全確認が示されるのですが、本土有事の際、特に交通網が標的となり得た場合、どうなるのでしょう。
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JR各社は数週間単位の計画運休を実施し事実上交通が麻痺する懸念はないでしょうか。武力攻撃事態法では指定公共機関に協力を求められるとしており、そのなかにはJR各社も含まれています、法的に有事の際に自衛隊輸送を要請することは法的に可能なのですね。しかし鉄道網が危険にさらされた場合、鉄道会社はどのように運行維持するのでしょうか。
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鉄道会社への有事の際の脅威、これは必ずしも航空攻撃やゲリラコマンドー攻撃により鉄道施設が破壊されることを示すのではなく、万一の可能性が生じただけの場合も含め、JRは貨物列車で自衛隊の輸送支援に当たってくれるのでしょうか。安全が確認され次第運行、という部分が強調され事実上再開の見込みなし、という状態が続く懸念も否定できません。
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自衛隊が鉄道を実際にJRに代わって運行し維持する、若しくは自衛隊が出来なくともJR以外の協力企業をJRに代えて鉄道運行を行い、保線や復旧も行う準備を整える事は出来ないか、レーガン政権時代に空港職員ストで全米空港網が麻痺した際に空軍管制官を大統領令で動員、航空運航を維持したようできないものか、考えはします、が、難しいのですね。
北大路機関:はるな くらま ひゅうが いせ
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