北大路機関

京都防衛フォーラム:榛名研究室/鞍馬事務室(OCNブログ:2005.07.29~/gooブログ:2014.11.24~)

MV-22普天間配備問題 難しい“政治的に危険な航空機”レッテルの払拭手段

2012-09-10 22:53:48 | 国際・政治

◆安全技術確立では科学的安全性しか確保できず

 MV-22,岩国航空基地での飛行が開始されれば、一つ撮りに行こう、と探っていたのですが中々気配が無い、来月には普天間に移駐する計画だったはずですが。

Img_1369 MV-22はCH-46の後継機として海兵隊へ配備中で、重輸送ヘリコプターCH-53Kに強襲航空機MV-22,それに多用途に用いるUH-1Yとなっていますので、必然的にCH-46の後継機はMV-22でしかありえないという事。第二海兵航空団と第三海兵航空団への配備が行われ、残るは岩国へ配備されている第一海兵航空団への配備ということで配備された機体、絶対に安全化、という問いが行われるMV-22ですが、そんなことを言うならば旅客機であるボーイング737やエアバスA320も絶対に安全とは言えない、過去に墜落事故は起きている、という点を説明しなければなりませんが、批判する立場の方々はその責務を放棄しています。

Img_1049 こうした記事を本日作成したのは、概算要求関連の記事を作成する体力が無い中で、沖縄で自称11万参加のMV-22配備撤回を求める集会が行われた、という事に起因するのですが、事故が起きれば沖縄の全基地封鎖を求める運動になる、と那覇市長が掲げており、そもそも事故の定義は県内市街地への墜落全損事故を示すのか、胴体着陸まで含むのか不明確だと感じたのですが、一方で、国内で墜落事故の事例がある自衛隊ヘリコプターと比較した場合でも、何故ここまで極端に反対運動が繰り広げられるのか、どうしてもわかりませんでした。

Iimg_9937 CH-53重輸送ヘリコプター、沖縄国際大学港内に墜落事故を起こしたヘリコプターとして沖縄では知られているはずなのですが、重大事故の発生率ではCH-53がMV-22の三倍以上、沖縄には配備されていないものの訓練飛行で岩国航空基地より展開するAV-8B攻撃機の事故率はCH-53よりももう少し上となっています。この数字が定着すると、今度は小規模事故、これには整備中に梯子からの転落まで含まれるそうなのですが、提示されてきまして、これは言い換えれば重大事故の発生率が低いという事を黙示的に認めたことになるのではないのか、ともったりもしたのですけれども。

Img_0056 実際問題として、落ちていない機体、というのは相当特殊な事情がある航空機なのですが、これは仮に危険な航空機だから配備しない、という方針でも示されたならば、もっと危険な航空機、という事で次にCH-53DとAV-8Bも槍玉にあげて、安全な航空機などあり得ない、と空の鎖国でも宣言するつもりなのではないのか、と少々勘繰ってしまいます。数字の上では墜落事故の危険が相対的に低い航空機、という事になるのですけれども、その航空機が危険と言われる理由、飛ぶものは全部危険運動偶然の第一号、となった以外の理由で考えられるのは、科学的以外に危険である航空機、というもの。

Img_1662 政治的に危険な航空機、もしくは危険でなければならない航空機、と考えられ運用されている、これが比較検討が可能な科学的根拠を持つ安全性を度外視して危険だ、と主張できる理由の一つであると考えます。これ、東西冷戦時代には政治的に成功機、として無理に量産された航空機があり当然運用率や事故率に反映された機体、もしくは性能としては傑作機としての要素を有していながらも政治的に、多分に財政的な理由で欠陥機という烙印をおされ生産が中止された航空機があることを思い出します。

Img_9188 実態以上に危険性が強調された装備品、と言いますと、航空機以外では、例えば気化空気を吸うだけで燃焼し露出皮膚が白骨化するという白隣弾、煙でしたら当方も今年の富士総合火力演習で目いっぱい浴びたのですが、これが平和運動を中心に誤解を含み伝えられましたし、クラスター弾も様々な種類が一緒くたにされ誤解を交え指摘されたものです。この実例などは分かりやすいのでしょうか。

Img_0155a 名目的に危険な航空機、信条として危険という印象を植え付けられている航空機、という表現に切り替えてもいいのですが、政治的に危険である航空機、というのは、政治的理由、今回は住民運動に利用されているという形なのですが、住民運動の背景の部分を政治的に解決するほか、解決の糸口というのは中々考えられません。なによりも、航空機の安全性を強化するだけでは科学的に事故率を低減することは出来ても、心情的に、もしくは政治的に危険なのだ、という印象は運用実績を積みかさせるほか解決手段が無い、これが難しいものですね。

北大路機関:はるな

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今津駐屯地創設60周年記念行事(2012.09.09) PowerShotG-12撮影速報

2012-09-09 22:59:39 | 陸上自衛隊 駐屯地祭

◆今津駐屯地祭2012

 本日、滋賀県高島市にある陸上自衛隊今津駐屯地創設60周年記念行事へと行ってきましたので、コンパクトデジタルカメラの写真にて取り急ぎその様子をお伝えしたいと思います。

Iimg_27_72 今津駐屯地祭2012、今津駐屯地といえば第3戦車大隊と第10戦車大隊の駐屯地として知られ、中部方面隊最大の機動打撃力の拠点となっています。しかし、第3特科連隊の特科隊改編に伴い、今津駐屯の第5大隊が廃止され、その後今津駐屯地には中部方面移動監視隊と中部方面無人偵察機隊が新編配置され、一転、陸上自衛隊情報優位への試金石的な部隊の駐屯地ともなりました。

Iimg_2584 今津駐屯地60周年、こう大書したマイクロバスが運行されるほど、本年は節目の年なのですが、他方で、隣接する広大な饗庭野演習場に対し今津駐屯地は。グラウンド面積に限界があり、今年は凄いらしい、と囁かれる行事内容に個人的にあまり説得力を感じられなかったのは事実です。

Iimg_2593 しかし、足を運んで驚いたのは、やはり60周年、という事でした。行事そのものは従来通りですが、観閲行進が拡充され、姫路駐屯地より特科隊と高射特科大隊の、千僧駐屯地より偵察隊が、という毎年の部隊に加え、福知山駐屯地の普通科連隊、大久保駐屯地の施設大隊と方面隊直轄の施設群、観閲行進へ加わっていたことでしょうか。

Iimg_2606 60周年は節目の年ではあるのですけれども、考えれば74式戦車の用途廃止は本格化しており、対して大量生産で取得費用を抑えることが主眼とされた10式戦車はやはり90式戦車と同じ毎年1個中隊所要しか取得が認められず、退役数と就役数の差異は純減されている、という現状、遠からず10式戦車が此処今津駐屯地にも入ることなのでしょうが、現在の6個戦車中隊は半減、もしくはそれ以下になってしまうのかもしれません。

Iimg_2655 それにしても来年度予算概算要求が出されましたが、概算要求の時点で今年度予算よりも減額、震災復興予算で確保できた分を含めて、という背景はあるやもしれませんが、国家予算全体は肥大化し、歳出削減を掲げた現与党民主党は安全安心のために予算を増やすと大義名分を掲げたのですが何故か防衛予算は削減される、という不思議なもの。

Iimg_2691 今津駐屯地、今年は心なしか人が多かったような、気がします。毎年式典開始直前まで余裕がある木立付近の人口密度が高く、近江今津駅は列車が到着する度にバス待ちの行列が長くなり、何故か貨物列車が特急退避へ駅に停車した少し後にも行列が長くなったほど、まさか、いつぞやの某国立大学の学生のように列車本数の少なさから北海の帝王ごっこ的なことをしたのか、ともおもいましたが、まあ、一枚撮ってから来たのでしょうね。

Iimg_2726 シャトルバス第一号に乗り展開した当方、撮影ポイントですが、いろいろ考えた結果、観閲行進と訓練展示の撮影位置を切り替えることとしました。来賓席がスタンド席以外に地上椅子席が多く、その後ろが人口密度も低く、そこからならズームレンズで撮影できるのでは、と考え、ある程度正解でした。

Iimg_2756 今津駐屯地祭来場者の増加、これは戦車体験乗車を見ると端的に表れているといえるかもしれません。戦車体験乗車は戦車部隊の駐屯地という事もあり、少なくない数の戦車が準備されるのですけれども、なんと式典前に一人一枚の戦車乗車整理券を配布していたのです。

Iimg_2761 昔はそんなことはなく、整理券などなく、式典と訓練展示終了後に並べば普通に乗れましたし、時間帯が良ければ、とくに1400時をすぐれば待ち時間も少なく、何度か乗った、という話、聞くのですよね。数年前からまず伊丹が整理券配布開始、今や今津も整理券です、こんなところにも戦車不足が、違うか。

Iimg_2781 今津駐屯地は、コの字型に見学が可能な立地となっています。しかし、数年前まではこれ、L字型に見学席が用意されていたのです。実は2006年の第三師団改編で戦車大隊が縮小され、並んでいる戦車が減っていて驚いた記憶があるのですけれども、減った戦車の場所には体験乗車用の戦車を並べていたのに対し、数年前からその位置を見学席に開放したものでした。

Iimg_2807 新しい撮影位置からの写真、そんな構図にも興味があったのですが、どうも逆光になりそう、と言いますか確実に逆光になる配置でしたので、何もかも黒く映ってしまいます。そこで雨すれすれか雨天時の逆光があり得ない状況以外は撮影位置に選定する事は断念することとしていまして、本年もこれを踏襲したかたち。

Iimg_2828 実は本日、雨天の予報が各所で出されていましたので、防滴装備は完全、レインコートとカメラバックカバーにカメラレインカバーとレンズレインカバーに応急乾燥剤と折り畳み傘に市指定ポリ袋、これに加えてEOS-7Dだけを携行しEOS-50Dを待機、としたのですが、・・・、まあ、天気がどうだったかは、写真見ればわかるでしょう。

Iimg_2832 しかし、本日降らなかったのか、というとそうではないわけで、もちろん今津は開放されている時間帯晴天だったのですけれども、高槻のあたりは結構降っていました、向町の方から京阪線の方角を見ますと、明らかに黒雲の下の一部が直線に真下へ煙っているところがあり、あれがゲリラ豪雨だったのでしょう。

Iimg_2871 ほとんど快晴なので、万々歳なのか、と問われますと、まあ、贅沢をいってはいけないのですが、なんといますか、日焼けで、明日痛いことになりそう、ということが、あります。実際問題、0900から1200時まで少量降雨の予報だったので、そのうち曇るだろう、と考えて日陰ではなくコンクリートで下からも照り返しがあるところにいたわけで、ううむ。

Iimg_2888 直射日光ですとカメラも凄い温度になるのですが、特にこのG-12はEOS-7Dの補完装備という事もあり直射日光下に出されていたので、カメラは此処まで熱くなるのか、というところまで熱を持ってしまい、それでも作動するところにCanonのカメラの信頼性の高さを当改めて感心したわけなのですが。

Iimg_2853 陸上自衛隊も、本日は降らない、と考えていたのでしょうか、訓練展示終了後にヘリコプターが着陸する際には散水を行う準備が無かったため、そのまま着陸、砂埃が凄く、着陸したAH-1Sと砂煙に隠れる74式戦車の車列で、ここは中東か、というような写真も撮ることが出来ました。

Iimg_2902 来場者ですが、前述の通り招待席の後ろ側から、かなり場所を探すべく足を使って探したのですが、撮影しまして、そこで招待席の方の少なくない方のようですが、今回初めて駐屯地祭を見た、という声を聴きました。これを考えますと、招待状へこれまで欠席、としていた方の少なくない方あ初めて出席と返信したことにもなり、自衛隊への関心は国民全体で高まっている、そんな実感を持った一日でもありました。

北大路機関:はるな

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巨大地震“南海トラフ地震”への備えを考える⑯ 東日本大震災でも活躍した自衛隊警備犬

2012-09-08 23:02:53 | 防災・災害派遣
◆災害派遣以外に動哨任務や道路封鎖時にも活躍
 南海トラフ地震への備えに関して何度か掲載を続けてきましたが、改めて政府想定の最悪の状況下での死者32万、考えさせられるものがあります。
Nimg_7226 東日本大震災ですが、津波犠牲者の捜索に自衛隊から派遣された自衛官以外の要員がいます。それは警備犬、優れた嗅覚を活かし捜索任務にその能力を発揮しています。航空自衛隊や海上自衛隊の基地では警備任務へ警備犬が活躍しており、陸上自衛隊でも弾薬施設などの警備に警備犬が活躍しているとのこと。
Nimg_7575 軍用犬、日本でも在日米軍基地を中心のその活躍をご覧になられた方は多いでしょう。まず、仕事熱心さでは人間と並ぶものがあるのですが、施設警備への順応性の高さはもちろん、市街地掃討や道路封鎖など活躍する場面では大きな能力を発揮、災害派遣には東日本大震災で活躍したのですが、それ以外の警備任務への対応能力の高さからこれまで維持訓練されてきました。
Nimg_0520 実のところ、警備犬に多くが採用されているジャーマンシェパードは、施設警備等がその特性に合っており、米空軍の捜索任務に当たる軍用犬にはベルギーシェパードが訓練され、対応しているとのことで、無理な任務に当たった警備犬の中には、非常に残念なことではありますが過労死されてしまった方もいるそうです。
Nimg_1908 しかし、自衛隊全体を見渡しますと、自衛隊の任務に対応し、かつ災害派遣に対応できる警備犬、というものはもう少し増強されてよいのではないか、と考えるところがあります。具体的には、自衛隊の任務である防衛を担う警備犬を増強することは、同時に震災時における捜索任務にも大きく活躍するのではないか、と考えるところ。
Nimg_3448 警備犬、兎に角嗅覚が凄いことから施設警備には最適なのですが、現在は航空自衛隊のレーダーサイトや飛行場に弾薬施設などに活躍し、海上自衛隊では弾薬庫などの警備に活躍しています。ここに加えて、現在行われていない駐屯地警備や警務隊の警備支援任務にもっと使えるのではないでしょうか。
Nimg_7908 野戦においても、指揮所警備や道路検問などコマンドー部隊への警戒に寄与しますし、米軍や英軍はイラク戦争における市街地掃討において軍用犬を活躍させています。特殊部隊では、落下傘を取り付けた特殊戦部隊員に装着、というような形で輸送機から緊急展開することもあるようで、写真が報じられています。
Nimg_3433 警備犬ですが、自衛隊に増強するにはどうしたらばよいのか、訓練体系には特殊性がありますので、方面隊単位で警備犬を養成し、各連隊に対して警備犬分遣班を派遣するという方式を構築すれば、各連隊は部隊運用という形で練度の高い警備犬を運用し、方面隊が養成する。この方式にて人間に出来ない任務へ対応できるでしょう。
Nimg_8560 航空自衛隊は基地警備任務以外に、救難隊へ配属すれば、もちろん洋上遭難事案に際しては航空機からの捜索が最も能力を発揮することに疑いはありませんが、山間部などでの航空遭難事案に際しては、錯綜地形における救難犬の活躍、これはいままでの人力に依存する以上のものが発揮できるかもしれません。そして、こうしたワンコ部隊が、大規模災害においても能力を発揮できるのではないか、こう考える次第です。
北大路機関:はるな

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平成二十四年度八月期 陸海空自衛隊主要行事実施詳報(2012.09.08・09)

2012-09-08 00:05:49 | 北大路機関 広報

お知らせ:http://harunakurama.blog10.fc2.com/

◆自衛隊関連行事

 先週は行事予定紹介直前に津波注意情報が発令され、一瞬冷や汗が流れましたが皆様はいかがお過ごしでしょうか。

Gimg_8624_1 蝉の数が急に減り、夕暮れの風に冷涼な一層が加わる今日このごろ、秋の訪れは重ねて自衛隊行事再開の狼煙でもあるわけで、そんな今週末は早速東北では航空祭、中方では駐屯地祭が、それぞれ行われます。F-2の編隊飛行、実戦部隊のものは毎年見に行きたいと思うのですが、今年は三沢航空祭、F-2以外の航空機が凄いことになるようです。

Gimg_6610 三沢基地航空祭2012ですが、F-2支援戦闘機二個飛行隊の基地ダルと共に北部航空方面隊司令部が置かれ、米第五空軍第35戦闘航空団がF-16二個飛行隊を展開させる基地ですが、今年はなんとB-52爆撃機、そしてAC-130対地制圧機が展開するとのこと、これは凄いことになりそう。

Cimg_0620 今津駐屯地祭、本年は今津駐屯地創設60周年記念行事です。今津と言えば湖北の駐屯地ですが、原発銀座福井県にほど近く、有事の際には福井県を警備管区とする金沢第14連隊とともに矢面に立つ部隊、ですが、第3戦車大隊と第10戦車大隊、それに中部方面情報隊隷下の移動監視隊と無人偵察機隊が駐屯している駐屯地です。

Cimg_0656 駐屯地の奥には饗庭野演習場、無人機の飛行展示などは五日行われることがあるのでしょうか。観閲行進では中部方面隊最大規模の戦車部隊による行進を見ることが出来ます。主力の74式戦車ですが、第3戦車大隊に二個中隊と第10戦車大隊に四個中隊の戦車中隊、遠からずコンパクト化と10式戦車への置き換えが見えてきましたので、74式戦車の大群というのは見ておくべきと言えるやも。

Gimg_66921 砕氷艦しらせ函館港一般公開、8日土曜日と9日日曜日に一般公開の予定で、土曜日は0900から1400まで、日曜日は0900から1500まで、函館港町埠頭において実施されるとのことです。今年は函館市市制施行90周年という節目の年で、しらせ寄港はその記念事業の一環として行われるとのことでした。

Gimg_9556 もうひとつ、金曜日に沖縄において護衛艦ひゅうが一般公開が行われていたとのこと、当方情報入手が遅れ、行事予定を紹介することが出来ませんでしたことをお詫び申し上げます。

注意:本情報は私的に情報収集したものであり、北大路機関が実施を保証するものではなく、同時に全行事を網羅したものではない、更に実施や雨天中止情報などについては付記した各基地・駐屯地広報の方に自己責任において確認願いたい。情報には正確を期するが、以上に掲載された情報は天候、及び災害等各種情勢変化により変更される可能性がある。北大路機関

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第11旅団創設3周年 真駒内駐屯地創設57周年記念行事詳報⑨ 撮影位置転換準備

2012-09-06 23:29:01 | 陸上自衛隊 駐屯地祭

◆観閲行進は次回で終了、訓練展示への移動準備

 真駒内駐屯地祭、今回で第九回ですが観閲行進もいよいよ終わりに近づいてきました。

Mimg_2028 観閲行進は機甲部隊が殿を務め、上空を祝賀飛行の編隊が飛行します。観閲行進を撮影するには部隊を真正面から一列にフレームへ納められるので、よい場所を確保できたといえます。しかし、続いて実施される訓練展示模擬戦を撮影するのに、攻撃部隊を背後から撮影するこの位置は完璧とは言えません。

Mimg_2008 入場と同時に撮影位置へ検討ししかし、観閲行進を真横からしか見えないことで断念した場所がこの写真の横に見える撮影位置、模擬戦を撮影するには最適の場所ではあるのですが、見ての通り来場者でいっぱい、この場所に移動しましても恐らく最前列から六列七列と群衆越しに撮影することとなり、よい写真は撮れないでしょう。

Mimg_2027 せめて模擬戦は真後ろからではなく、真横、とは言えなくとも側面から見れないか、と目を凝らすのですけれども、招待者席ばかり。招待者席の通路から見えるグラウンドを望遠レンズのみで撮影することも考えたのですが、せっかく札幌まで足を運んだのです、もっといい場所は無いものでしょうか。

Mimg_1942 観閲行進の発進位置には数名見えます。この場所、観閲行進は真後ろから見ることとなるのですが、模擬戦は攻撃部隊を真正面から見ることとなります。ただ、防御陣地と防御部隊が目の前に陣地展開を行いますから、写真撮影には適当な場所と言い難いいかもしれません。

Mimg_2159 すると、消去法で、観閲台や招待席と、式典会場を挟んで反対側、このあたりでしたら、最前列は不可能でしょうが直線で長く人の列は二列か三列、超望遠レンズで隙間から展開される訓練展示を撮影する、事は不可能ではないでしょう。ただし、この撮影位置から距離があります、立ち入り禁止区域を迂回せねばなりませんから。だが、この撮影位置からいい写真にもっとも近づける。そう考えつつ、観閲行進最後の仕上げへカメラを構えなおしたわけです。

北大路機関:はるな

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国連南スーダンPKO(UNMISS) 自衛隊派遣部隊へ豪州派遣要員が現地調整所にて協力開始

2012-09-05 23:28:56 | 国際・政治

◆イラク派遣以来の第一線日豪協力

 防衛省によれば、現在自衛隊が南スーダンへ部隊を派遣している国連南スーダン共和国ミッションUNMISSに対し、オーストラリア軍派遣要員が協力することとなりました。

Img_0849 南スーダンPKOは、開始当初の南スーダンスーダン国境地域における南スーダン軍による攻撃を契機とした武力紛争事案や、中継地としているウガンダ国内でのエボラ出血熱発生事案等、懸念事項というべき事案が連続しましたが、幸いPKO派遣部隊の安全は確保されており、自衛隊のPKO任務は現在も継続中となっています。

Img_2630 今回の南スーダンPKO任務へは、豪州軍も部隊を派遣しており、予てより南スーダンPKO任務において豪州軍と自衛隊との間において情報連携などの協力の提案が為されており、その実施可能性と協力可能分野の協議を重ねた結果、現地支援事務所において情報交換に関する協力が8月31日より開始されることとなりました。

Oimg_4985 南スーダン首都ジュバの現地調整所において、豪州軍要員2名が常駐することとなり、此処に自衛隊との間でUNMISS任務遂行上必要な情報の相互交換と関係機関との間での連絡調整支援のための業務支援を行うとこのとで、前述の通り8月31日より開始されているため、現時点で協力は開始されています。

Nimg_1199 自衛隊と豪州g積んでの第一線での協力は、すでにイラク復興人道支援任務自衛隊派遣において陸上自衛隊と豪州軍がイラク国内において連携を行っています。今回はこれに続くものとなり、不測の事態に備えての情報交換と相互連携体制の構築は、その派遣規模以上に意味が起きいといえるでしょう。

北大路機関:はるな

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ヤキマ演習場にて平成24年度派米実動訓練 C4ISR主眼に旭川第二師団主力で実施

2012-09-04 22:37:17 | 防衛・安全保障

◆基幹連隊指揮統制・火力戦闘指揮統制システム

 陸上自衛隊は本日9月4日から24日に掛け、北部方面隊第二師団を中心に北米ワシントン州ヤキマ演習場において平成24年度派米実動訓練を実施しています。

Img_3727 C4ISR,指揮・統制・通信・コンピュータ・情報・監視・偵察、これが主眼です。今回の派米実動演習は2000年代初頭から戦力化を進めてきた情報RMAに基づく共同交戦能力整備を通じた情報優位と戦域情報統制に依拠する火力投射の効率化を実現する一連の研究開発及び実部隊運用試験の集大成をアメリカの広大な演習場で検証します。

Img_5383 北部方面総監岩田清文陸将が指揮を執り、参加部隊は、旭川第2師団隷下の第3普通科連隊を基幹として、第2戦車連隊の90式戦車、第2特科連隊の99式自走榴弾砲、北部方面隊直轄の第1対戦車ヘリコプター隊のAH-1S対戦車ヘリコプター、UH-1J多用途ヘリコプターが派遣、隊員550名が実動訓練へ参加します。

Img_256_8 陸上自衛隊の主力装備である戦車と火砲は年々防衛計画の大綱改訂に伴い、定数の下方修正へ向けてその数を削減していますが、数が減っていることは紛れもない事実ではあるのだけれども、これはコンパクト化であり縮小ではない、という言葉をもって、陸上自衛隊部内において説明されているようです。

Img_4713 基幹連隊指揮統制システム、所謂Recs。火力戦闘指揮統制システム所謂FCCS。そして近距離無人偵察機UAV。この三点が火力のコンパクト化を支える火力投射の効率化へと繋がるもので、北部方面隊第2師団と東北方面隊第6師団が実動部隊として蘊奥試験を続けてきました。

Img_6430 これはどういうものか。火力を最大限効率的に投射するには、私たちがコンピュータシュミュレーションゲームにおいて軍隊を動かすように、我が方の部隊と火力投射範囲と共に射程や弾薬と機動力をデータ化し、加えて敵の判明している脅威情報と位置と移動方向などをデータ化すれば、無暗な攪乱射撃や無駄な部隊展開を省くことが出来ます。

Cimg_6383 誤解を恐れずに記せば、情報を一手に俯瞰して必要な判断を瞬時に下して即時共有する、この実現への手段こそが情報優位であり、その達成手段として用いられるのが通信とデータリンクに用いる基幹連隊指揮統制システムと火力戦闘指揮統制システムとともに無人航空機だ、ということ。

Img_0046 データリンクは、遠距離目標に対する間接照準射撃を行う砲兵部隊においては比較的早い時期に行われていますし、脅威情報と各種装備の連携による対処という概念は対空戦闘において早い時期から普及しているものであり、C4ISRとは、これを陸上自衛隊、もう少し上の目標では全自衛隊で共有化してしまう、というもの。

Img_3558 派米訓練ということで、今回第3普通科連隊を中心とした部隊はワシントン州ルイスマッコード基地に駐屯する第38騎兵連隊第3大隊隷下の機械化部隊300名との共同訓練を実施、同部隊はストライカー装甲車を運用する部隊で、日米相互連携要領等の演練を期した共同演習をおこないます。

北大路機関:はるな

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ヘリコプター護衛艦くらま就役30周年記念一般公開⑧ 朝の佐世保艦艇入港と出港準備

2012-09-03 23:08:15 | 海上自衛隊 催事
◆くらま体験航海へ長崎に向け出港準備!
 ヘリコプター護衛艦くらま就役30周年記念一般公開も今回は第八回、そして佐世保も三日目となりました。
Kuramaimg_8812 佐世保基地、月曜日でこの日長崎空港から帰路に就くこととなっていましたので、最後の一日です。もともと、長崎空港にほど近い大村観光に充てようと考えていたのですが、この日、くらま体験航海が行われるということがあり、その出港の様子を撮影することとしたのですが、様々な情景とも出合いましたところ。
Kuramaimg_8768 米海軍アヴェンジャー級掃海艦MCM-2ディフェンダーの佐世保帰港。隣には米海軍のサイクロン級哨戒艇が見えますが、横須賀基地のサイクロン級と異なりM-240軽機関銃が取り付けられているのが見えます。佐世保基地は朝鮮半島に近く、弾薬補給処も近くにあることから、警備は厳重、という印象がありますね。
Kuramaimg_8771 掃海艦ディフェンダー、満載排水量1312t、全長68.3m、1987年から1994年に14隻が建造されたアヴェンジャー級の一隻で、乗員81名、機雷掃海と機雷掃討共に運用できる艦で、昨今掃海艇がFRP船体のものが基本となっているのですが、衝撃吸収性能と非磁性性能が高い木造船体をFRPでコーティングしたもの。
Kuramaimg_8788 米海軍の交通船、隣に見えるのは我が海上自衛隊の補給艦はまな。交通船、ですが、甲板上にはリラックスチェアが置かれ、作業服もみていますと、軍属の方、が運用しているのでしょうかね。交通船はかなりの数が係留されているのが弓張岳から俯瞰できたのですが、佐世保は揚陸艦の基地、LCACが主力の今日ですが、交通船は有事の際には上陸用にも用いられるのでしょうか。
Kuramaimg_8792 護衛艦いそゆき。佐世保へ帰港するべくやってきました。佐世保基地第13護衛隊を構成する四隻の護衛艦の一隻で、護衛艦いそゆき、はるゆき、あさゆき、じんつう四隻を以て構成。実はこの前日の日曜日まで鹿児島において艦艇広報に出ていた護衛艦です。月曜日ということで、鹿児島から母港佐世保へ戻ってきたところ。
Kuramaimg_8796 曳船78号、曳船84号、この二隻が入港作業支援のために待機しています。曳船は、艦船の出入港支援に不可欠なものですので、逆に言えば曳船が準備している、という事は出入港が行われる、という事で、即ちこれは護衛艦の動いている姿が見られるまでもうすぐなのだ、という事に他なりません。
Kuramaimg_9032 護衛艦はるゆき、ハルユキ君が護衛艦いそゆき、に続いての帰港です!。実は鹿児島で一般公開されていた護衛艦は、いそゆき、はるゆき、二隻が一般公開されていましたので二隻そろって戻ってきた、ということになります。二隻並んで入港の様子を見ることが出来る、幸先の良い一日の始まり。
Kuramaimg_9035 いそゆき、曳船と協同し接岸へ。はつゆき型護衛艦は1982年から12隻が量産され、海上自衛隊の近代化を一挙に進めた護衛艦で、満載排水量4000tの大型護衛艦で、対空対潜対水上誘導弾を搭載し大型対潜ヘリコプター運用するガスタービン推進艦、このなかで護衛艦いそゆき、は1985年に就役しました。
Kuramaimg_8851 はるゆき、続いて接岸へ。はるゆき、は、いそゆき、が1985年1月に就役しましたが、1985年3月に就役していまして、この1985年は12月に護衛艦やまゆき、も就役しています。一年間に三隻は多い印象ですが1990年にも護衛艦あさぎり型三隻が就役していまして、二隻就役というのも少し前まではかなり多かったという時代も。
Kuramaimg_9017 はつゆき型二隻の接岸作業は、倉島桟橋の地形に隠れてみることはできません。この角度から見てみますと、電波塔のほか建物が二つほど見えるのですよね、そこから見えるのかな、と思い来や手前の小山が視界を隠すことに気づかされます。起伏にとんだ地形は防諜と防衛の観点から有利で、この場所を基地とした帝国海軍の先見の明は凄い。
Kuramaimg_8880 くらま出港準備。いそゆき、はるゆき、は既に接岸しているのですが、接岸支援を行った曳船78号と曳船84号はそのまま、くらま出港準備に取り掛かっています。既に前甲板でも作業員が作業準備を進めていますし、いよいよ出港準備、くらま、に合わせてこちらも湾内から撮影するべく展開を開始です。
Kuramaimg_8904 くらま、は体験航海の後、この年に行われる派米訓練への準備の意味も込め、三菱重工長崎工場において定期整備を行うこととなっています。つまり、体験航海は佐世保乗艦長崎下艦、撮影位置は大丈夫なのか、というところを、元々はつゆき型二隻入港を撮影した場所から撮った方が無難だったのではないか、という一瞬の迷いもありました。
Kuramaimg_8969 護衛艦じんつう、佐世保湾内を入港へ向かう様子が見えました。港内で停泊している姿よりも、湾内とは言え会場を進む護衛艦は迫力があります、思い出せば前日の掃海艇たかしま、も湾内を進む様子は迫力がありました、時間は、位置は、経路は読み通りか、こんな撮影をしたのは初めてですし、心配事は多々あれども、最適な撮影位置を目指し、波を蹴って前へ進む。
北大路機関:はるな

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防災の日 自衛隊、政府調査団派遣訓練・地震災害応急対処訓練・広域医療搬送訓練を実施

2012-09-02 22:44:22 | 防災・災害派遣

◆平成24年度防災の日訓練、次の災厄に備えて

 防衛省自衛隊は昨日九月一日に実施された平成24年度防災の日訓練へ震災対処を念頭として参加しました。

Img_1371h 今回の訓練へは、第一に政府調査団及び警察広域緊急援助隊の確実な輸送要領の演練、第二に災害現場における地震災害応急対応要領の演練、第三に広域医療搬送における関係機関との連携要領の演練、第四に広域医療搬送における域外搬送拠点及び広域搬送拠点臨時医療施設及び災害拠点病院における運営などの支援要領の演練、以上四点が主要演練事項として挙げられています。

Gimg_4339 政府調査団など派遣訓練は、被災地への政府調査団の空路及び海上からの輸送訓練が実施され、加えて今回は愛知県警広域緊急援助隊の被災地への輸送訓練も実施されたとのことです。地震災害応急対処訓練では、主として首都直下型地震を想定し実施される九都県市合同防災訓練への救出救助等の訓練への参加が行われたよう。

Eimg_7736 広域医療搬送訓練では、東日本大震災で急きょ実施された災害派遣医療チームDMATと患者の緊急搬送、そして搬送拠点に構築される広域搬送拠点臨時医療施設SCUによる運営などの支援が実施されました。DMATは、民間医療チームで、大規模災害時には車両などで展開することとなっていましたが、東日本大震災では自力展開がかなわず、自衛隊輸送機が重宝された実例があります。

Img_0777 今回の訓練へは、統合幕僚総監部の参加を筆頭に、陸上自衛隊からは東部方面隊中部方面隊、西部方面隊中央即応集団、通信団が参加。海上自衛隊からは自衛艦隊、横須賀地方隊、呉地方隊、システム通信隊群が参加。航空自衛隊より航空総隊、航空支援集団、航空教育集団、航空機動衛生隊が参加しました。

Cimg_7048 三自衛隊の参加部隊は、統合幕僚監部より人員20名、陸上自衛隊からは人員120両と車両23両に航空機7機、海上自衛隊からは人員410名と車両5両に艦艇2隻と航空機3機、航空自衛隊からは人員130名と車両11両に航空機が8機参加し、自衛隊全体では人員680名、車両39両、航空機18機、艦艇2隻が参加したことになります。

Img_0069p_2 訓練実施会場は、政府調査団輸送訓練が、国会議事堂に首相官邸と防衛省本省、そして横浜の九都県市合同防災訓練実施会場が行われ、広域医療搬送訓練は、空港施設として羽田空港と高松空港に松山空港と九州の大分空港と福岡空港、自衛隊施設に高遊原分屯地と新田原基地に美保基地と防府北基地、高知大学医学部付属病院で実施されました。

Img_5610 今回の訓練は自衛隊のほか、内閣府、消防庁、国土交通省、厚生労働省に加え、東京都、神奈川県、千葉県、埼玉県、横浜市、川崎市、千葉市、さいたま市、相模原市が参加し、医療搬送訓練では、内閣府、消防庁、国土交通省、厚生労働省、海上保安庁、鳥取県、山口県、香川県、徳島県、愛媛県、高知県、福岡県、熊本県、大分県、宮崎県、DMAT事務局、宇宙航空研究開発機構が参加機関として挙げられています。

Kuramaimg_8328 南海トラフ地震の政府想定が見直され、最大k簿の想定により最も被害が起きくなる時間帯に襲来した場合の死者は32万という想定が出されました。迅速な避難と事前防災対策によりこの数は八割減災できるとのことですが、東日本大震災の犠牲者は現在行方不明者を含めても2万以下であり、32万から八割減災できたとしても東日本大震災犠牲者の三倍以上という事を忘れてはなりません。

Gimg_9401_1 実のところ、南海トラフ地震を警戒している中で、先に沖縄トラフ地震が発生した場合、南海トラフ地震への連動可能性を踏まえつつ災害派遣を行う、等、想定外に備えた訓練体系、というものが必要とも考えるのですが、可能な範囲内でどういったことが出来るのか、積み重ねることのできる一段として今回の訓練が有事の際に少しでも多くの人命を救うことを願ってやみません。

北大路機関:はるな

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防衛産業、我が国防衛力を構成する重要要素の将来展望③ 我が国で運用するということ

2012-09-01 22:49:04 | 防衛・安全保障

◆道路法車両制限令、車幅2.5mの規制

 第三回は、装備品について国産装備か輸入装備かを考える上で、当たり前でもあり、そして少々小さな点、しかし重要な点を少し触れたいと思います。

Img_9346 自衛隊の装備品は、我が国において運用する、という前提、これを忘れてはなりません。しかし、これを踏まえて考えますと、自衛隊装備に重要な要素があることを思い出させるわけです。その最たるものが、道路法車両制限令が提示する車幅規制、というものがあり、我が国の道路は例えば鉄道が世界基準の標準軌1435mmではなく狭軌1067mmが採用されているように、狭い道路となっています。

Uimg_3150 道路法車両制限令第三条では、車幅2.5m、総重量25t以下、軸重10t、輪重10t、高さ4.1m、長さ12m、最小回転半径12m、以上の通り。陸上自衛隊の96式装輪装甲車は、これに合わせ全幅2.48m、全長6.84m、重量14.5t、この車両制限令の範疇に収まっているのがわかるでしょう。

Img_2309 車幅2.48mの96式装輪装甲車に対し、唯一枠内に入るのは米海兵隊やオーストラリア軍などが運用するLAV-25の2.5mで、米陸軍の多数が量産される主力装甲車というべきストライカー装甲車は車幅2.72mあり、世界的に評価が高いスイス製ピラーニャ装甲車が全幅2.66m、ドイツが次世代の重防御力を志向し開発したボクサー装甲車で2.99m、安価で知られるロシアのBTR-80装甲車で2.9m、選択肢は多くはありません。

Fimg_8457 道路法車両制限令を超える車両が通行する場合の手続きは、主として交通事故を防止する観点から行われます。つまり車幅が大きすぎる車両が無理に道路を通行すれば対向車が衝突する危険が出てきてしまいますし、二車線道路であっても実質一車線しか利用できなくなるということ。

Img_5504 車幅2.5m以上の車両が通行するにあたって、第一に行うことは出発地から目的地までのすべての道路について、その道路管理者に申請するところからはじまります。すると道路管理者が特殊性に鑑み、自衛隊が用いるという事で申請が通るとします、止むを得ないと判断した場合に、通行許可が出されます。

Oimg_6056 通行許可が出ましたら、次は所轄警察署長への許可をもらう必要が出てきます。なにより、道路が設計限界を超える車両を通行させるのですから、事故防止の観点から必要なことで、この二つの許可が出て初めて機動が可能なのです。この観点から、例えば戦車部隊などは演習場に隣接した駐屯地に駐屯するわけですね。

Img_7964 軍事は安全保障上すべてに優先されるべき、という視点はもしかしたらば持たれる方がいるかもしれません。しかし、どう頑張っても車幅が大きすぎれば対向車が衝突して破壊されてしまう、この事実はどうにもなりません。これは道路を拡幅しなければ、結局衝突する、という事象から逃れることはできない。

Img_8997 日本の道路は日本の規格のものでしか運用できません。これは例えば海上輸送された民生用長物コンテナーの輸送車両が方荷にとなっていて、低速で緩やかなカーブを装甲しただけで脱落し、並走自動車が押しつぶされる、という事故が何件も報道されていますが、これは海外が3.2mの車幅を念頭に輸送車両での輸送を念頭に置いているためで、実は海外規格を我が国の道路にもちこむ弊害は民間の事故という形で表面化しているのです。

Kimg_8573 実際問題として、主要道路を全て2.5m対応から3.2m対応へと拡幅することが出来れば、自衛隊車両に海外装備を導入するうえでの選択肢は増えることは確かです。加えて前述の道路の事故や輸送力の問題を改善することにもつながるでしょう。しかし、これを行うには安全保障を超えた討議が必要ですし、費用面で数年十数年で達成できることではないでしょう。

Img_7195a 我が国で運用する、という事は我が国での運用に対応できなければなりません。道路法車両制限令には牽引車両の車両限界も明示されているのですが、この制限に基づき、陸上自衛隊はFH-70榴弾砲のような基幹装備の制式化にも影響を及ぼし、その範囲内で装備品を選定してきました。

Img_1795 こういいますのも、特に陸上自衛隊は駐屯地から演習場まで、どうしても一般道を利用して展開しなければなりません。しかし、道路法車両制限令を超える車両であれば、交通規制を発令し一般車両の、特に対向車などの通行を制限する必要が出てしまい、毎日のように駐屯地周辺の交通規制を行う、というのはあまり現実的ではありません。

Dimg_6039 防衛産業は、我が国で運用する念頭に立ったうえでの装備品を開発することが出来るのですが、海外製となりますと、特に車幅を2.5m以内とする必然性、例えば輸送機への搭載などからの制限が無い限り合理的になされるものではありません。海外製の装備の方が進んでいて安いのではないか、という視点を持たれる方は、まずその車両が日本の道路を平時通行できるか、注意せねばなりません。

北大路機関:はるな

(本ブログに掲載された本文及び写真は北大路機関の著作物であり、無断転載は厳に禁じる)

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