■USS BonhommeRichard
ボノムリシャール、シャルとして佐世保基地にも長く前方展開していました強襲揚陸艦での火災事故という衝撃の報道が入ってまいりました。
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ボノムリシャール。佐世保基地にも長く前方展開していましたが、現地時間12日の0900時頃、アメリカ本土西海岸のサンディエゴ海軍基地に停泊中のボノムリシャールにて大規模火災が発生しました、火災の概況は船体全体から白煙と黒煙が噴き出しており、現在も鎮火しておらずCNN報道によれば鎮火までは数日を要する可能性がある、と報じています。
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佐世保基地においてエセックスやワスプとともに日常風景に溶け込んでいました強襲揚陸艦だけに心が痛みます。そして強襲揚陸艦は現在、アメリカ海兵隊がAV-8B攻撃機に代えF-35B戦闘機の運用を開始している為、所謂“F-35Bキャリアー”として環太平洋地域の抑止力に重責を担っているため、安全保障上も痛みが大きい、といえるのかもしれません。
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ワスプ級揚陸艦6番艦のボノムリシャールは1998年竣工、満載排水量40650tの巨大な船体はヘリコプターやSTOVL戦闘機等50機を搭載し、航空機による強襲を担う。戦車や装甲車及び輸送車両を輸する海兵1900名を輸送します。ワスプ級強襲揚陸艦は8隻が配備されており、この他に拡大改良型のアメリカ級強襲揚陸艦が1隻、更に建造が続いています。
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サンディエゴ消防当局の話をCNNが報じたところによれば火災は現地時間12日0900時頃で、この当時ボノムリシャールは整備点検中、艦内には160名の乗員と作業要員が乗艦しており、火災発生と共に脱出を開始したが、21名が負傷したとのこと。21名の負傷者の内17名が海軍要員、4名が民間人、生命異常は無く他の乗員も全員の所在が判明している。
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ウェルデッキより火災が発生したとCNNは報じていまして、火災現場を空撮した報道映像を見る限り、かなり吃水が下がっている様にもみえます。ウェルデッキは両用強襲車やエアクッション揚陸艇、上陸用舟艇等を格納する区画でエアクッション揚陸艇3隻か中型揚陸艇12隻を収容します。喫水線よりも下に位置しており、艦内に広く延焼しているもよう。
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火災概況は、上空からの映像を見る限り、航空機格納庫全体から白煙と黒煙が噴き出しており、艦橋構造物の一部からも白煙が噴出している状況が見え、ハロゲン消火ガスではなく延焼が続いているとみるべきでしょう。CNN報道では整備要員が下船しようとしているところで爆発が発生したとの証言があります。母港ですので艦載機は搭載されていません。
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ウェルデッキでの火災発生、爆発が発生したとありますが、報道映像を見る限り吃水が下がっている点が、ウェルデッキに注水している状況で火災が発生したのか、火災により吃水が下がったのかが未知数です。注水している状況の火災であれば揚陸艇に関係した火災が想定されるのですが、艦は整備中であったといい、整備器材が原因の可能性もあり得る。
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ダメージコントロールが適切に行われていない可能性があります、こういいますのもワスプ級の固有乗員は1100名であり、当時乗艦していたのは160名、母港にて定期整備中であったとはいえ、当直を行うには不十分な規模といわざるを得ず、防火シャッターの閉塞や艦内スプリンクラーによるダメージコントロールが、完全に機能していない点が窺えます。
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アメリカ海軍の整備中の艦艇勤務状況は浅学にして知りませんが、海上自衛隊の場合は停泊中や停泊しての整備中は勿論、ドック入渠中であっても当直を配置します、今回のボノムリシャール火災は整備中とはいってもドック入渠ではなく、サンディエゴ基地の周囲に機動揚陸プラットフォームやイージス艦が停泊する中の火災、当直体制に疑問が残ります。
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延焼の背景には強襲揚陸艦独特の艦内構造と防火シャッター閉塞不備が相まって深刻な事態とした可能性があります、強襲揚陸艦は多数の車両を航空機と舟艇により揚陸させる艦艇であり、艦内には車両用スロープが全通飛行甲板と車両甲板と航空機格納庫にウェルデッキを結んでいます、火災発生時に防火シャッターが作動しなければ、煙突のようになる。
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船体の損傷度合いですが、艦内火災である点が重要です。こういいますのもアメリカ海軍の航空母艦は第二次世界大戦中、珊瑚海海戦において空母レキシントンが爆弾と魚雷命中により艦内に航空燃料が気化充満し大火災の末に沈没し、日本空母もミッドウェー海戦において艦内での爆弾搭載中に被弾し爆発的火災を発生した点を後の設計に反映させています。
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強襲揚陸艦は航空母艦ではありませんが、設計の多くは共通点があり、爆弾などの危険物搭載は飛行甲板で行い、航空燃料も送油管を舷側に配置し、艦内火災を発生させない事に留意し、1969年に作戦中の原子力空母エンタープライズがロケット弾暴発による爆発事故を発生させていますが、こちらも危険物搭載が飛行甲板であった為に沈没を免れています。
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実は強襲揚陸艦の火災はこれだけではありません、いや、アメリカ海軍の強襲揚陸艦としては過去にない水準の火災といえるのですが、今年4月2日、中国海軍が上海にて建造中の075型強襲揚陸艦においても火災事故が発生していまして、乗員が居ない状況での火災、ウェルデッキと飛行甲板へと延焼、煙等火災の概況などについて、共通点が多いのですね。
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ボノムリシャール、ワスプ級強襲揚陸艦は、ワスプ、エセックス、キアサージ、ボクサー、バターン、そしてこのボノムリシャール、イオージマ、マキンアイランド。なにか日本の戦史と関わりある名前ばかりなのですけれども、この他にアメリカ級揚陸艦アメリカ現役、二番艦トリポリが建造中です。重大事故故に鎮火とこの教訓が生かされる事を願います。
北大路機関:はるな くらま ひゅうが いせ
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ボノムリシャール、シャルとして佐世保基地にも長く前方展開していました強襲揚陸艦での火災事故という衝撃の報道が入ってまいりました。
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ボノムリシャール。佐世保基地にも長く前方展開していましたが、現地時間12日の0900時頃、アメリカ本土西海岸のサンディエゴ海軍基地に停泊中のボノムリシャールにて大規模火災が発生しました、火災の概況は船体全体から白煙と黒煙が噴き出しており、現在も鎮火しておらずCNN報道によれば鎮火までは数日を要する可能性がある、と報じています。
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佐世保基地においてエセックスやワスプとともに日常風景に溶け込んでいました強襲揚陸艦だけに心が痛みます。そして強襲揚陸艦は現在、アメリカ海兵隊がAV-8B攻撃機に代えF-35B戦闘機の運用を開始している為、所謂“F-35Bキャリアー”として環太平洋地域の抑止力に重責を担っているため、安全保障上も痛みが大きい、といえるのかもしれません。
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ワスプ級揚陸艦6番艦のボノムリシャールは1998年竣工、満載排水量40650tの巨大な船体はヘリコプターやSTOVL戦闘機等50機を搭載し、航空機による強襲を担う。戦車や装甲車及び輸送車両を輸する海兵1900名を輸送します。ワスプ級強襲揚陸艦は8隻が配備されており、この他に拡大改良型のアメリカ級強襲揚陸艦が1隻、更に建造が続いています。
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サンディエゴ消防当局の話をCNNが報じたところによれば火災は現地時間12日0900時頃で、この当時ボノムリシャールは整備点検中、艦内には160名の乗員と作業要員が乗艦しており、火災発生と共に脱出を開始したが、21名が負傷したとのこと。21名の負傷者の内17名が海軍要員、4名が民間人、生命異常は無く他の乗員も全員の所在が判明している。
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ウェルデッキより火災が発生したとCNNは報じていまして、火災現場を空撮した報道映像を見る限り、かなり吃水が下がっている様にもみえます。ウェルデッキは両用強襲車やエアクッション揚陸艇、上陸用舟艇等を格納する区画でエアクッション揚陸艇3隻か中型揚陸艇12隻を収容します。喫水線よりも下に位置しており、艦内に広く延焼しているもよう。
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火災概況は、上空からの映像を見る限り、航空機格納庫全体から白煙と黒煙が噴き出しており、艦橋構造物の一部からも白煙が噴出している状況が見え、ハロゲン消火ガスではなく延焼が続いているとみるべきでしょう。CNN報道では整備要員が下船しようとしているところで爆発が発生したとの証言があります。母港ですので艦載機は搭載されていません。
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ウェルデッキでの火災発生、爆発が発生したとありますが、報道映像を見る限り吃水が下がっている点が、ウェルデッキに注水している状況で火災が発生したのか、火災により吃水が下がったのかが未知数です。注水している状況の火災であれば揚陸艇に関係した火災が想定されるのですが、艦は整備中であったといい、整備器材が原因の可能性もあり得る。
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ダメージコントロールが適切に行われていない可能性があります、こういいますのもワスプ級の固有乗員は1100名であり、当時乗艦していたのは160名、母港にて定期整備中であったとはいえ、当直を行うには不十分な規模といわざるを得ず、防火シャッターの閉塞や艦内スプリンクラーによるダメージコントロールが、完全に機能していない点が窺えます。
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アメリカ海軍の整備中の艦艇勤務状況は浅学にして知りませんが、海上自衛隊の場合は停泊中や停泊しての整備中は勿論、ドック入渠中であっても当直を配置します、今回のボノムリシャール火災は整備中とはいってもドック入渠ではなく、サンディエゴ基地の周囲に機動揚陸プラットフォームやイージス艦が停泊する中の火災、当直体制に疑問が残ります。
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延焼の背景には強襲揚陸艦独特の艦内構造と防火シャッター閉塞不備が相まって深刻な事態とした可能性があります、強襲揚陸艦は多数の車両を航空機と舟艇により揚陸させる艦艇であり、艦内には車両用スロープが全通飛行甲板と車両甲板と航空機格納庫にウェルデッキを結んでいます、火災発生時に防火シャッターが作動しなければ、煙突のようになる。
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船体の損傷度合いですが、艦内火災である点が重要です。こういいますのもアメリカ海軍の航空母艦は第二次世界大戦中、珊瑚海海戦において空母レキシントンが爆弾と魚雷命中により艦内に航空燃料が気化充満し大火災の末に沈没し、日本空母もミッドウェー海戦において艦内での爆弾搭載中に被弾し爆発的火災を発生した点を後の設計に反映させています。
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強襲揚陸艦は航空母艦ではありませんが、設計の多くは共通点があり、爆弾などの危険物搭載は飛行甲板で行い、航空燃料も送油管を舷側に配置し、艦内火災を発生させない事に留意し、1969年に作戦中の原子力空母エンタープライズがロケット弾暴発による爆発事故を発生させていますが、こちらも危険物搭載が飛行甲板であった為に沈没を免れています。
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実は強襲揚陸艦の火災はこれだけではありません、いや、アメリカ海軍の強襲揚陸艦としては過去にない水準の火災といえるのですが、今年4月2日、中国海軍が上海にて建造中の075型強襲揚陸艦においても火災事故が発生していまして、乗員が居ない状況での火災、ウェルデッキと飛行甲板へと延焼、煙等火災の概況などについて、共通点が多いのですね。
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ボノムリシャール、ワスプ級強襲揚陸艦は、ワスプ、エセックス、キアサージ、ボクサー、バターン、そしてこのボノムリシャール、イオージマ、マキンアイランド。なにか日本の戦史と関わりある名前ばかりなのですけれども、この他にアメリカ級揚陸艦アメリカ現役、二番艦トリポリが建造中です。重大事故故に鎮火とこの教訓が生かされる事を願います。
北大路機関:はるな くらま ひゅうが いせ
(本ブログに掲載された本文及び写真は北大路機関の著作物であり、無断転載は厳に禁じる)
(本ブログ引用時は記事は出典明示・写真は北大路機関ロゴタイプ維持を求め、その他は無断転載と見做す)
(第二北大路機関: http://harunakurama.blog10.fc2.com/記事補完-投稿応答-時事備忘録をあわせてお読みください)