■真価問われる流行禍下の関係
かしま無事日本へ帰国し、いせ環太平洋合同演習へ。新型コロナウィルスCOVID-19流行禍に世界が鎖国を進める中に海の交流は続く。
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海上自衛隊練習艦隊の遠洋航海部隊が22日、帰国します。練習艦隊司令官八木浩二海将補隷下、練習艦かしま、練習艦しまゆき、2隻が第70期一般幹部候補課程修了者155名を乗艦させ44日間、19000kmの航海を実施しました。しかし、今年の遠洋練習航海は異例の航路を辿りました、理由はやはり、新型コロナウィルスCOVID-19流行禍の影響でした。
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いせハワイへ出航。COVID-19の世界的な流行禍とともに南シナ海や東シナ海と日本周辺海域では中国海軍や中国公船の行動が活性化しており、沖ノ鳥島周辺での国連海洋法条約違法測量を実施、このままでは沖ノ鳥島が第二の尖閣諸島のような軍事圧力に晒される懸念があり、日本は海洋自由原則を共有する友好国同盟国との協力を強化せねばなりません。
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いせ、あしがら。海上自衛隊はRIMPAC2020環太平洋合同演習へ参加するべく、いせ、あしがら、第2護衛隊司令北川敬三1佐を指揮官に護衛艦2隻を来る23日に出航させます。RIMPAC2020は8月17日から31日まで実施され、艦隊は9月18日に帰国予定という。日程から逆算すると帰国前に二週間の検疫隔離を盛り込んだ上での派遣といえるでしょう。
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RIMPAC2020,実は新型コロナウィルスの感染拡大、WHO世界保健機関のパンデミー世界的流行禍宣言とともに参加各国からは今年度のRIMPACを中止しては、という提案が数多くあったとされますが、アメリカ海軍は、寧ろこうしたときだからこそ各国連携を強化させなければならない、と実施が決定され、海上自衛隊も感染対策を徹底し参加することに。
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かしま以下新任幹部と乗員含め550名、全員無事という。全員無事というのは遠洋航海においても徹底した感染対策によりCOVID-19感染者が出なかった事を示す。なお、異例ではあるのですが本年度の遠洋航海は前期と後期にわかれており、今回実施された訓練は前期訓練となります。参加人員を刷新して再度の後期訓練が行われる、ということでしょう。
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練習艦隊は6月9日に呉基地を出航しました。この時点で異例ということが端的に示されています、例年遠洋航海は東京晴海埠頭から出航します、そもそも近海練習航海を経て晴海に至るのですが今年は晴海に入港していません。練習艦隊は先ず6月13日に沖縄の勝連基地に入港し補給を行います、コロナウィルス対策にて補給のみ、当然のように上陸無し。
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沖縄を出航した艦隊は一路南下、バシー海峡を経て南シナ海、現在世界でもっとも緊張している南シナ海を通り7月5日にシンガポールのチャンギ基地へ入港します。しかし、驚くのは今回の遠洋練習航海ではこのチャンギ基地が唯一の寄港先となっていまして、そしてここでも補給のみ、上陸はしていません。一回も上陸がない遠洋航海は初めてなのです。
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シンガポールを6日に出航した艦隊はそのままマラッカ海峡を通行してベンガル湾へ入りスマトラ島を一周する航路を経てカリマンタン海峡を経て再度南シナ海へ、ルソン島沖を航行しマリアナ諸島北方を。やはり寄港することなく小笠原諸島に沿って東京湾へ、遠洋航海の終着は22日の横須賀入港となります。しかし、実施しました意義と意味は大きい。
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日米共同訓練が二回実施されました、このうち一回はアメリカ原子力空母との訓練を実施し、もう一回は新鋭の沿海域戦闘艦が参加しています。インド海軍とも日印共同訓練を実施しインド海軍はミサイル駆逐艦など2隻を派遣、シンガポール海軍とも共同訓練を実施し、シンガポール海軍はフォーミダブル級フリゲイトを派遣しました。一通りの訓練も。
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COVID-19感染拡大、元々深刻で江田島基地を近海練習航海部隊と外洋練習航海部隊が出航した際には、すでに日本国内での感染拡大兆候は顕在化していましたが、四月には国家緊急事態宣言が発令、新任3尉には厳しい状況となっていました、なにしろ近海練習航海でさえ縮小、寄港地では祝賀会も行えていないといいまして、非常時の航海といえました。
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外洋練習航海の航路かと思った、こういいますのは遠洋航海として例年では欧州や北米や南米と世界一周の長期航海を行うのですが、日本国内の緊急事態宣言下の感染状況とは比較にならないほどの感染爆発が欧州も北米も南米も蹂躙している状況で、そもそもなかなか航路が発表されず今年は遠洋航海の実施不可能か、と一時は思ったほどでしたが出航へ。
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環太平洋合同演習、遠洋航海、なるほど今でなくとも、と思われるかもしれませんが周辺情勢は寧ろ緊張度を増しており、いまでなければならない、縮小実施でも今年実施するからこそ意味がある、というものなのかもしれません。外洋練習航海後期、環太平洋合同演習、感染対策を徹底し外洋練習航海前期のような感染者の出ない無事の帰港を祈念します。
北大路機関:はるな くらま ひゅうが いせ
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(第二北大路機関: http://harunakurama.blog10.fc2.com/記事補完-投稿応答-時事備忘録をあわせてお読みください)
かしま無事日本へ帰国し、いせ環太平洋合同演習へ。新型コロナウィルスCOVID-19流行禍に世界が鎖国を進める中に海の交流は続く。
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海上自衛隊練習艦隊の遠洋航海部隊が22日、帰国します。練習艦隊司令官八木浩二海将補隷下、練習艦かしま、練習艦しまゆき、2隻が第70期一般幹部候補課程修了者155名を乗艦させ44日間、19000kmの航海を実施しました。しかし、今年の遠洋練習航海は異例の航路を辿りました、理由はやはり、新型コロナウィルスCOVID-19流行禍の影響でした。
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いせハワイへ出航。COVID-19の世界的な流行禍とともに南シナ海や東シナ海と日本周辺海域では中国海軍や中国公船の行動が活性化しており、沖ノ鳥島周辺での国連海洋法条約違法測量を実施、このままでは沖ノ鳥島が第二の尖閣諸島のような軍事圧力に晒される懸念があり、日本は海洋自由原則を共有する友好国同盟国との協力を強化せねばなりません。
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いせ、あしがら。海上自衛隊はRIMPAC2020環太平洋合同演習へ参加するべく、いせ、あしがら、第2護衛隊司令北川敬三1佐を指揮官に護衛艦2隻を来る23日に出航させます。RIMPAC2020は8月17日から31日まで実施され、艦隊は9月18日に帰国予定という。日程から逆算すると帰国前に二週間の検疫隔離を盛り込んだ上での派遣といえるでしょう。
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RIMPAC2020,実は新型コロナウィルスの感染拡大、WHO世界保健機関のパンデミー世界的流行禍宣言とともに参加各国からは今年度のRIMPACを中止しては、という提案が数多くあったとされますが、アメリカ海軍は、寧ろこうしたときだからこそ各国連携を強化させなければならない、と実施が決定され、海上自衛隊も感染対策を徹底し参加することに。
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かしま以下新任幹部と乗員含め550名、全員無事という。全員無事というのは遠洋航海においても徹底した感染対策によりCOVID-19感染者が出なかった事を示す。なお、異例ではあるのですが本年度の遠洋航海は前期と後期にわかれており、今回実施された訓練は前期訓練となります。参加人員を刷新して再度の後期訓練が行われる、ということでしょう。
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練習艦隊は6月9日に呉基地を出航しました。この時点で異例ということが端的に示されています、例年遠洋航海は東京晴海埠頭から出航します、そもそも近海練習航海を経て晴海に至るのですが今年は晴海に入港していません。練習艦隊は先ず6月13日に沖縄の勝連基地に入港し補給を行います、コロナウィルス対策にて補給のみ、当然のように上陸無し。
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沖縄を出航した艦隊は一路南下、バシー海峡を経て南シナ海、現在世界でもっとも緊張している南シナ海を通り7月5日にシンガポールのチャンギ基地へ入港します。しかし、驚くのは今回の遠洋練習航海ではこのチャンギ基地が唯一の寄港先となっていまして、そしてここでも補給のみ、上陸はしていません。一回も上陸がない遠洋航海は初めてなのです。
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シンガポールを6日に出航した艦隊はそのままマラッカ海峡を通行してベンガル湾へ入りスマトラ島を一周する航路を経てカリマンタン海峡を経て再度南シナ海へ、ルソン島沖を航行しマリアナ諸島北方を。やはり寄港することなく小笠原諸島に沿って東京湾へ、遠洋航海の終着は22日の横須賀入港となります。しかし、実施しました意義と意味は大きい。
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日米共同訓練が二回実施されました、このうち一回はアメリカ原子力空母との訓練を実施し、もう一回は新鋭の沿海域戦闘艦が参加しています。インド海軍とも日印共同訓練を実施しインド海軍はミサイル駆逐艦など2隻を派遣、シンガポール海軍とも共同訓練を実施し、シンガポール海軍はフォーミダブル級フリゲイトを派遣しました。一通りの訓練も。
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COVID-19感染拡大、元々深刻で江田島基地を近海練習航海部隊と外洋練習航海部隊が出航した際には、すでに日本国内での感染拡大兆候は顕在化していましたが、四月には国家緊急事態宣言が発令、新任3尉には厳しい状況となっていました、なにしろ近海練習航海でさえ縮小、寄港地では祝賀会も行えていないといいまして、非常時の航海といえました。
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外洋練習航海の航路かと思った、こういいますのは遠洋航海として例年では欧州や北米や南米と世界一周の長期航海を行うのですが、日本国内の緊急事態宣言下の感染状況とは比較にならないほどの感染爆発が欧州も北米も南米も蹂躙している状況で、そもそもなかなか航路が発表されず今年は遠洋航海の実施不可能か、と一時は思ったほどでしたが出航へ。
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環太平洋合同演習、遠洋航海、なるほど今でなくとも、と思われるかもしれませんが周辺情勢は寧ろ緊張度を増しており、いまでなければならない、縮小実施でも今年実施するからこそ意味がある、というものなのかもしれません。外洋練習航海後期、環太平洋合同演習、感染対策を徹底し外洋練習航海前期のような感染者の出ない無事の帰港を祈念します。
北大路機関:はるな くらま ひゅうが いせ
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