■くらま観閲の海空訓練展示
自衛隊観艦式の展示はミサイル艇による高速航行展示と共に再度航空機のエンジン音が太平洋へ響き渡ります。
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イージス艦こんごう、水陸機動作戦、という構図で。アメリカ海兵隊などは野戦防空部隊としてかつてホークミサイルを配備していましたが、そのまま区分廃止し、野戦防空は海軍イージス艦に依存する現状となっています。スタンダードSM-6の射程は370km以上だ。
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あしがら、ミサイル艇。海上自衛隊にとってミサイル艇とは、冷戦時代の魚雷艇による一撃離脱の運用を引き継いだ装備ですが、冷戦以降、一撃離脱よりは長期の警戒監視が求められる時代となりまして、その運用も高性能を活かしにくくなっているようにもおもう。
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せんだい、ミサイル艇。あぶくま型護衛艦ですが、平成初期の設計ながら周辺国の、具体的には中国の新世代駆逐艦に対しても平時には対艦ミサイルはじめ各種装備を有しており抑止力は発揮できます、そして護衛艦不足からミサイル艇も同種の任務に当たります。
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ミサイル艇流し撮り。ミサイル艇の韋駄天性能を紹介するには、この構図が良い。一号型ミサイル艇という、イタリアのスパロビエロ級の技術提供をうけ開発した水中翼船がありましたが、任務が特化過ぎ開発されたのが本型、ちなみにスパロビエロとは隼を示す。
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ミサイル艇と沿岸護衛艦。ミサイル艇ですが、個艦防空能力が低く紹介ヘリコプターにも太刀打ちできません。故に北欧ミサイル艇先進国などでは沿岸砲兵と一体化して運用されます。自衛隊の場合、沖縄南部の陸上自衛隊ミサイル部隊と統合運用すべきなのかも。
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沿岸護衛艦とミサイル艇。石垣島や宮古島には12式地対艦誘導弾や03式中距離地対空誘導弾部隊が進出予定です。石垣島あたりに海上自衛隊防備隊基地を置ければ、平時は海上防衛プレゼンスを発揮し、有事の際には友軍防空網下での遊撃戦、という運用も可能だ。
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水平線上くらま。海上自衛隊の旗艦的な位置づけとなっています護衛艦です。実は2003年の観艦式では首相の観閲艦は護衛艦しらね。2006年から2015年までの観艦式では佐世保くらま、が観閲艦を果たしました。その期間、私も撮影のご縁があった、ということ。
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水平線上ひゅうが。新時代の護衛艦といいますと、この護衛艦です。はるな除籍は本当に残念でして、実は舞鶴配備の護衛艦はるな、観艦式にて航行している様子を見たことは、当方、ありませんでした。ひゅうが、当時横須賀配備、現在は舞鶴配備となっている。
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US-1A救難飛行艇とUS-2救難飛行艇、あしがら。飛行艇の展示が開始されました。US-1AもUS-2も3mまでの波浪に対応するのですが、観艦式では離着水を行う場合、艦隊進路に合わせる必要がありまして、波より風向きから着水できない、ということも多々あります。
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あぶくま、US-2飛行艇。US-2,インドへの輸出とか、カナダが森林火災対処用に興味を示したとか、インドネシアが離島急患輸送用に、という声をよく聞きました。しかし、US-2の取得費用はF-35B戦闘機とほぼ同額、値段を聞くと去っていく、という話も聞きますね。
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US-2と水平線上の護衛艦。日本の場合は当初、対潜飛行艇としてPS-1が開発され、しかしあまりにも離着水によるソナー運用が非現実的で、しかもP-3C哨戒機などに対し優位性がなく、つり下げソナーならばソノブイよりも高性能、という目論見は外れました。
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US-1Aと水平線上の護衛艦。PS-1の発展型は、しかし広大な日本の排他的経済水域EEZを前にP-2J哨戒機やP-3C哨戒機を運用し、万一の事態があったことを考えて広範囲の航空救難体制を構築する必要に迫られ、高速艇や救難ヘリコプターを補完する機種が必要に。
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自衛隊と飛行艇。多数が必要、という航空機ではないのですが、陸上基地から1000km以上離れた海域での遭難事案ではヘリコプターには天候次第で厳しく、艦船ならば二日近く要する。飛行艇は、万一のことがあっても必ず助ける、という保証で保障なのですよね。
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US-2の情景。特殊な航空機であるため、輸出により量産効果を強めたいところですが、高価であること、そしてなにより職人芸とも呼ばれるほどの離着水の難しさがありまして、現実的に輸出を行うには自衛隊OBによる訓練支援部隊が必要になるようにも思います。
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くらま、飛行艇展示を終えて。観艦式は次の展示へと進んでゆきます。ただ、この観艦式を最後にボフォース展示がなくなり、そろそろ昔のように76mm艦砲の実弾射撃を再開してはどうかな、と思います。昔は太平洋でも日本海でも体験航海で艦砲を撃っていました。
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US-2はそのまま飛び去ってゆきました。水平線上に見える護衛艦の微かな情景とUS-2とともに飛行する水鳥の様子が不思議情景を醸し出しています、US-2,費用対効果としては飛行艇に難しい時代が到来している様にも思うのですが海洋国家の意地なのかもしれません。
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あしがら、艦橋の背景にP-3C。P-3Cが海上自衛隊の一時代を築いた哨戒機いよいよ開始される航空機による訓練展示、ここは相模湾という世界でも有数の過密海域であるためになかなか思い切ったことはできないのですが、それでも精一杯の展示を実施してゆくのだ。
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あしがら、P-3C。P-3C哨戒機は1997年まで101機が海上自衛隊へ納入されまして、大半は川崎重工にてライセンス生産を実施しています。導入時は高価な製造費が第二のロッキード事件と揶揄され、護衛艦いしかり一隻よりも高く護衛艦はつゆき型よりは安価という。
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あぶくま、艦橋の背景にP-3C、哨戒機はもともと高いものでアメリカの最新P-8A哨戒機も護衛艦あきづき型の半額程度を要します、その分だけに高性能でP-3Cは一機で同時に四国同等面積の海洋哨戒が可能という高性能を誇ります、シーレーン防衛に必須といえた。
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ひゅうが、P-3C。艦影は水平線上に浮かんでいまして、洋上航空とヘリコプター搭載護衛艦という一つの作戦体系が見て取れます、P-3Cは年々能力向上を進めていますが機体構造寿命が近づき、現在では延命を重ねつつ新型のP-1哨戒機へと更新を進めているところ。
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350ポンド対潜爆弾投下。80mほどの水柱がたつ、この水柱は京都の東寺五重の塔よりも高い、こうした展示を行うために海上保安庁は航路注意情報を出しています、ボフォース対潜ロケットの実弾射撃の際よりも増し、足元から突き上げる衝撃がどん、どん、と響く。
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対潜爆弾水柱。昭和の時代の観艦式ではもう少し実弾射撃が頻繁に行われていまして、P-2J哨戒機による127mmロケット弾発射、S-2V哨戒機もロケット弾の射撃展示を実施していました。ヘッジボッグ対潜擲弾や76mm艦砲の実弾射撃などを行っていたというから凄い。
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対潜爆弾起爆、海面が一瞬泡だって、という情景は1954年の映画ゴジラを思い出すか、1957年の映画眼下の敵を思い出すか。相模湾では艦砲射撃は安全管理上難しい、という話を聞きまして、行うならば野島碕の沖合にある射撃訓練海域へ行かなければならないという。
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対潜爆弾水柱。2020年代となった今日ではボフォース対潜ロケットが自衛隊から全て全廃されてしまったために、観艦式で実弾といえばこの対潜爆弾が唯一のモノとなっているのは残念ですね。跳弾しない76mm平頭弾など不審船用に開発、あれならば大丈夫そうだが。
北大路機関:はるな くらま ひゅうが いせ
(本ブログに掲載された本文及び写真は北大路機関の著作物であり、無断転載は厳に禁じる)
(本ブログ引用時は記事は出典明示・写真は北大路機関ロゴタイプ維持を求め、その他は無断転載と見做す)
(第二北大路機関: http://harunakurama.blog10.fc2.com/記事補完-投稿応答-時事備忘録をあわせてお読みください)
自衛隊観艦式の展示はミサイル艇による高速航行展示と共に再度航空機のエンジン音が太平洋へ響き渡ります。
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イージス艦こんごう、水陸機動作戦、という構図で。アメリカ海兵隊などは野戦防空部隊としてかつてホークミサイルを配備していましたが、そのまま区分廃止し、野戦防空は海軍イージス艦に依存する現状となっています。スタンダードSM-6の射程は370km以上だ。
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あしがら、ミサイル艇。海上自衛隊にとってミサイル艇とは、冷戦時代の魚雷艇による一撃離脱の運用を引き継いだ装備ですが、冷戦以降、一撃離脱よりは長期の警戒監視が求められる時代となりまして、その運用も高性能を活かしにくくなっているようにもおもう。
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せんだい、ミサイル艇。あぶくま型護衛艦ですが、平成初期の設計ながら周辺国の、具体的には中国の新世代駆逐艦に対しても平時には対艦ミサイルはじめ各種装備を有しており抑止力は発揮できます、そして護衛艦不足からミサイル艇も同種の任務に当たります。
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ミサイル艇流し撮り。ミサイル艇の韋駄天性能を紹介するには、この構図が良い。一号型ミサイル艇という、イタリアのスパロビエロ級の技術提供をうけ開発した水中翼船がありましたが、任務が特化過ぎ開発されたのが本型、ちなみにスパロビエロとは隼を示す。
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ミサイル艇と沿岸護衛艦。ミサイル艇ですが、個艦防空能力が低く紹介ヘリコプターにも太刀打ちできません。故に北欧ミサイル艇先進国などでは沿岸砲兵と一体化して運用されます。自衛隊の場合、沖縄南部の陸上自衛隊ミサイル部隊と統合運用すべきなのかも。
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沿岸護衛艦とミサイル艇。石垣島や宮古島には12式地対艦誘導弾や03式中距離地対空誘導弾部隊が進出予定です。石垣島あたりに海上自衛隊防備隊基地を置ければ、平時は海上防衛プレゼンスを発揮し、有事の際には友軍防空網下での遊撃戦、という運用も可能だ。
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水平線上くらま。海上自衛隊の旗艦的な位置づけとなっています護衛艦です。実は2003年の観艦式では首相の観閲艦は護衛艦しらね。2006年から2015年までの観艦式では佐世保くらま、が観閲艦を果たしました。その期間、私も撮影のご縁があった、ということ。
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水平線上ひゅうが。新時代の護衛艦といいますと、この護衛艦です。はるな除籍は本当に残念でして、実は舞鶴配備の護衛艦はるな、観艦式にて航行している様子を見たことは、当方、ありませんでした。ひゅうが、当時横須賀配備、現在は舞鶴配備となっている。
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US-1A救難飛行艇とUS-2救難飛行艇、あしがら。飛行艇の展示が開始されました。US-1AもUS-2も3mまでの波浪に対応するのですが、観艦式では離着水を行う場合、艦隊進路に合わせる必要がありまして、波より風向きから着水できない、ということも多々あります。
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あぶくま、US-2飛行艇。US-2,インドへの輸出とか、カナダが森林火災対処用に興味を示したとか、インドネシアが離島急患輸送用に、という声をよく聞きました。しかし、US-2の取得費用はF-35B戦闘機とほぼ同額、値段を聞くと去っていく、という話も聞きますね。
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US-2と水平線上の護衛艦。日本の場合は当初、対潜飛行艇としてPS-1が開発され、しかしあまりにも離着水によるソナー運用が非現実的で、しかもP-3C哨戒機などに対し優位性がなく、つり下げソナーならばソノブイよりも高性能、という目論見は外れました。
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US-2の情景。特殊な航空機であるため、輸出により量産効果を強めたいところですが、高価であること、そしてなにより職人芸とも呼ばれるほどの離着水の難しさがありまして、現実的に輸出を行うには自衛隊OBによる訓練支援部隊が必要になるようにも思います。
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US-2はそのまま飛び去ってゆきました。水平線上に見える護衛艦の微かな情景とUS-2とともに飛行する水鳥の様子が不思議情景を醸し出しています、US-2,費用対効果としては飛行艇に難しい時代が到来している様にも思うのですが海洋国家の意地なのかもしれません。
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あしがら、艦橋の背景にP-3C。P-3Cが海上自衛隊の一時代を築いた哨戒機いよいよ開始される航空機による訓練展示、ここは相模湾という世界でも有数の過密海域であるためになかなか思い切ったことはできないのですが、それでも精一杯の展示を実施してゆくのだ。
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対潜爆弾水柱。昭和の時代の観艦式ではもう少し実弾射撃が頻繁に行われていまして、P-2J哨戒機による127mmロケット弾発射、S-2V哨戒機もロケット弾の射撃展示を実施していました。ヘッジボッグ対潜擲弾や76mm艦砲の実弾射撃などを行っていたというから凄い。
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対潜爆弾起爆、海面が一瞬泡だって、という情景は1954年の映画ゴジラを思い出すか、1957年の映画眼下の敵を思い出すか。相模湾では艦砲射撃は安全管理上難しい、という話を聞きまして、行うならば野島碕の沖合にある射撃訓練海域へ行かなければならないという。
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対潜爆弾水柱。2020年代となった今日ではボフォース対潜ロケットが自衛隊から全て全廃されてしまったために、観艦式で実弾といえばこの対潜爆弾が唯一のモノとなっているのは残念ですね。跳弾しない76mm平頭弾など不審船用に開発、あれならば大丈夫そうだが。
北大路機関:はるな くらま ひゅうが いせ
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