北大路機関

京都防衛フォーラム:榛名研究室/鞍馬事務室(OCNブログ:2005.07.29~/gooブログ:2014.11.24~)

79年目の終戦記念日-昭和20年は平和元年,1945年8月15日ポツダム宣言受諾を宣言し第二次世界大戦は終戦を迎えた

2024-08-15 20:00:28 | 北大路機関特別企画
■平和79年
 平和は幾度か懸念に曝されつつも少なくとも日本では制度として平和が今も続いているのです。それはあたかも平和79年というもう一つの元号のように。

 本日は8月15日、1945年、日本がポツダム宣言受諾を表明した日です。終戦から79年、79年といいますともう、記憶よりも記録の世界となっていまして、あの戦争で実際に戦闘を経験された方は幾人お元気なのでしょう。終戦、しかしその終戦は今のところ日本にとり最後に経験した戦争となり、第二次世界大戦は日本での戦争の代名詞となった。

 平和を考える日、終戦記念日はこう位置づけられているのですけれども、平和を考える以前の問題として平和ではない状態というものを社会の通念として、共通認識として、共有知として、既に共有できていないのではないか、という実情が、これは同時に次の戦争をどう回避するか、という視点を民主主義国家として持ち得なくなっているのでは。

 戦闘機搭乗員だった方に朝の情報番組にてアイドル上がりのコメンテーターの方が、アメリカ人を殺した感想はどうですか、と、彼としては率直な発想であったのかもしれないしこれが79年の空白ともいえるのだけれども、しかし単純に見ればひどく礼を欠いて残酷な質問をTVの公共電波に載せてしまったのが、あれは何年前の事でしたか。

 日本とアメリカが戦争としたってほんとうですか、という大学生の素朴な疑問が大学で憲法や安全保障や政治学などを教える講師の方や教授の方を困惑させたのは1990年代という。これは昔話で、2000年代に入ると、でどっちが勝ったんですか、と大学生の問いがさらに困惑させたという話がありましたが、これにはいろいろ続きがあります。

 日本がヴェトナム戦争に参戦していないってほんとうですか、という問いは2010年代のもので大学講師の友人が最新版だ、と教えてくれました。なんでも歴史として日本国内でヴェトナム反戦運動があったという事を知り、ヴェトナム反戦運動なのだから自衛隊もヴェトナムに派遣されていたのだろうというイラク派遣を経た2010年代らしさ。

 太平洋戦争で亡くなった日本の方の人数はと問われ、五万人くらいかな、というのが2020年代の最新版で、広島や長崎と沖縄だけでも報道で大真中人数が出されているように記憶するのですが、350万という数字は想像してくれないのだという。いやはや、戦争は過去の話になったという事なのですけれども、こうした方々が平和を後に語るのか。

 戦争を回避するには、少なくとも日本は専守防衛を掲げているのであり、日本から侵略する事の蓋然性は低いものの、戦争、国際浮上の複数の国家間での武力紛争は、少なくとも一方の国家だけが戦争を拒否する姿勢を如何に堅持していても、もう一方が望むならば成立してしまうため、防衛、抑止力、予防外交、外交、すべての選択肢で回避に臨む。

 憲法9条を文字通り受け止めるならば、日本は、防衛、抑止力、予防外交を選択肢から捨てて外交だけで臨むというようなものであり、武力行使の国際法上の定義には経済力による圧力も含められ、武力攻撃と武力行使を区別しているのですから、憲法を守るならば、戦争回避のためには妥協と懇願以外は恭順と亡国くらいしか選択肢が無いのです。

 平和、それならば意図せぬ隷属や経済的苦役などを、妥協の結果として国家が選択肢を失い国民に平和以外の権利をすべて、例えば財産権や環境権、基本的人権や生存権を秤にかけてまで、失いつつ平和です、と強弁する事が出来るのかといえば、それは9条以外の憲法に反するところとなります。これが所謂、構造的暴力、という問題ですね。

 2022年のロシアウクライナ戦争、この3年間この問題でもちきりですが、2014年に非暴力に徹した事でロシアに武力併合されたドンバス地域やクリミア半島の人々は、戦争を回避できたと胸を張れるのかといいますと、毎日のように占領するロシア軍がこれらの地域を拠点にウクライナを攻撃し、ウクライナ軍もあらゆる手段で反撃、着弾する。

 クリミア半島とドンバス地域では、それでは平和運動によりロシア軍基地化を拒否すべきであった、と主張する方もいるのかもしれませんが、それは1945年前半に東京でこれを行う以上に難しく、結果的にそういった方々は、居なかったことに出来る、法体系を持っている国では運動が成り立ちません。国家と私人の関係の構造的な限界といえて。

 最近ドンバスではクルスクへ向かう青年団がロシア政府により組織されているという。そう、併合されてしまいますと、そもそも併合する側が戦争という選択肢を持っているままに自国を併合するのですから、仮に日本で手段として平和を堅持していても、併合されるような状況となれば、その国のために戦争参加、戦闘参加を強要されるわけです。

 結果としての平和が享受できなければ、こういうことに陥り、しかもその状況では私人では拒否できず、かといって棄民として国外に出るだけの準備を行おうにも、語学はもちろん社会保障を含めて今の日本以上の環境を自ら確保して国籍を得られる方がいるのか、という疑問もあり、日本の旅券に守られている事を実感しているのか、という事にも。

 しかし、79年間という、いわば真剣に戦争を考えることをできない期間というものはこうした認識で、そもそも常識の基盤が異なる、共有できていない認識の大きさを実感できない。平和は重要であるが必要なのは結果としての平和であり、手段としての平和、というものを選択してしまうと、自らは平和を享受できない可能性があるということ。

 平和構築には、しかし何が必要なのか、という認識は、日本は民主主義国家であるのですけれども、政治参加の時間は社会生活の中でもねん出が難しい社会構造となっているように思えまして、もちろん、頑張っている方は多少はいるよう認識はするのですが、政治参加により防衛力のあり方を踏まえ情報を集め議論することに費やす方は少数派で。

 手段としての平和を使う、ということは一見安価に思えるでしょう、軍事に反対して使わなければ、まあ、災害の時も自助努力で頑張るとして、外国で戦争に巻き込まれた際にもあきらめてもらうとして、ミサイルについてはニュースを観なければ核弾頭は核爆発が感じられるまではどうという事もなく、感じた後は何も感じることもありません、が。

 平和を手段として使う事は、何も考えなければ上記の通り過ごせることなのかもしれませんが、長期的に見れば、そもそもシーレーンを含めたエネルギーやサプライチェーンの維持が難しくなり製造業が成り立たなくなりますし、医療初め、いや肥料供給の途絶から近代農業も難しく、山奥で自給自足生活しか営めない、ほかに選択肢が無くなります。

 平和ならばそれもいい、と思われるかもしれませんが、問題を難しくするのは日本が大陸外延部弧状列島という地政学上の要衝にある為で、ここに軍事的空白が生じますと周辺国にはどこかが確保しなければ地域安定が取れなくなります、すると、外国軍隊の進駐が始まる。これを回避するには、空白や不均衡を生まない努力が必要となるのです。

北大路機関:はるな くらま ひゅうが いせ まや
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【京都発幕間旅情】榛名さんの総監部グルメ日誌-愛知一宮,焼き鳥屋さんの屋号は偶然終戦時の総理大臣と同じ名前であった

2024-08-15 14:11:44 | グルメ
榛名さんの総監部グルメ日誌
 台風が接近しているものの蒸し暑さだけは変らない今年の八月十五日にて。

 本日は終戦記念日、79回目の終戦記念日なのですが、先日さてこの話題をどう考えようか、と迷った際にふとこの、戦艦金剛と戦艦榛名を指揮した鈴木提督と同じ名前を屋号とします焼き鳥屋さんという事で暖簾を潜ったお店にてふと気づいたのは、すずき、という名前で。

 ハイボールをひとつ。このところビールよりもハイボールのほうに注力しているもので、炭酸と麦芽の発酵よりも蒸留酒を昔は折角酒精を高めたものを割ってしまうのが残念に思い苦手だったのですが、最近は、歳のせいかな、炭酸で割る事も理解できるようなった。

 終戦時の総理大臣である鈴木貫太郎海軍大将と、このすずきさんは屋号が同じなのですよね、そんな事を考えつつ、御通しは、牛蒡ですね。わたしは胡瓜が苦手なものですからこの御通しに何が出るかは一種、その日の運試し的な気概と共にお迎えするのだけれども。

 ハツを塩で。さて終戦記念日、79年ですよ、もう実戦を経験した方も限られるといいますか、寧ろヴェトナム戦争を経験された方の方が多いのではないかと思う、ヴェトナム戦争も来年で停戦50年ですけれども、ヴェトナム難民の方はかなり日本で暮らされているし。

 ネギマも塩で。数字としては二つとも知っていたけれども、云われて調べて並べて気付かされたのは、バルジ大作戦として知られるアルデンヌ冬季攻勢の米軍戦死者と沖縄戦の米軍戦死者では沖縄の方が大きかったということです。それ程あれは激戦だったということ。

 デュワーズハイボールを。人によっては響とかも気にせずハイボールにしてしまう人がいるのかもしれないなあ、と思いつつ、しかし水割りで無いとそのままは無理、なんて方もいるそうですから、それこそ人の好みというのは多種多様、というところなのでしょうが。

 カワも塩で。79年というと、奇跡のようだけれども地政学上の要衝にある日本列島において79年間も戦争が無かった、ということ。国共内戦に朝鮮戦争と中ソ国境紛争にヴェトナム戦争と中越戦争、巻き込まれてもおかしくはない出来事が幾つもありながらひとつも。

 オールドをロックで。戦後、というものを考えると平和が日常ではあったのだが、しかし、ヴェトナムも朝鮮も台湾も、戦争に巻き込まれたくて巻き込まれたのかと云えば、均衡、抑止力の均衡の破たんが背景にある事も事実で、その点日本は防衛の努力も怠っていない。

 焼きナスを。終戦記念日というのは過去の戦争を慰霊する重要な日ではあるのだけれども、逆に79年前の戦争について、社会全体で知ろうとしているのだろうか、価値観を理解しようとしているのだろうか、単なる戦災だけに中止していないだろうか、と危惧しまして。

 レバーはタレで。戦争に反対していれば戦争は起きない、と考えるのは現在世界各地の戦争が、原因がある事を無視して国民が好戦的な故だ、と一方的な価値観の押し付けをしているようにも見えまして、まず理解する事と調べる事を面倒に思わない事が重要なのかと。

 すずきさん、此処は愛知県一宮市三条というところにありまして、名鉄奥町駅や開明駅から15分ほど、なのですけれど新幹線岐阜羽島に向かう濃尾大橋、県道18号線沿いにある焼き鳥屋さんです。落ち着いた店内の雰囲気ゆえ、ふと色々思想を巡らせられる名店だ。

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岸田総理-次期自民党総裁不出馬意思表明,崩壊危機防衛力に防衛費GDP2%拡充と反撃能力整備で再建目処

2024-08-15 07:00:38 | 国際・政治
■次期総理への希望
 本日は終戦記念日、昨日は巨大地震注意に相次ぐ台風接近と新幹線計画運休発表などさまざまな出来事が有りましたがいちばんの話題は。

 岸田総理大臣は14日、みずからが次の自民党総裁選に出馬しない方針を発表しました。これは派閥パーティーのパーティー券収入還付金を政治資金規正法に基づく記載を行わなかった一部派閥議員による問題を受け、自民党内の派閥解消など大きな転換点を担いましたが、これがひと段落ついたとして、9月の総裁選に出馬せず後人に譲る方針を示しました。

 岸田政権の2021年からの政策は多岐に上りますが、安全保障を主題として、最近はグルメが多いけれど、取り扱う北大路機関としては、岸田政権最大の転換点は長年防衛政策を大きく制約していた防衛費GDP1%枠を超えて、GDP2%へと大きくその自由度を高めた事と、防衛力整備について、中期防衛力整備計画を越え、防衛力整備計画へ回帰した事でしょう。

 防衛力については、ミサイル防衛という巨額の防衛費を必要とする防衛力整備事業を防衛費の枠そのものを増額せず、今年だけは我慢してくれという緊縮政策を21年間も継続したため、防衛力全体が危機的な程に形骸化していたものを、若干遅きに失した印象はぬぐえないものの実戦で問題を突き付けられる前に増額に転じたことは大きな成果といえます。

 反撃能力整備として、これは北大路機関としては内閣の1政策ではなく憲法改正を踏まえて正当性と正統性を確保した上で執り行うべきとも思うのですが、中国大陸内陸部まで届く数千kmの射程を有するミサイルを導入する反撃能力整備が明記され、有事の際に一方的に国民の生命財産を攻撃に曝される状況へ、報復的抑止力という選択肢を加えたかたち。

 自民党総裁選は9月に予定され、これには8月末の来年度予算概算要求など、政治に求められる重要な日程も踏まえなければなりません。他方で、次の自民党総裁、いや、日本の総理大臣に求めたいのは、21年間ものミサイル防衛により大きく形骸化した日本御防衛力を、再建させず崩壊させるような選択肢、予算削減、だけは行わないよう望みたいのです。

 防衛力の再建は、撤退しかけている防衛産業の繋ぎ留め、隊員募集や教育体系、低下している装備品稼働率、これら複数の問題に絡み続けており、これが一旦崩壊しますと、再建には海外製装備品と海外防衛産業依存の稼働率、人件費拡大の是認か別の人的資材確保の手段などを選ばねばならず、一時的な予算節約は数年後の膨大な代償を強いられるのです。

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