■観閲行進から訓練展示へ
第33普通科連隊久居駐屯地創設61周年祭記念行事は観閲行進が続き、同時に訓練展示への準備も進みます。
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本部管理中隊の行進が始まった。様々な車両が並んでいて本部管理中隊は、連隊本部班と通信小隊や施設作業小隊に情報小隊と衛生小隊に補給小隊という、普通科連隊が独立して運用に当たるための細かい気遣い的な小技の聞く装備を一通りそろえている部隊です。
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情報小隊の軽装甲機動車と偵察オートバイ、師団に偵察隊や偵察戦闘大隊などがおかれていますが、斥候や情報収集など普通科連隊が自前の戦闘を展開する上で必要な情報収集を行う部隊です。最近では携帯式無人機などの装備も配備されていて、能力が向上している。
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通信小隊や発煙機3型などが進む。通信小隊は師団に通信大隊が置かれていますが、交換所と合同通信所など大規模な装備は師団へ依存するものの、連隊本部と隷下中隊の指揮系統維持への通信や小規模な電子戦は通信小隊にて実施可能、式典会場の通信も受け持つ。
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発煙機3型、化学科の装備が本部管理中隊の施設作業小隊に配備されています。実は携帯型除染器や94式除染装置なども配備されていまして、主として化学剤による攻撃を受けた場合の自隊除染などは、施設作業小隊でもかなりの部分の任務ができてしまうのですね。
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第10後方支援連隊第1整備大隊第2普通科直接支援中隊の支援車両、こちらは所属はあくまで春日井駐屯地の第10後方支援連隊ですが、駐屯しているのはここ久居駐屯地、後方支援重視の背景には高機動車や軽装甲機動車や重MATなど、整備が大変な装備が増えたため。
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豊川駐屯地からの第10特科連隊のFH-70榴弾砲、2ー4とありますので第2大隊第4中隊の所属とわかる。第10師団の特科連隊、最盛期には全般支援の第5大隊を含む5個大隊へ12個特科中隊が60門並べていましたが、現在は6個中隊30門のFH-70が残るのみ。
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春日井駐屯地からの第10偵察隊、87式偵察警戒車が。第10偵察隊は遠からず第10戦車大隊と統合され、74式戦車2個中隊は全廃され16式機動戦闘車を装備する1個戦闘中隊へ縮小改編、偵察戦闘大隊となる見込みです。2020年代にはもはや74式戦車の居場所は。
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UH-1JやAH-64DにUH-60JAとCH-47,地上には戦車が並ぶ。妙に豪華な編隊ですが、ついに第10飛行隊に配備されたのでは決して無く、明野駐屯地航空学校本校の装備が加わった形、第10飛行隊はUH-1J多用途ヘリコプター、当時はOH-6D観測ヘリコプターのみ。
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今津駐屯地からの第10戦車大隊の参加です。第10戦車大隊も戦略機動師団改編当時には第49普通科連隊新編とあわせ4個中隊60両が配備されていましたが、現在は第49普通科連隊が中部方面混成団へ管理替えとなり、戦車中隊も縮小、2個中隊のみという寂しさ。
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74式戦車2両が観閲行進へ参加しました。戦略機動師団当時は普通科連隊へ戦車中隊と特科大隊を配置し連隊戦闘団を編成していましたが、即応機動連隊改編後は、第2中隊から一個戦車小隊のみが各普通科連隊へ回され、第1中隊は師団長直轄の予備戦力扱いという。
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第10戦車大隊、74式戦車はよくみますと第1中隊と第2中隊から各1両が参加しているもよう。2010年代には流石に第二世代戦車は時代遅れで、なんとか10式戦車の戦車中隊を編入できれば、と。第1戦車大隊は10式戦車と74式戦車の混成編成を採用しています。
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AH-64D戦闘ヘリコプター。AH-1Sの後継として62機が調達予定でしたがミサイル防衛へ費用捻出のために調達が宙に浮き結局13機で調達終了となってしまった自衛隊航空の暗転期における航空機、高価ではあるが戦闘行動半径の大きさから絶対に30機は必要と思う。
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UH-60JA多用途ヘリコプター。第1ヘリコプター団第102飛行隊や第8飛行隊、第12ヘリコプター隊と第15ヘリコプター隊、着実に配備が進んだ航空機ですが、救難機と同等の航法装置を搭載し費用が高く、UH-1Jと二機種混合調達が行われ、今後はUH-2に続く。
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CH-47JA輸送ヘリコプター。陸上自衛隊にとって天恵といえる装備で55機を装備、航空自衛隊も20機を装備しています、駐屯地に飾られているV-107の後継機であり川崎重厚にてライセンス生産されています。こうして観閲行進は祝賀飛行の航過をもって完了した。
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訓練展示開始、銃剣格闘の展示だ。訓練展示はこうした個人技術の展示をおこなったのちに災害派遣展示か野戦訓練展示を実施します。災害派遣展示は重機で木材を動かせたりダンプに積んだりテントを建てたりご飯を炊いたりする、つまり余り見栄えしないのですね。
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銃剣格闘は普通科部隊の近接戦闘最終段階を左右する。訓練展示が野戦なのか災害派遣なのか、2011年東日本大震災から二年目ではありますが、やはり三重県まで出かけたのですから戦車が空包射撃を行い普通科隊員が縦横無尽に走回る様子というものを見てゆきたい。
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89式小銃へ飛び跳ねる泥しぶき。訓練展示がどう言った内容であるのかは、ポスターに描かれることも有れば描かれないこともある。つまりその日までわからない、ということだって有ります。空包射撃は音がすごいので伊丹のように住民反対で実施できないことも。
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格闘展示では芝生に含んだ雨滴が飛沫を上げる。久居駐屯地は初めて訪問した2000年代初頭のお話ですが、訓練展示が災害は剣展示だったこともあり、いや、せっかくだからまだ新車の香り立つ軽装甲機動車から硝煙の様子をみたいのだ、と切に思ったことを思い出す。
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UH-1J多用途ヘリコプターが戦闘訓練展示へ。そう2013年度は訓練展示が野戦訓練展示だったのですね。状況開始です。必要な装備や人員を最前線まで輸送するUH-1Jはみた目以上におおきな能力を秘めた航空機です。富士重工により改良型の国産化がすすみ馴染み。
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UH-1Jからラペリング降下で次々と隊員が降りてゆく。HU-1Bシリーズの航空機を初めて導入したのは1961年、HU-1Bは小型で小銃班半分しか載りませんでしたが、大型化したUH-1H、エンジンをAH-1Sと同型としたUH-1J、そして双発化したUH-2と配備は進む。
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津市の町並みとUH-1Jの対比が面白い。実際問題、アグスタAW-175のような航法性能の高い機種かエアバスEC-725のような縮小小隊や車両を吊れる多用途ヘリコプターが必要だけれどもこれらは全て高価で、部隊数の多い自衛隊には難しい、再編も必要ではないか。
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偵察へ87式偵察警戒車と情報小隊の偵察オートバイが進む。UH-1Jより展開したレンジャーとともに地上からの偵察が本格化する、敵情を探る87式偵察警戒車には25mm機関砲が装備されており、敵前衛と接触し可能ならば突破、全容を探るのが威力偵察というもの。
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BTR-82,仮設敵が応戦する。わが偵察隊の攻撃に装甲車を出して反応を示したことで敵の防御線一端が見え始めたという想定、BTR-82装甲車は重機関銃などを装備する軽装甲車で車高が高いのが特色、速度やエンジン出力や正面装甲の厚さは87式偵察警戒車と同じくらい。
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87式偵察警戒車、背景に並ぶのは74式戦車の車列が続く。74式戦車は第二世代戦車で、当時はまだ高出力小型のエンジンや軽量で強靱な装甲材などの技術が開発されておらず、戦車を構成する攻撃力・機動力・防御力、この三要素の内二つしか満たせない時代のもの。
北大路機関:はるな くらま ひゅうが いせ
(本ブログに掲載された本文及び写真は北大路機関の著作物であり、無断転載は厳に禁じる)
(本ブログ引用時は記事は出典明示・写真は北大路機関ロゴタイプ維持を求め、その他は無断転載と見做す)
(第二北大路機関: http://harunakurama.blog10.fc2.com/記事補完-投稿応答-時事備忘録をあわせてお読みください)
第33普通科連隊久居駐屯地創設61周年祭記念行事は観閲行進が続き、同時に訓練展示への準備も進みます。
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情報小隊の軽装甲機動車と偵察オートバイ、師団に偵察隊や偵察戦闘大隊などがおかれていますが、斥候や情報収集など普通科連隊が自前の戦闘を展開する上で必要な情報収集を行う部隊です。最近では携帯式無人機などの装備も配備されていて、能力が向上している。
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通信小隊や発煙機3型などが進む。通信小隊は師団に通信大隊が置かれていますが、交換所と合同通信所など大規模な装備は師団へ依存するものの、連隊本部と隷下中隊の指揮系統維持への通信や小規模な電子戦は通信小隊にて実施可能、式典会場の通信も受け持つ。
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発煙機3型、化学科の装備が本部管理中隊の施設作業小隊に配備されています。実は携帯型除染器や94式除染装置なども配備されていまして、主として化学剤による攻撃を受けた場合の自隊除染などは、施設作業小隊でもかなりの部分の任務ができてしまうのですね。
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第10後方支援連隊第1整備大隊第2普通科直接支援中隊の支援車両、こちらは所属はあくまで春日井駐屯地の第10後方支援連隊ですが、駐屯しているのはここ久居駐屯地、後方支援重視の背景には高機動車や軽装甲機動車や重MATなど、整備が大変な装備が増えたため。
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豊川駐屯地からの第10特科連隊のFH-70榴弾砲、2ー4とありますので第2大隊第4中隊の所属とわかる。第10師団の特科連隊、最盛期には全般支援の第5大隊を含む5個大隊へ12個特科中隊が60門並べていましたが、現在は6個中隊30門のFH-70が残るのみ。
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春日井駐屯地からの第10偵察隊、87式偵察警戒車が。第10偵察隊は遠からず第10戦車大隊と統合され、74式戦車2個中隊は全廃され16式機動戦闘車を装備する1個戦闘中隊へ縮小改編、偵察戦闘大隊となる見込みです。2020年代にはもはや74式戦車の居場所は。
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今津駐屯地からの第10戦車大隊の参加です。第10戦車大隊も戦略機動師団改編当時には第49普通科連隊新編とあわせ4個中隊60両が配備されていましたが、現在は第49普通科連隊が中部方面混成団へ管理替えとなり、戦車中隊も縮小、2個中隊のみという寂しさ。
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74式戦車2両が観閲行進へ参加しました。戦略機動師団当時は普通科連隊へ戦車中隊と特科大隊を配置し連隊戦闘団を編成していましたが、即応機動連隊改編後は、第2中隊から一個戦車小隊のみが各普通科連隊へ回され、第1中隊は師団長直轄の予備戦力扱いという。
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第10戦車大隊、74式戦車はよくみますと第1中隊と第2中隊から各1両が参加しているもよう。2010年代には流石に第二世代戦車は時代遅れで、なんとか10式戦車の戦車中隊を編入できれば、と。第1戦車大隊は10式戦車と74式戦車の混成編成を採用しています。
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CH-47JA輸送ヘリコプター。陸上自衛隊にとって天恵といえる装備で55機を装備、航空自衛隊も20機を装備しています、駐屯地に飾られているV-107の後継機であり川崎重厚にてライセンス生産されています。こうして観閲行進は祝賀飛行の航過をもって完了した。
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89式小銃へ飛び跳ねる泥しぶき。訓練展示がどう言った内容であるのかは、ポスターに描かれることも有れば描かれないこともある。つまりその日までわからない、ということだって有ります。空包射撃は音がすごいので伊丹のように住民反対で実施できないことも。
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偵察へ87式偵察警戒車と情報小隊の偵察オートバイが進む。UH-1Jより展開したレンジャーとともに地上からの偵察が本格化する、敵情を探る87式偵察警戒車には25mm機関砲が装備されており、敵前衛と接触し可能ならば突破、全容を探るのが威力偵察というもの。
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BTR-82,仮設敵が応戦する。わが偵察隊の攻撃に装甲車を出して反応を示したことで敵の防御線一端が見え始めたという想定、BTR-82装甲車は重機関銃などを装備する軽装甲車で車高が高いのが特色、速度やエンジン出力や正面装甲の厚さは87式偵察警戒車と同じくらい。
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北大路機関:はるな くらま ひゅうが いせ
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