■緊急給付と医療動員の提案
新年度となりました、しかし現在のところ昨年度から流行を始めた新型コロナウィルス肺炎は世界規模で鎮静化の見通しが全く立ちません。百年ぶりの巨大流行禍だ。
ロイター通信によれば、世界は本日、新型コロナウィルス肺炎COVID-19について、その感染者数が遂に100万を越え100万8000名となりました。そして日本国内の感染者数も3000名の大台を超えてしまい、懸念すべき状況となっています。厚生労働省は週明けから軽症者や無発症保菌者を現行の全員入院から隔離施設での経過観察へ移行するとのこと。
外出制限の徹底により人との接触を八割削減した場合は、感染拡大は感染収束へ展開する、これは国の専門家会議が試算した数字です。しかしその為には徹底した自粛要請が必要ですが、現状では全く補填措置等が無く、一日の感染数は200以上、倒産を回避する為に営業を維持せねばならない事業者がやむを得ず営業を継続しており感染拡大を生んでいます。
COVID-19は恐るべき猛威を欧州やアメリカで奮っていまして、日本は僥倖でしか無く備えが必要です。その備えとは。医療制度の再構築による抜本強化により緊急に重篤患者が死亡しない為の“戦時体制”と、そして“自粛要請を確たるものとする為の支援制度”、この二つを整備し得たならば、国内の感染拡大は沈静化に向かう、この視点を考えましょう。
100万円の小規模事業者及び自営業者の緊急給付金が必要だ。ただし税率を90%で。実際のところ長期戦となりうる認識が必要です。しかし、自粛を継続した場合は事業者が経営破綻となることは必至で、思い切った制度が必要でしょう。欧州など取り返しのつかない状況となった地域ではこうした思い切った施策に乗り出しているのですが、日本は、と。
ECMOや人工呼吸器、COVID-19患者は現在国費で治療を受けられます。法定伝染病に指定されているために健康保険などの負担はありません。実のところ、日本のコロナ対策セイフティネットの最たる施策は、この感染した場合への完全な治療費の国費負担であると思いまして、国費診療は諸外国の給付金制度等とは比較にならない程の安心があると思う。
しかし万全でない。事業者は賃料や仕入れ費用、人件費等負担する必要があります。そこで100万円、というものはある種の安心感となるのではないでしょうか。もちろん、急ぎ起業した看板のみの事業者や経営実態のない企業は対象外とする必要があり、ここに罰則規定を盛り込む必要は当然ですが、厳しい小規模事業者を救う施策は絶対に必要でしょう。
問題は財源なのですが、欧州各国も潤沢な財政基盤となる例えば国有油田や金鉱脈があるわけではありません、しかし給付金に課税する事例がありまして、落ち着いて考えるならば給付金に一定程度の課税を行うことで、事業者は当座を凌ぐことが出来、少なくとも沈静化までは自粛を要請することができるのですね。100%課税は非現実的ですが90%ならば。
100万円緊急給付金、90%の課税として要するに来年三月の年度末までに100万円給付金を受けた事業者は90万円の税金納付が求める、という制度の提案です。90万円納付が来年三月の時点で難しいのであれば分割納付、という選択肢を提示する。これは経営破綻により納付不能となる懸念もありますが、社会に大きな安心感を与える選択肢となるでしょう。
緊急経済対策と経営安定施策、この両立として苦境に陥る飲食業と宿泊業及びその関連事業者については、一律、軽症患者及び無症状感染者収容施設への支援として言わば一種の公共事業として参画を要請する施策が考えられます、少子高齢化の時代ではありますが救援を求める事業者は言い換えれば巨大な労働力、求められる労働力、活用しない手はない。
飲食業や接待業は、一律金額を国が地域ごとに明示した上で給食支援として隔離保菌者の補助へ参加してもらう。もちろん、祇園の夜の費用と国が提示し得る費用の金額とでは大きな開きがありますが、地域ごとに、例えば当該地域自衛隊駐屯地の委託食堂費用などを参考に給食提供を要請する。廃業となるよりは、こうした膨大な飲食業は活用すべきです。
300万の感染者を想定した場合は一日900万食が必要となる、300万の科学根拠は何かといわれますと、1959年アジア風邪新型インフルエンザの日本国内流行患者数を参考としました、あの時は300万の感染者と死者5700名、世界では100万名が死亡したという。実のところCOVID-19イタリアやスペイン死者数を見ますと控えめな数字とは思うのですが。
ホテル業と飲食業、東京五輪に向けて造るに造ったホテル群と五輪選手村、インバウンドとして建てるに建てた外国人観光客向けの大量のホテルや外食産業は、300万の軽症患者や無症保菌者の隔離に必要な大量の需要を満たす上で天恵というべき日本のウィルス感染を克服する産業力となります。もっとも、防護装備が必要であることは確か、さてどうする。
製造業の総動員、第二次世界大戦以来の規模で必要です。防護服とマスクやゴーグル、枯渇が懸念される生ゴムの代用品、人工呼吸器やECMO人工肺の増産が必要です。余剰を心配するならば当面日本の対外援助は人工呼吸器やマスクに防護服、とする覚悟、おそらく批判は少ないでしょう、こうした視点から増産した製品は片端から政府が調達する方向で。
日本国内にはかなりの製造能力が維持されています、ただ、一部の部品を代用品、枯渇する生ゴム部品や中国からの部品等を国産化する、こうした必要があり、また、粗造乱造を防ぐために品質保全の最小限度を明示した一種の"戦時規格"というものは必要となるのでしょうが、3Dプリンターや石油化学製品を代用する事で製造は不可能ではないでしょう。
政府買い上げの保証、必要なのはここ。統制経済と批判はあるでしょうが、2009年新型インフルエンザ流行時には政府が業界に求めた増産が、しかし政府買い上げが無く大量在庫を抱えることとなった製品が多い、各企業はこの痛い経験を忘れていません、その上で今回は規格外不良品以外全て買い上げる、その保証の上で日本の製造業底力を示す時です。
危機感の薄れにこそ危機感を覚える。昨今はそうした印象を日本国内において受けます。過去、福島第一原発事故に際して微量の放射性物質が首都圏に降下した際の慎重さがあれば、実はわたしは今回のCOVID-19世界流行禍においても、我が国では都道府県知事の外出自粛により感染拡大を防ぎうるのではないか、こうした希望的観測も有していました。
CNNによれば、ニューヨークでの指数関数的な感染爆発が増加は継続しているものの収まりつつある、としていまして、一週間前は感染者数が倍増するまで二日間となっていましたが、現在は六日間で倍増する水準となっている、と保健当局者の見解を紹介しました。ただ、感染拡大は続いており、現象の医学的根拠は今のところ得られていない、とも。
ニューヨークでの感染ピークは識者によって一週間後、という見解がある一方、21日後まで要するとの見解もあり、ピークを越えた場合でも時間をかけて収束、そして終息へと向かうため、平常時に戻るまでの時間は更に長くなることを意味し、またニューヨーク州クオモ知事はどの資産でも医療限界を越えるとして、州内の全住民に警戒を促しています。
トランプ大統領は今後2週間は覚悟が要る、として感染拡大防止に協力を求めました。アメリカ国内では現状のままでは10万名から24万名の死者が出るとの試算があり、なにも対応策を打たなかった場合にはこの数が220万に膨らむという試算を提示した上で、10万名以下に抑えることが出来れば、よくやったといえる、として全米に警鐘を鳴らしました。
米PBSによれば現在世界で感染拡大防止に成功しているのは中華民国台湾、台湾政府のみです。台湾は世界でもっとも早い時期に中国との航空便停止を決断し、各国からは過剰対応とみられていました、同時期に北朝鮮が国境を閉鎖、数日の後にロシアも国境を閉鎖しましたが、結果として感染拡大防止に成功し経済活動も維持できたのは台湾のほうでした。
台湾政府は1月20日に中央対策センターを設置、入京規制を実施するとともにSARSの経験を活かした法整備、これにより各病院に30日間の備蓄があり、対応することが出来ました。台湾の成功の背景には北京とWHOの見解を信頼しておらず、台湾は独自のCDCによる情報を信頼している、相違点があり、これがわずか感染者390名に抑えている背景です。
台湾CDCは武漢市内での奇病発生を昨年のうちに把握し、その上で独自に武漢市内へ情報収集を実施、WHOが中国政府の発表をそのまま公表するという状況下でWHOは国境閉鎖否定やマスク不要論とPHEIC公衆衛生非常事態宣言遅延等の感染拡大措置を強化するなかで危険性を認識した台湾CDCの当時としては強硬な施策は結果的に成功だったという。
放射性物質とウィルス、最大の相違点は放射性物質は微量に吸い込んだ場合でも、体内に蓄積されるのみです。体内に蓄積されるのみですので、一生のうちの被曝量の上限を越えると発ガンリスクが増大し、しかし、発ガンしない方も居るために、ガン当たりくじ、と1950年代に東大放射線防護学専攻では学生に揶揄された、ということなのですけれども。
ウィルスは放射性物質と違い、微量でも体内に入りますと増殖します。放射性物質は増殖しません。もっともウィルスは増殖しますが免疫反応により死滅します、この点は確実に蓄積される放射性物質とは異なる点なのですけれども。問題は、微量ならば吸収しても大丈夫である放射性物質と違い、ウィルスは増殖し、ピコグラム単位の吸収で致命的となる。
COVID-19は、今後数年間で効果ある抗生物質が開発されることでしょう、ウィルス分離研究の進捗具合から副作用さえ目を瞑ればワクチン開発も既に進んでいまして、現在は副作用が人命に影響しないかの治験も一部で開始されています、ですから数年後に感染した場合は致命的ではないかもしれません、が感染から十数日で致命的となりえるのですね。
放射性物質とCOVID-19ウィルス、共通する問題点はいったん体内に入りますと取り除く方法がないのですね、特にウィルスは体内で増殖を始めますと抗生物質がない現状では為す術がありません、肺が一斉に炎症を起こす、肺は五つの区画があり、肺炎というものは本来一区画づつ発症し治癒するというが、COVID-19は肺全体一斉に炎症を起こすという。
若者は体力があるので肺がだめになっても大丈夫さ、という楽観論、はさすがにありません。故にこのCOVID-19は、楽観的になる要素は、例えばアニメ"ソウナンです"のように無人島にでも居る場合を除けば、絶対安全はあり得ないのですね。肺炎は治療法がある常識の時代です、ここに近代史以来の治療法のない肺炎が帰ってきた、これが危険なのです。
日本は早い時期に公立学校全国一斉休業に踏み切り、そして全国規模の集会や会合の自粛要請を実施し、これが日本独特の同調圧力と言うべきでしょうか、強く機能した事により爆発的な感染拡大は辛うじて持ちこたえています。ただ、これが一ヶ月程度で終息宣言となる、こうした僥倖は余りに現実離れした楽観論で、相当の覚悟と入念準備が必要です。
イギリスでは当初積極的な対策をとらないことで集団免疫を獲得し社会を維持させるという独特の手法で臨みましたが、致死率を計算し無計画にイギリス全土へと感染拡大した場合は70万前後の死者が発生することとなり、イギリスは感染拡大後に一挙に各分野での閉鎖へと踏み切りました。欧州での感染拡大は非常に懸念すべき状況にあるのですが実際に。
エリザベス女王はウィンザー城に入営、ウィンザー城はロンドンから34km離れた女王陛下週末の離宮となっていますが、バッキンガム宮殿での関係者感染発覚、王位継承第一位のチャールズ皇太子の感染判明により、戦時というべき離宮への遷座となりました。なお、チャールズ皇太子は幸いな事に重篤化もなくウィルス陽性反応が幸い収まった、とのこと。
ジョンソン英首相の感染確認も衝撃を受けましたが、イギリス国内の医療資材、物資も人的資源も、枯渇著しくCNNやAFPとBBCという信憑性の高いメディアでも、航空会社の手空き客室乗務員を看護士として動員検討、医療プレイ専門アダルトショップが政府から白衣や術衣提供要請を受けた、25万名の若者を生活支援ボランティアとして募る、など。
日本の対策はどのようにあるべきか。現在のところ、最悪の場合の医療崩壊を念頭としつつ、しかし病床不足や医療関係者不足が顕在化する状況が必至とみられつつも、その上での抜本対策は日本医師会はじめ緊急事態宣言の発令を政府が決断し、これによる感染拡大防止という、いわば他力本願である状況は微動だにしていません。打開策は必要でしょう。
医師法の一部改正、これは日本医師会が絶対に反対するでしょうが、医師の指揮下において医療行為を行う人員を大幅に増強する必要がある。看護師の権限拡大はもちろん、介護士の看護師権限付与による医療要員の拡充、医学部学生への国家試験免除、これは既にイタリアで行われている、そして医師による遠隔医療として医師補制度、などが考えられる。
医師補制度、5G通信とAI診療およびウェアラブル端末を用いて実施する手法です。5G通信は高精細画像を常続的に伝送可能であり、メガネ型液晶表示装置と併用することで、患者に接する要員が必要な医療知識や判断基礎知識を持っていない場合でも、遠隔地の医師が判断を行い、必要な施術方法を患者に接する要員に"カンニング"させることが可能だ。
5G応用の治療は感染拡大が深刻となった中国武漢では、自動車用NC工作機などをマジックハンドとして、1000km以上離れた北京や天津、上海などから治療を行う試みがありました。しかし、残念ながら人工肺の挿管や輸液などはNC工作機では不可能であったもようです。NC工作機は自由に動くことが出来るのは盤台上に限られた、というのが限界という。
ウェアラブル端末を用いた医師補に治療を委ね、具体方法は遠隔地から医師が担う。この利点は一人の医師が大型端末を用いて無菌室から安全に十数名の医師補を同時に指揮することが可能であり、いわば医師が中隊長として複数の治療分隊を指揮する、そうした構図です。ただ、医師補には感染の危険が生じ、診察には幾つかの防護策と支援策が必要です。
医師補、これは今回のCOVID-19実地診療にて一定期間重視した場合は、これをOJTと見なし、その上で国家資格として年に一回の免許更新講習を必須とした上で遠隔地診療に永続的に適用できる、特権として提示した上で、今回の災厄に立ち向かう、こうした医師法改正は必要ではないでしょうか。ただ急がねば制度構築の時間はそれほど長くありません。
ウェアラブル端末。簡単に明示しましたが、商品としては存在していますし、一定程度の数量がが国内市場に流通して要るものではあります。そして5G通信網もめどはついていますが、医療システムに適合化するには法の壁がありますし、医師の訓練や病院内通信網の問題もあります。それでも医師不足は必至である以上、取り急ぎ何らかの打開策は必要でしょう。
現在の医療枠組みはいわば平時の機構であり、おそらく日本の医療制度は今回のような大規模感染を想定したものではありません。そして平時の枠組みとともに動員制度も医師法がこの規模の感染拡大を想定していないため、感染拡大が進んだ場合は医療崩壊が、発生しなければ制度がおかしい、というべきでしょう。故に医療制度も有事体制移行が必要だ。
北大路機関:はるな くらま ひゅうが いせ
(本ブログに掲載された本文及び写真は北大路機関の著作物であり、無断転載は厳に禁じる)
(本ブログ引用時は記事は出典明示・写真は北大路機関ロゴタイプ維持を求め、その他は無断転載と見做す)
(第二北大路機関: http://harunakurama.blog10.fc2.com/記事補完-投稿応答-時事備忘録をあわせてお読みください)
新年度となりました、しかし現在のところ昨年度から流行を始めた新型コロナウィルス肺炎は世界規模で鎮静化の見通しが全く立ちません。百年ぶりの巨大流行禍だ。
ロイター通信によれば、世界は本日、新型コロナウィルス肺炎COVID-19について、その感染者数が遂に100万を越え100万8000名となりました。そして日本国内の感染者数も3000名の大台を超えてしまい、懸念すべき状況となっています。厚生労働省は週明けから軽症者や無発症保菌者を現行の全員入院から隔離施設での経過観察へ移行するとのこと。
外出制限の徹底により人との接触を八割削減した場合は、感染拡大は感染収束へ展開する、これは国の専門家会議が試算した数字です。しかしその為には徹底した自粛要請が必要ですが、現状では全く補填措置等が無く、一日の感染数は200以上、倒産を回避する為に営業を維持せねばならない事業者がやむを得ず営業を継続しており感染拡大を生んでいます。
COVID-19は恐るべき猛威を欧州やアメリカで奮っていまして、日本は僥倖でしか無く備えが必要です。その備えとは。医療制度の再構築による抜本強化により緊急に重篤患者が死亡しない為の“戦時体制”と、そして“自粛要請を確たるものとする為の支援制度”、この二つを整備し得たならば、国内の感染拡大は沈静化に向かう、この視点を考えましょう。
100万円の小規模事業者及び自営業者の緊急給付金が必要だ。ただし税率を90%で。実際のところ長期戦となりうる認識が必要です。しかし、自粛を継続した場合は事業者が経営破綻となることは必至で、思い切った制度が必要でしょう。欧州など取り返しのつかない状況となった地域ではこうした思い切った施策に乗り出しているのですが、日本は、と。
ECMOや人工呼吸器、COVID-19患者は現在国費で治療を受けられます。法定伝染病に指定されているために健康保険などの負担はありません。実のところ、日本のコロナ対策セイフティネットの最たる施策は、この感染した場合への完全な治療費の国費負担であると思いまして、国費診療は諸外国の給付金制度等とは比較にならない程の安心があると思う。
しかし万全でない。事業者は賃料や仕入れ費用、人件費等負担する必要があります。そこで100万円、というものはある種の安心感となるのではないでしょうか。もちろん、急ぎ起業した看板のみの事業者や経営実態のない企業は対象外とする必要があり、ここに罰則規定を盛り込む必要は当然ですが、厳しい小規模事業者を救う施策は絶対に必要でしょう。
問題は財源なのですが、欧州各国も潤沢な財政基盤となる例えば国有油田や金鉱脈があるわけではありません、しかし給付金に課税する事例がありまして、落ち着いて考えるならば給付金に一定程度の課税を行うことで、事業者は当座を凌ぐことが出来、少なくとも沈静化までは自粛を要請することができるのですね。100%課税は非現実的ですが90%ならば。
100万円緊急給付金、90%の課税として要するに来年三月の年度末までに100万円給付金を受けた事業者は90万円の税金納付が求める、という制度の提案です。90万円納付が来年三月の時点で難しいのであれば分割納付、という選択肢を提示する。これは経営破綻により納付不能となる懸念もありますが、社会に大きな安心感を与える選択肢となるでしょう。
緊急経済対策と経営安定施策、この両立として苦境に陥る飲食業と宿泊業及びその関連事業者については、一律、軽症患者及び無症状感染者収容施設への支援として言わば一種の公共事業として参画を要請する施策が考えられます、少子高齢化の時代ではありますが救援を求める事業者は言い換えれば巨大な労働力、求められる労働力、活用しない手はない。
飲食業や接待業は、一律金額を国が地域ごとに明示した上で給食支援として隔離保菌者の補助へ参加してもらう。もちろん、祇園の夜の費用と国が提示し得る費用の金額とでは大きな開きがありますが、地域ごとに、例えば当該地域自衛隊駐屯地の委託食堂費用などを参考に給食提供を要請する。廃業となるよりは、こうした膨大な飲食業は活用すべきです。
300万の感染者を想定した場合は一日900万食が必要となる、300万の科学根拠は何かといわれますと、1959年アジア風邪新型インフルエンザの日本国内流行患者数を参考としました、あの時は300万の感染者と死者5700名、世界では100万名が死亡したという。実のところCOVID-19イタリアやスペイン死者数を見ますと控えめな数字とは思うのですが。
ホテル業と飲食業、東京五輪に向けて造るに造ったホテル群と五輪選手村、インバウンドとして建てるに建てた外国人観光客向けの大量のホテルや外食産業は、300万の軽症患者や無症保菌者の隔離に必要な大量の需要を満たす上で天恵というべき日本のウィルス感染を克服する産業力となります。もっとも、防護装備が必要であることは確か、さてどうする。
製造業の総動員、第二次世界大戦以来の規模で必要です。防護服とマスクやゴーグル、枯渇が懸念される生ゴムの代用品、人工呼吸器やECMO人工肺の増産が必要です。余剰を心配するならば当面日本の対外援助は人工呼吸器やマスクに防護服、とする覚悟、おそらく批判は少ないでしょう、こうした視点から増産した製品は片端から政府が調達する方向で。
日本国内にはかなりの製造能力が維持されています、ただ、一部の部品を代用品、枯渇する生ゴム部品や中国からの部品等を国産化する、こうした必要があり、また、粗造乱造を防ぐために品質保全の最小限度を明示した一種の"戦時規格"というものは必要となるのでしょうが、3Dプリンターや石油化学製品を代用する事で製造は不可能ではないでしょう。
政府買い上げの保証、必要なのはここ。統制経済と批判はあるでしょうが、2009年新型インフルエンザ流行時には政府が業界に求めた増産が、しかし政府買い上げが無く大量在庫を抱えることとなった製品が多い、各企業はこの痛い経験を忘れていません、その上で今回は規格外不良品以外全て買い上げる、その保証の上で日本の製造業底力を示す時です。
危機感の薄れにこそ危機感を覚える。昨今はそうした印象を日本国内において受けます。過去、福島第一原発事故に際して微量の放射性物質が首都圏に降下した際の慎重さがあれば、実はわたしは今回のCOVID-19世界流行禍においても、我が国では都道府県知事の外出自粛により感染拡大を防ぎうるのではないか、こうした希望的観測も有していました。
CNNによれば、ニューヨークでの指数関数的な感染爆発が増加は継続しているものの収まりつつある、としていまして、一週間前は感染者数が倍増するまで二日間となっていましたが、現在は六日間で倍増する水準となっている、と保健当局者の見解を紹介しました。ただ、感染拡大は続いており、現象の医学的根拠は今のところ得られていない、とも。
ニューヨークでの感染ピークは識者によって一週間後、という見解がある一方、21日後まで要するとの見解もあり、ピークを越えた場合でも時間をかけて収束、そして終息へと向かうため、平常時に戻るまでの時間は更に長くなることを意味し、またニューヨーク州クオモ知事はどの資産でも医療限界を越えるとして、州内の全住民に警戒を促しています。
トランプ大統領は今後2週間は覚悟が要る、として感染拡大防止に協力を求めました。アメリカ国内では現状のままでは10万名から24万名の死者が出るとの試算があり、なにも対応策を打たなかった場合にはこの数が220万に膨らむという試算を提示した上で、10万名以下に抑えることが出来れば、よくやったといえる、として全米に警鐘を鳴らしました。
米PBSによれば現在世界で感染拡大防止に成功しているのは中華民国台湾、台湾政府のみです。台湾は世界でもっとも早い時期に中国との航空便停止を決断し、各国からは過剰対応とみられていました、同時期に北朝鮮が国境を閉鎖、数日の後にロシアも国境を閉鎖しましたが、結果として感染拡大防止に成功し経済活動も維持できたのは台湾のほうでした。
台湾政府は1月20日に中央対策センターを設置、入京規制を実施するとともにSARSの経験を活かした法整備、これにより各病院に30日間の備蓄があり、対応することが出来ました。台湾の成功の背景には北京とWHOの見解を信頼しておらず、台湾は独自のCDCによる情報を信頼している、相違点があり、これがわずか感染者390名に抑えている背景です。
台湾CDCは武漢市内での奇病発生を昨年のうちに把握し、その上で独自に武漢市内へ情報収集を実施、WHOが中国政府の発表をそのまま公表するという状況下でWHOは国境閉鎖否定やマスク不要論とPHEIC公衆衛生非常事態宣言遅延等の感染拡大措置を強化するなかで危険性を認識した台湾CDCの当時としては強硬な施策は結果的に成功だったという。
放射性物質とウィルス、最大の相違点は放射性物質は微量に吸い込んだ場合でも、体内に蓄積されるのみです。体内に蓄積されるのみですので、一生のうちの被曝量の上限を越えると発ガンリスクが増大し、しかし、発ガンしない方も居るために、ガン当たりくじ、と1950年代に東大放射線防護学専攻では学生に揶揄された、ということなのですけれども。
ウィルスは放射性物質と違い、微量でも体内に入りますと増殖します。放射性物質は増殖しません。もっともウィルスは増殖しますが免疫反応により死滅します、この点は確実に蓄積される放射性物質とは異なる点なのですけれども。問題は、微量ならば吸収しても大丈夫である放射性物質と違い、ウィルスは増殖し、ピコグラム単位の吸収で致命的となる。
COVID-19は、今後数年間で効果ある抗生物質が開発されることでしょう、ウィルス分離研究の進捗具合から副作用さえ目を瞑ればワクチン開発も既に進んでいまして、現在は副作用が人命に影響しないかの治験も一部で開始されています、ですから数年後に感染した場合は致命的ではないかもしれません、が感染から十数日で致命的となりえるのですね。
放射性物質とCOVID-19ウィルス、共通する問題点はいったん体内に入りますと取り除く方法がないのですね、特にウィルスは体内で増殖を始めますと抗生物質がない現状では為す術がありません、肺が一斉に炎症を起こす、肺は五つの区画があり、肺炎というものは本来一区画づつ発症し治癒するというが、COVID-19は肺全体一斉に炎症を起こすという。
若者は体力があるので肺がだめになっても大丈夫さ、という楽観論、はさすがにありません。故にこのCOVID-19は、楽観的になる要素は、例えばアニメ"ソウナンです"のように無人島にでも居る場合を除けば、絶対安全はあり得ないのですね。肺炎は治療法がある常識の時代です、ここに近代史以来の治療法のない肺炎が帰ってきた、これが危険なのです。
日本は早い時期に公立学校全国一斉休業に踏み切り、そして全国規模の集会や会合の自粛要請を実施し、これが日本独特の同調圧力と言うべきでしょうか、強く機能した事により爆発的な感染拡大は辛うじて持ちこたえています。ただ、これが一ヶ月程度で終息宣言となる、こうした僥倖は余りに現実離れした楽観論で、相当の覚悟と入念準備が必要です。
イギリスでは当初積極的な対策をとらないことで集団免疫を獲得し社会を維持させるという独特の手法で臨みましたが、致死率を計算し無計画にイギリス全土へと感染拡大した場合は70万前後の死者が発生することとなり、イギリスは感染拡大後に一挙に各分野での閉鎖へと踏み切りました。欧州での感染拡大は非常に懸念すべき状況にあるのですが実際に。
エリザベス女王はウィンザー城に入営、ウィンザー城はロンドンから34km離れた女王陛下週末の離宮となっていますが、バッキンガム宮殿での関係者感染発覚、王位継承第一位のチャールズ皇太子の感染判明により、戦時というべき離宮への遷座となりました。なお、チャールズ皇太子は幸いな事に重篤化もなくウィルス陽性反応が幸い収まった、とのこと。
ジョンソン英首相の感染確認も衝撃を受けましたが、イギリス国内の医療資材、物資も人的資源も、枯渇著しくCNNやAFPとBBCという信憑性の高いメディアでも、航空会社の手空き客室乗務員を看護士として動員検討、医療プレイ専門アダルトショップが政府から白衣や術衣提供要請を受けた、25万名の若者を生活支援ボランティアとして募る、など。
日本の対策はどのようにあるべきか。現在のところ、最悪の場合の医療崩壊を念頭としつつ、しかし病床不足や医療関係者不足が顕在化する状況が必至とみられつつも、その上での抜本対策は日本医師会はじめ緊急事態宣言の発令を政府が決断し、これによる感染拡大防止という、いわば他力本願である状況は微動だにしていません。打開策は必要でしょう。
医師法の一部改正、これは日本医師会が絶対に反対するでしょうが、医師の指揮下において医療行為を行う人員を大幅に増強する必要がある。看護師の権限拡大はもちろん、介護士の看護師権限付与による医療要員の拡充、医学部学生への国家試験免除、これは既にイタリアで行われている、そして医師による遠隔医療として医師補制度、などが考えられる。
医師補制度、5G通信とAI診療およびウェアラブル端末を用いて実施する手法です。5G通信は高精細画像を常続的に伝送可能であり、メガネ型液晶表示装置と併用することで、患者に接する要員が必要な医療知識や判断基礎知識を持っていない場合でも、遠隔地の医師が判断を行い、必要な施術方法を患者に接する要員に"カンニング"させることが可能だ。
5G応用の治療は感染拡大が深刻となった中国武漢では、自動車用NC工作機などをマジックハンドとして、1000km以上離れた北京や天津、上海などから治療を行う試みがありました。しかし、残念ながら人工肺の挿管や輸液などはNC工作機では不可能であったもようです。NC工作機は自由に動くことが出来るのは盤台上に限られた、というのが限界という。
ウェアラブル端末を用いた医師補に治療を委ね、具体方法は遠隔地から医師が担う。この利点は一人の医師が大型端末を用いて無菌室から安全に十数名の医師補を同時に指揮することが可能であり、いわば医師が中隊長として複数の治療分隊を指揮する、そうした構図です。ただ、医師補には感染の危険が生じ、診察には幾つかの防護策と支援策が必要です。
医師補、これは今回のCOVID-19実地診療にて一定期間重視した場合は、これをOJTと見なし、その上で国家資格として年に一回の免許更新講習を必須とした上で遠隔地診療に永続的に適用できる、特権として提示した上で、今回の災厄に立ち向かう、こうした医師法改正は必要ではないでしょうか。ただ急がねば制度構築の時間はそれほど長くありません。
ウェアラブル端末。簡単に明示しましたが、商品としては存在していますし、一定程度の数量がが国内市場に流通して要るものではあります。そして5G通信網もめどはついていますが、医療システムに適合化するには法の壁がありますし、医師の訓練や病院内通信網の問題もあります。それでも医師不足は必至である以上、取り急ぎ何らかの打開策は必要でしょう。
現在の医療枠組みはいわば平時の機構であり、おそらく日本の医療制度は今回のような大規模感染を想定したものではありません。そして平時の枠組みとともに動員制度も医師法がこの規模の感染拡大を想定していないため、感染拡大が進んだ場合は医療崩壊が、発生しなければ制度がおかしい、というべきでしょう。故に医療制度も有事体制移行が必要だ。
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