北大路機関

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【京都幕間旅情】大徳寺,一休宗純再興の寺院は金毛閣山門包む新緑の臨済宗大徳寺派大本山

2021-05-13 20:21:57 | 写真
■新緑は五月の大徳寺を巡る
 春の桜の季節が落ち着きますと次は落ち着いた清々しい新緑の季節が広がる。

 大徳寺。此処を探訪しますと山門 の金毛閣に息を呑みます。この二層の山門は享禄2年こと西暦1529年に連歌師宗長の寄進で一層山門として、続き天正時代の1589年に千利休が完成させ金毛閣と号しました。茶の湯に所縁深い寺院の所縁というところなのですね。

 妙心寺や大徳寺のような寺院を臨済宗では林下寺院としています。釈迦如来を奉じる本堂の仏殿は祈祷の額縁とともに御釈迦様が迎える開かれた寺院であり、それは夜にも常夜灯が迎える。もっとも観光過多の頃に美しい桜並木が伐採されたのは残念でしたけれども。

 新緑の季節、散策へと歩み伸ばしたい最中ではありますが、無理に日常を取り戻したい方々の無謀ともいえる雑踏に敢えて乗り出す愚行は避けたい、なにかこう生き急ぐような享楽は変なものでして、日常の疲れを癒すには静かな場所で時を愉しむ嗜みこそが贅沢と思う。

 北大路通沿いのここは京都市北区紫野大徳寺町、臨済宗大徳寺派の大本山で府下有数規模を有する禅宗寺院です。ここ大徳寺は塔頭24という壮大な寺院であり、白壁が整然と続くその中は一つの街のよう、その寺域は広く常時開かれており、修行の気風は心地さえよい。

 大燈国師宗峰妙超を開基に迎え正中2年こと西暦1325年に建立なった寺院はかつては更に広く、そして今も石畳が凛として続く寺域を拝観とともに思考の巡行に歩み進めますと、しかし意外な程に行き交う人は少なく、昨今の事情を差し引いても、静寂が保たれている。

 都大路の北辺に位置する大徳寺、この界隈は今宮神社に建勲神社、わら天神や金閣寺へと至る実のところ風情溢れる一角と思うのですが、何故か観光客は元々少なく、不思議に思う。大宮通界隈にも程近く、ここにこそ京都の日常が広がるようにも思うのだけれどもね。

 後醍醐天皇の治世下に建立なった大徳寺、しかし此処は京都ですので、二転三転の歴史に揉まれているのは必然ともいえる。後醍醐天皇は当寺を厚く保護し、鎌倉幕府滅亡後の建武元年即ち西暦1334年に大徳寺を京都五山の別格上位に位置づける勅令を発しています。

 足利政権が成立により建武の新政が瓦解しますと、今度は朝廷に接近し過ぎた寺院と見做される事で五山から除かれます。しかしこれは逆に幕府からの距離を意味し、貴族から商人に文化人から町人まで幅広い層の支持を受けて栄える事となりました。幕府との距離は。

 応仁の乱、幕府との距離は置いていた筈なのですが京都を蹂躙した応仁の乱では、やはり例外と云う訳にはいかず、灰燼に帰しました。塔頭寺院の広がりは大徳寺の歴史の深さでもありますが、廃絶と遷座を繰り返す難しい時代が続いたようで、そこを散策してゆく。

 一休宗純。一休さんとして室町時代は勿論江戸時代から日本全国に広く親しまれた一休宗純が法主となりましたのはこの応仁の乱の後の時代でして、一休宗純は後土御門天皇の令を以て大徳寺の復興に当る訳です。こうして大徳寺は25ヶ国に280余寺を有する規模へ。

 織田信長のお葬式を豊臣秀吉が執り行ったのが此処大徳寺である。こう説明されるお寺は今もなお広く、拝観できる塔頭もいくつかありますが、拝観できない寺院には戦国大名やその縁者が数多く帰依しそして眠る塔頭も多く、山門の奥を思い浮かべるだけで感慨深い。

 龍源院、瑞峯院、大仙院、高桐院、大徳寺には常時拝観可能という塔頭がこう開いていまして、そして特別公開を行っている塔頭も多い。しかし拝観料を奉じて庭園始め仏教文化に触れるのも趣き深い事ではあるのですが、こう一周を巡るだけでも興味深い一時でした。

北大路機関:はるな くらま ひゅうが いせ
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