北大路機関

京都防衛フォーラム:榛名研究室/鞍馬事務室(OCNブログ:2005.07.29~/gooブログ:2014.11.24~)

【防衛情報】イージスシステムとペトリオットの結合,海上自衛隊新護衛艦やはぎ竣工式,中国海軍055型駆逐艦10番艦進水式

2024-08-20 20:24:36 | インポート
■防衛フォーラム
 日本もコンテナモジュール式ミサイル発射装置の護衛艦統裁を研究し始めたところです。

 アメリカのロッキードマーティン社はイージスシステムとペトリオットの結合に成功しました。もとよりペトリオットミサイルシステムとイージスシステムをSPY-1レーダーやSPY-6レーダーとともに連接させる試験は既に行われていましたが、今回はMk70コンテナモジュールに搭載されたペトリオットPAC-3-MSEを試験しています。

 Mk70コンテナモジュールは陸軍のマルチドメインドクトリンにあわせて中距離ミサイルなどを収容する、C-17輸送機などで輸送可能というミサイルシステムとして開発されトレーラー方式で牽引し海軍のMk41VLSのような機能を起立式機動発射装置として実現したものですが、艦載装備として艦上に設置することも可能となっている。

 イージスシステムとの連接試験では、たとえばLCS沿海域戦闘艦などにこのMk70を搭載することでペトリオットPAC-3-MSEの防空能力をいち早く艦上に展開させることが可能となりました。これは紅海ミサイル防衛などで顕在化している多数ミサイル攻撃に対応するためのミサイル不足などを解決する一助となるのかもしれません。
■防衛フォーラム
 今原潜って建造費高騰で護衛艦いずも型の8倍もするのですね。

 アメリカ下院軍事委員会は2025会計年度の攻撃型原潜建造追加方針を示しました。もともとの2025会計年度予算では攻撃型原潜の建造計画は1隻となっていましが、これによりヴァージニア級攻撃型原潜は原材料費増大と人件費増大とともに建造効率低下により1隻あたりの建造費用が邦貨換算で驚くことに1兆円にものぼってしまっていました。

 ヴァージニア級攻撃型原潜は2011会計年度以来年間2隻を量産しており、これはCOVID-19新型コロナウィルス感染症により建造の遅れこそ生じているものの、1隻に半減させることで造船能力そのものに影響を及ぶことが危惧されていて、下院軍事委員会は2隻目の潜水艦を部分的にでも資金を認める事により流れを回避させようとしています。
■防衛フォーラム
 自衛隊のロクマルも対艦型のヘルファイアは運用できるのですが実戦は未だなのですよね。

 ドイツ海軍は哨戒ヘリコプターによる水上無人機撃破に成功しました。これは3月、紅海海上において船舶無差別攻撃を行うイエメンのフーシ派武装勢力に対してドイツ海軍のフリゲイトヘッセンの艦載機であるシーリンクス哨戒ヘリコプターが実施したもの。ヘッセンにはシーリンクス哨戒ヘリコプター2機が艦載機として搭載されています。

 シーリンクス哨戒ヘリコプターは、もともとイギリス海軍の軽魚雷運搬ヘリコプターの後継機として導入されたもので、対潜哨戒器材については限界があるものの機体が小型であり、比較的中型のフリゲイトにも2機を搭載することが可能となっています。今回撃沈された無人艇は曳航中の浮ドックと曳船を攻撃中のところを阻止された構図という。

 ドイツ海軍のフリゲイトによる警戒監視任務はEU欧州連合主体の有志連合によるもので、欧州とインド太平洋地域を結ぶ紅海シーレーンの事実上の海上封鎖という状況に対応しているものです。しかしこの任務は過去の例えばアデン湾などで実施された海賊対処任務以上に厳しく、派遣艦艇は数週間以内に実弾を用いた戦闘が必至となっています。
■防衛フォーラム
 F-2やF-15の近代化は本来こちらの方を向くべきと思うのだけれど。

 アメリカ海軍はBAE社製DBDデュアルバンドデコイを導入します。現在海軍が運用しているデコイはAN/ALE-55でBAE社が製造しています、これは航空機から曳航する方式の囮装置となっていて、主としてF/A-18E/F戦闘攻撃機に搭載し光ファイバーにより曳航、レーダー誘導ミサイルなどに対して有効な妨害が可能となっています。

 DBDデュアルバンドデコイはこのAN/ALE-55の能力向上型となる見込み。改良によりレーダー誘導ミサイル攻撃をうけた際の電子妨害および欺瞞信号発信へのタイムラグ短縮や脅威情報標定能力の工場が見込まれるという。既存のAN/ALE-55からの改修が見込まれていて改修はニューハンプシャー州のBAE社施設において行われる見通し。
■防衛フォーラム
 日本では退役の道を辿るP-3Cだ。

 ブラジル空軍はP-3AM哨戒機近代化改修を推進中です。これは現在運用するP-3哨戒機延命改修として進められているもので、ブラジル空軍が保有するP-3哨戒機9機のうち、先ず3機のP-3について胴体上部の交換と主翼換装を中心とした大規模な延命改修をおこなうことで運用期間を大幅に延長するのがねらい。

 P-3延命改修はブラジルの防衛企業であるアカエル社が担当し、2018年に契約が成立していました。今回、ブラジル空軍はこの改修が完了した最初の機体が5月2日に飛行試験を開始したことを発表、2024年10月までの残る2機も試験飛行を開始すると発表しました。ただ、ほかの6機を延命改修するかについては、具体的発表はありません。
■防衛フォーラム
 フランスはこれが有るから日本のような国産戦闘機への妥協が出来ないのですよね。

 フランス国防省は新型のASMPA-R空対地核ミサイル発射試験を成功させました。ASMPミサイルは元々ミラージュ2000N戦闘機用に開発された超音速ミサイルであり射程は350km、改良型のASMPAが500km、ミラージュ2000Nは開発当時、核攻撃専用機という位置づけであり潜水艦発射弾道弾と並ぶフランス核抑止力を構成しています。

 デュランダル作戦として準備されましたASMPA-R空対地核ミサイル発射試験は5月22日に実施、空軍のラファールB戦闘機から発射されました、弾頭部分発覚弾頭ではなく模擬弾頭を装備しています。ASMPA-RはASMPAの改良型という位置づけで、空軍のA-330空中給油輸送機が支援に当たり、空軍の仮設敵部隊の妨害対応訓練も実施された。

 ASMPA-RミサイルはMBDA社製、弾頭部分が改良型核弾頭を搭載するものとなっていて、その威力は300kt、戦略核兵器使用前の全面核戦争を回避する最後の段階で使用されるものとなっています。ASMPシリーズは当面改良型が運用継続されますが、2035年には次世代型のASN4G核ミサイル配備が開始され、退役が始まることとなるでしょう。
■防衛フォーラム
 日本も無関係でない。

 アメリカ空軍はJDAM誘導爆弾用誘導装置に関する75億ドルの契約をボーイング社との間で結びました。75億ドルの契約は空軍がボーイング社との間で2030年までの固定価格契約を結んでいるために空軍の契約という形とはなっていますが、空軍に納入されるJDAMはアメリカ海軍と、そして国務省を通じて同盟国友好国へ有償供与分を含む。

 JDAMの75億ドル契約の内2億2820万ドルは同盟国友好国などの至近とされています。JDAMは従来のレーザー誘導爆弾と異なりレーザー反射を確認できない悪天候においても命中させることが可能で、500ポンドから2000ポンドまでの爆弾に誘導装置を装着します、その費用は量産規模により変動するもので25000ドルから84000ドルとのこと。
■防衛フォーラム
 イタリアの場合はパオロタオンディレヴェル級哨戒艦が日本の護衛艦もがみ型という位置づけ。

 イタリア海軍は新フリゲイトエミリオビアンキの進水式を挙行しました。フィンカンティエリ社のリヴァトリゴゾ造船所において5月25日、イタリア海軍とフランス海軍が共同開発共同生産していた欧州多目的フリゲイトFREMMの最終艦として10番艦が進水式に臨み、この際に艦名がエミリオビアンキと命名されています。

 エミリオビアンキは進水式の後にラスペツイアのムッジャーノ造船所において艤装工事と公試に臨み2025年に竣工を計画しています。FREMMとして建造されたエミリオビアンキはカルロベルガミーニ級とも称され満載排水量6700t、イタリア海軍では旧式化したルポ級フリゲイトやマエストラーレ級フリゲイトを置き換えることとなります。
■防衛フォーラム
 設計図が完成しないまま起工式を始めたので遅れているという話を聞きますと日本の護衛艦建造のまっとうさを安堵する。

 アメリカ海軍はコンステレーション級フリゲイト2隻を発注しました。これは5月24日にイタリアのフィンカンティエリ社との間で結んだ契約によるもので、2隻は5番艦と6番艦となります。契約金額はフィンカンティエリ社との間では10億ドル、2020年にフィンカンティエリ社と結んだ9隻の建造費と関連費用55億ドルの一環として行われる。

 コンステレーション級フリゲイトは従来の沿海域戦闘艦では任務遂行が難しい海域での運用を想定した従来型の重武装フリゲイトであり、建造はウィスコンシン州の五大湖に面したフィンカンティエリベイシップビルディング社とフィンカンティエリエースマリン社が行う事となっています。期待の新型艦ですが、建造の遅れも問題となっています。
■防衛フォーラム
 舞鶴になかなかいけない。

 海上自衛隊新護衛艦やはぎ竣工式が5月21日、長崎市の三菱重工長崎造船所において執り行われました。やはぎ竣工は2024年3月とされていましたが、レーダー関連の半導体不足などを受け2ヶ月遅れたのち竣工しています。やはぎ、護衛艦もがみ型の5番艦で2022年6月23日に進水式を果たし軽巡洋艦矢矧の艦名を継承し命名されています。

 やはぎ配備は舞鶴基地の第14護衛隊で、舞鶴基地には初の護衛艦もがみ型配備となります。満載排水量は5500t、あさぎり型護衛艦とほぼ同じ。海上自衛隊では護衛艦もがみ型を22隻建造する計画でしたが、建造は12隻で後期型に移行、もがみ型に艦隊防空能力を追加した拡大型を12隻建造し、派生型と合わせ24隻体制を構築することとなっています。
■防衛フォーラム
 055型駆逐艦も一度見てみたいものです。

 中国海軍は055型駆逐艦10番艦の進水式を挙行しました。これは大連造船所において行われた進水式で判明したもので、大連造船所では同時に多数の水上戦闘艦が建造中となっていて、同時期に052D型駆逐艦6番艦の進水式も行われたもよう。興味深いのは055型と052D型が同じ船台で建造された点で、大型船用船台を流用していること。

 大連造船所の建造状況について、従来大連造船所では大連湾の東側に造船施設を置いていましたが、今回055型が建造されたのは新しく造成された大古山山麓の、ミサイル駆逐艦を量産していた従来の施設とは大連湾を挟んで向かい側にて建造されたことで、この新しい施設により中国海軍の艦艇建造がさらに加速する可能性があります。

北大路機関:はるな くらま ひゅうが いせ まや
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