■特報:世界の防衛,最新論点
今回は防空関連の最新情報を紹介しますが、ミサイルシステム配備の政治的背景やミサイル輸出への政府の関与度合いの必要性など間接的に考えさせられるものが多い。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/69/5b/1e60f3c09a86116a7f3c665dad248b04.jpg)
ポーランドに建設が進む在欧米軍イージスアショアは2022年内に稼働状態となる、在欧米軍が発表した。在欧米軍は中東イランからの欧州同盟国への弾道ミサイル攻撃を警戒し、既にルーマニアのデベゼルへイージスアショア陸上配備ミサイル防衛システムを運用している、デベゼルはルーマニアの首都ブカレストから150km、欧州の半分を防衛している。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/50/87/4107088113c5b6a2ac7b9f66de7ac347.jpg)
欧州の残る半分を防衛するべく建設が進むのがポーランドのレジコボに建設が進むイージスアショアだ。イージスアショアは海上配備システムと違い移動できないが、陸上配備故にイージス艦の様な船体の劣化は度外視でき、50年間から75年間に渡りミサイル防衛任務に当る事が出来る。レジコボのシステムもデベゼルと同じく、運用はNATO管理下で行う。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/49/5b/f1bc661ec6672fbc42b9fdace992b7c2.jpg)
イージスアショアの欧州配備はイランからの弾道ミサイルを警戒し2007年に決定した、近年は北朝鮮が欧州との外交的対立の際に射程がパリ等に及ぶことを示唆し、北朝鮮からの核恫喝へも備える意義があるが、2007年の配備決定の時点で不快感を示したロシアとの緊張関係は2021年に至るもぬぐえず、欧州とロシアの対立に発展し緊張は現在も続いている。
■スウェーデンPAC-3受領開始
弾道ミサイル脅威に一応の形を点けるには最適な装備と云う事なのでしょうね。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/78/0e/db253a33b61037766432ad064cfba3dc.jpg)
スウェーデン軍は新型のペトリオットPAC-3ミサイルの受領式典を実施しました。式典は11月18日にハルムスタード基地において実施され、ペトリオットミサイルはスウェーデン軍正式名称としてLvS103と制式化されています。スウェーデンはロシアによるウクライナクリミア半島併合や軍事介入を受け、弾道ミサイル防衛能力整備を決意しています。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/6b/3e/1e2d99d5f4dfe73c55e6066b2f750322.jpg)
ペトリオットミサイルはAN/MPQ-65レーダー装置4基とAN/MSQ-132管制システム4基、そしてM-903発射装置12基と、ペトリオットミサイルMIM-104Eミサイル100発とPAC-3-MSEミサイル200発を取得しました。既にNATO加盟国では15か国がペトリオットシステムを採用し、欧州では永世中立国であるスイスでも採用が検討されています。
■韓国製M-SAM地対空ミサイル
韓国製M-SAM地対空ミサイルを見ますとミサイルの輸出にはいろいろと企業以外の努力の必要性が垣間見える。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/71/b3/b5243a3f7b885ca1652d672dc68c9376.jpg)
アラブ首長国連邦は韓国製M-SAM地対空ミサイル導入計画を発表しました。これは2021年UAE防衛装備展に際して発表されたもので、正式契約と成れば35億ドル規模の契約、韓国史上最大のミサイル輸出実現となります。ただ、韓国防衛事業庁によれば、現在は輸出交渉段階であり、ミサイル輸出は現時点でまだ確約した訳ではないともしています。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/1d/bb/3fc600ce24c2cc9d0ad04e1fcee96277.jpg)
M-SAM地対空ミサイルはホーク地対空ミサイルの後継として韓国が独自開発したもので、射程は40kmであり有効射高は15000mに達するとのこと。韓国ではロシア製S-400地対空ミサイルの技術提供を背景に独自開発を進め、トラック機動とともに垂直発射能力を持ち、この点についてはアメリカのペトリオットミサイルよりも先進的であるとしています。
■M-SAMの性能とは
アブダビ兵器展はかつての南ア製装備の位置を韓国が置換えている構図だ。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/69/d3/f0a882dcab9e7473c719346d8600adf4.jpg)
韓国製M-SAM地対空ミサイルはアブダビ兵器展において大きな注目を集めています、それはアメリカ製地対空ミサイル以外の自由主義圏での有力な防空システムがタレス製アスター30地対空ミサイルの射程120kmしか存在せず、NATO加盟国では情報保全上導入が難しいロシアや中国製地対空ミサイルの射程延伸に対して後塵を拝している現状がある。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/05/2a/b0eab7a2b0aa80c168d73f8d12be533b.jpg)
M-SAM地対空ミサイルは射撃中隊が8発のミサイルを搭載下TEL移動式発射器を4両乃至6両にPESAパッシヴ式Xバンドアレイレーダーを配置、これは毎分40回転し100km圏内の目標を探知し、射撃指揮装置は同時に40個までの目標を追尾し6目標と同時交戦能力がありK-VLS垂直発射装置より運用します。韓国では既に第一線運用中となっています。
■パキスタンHQ-19受領
HQ-19地対空ミサイルは戦術用と云う位置づけですが実のところ射程は長い。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/33/e7/47317209fdf44f8f4581bfa9081f78be.jpg)
パキスタン陸軍は中国よりHQ-19地対空ミサイルを導入したと発表しました。これは2015年より続いた導入交渉を経て実現したもので、パキスタン陸軍ではHQ-19地対空ミサイルをHIMADS中高高度防空システムと位置づけ、低空防空用に30mm機関砲を搭載したFD-2000SAMシステムとレーダーと共に複合的な防空システムを構成するとのこと。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/62/45/b40ded67eb216a7de0953c222f71ed7c.jpg)
HQ-19地対空ミサイルはアクティヴレーダーホーミング方式の地対空ミサイルで射程は100kmとアメリカ製ペトリオットミサイルに匹敵する射程を持ちます。ただ、現在は中国とロシア製地対空ミサイル射程延伸が非常に進んでおり、自由主義圏では長射程に区分されるペトリオットミサイルも戦術防空用HQ-19と並び、ペトリオットの陳腐化が進みます。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/6c/61/dacdd76ff4880a32afb570a6699c0168.jpg)
HQ-19地対空ミサイルについては、過去トルコ軍がHQ-19地対空ミサイルを取得した際、電子妨害対処能力の低さやEMP電磁パルス対策が施されていない事を暴露され、中国へ返却された事がありましたが、今回パキスタンへ輸出されたものは改良型となっています。ただし、トルコ輸出型返品からのEMP対策の概要などについては公表されていません。
■イタリアミサイル部隊中東へ
クウェートとイタリアはユーロファイター戦闘機の輸出で協力関係に在るのですが。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/12/82/9feb0fe520501e4bb4210bbe51ffb97a.jpg)
イタリア陸軍は中東のクウェートへアスター30SAMP/T地対空ミサイル部隊を展開させています。クウェートへの展開はアメリカを中心とする有志連合による対ISIL武装勢力鎮圧作戦、生来の決意作戦への有志連合としての参加で、同時にイタリアからは地中海の対岸に当るリビア情勢の緊迫化や、シリア情勢の急変への待機という意味も有しています。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/27/4f/0397020caeae7fed5ed62f843815b3f5.jpg)
アスター30 SAMP/T地対空ミサイルはユーロサムにより開発された欧州独自の地対空ミサイルシステムで射程は120km、航空機や巡航ミサイル及び無人機への対処能力を持つと共に射程600kmまでの短距離弾道ミサイルに対しての迎撃能力を持つとのこと。尚イタリアでは有志連合の生来の決意作戦支援任務をプリマパルティカ作戦として命名しています。
北大路機関:はるな くらま ひゅうが いせ
(本ブログに掲載された本文及び写真は北大路機関の著作物であり、無断転載は厳に禁じる)
(本ブログ引用時は記事は出典明示・写真は北大路機関ロゴタイプ維持を求め、その他は無断転載と見做す)
(第二北大路機関: http://harunakurama.blog10.fc2.com/記事補完-投稿応答-時事備忘録をあわせてお読みください)
今回は防空関連の最新情報を紹介しますが、ミサイルシステム配備の政治的背景やミサイル輸出への政府の関与度合いの必要性など間接的に考えさせられるものが多い。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/69/5b/1e60f3c09a86116a7f3c665dad248b04.jpg)
ポーランドに建設が進む在欧米軍イージスアショアは2022年内に稼働状態となる、在欧米軍が発表した。在欧米軍は中東イランからの欧州同盟国への弾道ミサイル攻撃を警戒し、既にルーマニアのデベゼルへイージスアショア陸上配備ミサイル防衛システムを運用している、デベゼルはルーマニアの首都ブカレストから150km、欧州の半分を防衛している。
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欧州の残る半分を防衛するべく建設が進むのがポーランドのレジコボに建設が進むイージスアショアだ。イージスアショアは海上配備システムと違い移動できないが、陸上配備故にイージス艦の様な船体の劣化は度外視でき、50年間から75年間に渡りミサイル防衛任務に当る事が出来る。レジコボのシステムもデベゼルと同じく、運用はNATO管理下で行う。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/49/5b/f1bc661ec6672fbc42b9fdace992b7c2.jpg)
イージスアショアの欧州配備はイランからの弾道ミサイルを警戒し2007年に決定した、近年は北朝鮮が欧州との外交的対立の際に射程がパリ等に及ぶことを示唆し、北朝鮮からの核恫喝へも備える意義があるが、2007年の配備決定の時点で不快感を示したロシアとの緊張関係は2021年に至るもぬぐえず、欧州とロシアの対立に発展し緊張は現在も続いている。
■スウェーデンPAC-3受領開始
弾道ミサイル脅威に一応の形を点けるには最適な装備と云う事なのでしょうね。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/78/0e/db253a33b61037766432ad064cfba3dc.jpg)
スウェーデン軍は新型のペトリオットPAC-3ミサイルの受領式典を実施しました。式典は11月18日にハルムスタード基地において実施され、ペトリオットミサイルはスウェーデン軍正式名称としてLvS103と制式化されています。スウェーデンはロシアによるウクライナクリミア半島併合や軍事介入を受け、弾道ミサイル防衛能力整備を決意しています。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/6b/3e/1e2d99d5f4dfe73c55e6066b2f750322.jpg)
ペトリオットミサイルはAN/MPQ-65レーダー装置4基とAN/MSQ-132管制システム4基、そしてM-903発射装置12基と、ペトリオットミサイルMIM-104Eミサイル100発とPAC-3-MSEミサイル200発を取得しました。既にNATO加盟国では15か国がペトリオットシステムを採用し、欧州では永世中立国であるスイスでも採用が検討されています。
■韓国製M-SAM地対空ミサイル
韓国製M-SAM地対空ミサイルを見ますとミサイルの輸出にはいろいろと企業以外の努力の必要性が垣間見える。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/71/b3/b5243a3f7b885ca1652d672dc68c9376.jpg)
アラブ首長国連邦は韓国製M-SAM地対空ミサイル導入計画を発表しました。これは2021年UAE防衛装備展に際して発表されたもので、正式契約と成れば35億ドル規模の契約、韓国史上最大のミサイル輸出実現となります。ただ、韓国防衛事業庁によれば、現在は輸出交渉段階であり、ミサイル輸出は現時点でまだ確約した訳ではないともしています。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/1d/bb/3fc600ce24c2cc9d0ad04e1fcee96277.jpg)
M-SAM地対空ミサイルはホーク地対空ミサイルの後継として韓国が独自開発したもので、射程は40kmであり有効射高は15000mに達するとのこと。韓国ではロシア製S-400地対空ミサイルの技術提供を背景に独自開発を進め、トラック機動とともに垂直発射能力を持ち、この点についてはアメリカのペトリオットミサイルよりも先進的であるとしています。
■M-SAMの性能とは
アブダビ兵器展はかつての南ア製装備の位置を韓国が置換えている構図だ。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/69/d3/f0a882dcab9e7473c719346d8600adf4.jpg)
韓国製M-SAM地対空ミサイルはアブダビ兵器展において大きな注目を集めています、それはアメリカ製地対空ミサイル以外の自由主義圏での有力な防空システムがタレス製アスター30地対空ミサイルの射程120kmしか存在せず、NATO加盟国では情報保全上導入が難しいロシアや中国製地対空ミサイルの射程延伸に対して後塵を拝している現状がある。
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M-SAM地対空ミサイルは射撃中隊が8発のミサイルを搭載下TEL移動式発射器を4両乃至6両にPESAパッシヴ式Xバンドアレイレーダーを配置、これは毎分40回転し100km圏内の目標を探知し、射撃指揮装置は同時に40個までの目標を追尾し6目標と同時交戦能力がありK-VLS垂直発射装置より運用します。韓国では既に第一線運用中となっています。
■パキスタンHQ-19受領
HQ-19地対空ミサイルは戦術用と云う位置づけですが実のところ射程は長い。
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パキスタン陸軍は中国よりHQ-19地対空ミサイルを導入したと発表しました。これは2015年より続いた導入交渉を経て実現したもので、パキスタン陸軍ではHQ-19地対空ミサイルをHIMADS中高高度防空システムと位置づけ、低空防空用に30mm機関砲を搭載したFD-2000SAMシステムとレーダーと共に複合的な防空システムを構成するとのこと。
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HQ-19地対空ミサイルはアクティヴレーダーホーミング方式の地対空ミサイルで射程は100kmとアメリカ製ペトリオットミサイルに匹敵する射程を持ちます。ただ、現在は中国とロシア製地対空ミサイル射程延伸が非常に進んでおり、自由主義圏では長射程に区分されるペトリオットミサイルも戦術防空用HQ-19と並び、ペトリオットの陳腐化が進みます。
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HQ-19地対空ミサイルについては、過去トルコ軍がHQ-19地対空ミサイルを取得した際、電子妨害対処能力の低さやEMP電磁パルス対策が施されていない事を暴露され、中国へ返却された事がありましたが、今回パキスタンへ輸出されたものは改良型となっています。ただし、トルコ輸出型返品からのEMP対策の概要などについては公表されていません。
■イタリアミサイル部隊中東へ
クウェートとイタリアはユーロファイター戦闘機の輸出で協力関係に在るのですが。
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イタリア陸軍は中東のクウェートへアスター30SAMP/T地対空ミサイル部隊を展開させています。クウェートへの展開はアメリカを中心とする有志連合による対ISIL武装勢力鎮圧作戦、生来の決意作戦への有志連合としての参加で、同時にイタリアからは地中海の対岸に当るリビア情勢の緊迫化や、シリア情勢の急変への待機という意味も有しています。
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アスター30 SAMP/T地対空ミサイルはユーロサムにより開発された欧州独自の地対空ミサイルシステムで射程は120km、航空機や巡航ミサイル及び無人機への対処能力を持つと共に射程600kmまでの短距離弾道ミサイルに対しての迎撃能力を持つとのこと。尚イタリアでは有志連合の生来の決意作戦支援任務をプリマパルティカ作戦として命名しています。
北大路機関:はるな くらま ひゅうが いせ
(本ブログに掲載された本文及び写真は北大路機関の著作物であり、無断転載は厳に禁じる)
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