北大路機関

京都防衛フォーラム:榛名研究室/鞍馬事務室(OCNブログ:2005.07.29~/gooブログ:2014.11.24~)

平成二十五年度三月期 陸海空自衛隊主要行事実施詳報(2014.03.15・16)

2014-03-21 07:05:18 | 北大路機関 広報

◆自衛隊関連行事

 練習艦隊江田島出港が行われましたところですが、今週末の行事について。

Img_6430p  練習艦隊一般公開が大阪港において実施されます。入港は天保山埠頭、23日のみ一般公開で、一般公開されるのは、せとゆき、のみ。一般公開は1200から1600までで1530には乗艦受付が終了します。一隻のみの公開ですと、乗艦までの待ち時間は長くなるやもしれません。

Img_2703 佐世保基地一般公開は21日、22日、23日ともに護衛艦すずつき一般公開が行われます。すずつき、就役したばかりの最新鋭艦です。舞鶴には最新鋭護衛艦ふゆづき配備が行われました、が、22日は一般公開が行われません、今週末の舞鶴一般公開は23日のみ、ご注意ください。

Gimg_8497  呉基地週末一般公開は23日日曜日のみ、輸送艦くにさき一般公開が行われます。輸送艦、艦内が何処まで一般公開されるのかが、ちょっと楽しみなところですね。基地一般公開の時間などは各地方隊HPで最新の情報を元にお出かけください。

◆駐屯地祭・基地祭・航空祭

  • 自衛隊関連行事はなし

注意:本情報は私的に情報収集したものであり、北大路機関が実施を保証するものではなく、同時に全行事を網羅したものではない、更に実施や雨天中止情報などについては付記した各基地・駐屯地広報の方に自己責任において確認願いたい。情報には正確を期するが、以上に掲載された情報は天候、及び災害等各種情勢変化により変更される可能性がある。北大路機関

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榛名防衛備忘録:UH-X次期多用途ヘリコプターを考える③ 陸海空統合ヘリコプターの提案

2014-03-20 02:03:17 | 先端軍事テクノロジー

◆UH-60J/K導入は最後の機会

 陸上自衛隊UH-X選定について、その停滞の現状と用途について掲載しましたが、今回からは北大路機関案としてのUH-Xの提案を提示してゆくこととしましょう。

Uhimg_1052  陸上自衛隊は、UH-60Jの改良型、航空自衛隊へ導入される新救難ヘリコプターUH-60J改、恐らくUH-60Kと呼ばれるであろう機体をUH-Xとして暫定導入してはどうか、こう考えるところです。陸上自衛隊はUH-1HとUH-1Jと続いた多用途ヘリコプターを一時UH-60JAとして導入開始しています。当方が推すのは、この機体をひとつ。

Uhimg_0997  この導入開始も、取得費用が大きくなりすぎUH-1Jとの並行調達となりました。しかし敢えて、UH-60Kを後継機を整備する方策はどうでしょうか。能力は充分です。航続距離は1300kmに達し、フェリー航続距離ならば2200km、師団用としては過剰ですが、方面隊用ならば、理想的な水準と言えるもの。

Uhimg_1177  この航続距離ならば、例えば南西諸島有事に際して那覇駐屯地へ緊急展開する場合、西部方面隊の高遊原駐屯地からの増援はもちろん、中部方面隊の八尾駐屯地からも1250km程度、フェリー空輸ならば八尾から十分展開可能です。フェリー航続距離を活かす場合は、人員と装備は民航機を含めた航空機で展開すればよい。

Uhimg_4262  また、機体はC-130H輸送機への搭載が可能として、これは米陸軍がUH-60の要求仕様に盛り込んだものですが、設計されていますので、海外派遣などに際し空輸展開も可能です。もちろん、航空自衛隊へはC-2輸送機の配備が開始となり、貨物室も大型化するので、この機種に限らなくともいいわけではあるのですが。

Uhimg_6529  UH-60Kを推す最大の理由は陸海空で運用されているためです。航空自衛隊新救難ヘリコプターとして三菱重工が生産し配備が開始されるためです。実は陸上自衛隊がUH-60JAを導入開始した当時にも航空自衛隊の救難ヘリコプターとしてUH-60Jが配備開始されていました。量産効果が出ないか、と、そういった意味ももちろん含んでいます。

Uhimg_4406  また、海上自衛隊でもUH-60Jが救難ヘリコプターとして導入開始され、航空自衛隊へ32機と海上自衛隊へ16機が導入されました。ここに陸上自衛隊も採用したのですが、陸上自衛隊が調達を本格化させた時期に、救難ヘリコプターとしてのUH-60J生産が終了し、その分量産効果が低下することとなってしまいました。

Uhimg_8536  海上自衛隊のSH-60J哨戒ヘリコプターが生産されていた時期においても、ある程度部品互換性があったため、量産費用に影響した点はあるかもしれません。海上自衛隊の哨戒ヘリコプターは胴体を大型化させ、その他機関部をはじめ多くの部分で飛行能力と生存性向上への設計変更を実施しました。

Uhimg_9809  陸海空が採用したこの機体を更に進め陸海空の統合ヘリコプターとして扱う事は出来ないものでしょうか。少なくとも、この決断は1990年代初頭に下すべきだったと考えています。陸海空ではV-107輸送ヘリコプター等が、救難ヘリコプターと掃海ヘリコプターとして陸海空で運用されたこともありました、そうした環境を今一度、と。

Uhimg_4632  陸上自衛隊はSH-60JとUH-60Jが同時期に生産され、三菱重工が最も量産効果を上げていた時期にUH-60JAを調達開始する決断を下せなかったわけです。当初ではUH-1を全てUH-60で置き換える計画があり、ここに海空自衛隊所要が生産終了し費用高騰、ここに防衛費縮減が追い打ちをかけたかたち。

Uhimg_4292  そして逆に言えば、UH-60を取得できる機会はこれが最後となるやもしれません。航空自衛隊UH-60Kの生産が終了した際には、生産ラインが再度陸上自衛隊所要のみとなります。そうした場合、維持費がもろにかぶさることとなり、一機当たりの取得費用は高騰するでしょう。

Uhimg_7055  その場合、財政面からは取得することが出来なくなります。それならば、海上自衛隊のSH-XとしてSH-60Kの後継機と合わせたほうが、まだ、いい。そしてUH-60JA導入に際して、もう数年速い決断を示せなかった、という状況と同じ轍を踏むことにもなる。

Uhimg_5481  2010年11月5日、防衛省は航空自衛隊次期救難ヘリコプターとして三菱重工が提案したUH-60改を選定、ここで40機の調達が20年間の維持経費を含め1900億円で締結されています。一機当たりを考えると高く感じますが、維持経費を含んでいますので、この分を考えると、どうなのでしょうか、ね。

Uhimg_7657  この航空自衛隊次期救難ヘリコプター選定で競合したのは川崎重工KE101とユーロコプターEC725で、ノックダウン生産か直接輸入が提示されていましたが、決定に際し、取得費用が妥当性を有しており、取得費用と共に維持費用が明確に示されています。

Uhimg_8618  さてさて、それでは次回に財政上導入することはどの程度現実的であるかという点や、本命の機体がある中での競争入札方式との関係を如何に対応するか、という点、師団飛行隊にはこの機体の妥当性は必ずしも高くない場合どう対応するかなど、話題を検証してみましょう。

北大路機関:はるな

(本ブログに掲載された本文及び写真は北大路機関の著作物であり、無断転載は厳に禁じる)

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平成25年度海上自衛隊練習艦隊『近海練習航海・外洋練習航海』 3月21日江田島出港

2014-03-19 22:59:47 | 北大路機関 広報

◆かしま,しらね,しらゆき,せとゆき,あさゆき,あさぎり

 平成25年度海上自衛隊練習艦隊の近海練習航海と外洋練習航海についての概要が海上自衛隊より発表されました、本年はヘリコプター搭載護衛艦しらね参加です。 

Eimg_1095  近海練習航海部隊は、練習艦かしま、練習艦しらゆき、練習艦せとゆき、護衛艦あさぎり、参加です。外洋練習航海は、護衛艦あさゆき、ヘリコプター搭載護衛艦しらね、が参加します。よって、練習艦と護衛艦は併せて6隻が参加するという、大規模な艦隊が21日の金曜日に、江田島を出港することとなりました。

Eimg_0679  近海練習航海は、湯浅秀樹海将補隷下の練習感知に第64期一般幹部候補生課程修了者173名を含む840名が参加、3月21日から5月21日まで実施されます。3月21日江田島出港、21日から22日まで柱島沖、23日に大阪入港と25日出港、27日から29日まで佐世保入港します。

Eimg_0707  近海練習航海は、続いて31日から4月2日まで石垣島寄港、3日から5日まで那覇寄港、10日に鳥羽沖、13日から15日に大湊、18日から2日まで舞鶴入港、21日に三机、22日から5月6日まで呉に一旦帰港、8日から11日まで横須賀に入港し、11日から21日まで晴海埠頭に入ります。晴海埠頭にて、遠洋航海へ出港するわけですね。

Eimg_0593 外洋練習航海は第13護衛隊司令池田秀人1佐を指揮官とし、3月21日から4月22日まで、第66期飛行幹部候補生課程修了や48名を含む480名により実施されます。遠洋航海とは違い、外洋練習航海は飛行幹部候補生課程修了者を対象として行われるもの。

Eimg_0750 参加艦艇は護衛艦あさゆき、ヘリコプター搭載護衛艦しらね、が参加し、しらね、は来年三月にヘリコプター搭載護衛艦いずも就役とともに除籍されるので、今回が最後の練習航海となります。艦隊はフィリピンのマニラとアメリカのグアムへ寄港することとなっています。今週金曜日にこの6隻が揃って江田島を出港することとなります。お時間のある方は是非どうぞ。

北大路機関:はるな

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ウクライナ危機、欧米/ロシア対立激化へ ロシアのプーチン大統領がクリミア半島併合発表

2014-03-18 23:48:53 | 国際・政治

◆アメリカの影響力低下との印象影響が懸念

 本日日本時間2000時、ロシアのプーチン大統領はウクライナのクリミア半島をロシア領へ併合する事を発表しました。

Adimg_1840 ロシアは日本の隣国であり、今回の情勢は強い関心を以て見守ってきましたが、今回の決定までの短時間には少々驚かされました。クリミア半島は黒海に面し、ロシア黒海艦隊の拠点であるセバストポリ海軍基地が置かれています。ウクライナ領内にあってロシア系住民が多く、ウクライナがソ連の一部であった時代にはソ連から転居し、そのままソ連崩壊と共にロシア系ウクライナ人となった事例も多く、言語はウクライナ語が公用語となっていますが、ロシア語との違いがあるほか、ロシア系住民に対する強い風当たりという状況もあるようです。

Img_3059 ウクライナ騒乱は、親ロシア政策を進めるヴィクトルヤヌコーヴィチ政権が民主化暴動により政権が崩壊、オレクサンドルトゥルチノフ 臨時政権が樹立することとなりました。オレクサンドルトゥルチノフ 臨時政権は親欧路線をとっており、この暴動による臨時政権樹立については、様々な視点がありますが、親欧路線が暴動により樹立したことで警戒感を強めたロシア政府は、ロシア系住民の多いクリミア半島のクリミア自治政府へ海軍歩兵等を緊急展開、その下でのロシア編入の可否を問う住民選挙が行われるに至ります。

Aimg_0055 ロシアの動向と軍事力の推移については、我が国安全保障上においてきわめて重要な要素と成ります。冷戦時代においてソ連は42個師団を極東地域に駐屯させ、日本に対しても太平洋艦隊の拠点であるウラジオストク基地を太平洋に展開させるうえでの重要海峡に面する北海道へ軍事圧力がかけられており、他方、中ソ国境紛争等の問題から中国とソ連の牽制等は、我が国へ軍事力が向けられる水準に影響することもあり、単なる隣国との関係で収斂するものではありません。

Himg_1164 今回のロシアの動静は、必要であれば迅速に軍事介入を決意し、世界最大の軍事機構であるNATOとの対立が起こる場合であっても、軍事力を背景に牽制するだけの運用体系をソ連崩壊後の混乱状態から恢復させたことを意味します。また、視点を変えるならば、ウクライナの一部をロシア領へ編入する動きに対しては我が国を含め欧米が激しく反発し、経済制裁などを準備している中での強行であり、特に地中海と黒海や中東欧へ海空戦力を展開し牽制したアメリカの能力の限界を示したこととなるやもしれないところ。

Himg_3189 ロシアのウクライナ騒乱介入は、ウクライナ騒乱に対する欧州地域からの関与への不信感と、親欧臨時政権の樹立への過程についてへの不信感、東欧旧ワルシャワ条約加盟国地域へのNATOの拡大、欧米諸国のロシア政治制度への姿勢、以上のものがあり、結果、ウクライナへ親欧政権の樹立の背景を放置すれば、モスクワから500kmの距離にNATO加盟国が誕生するという危惧、第二次世界大戦におけるウクライナ地域での反ソ住民の問題など、様々な要素があるでしょう。

88img_0457 しかし、その反面、NATOはウクライナ騒乱が暴動に展開し、ヤヌコーヴィチ大統領がロシア方面へ脱出する過程で、ロシア軍の大規模演習に呼応し、中東欧NATO加盟国の領域内においてロシア軍と同程度の15万規模の大規模演習を展開する、NATO常設艦隊を黒海近海へ遊弋させる、等の姿勢を示し、暫定政権の樹立に対し民主的な選挙の実施要求など、突き放す姿勢と介入ではなく関与の姿勢を示す、というような、勿論これ以外でも構わないのですが、欧州連合との一致した行動が採られれば、対応は変わったやもしれません。

Himg_4858 在欧米軍だけでも、冷戦時代の在独米軍第5軍団、構成していた第1歩兵師団はカンザス州フォートライリーへ、第1機甲師団はドイツヘッセン州に置かれているものの重旅団は欧州外に駐屯しているという状況ですので、冷戦時代のリフォージャー作戦に準じた米本土からの緊急展開を実施することが出来れば、ロシアの軍事行動に対して一定の抑制効果はあったやもしれません。もちろん、下手をすれば米ロ軍事衝突という世界史上最も避けなければならない状況に陥ることとなりますが。

Img_2571 今回のクリミア半島ロシア編入を以て、プーチン大統領は事実上の介入終了を宣言しており、次の最悪の状況と考えられたウクライナ東部へのロシア軍地上部隊の介入は、現段階では、少なくとも現段階では回避されました。しかし、その代償として、ウクライナは親欧路線への回帰は程度に限界が生じ、更に将来的に可能性が捨てきれなかったNATOとの関係強化は難しくなっています。強行すれば東部ウクライナへのロシア軍介入が有り得、今回の主目的はウクライナと欧米に楔を打ち込む事だったのかもしれません。

Himg_1241 一方の副次影響として、NATOの通常戦力を削り過ぎているのではないかという懸念、更に最も大きいのはアメリカが軍事行動全般について、その使用を非常に慎重となっており、県政への着手に多くの時間を要するとともに、牽制のみで介入の姿勢を見せていない、という部分が、言い換えればアメリカの国力低下と、世界に誤解されかねないところにあります。もちろん、通常戦力において米軍は戦域情報管理と共同交戦能力を強化し、戦域空間絶対優勢の確保を基調とした戦力を整備しているため、その能力は依然圧倒的ではあります。

Img_4266 しかし、我が国周辺国を含め、アメリカは出てこない、という誤った認識が広がることは重大な結果に帰結します。即ち、現在ならばアメリカは軍事的に絶対優勢であっても政治的に劣勢となりつつある、との認識を持った場合、政治的係争を求めている地域に対し、次の選択肢としての軍事的解決を図る可能性は出てきます。より具体的には、南シナ海及び東シナ海地域において、一方的な国境線変更と領土拡張を宣言している国が現在ならば米軍が出てこないと判断し、政治的および軍事的に攻勢に出てくる、ということ。

Aimg_7590 一種優柔不断と取られることが外交関係にどういった悪影響を及ぼするのか、ということは、我が国が民主党政権時代に嫌というほど経験していることではありますが、緊急展開能力と重戦力に依存する軍事力であっても政治的に展開が遅れる事となれば、能力は持ち腐れとなります。今回のアメリカの対応が、ウクライナ以外の地域へ波及しないよう対応するには、どういった選択肢があるのか、考えてゆく必要があるのかもしれません。

北大路機関:はるな

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榛名防衛備忘録:UH-X次期多用途ヘリコプターを考える② 多用途ヘリコプターの任務

2014-03-17 23:52:07 | 先端軍事テクノロジー

◆その“多用途”とは?、原点に戻っての視点

 多用途ヘリコプター、陸上自衛隊の主力汎用航空機といえる装備ですが、UH-Xについての一考察に先んじて、そもそもどういった任務に用いるのかを、考えてみましょう。

Uhimg_6620  多用途ヘリコプターは小銃手等軽装備の部隊を10名程度空輸可能で、構造上野戦整備性が高く取得費用と維持費用ともに専用の戦闘ヘリコプターや輸送ヘリコプターよりも低く抑えられており、なによりも三次元立体機動を可能とするヘリコプターは陸上作戦体系に大きな柔軟性を与えてくれるもの。

Uhimg_3671 小部隊であっても、情報収集や携帯火器の高度化、それら携帯火器を駆使する遊撃戦闘部隊としてのレンジャーの練成が行われており、このほか、10名程度の輸送能力というものは、工夫しだいによって様々な用途に用いることが出来、陸上自衛隊は長くその運用を強化し整備してきました。

Uhimg_8616  ただ、文字通り様々な用途に用いるものですが、防御力と攻撃力の面で専門の攻撃ヘリコプター程の能力は持っていません。各国を見れば多用途ヘリコプターに対戦車誘導弾を搭載した武装ヘリコプターの事例はありますが、湾岸戦争ではイギリス軍のガゼル武装ヘリコプターがイラク軍T-55戦車に対し相当苦戦した事例があり、過度な期待は行えないという点は一つあります。

Uhimg_0366 しかしながら、ヘリコプターという装備そのものの有用性は低くなったのか、と問われれば、当方としては否、という答えを示します。もちろん、限界は多く、脆弱性は山ほどあります。飛行する航空機なのですから優勢な防空網に飛び込めば携帯地対空誘導弾や機関砲などで簡単に撃墜されてしまうもので、2003年のイラク戦争では米陸軍のAH-64D戦闘ヘリの編隊がイラク軍防空網に気づかず進入し大打撃を受けました。

Uhimg_7375 この点で、我が自衛隊も有事の際、特に我が国周辺国は対空防御を重視した編成の陸軍が比較的多く、その防空網へヘリコプターで反撃すれば手痛い打撃を受ける事となるでしょう。しかし、我が国は島国です。島嶼部においては、特に海上で対空戦闘部隊の待ち伏せを受けにくく、航空優勢と制海権は完全に掌握されれば打つ手が限られますが、競合状態であれば、匍匐飛行する航空機は中々捕捉できません。

Aimg_0792  これは多用途ヘリコプターの話ではなく、戦闘ヘリコプターに限った話ですが、戦闘ヘリコプターに搭載される対戦車誘導弾の射程は徐々に延伸しており、AH-1SのTOWは3.75kmでしたが、AH-64Dのヘルファイアは8km、徐々に短射程地対空誘導弾の射程を大きく上回り、アウトレンジを視野に含めるようになってきました。島嶼部防衛では陸上と違い眼下の洋上に対空戦闘部隊が潜む可能性は無く、文字通り一方的な戦闘が可能となるのではないでしょうか。

Uhimg_7901 さて、多用途ヘリコプター。10名程度、多用途ヘリコプターの空輸能力は小銃班を空輸する程度ですので、これでは数機をまとめて運用しても小隊規模の空輸しかできず、更に降着地点に展開した時点で部隊は空中機動から徒歩機動に限定されるものとなります。10機で5往復すれば大隊規模の部隊を展開できますが、それは人員に限ったもので、そのまま輸送だけに限定しては能力は最大限発揮できないでしょう。

Uhimg_7639 実はこの点、ヘリボーン作戦の草創期に早速指摘されています。ヘリボーン作戦の走りは多々挙げられますが、その草創期、イスラエル軍が1950年代に多用した戦術として、ヘリボーンで数名の火炎放射器部隊を高地の敵陣地背後に展開させ奇襲する馬乗り攻撃が成果を上げました。当初は文字通り背後からの強襲で成果は大きかったのですが、繰り返されると結局は少数の軽歩兵による強襲、逆に包囲されるようになってしまったとのこと。

Hbimg_7298 ヘリボーンが最盛期となった1960年代のヴェトナム戦争時代には数十機のヘリコプターを集中し大隊規模の部隊を展開させる方式が成果を上げましたが、1970年代には対空火器の待ち伏せによる被害が目立ち始め、携帯地対空ミサイルの普及と共に1980年代に同様の戦術を実施したソ連軍はアフガニスタンで大損害を出すに至る。

Uhimg_4907 こうしたなか、冷戦時代の西ドイツ軍と1980年代のイスラエル軍は非常に有用なヘリコプターの運用方法を確立し、1990年代の湾岸戦争では米軍がヘリコプター運用方法に新しい一歩を開拓しました。西ドイツ軍は、想定された欧州戦域において対戦車ヘリコプターと共にヘリボーン部隊を対戦車戦闘に活用する方策を模索したのです。

Uhimg_8479 西ドイツ軍はTOW対戦車ミサイルなどをヘリボーンと空挺部隊により緊急展開させ、陣地戦闘に用いる方策を研究しました。一種、空挺部隊を最前線の対機甲戦闘にあてる無茶苦茶な戦術ですが、戦闘ヘリコプターなどと違い地上部隊は滞空時間の制限が無く、露出する空中と違い地形防御を駆使することが出来、友軍機甲部隊の到着まで遅滞戦闘を採ることは可能でした。

Bimg_6146 陸上自衛隊でも戦車部隊をヘリコプター隊へ置き換えた第12旅団では師団対戦車隊を維持し、ヘリコプター隊に装備するCH-47輸送ヘリコプターによる対戦車誘導弾の空中機動を比較的重視しています。一旦展開してしまえば距離上撤退は難しくなりますが、緊要地形を確保し地形防御に徹すれば、それなりの運用は可能、ということなのでしょう。

Uhimg_9429 イスラエル軍は多用途ヘリコプターに対し、特に地上部隊の前進に合わせた戦闘支援の方策を構築、フランス軍も多用途ヘリコプターを同様に運用しています。具体的には機動戦闘の展開に際し、陸上からの補給支援よりも前に前進した場合に特に弾薬を空輸支援する、というものでした。

Uhimg_8241 フランス軍は昨年のマリ介入サーバル作戦においてこの方式を、特に情報共有により少数の部隊が広く分散した状況下での相互位置把握による共同交戦能力の一環として実施し、中隊規模の部隊であっても、小隊毎に広く分散し、空中機動部隊からの補給を継続的に受け前進しました。ヘリコプターの天敵である対空脅威は元々少ない地域ですが、その対空脅威の天敵は地上の装甲部隊です。

Uhimg_3666 地対空ミサイル部隊は、例えば1973年のイスラエル軍が経験した第四次中東戦争でも、航空支援を妨害した地対空ミサイル脅威は戦車が直接撃破し、無力化しました。我が国としては攻撃前進の速度を強化させる一助として、戦車部隊を含む重装備部隊へ適切な整備支援を空輸により維持すれば、従来以上の機動力を地上部隊が発揮できるかもしれません。

Uhimg_5477 このほか、ヘリボーン部隊は特科部隊との連携にも大きな威力を発揮します。特科部隊との連携と言えば観測ヘリコプターが主に髣髴されるものでしょうが、イスラエル軍などは機甲部隊に随伴し高速で前進する自走砲の砲兵部隊に対し155mm砲弾を空輸し続けました。機動戦闘を考えた場合、適度な補給を補給線が混乱しないよう維持する方策は意外と重要です。

Iimg_4317  もちろん、着弾観測も重要です。従来の空中着弾観測は双眼鏡に依存し観測してきましたが、近年は、例えば東日本大震災福島第一原発空撮を30~40kmの距離から中継したNHK報道ヘリコプターの空撮器材のように、遠距離から情報を収集する機材は多数開発されているため、これらを装備することで、多用途ヘリコプターをかなり第一線よりも後方から運用することも十分考えられるでしょう、これは他の備忘録記事でも提案していますが、ね。

Img_0936i 特科部隊との連携としては更に1990年代のロシア軍がチェチェン紛争において実施した前進観測班の山間部輸送が事例として挙げられるかもしれません。ロシア軍はチェチェン軍の小規模戦闘部隊の遊撃戦闘に対し、多数の前進観測班を編成し空輸展開、観測任務に充てました。今日では無人機により代用できるとも誤解されるでしょうが五感の駆使は今なお重要で、特殊作戦部隊の任務に偵察が含まれていることが何よりもの証左です。

Bimg_2262 特科火力の誘導の他前線航空統制にも用いることが出来る前進観測班ですが、部隊は決して大人数ではありませんので、ヘリボーン展開はそれほど目立つものではありませんし、少数部隊であれば補給も最小限で展開可能です。もちろん、前進観測班あ攻撃前進に先んじての運用や遅滞戦闘の一環として行われるかで、航空部隊展開には伏射の危険度合いが違ってきますが、盲撃の無駄よりは利点の方が多いでしょう。

Uhimg_6780 多用途ヘリコプターはこのほか、負傷者の搬送や地雷散布による遅滞行動、災害時の情報収集や指揮官の連絡輸送など、このほかにも用途は幅広くあります。ですから、その用途を発揮するためにも、次期多用途ヘリコプター、UH-X選定は重要である、というわけです。

北大路機関:はるな

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榛名防衛備忘録:UH-X次期多用途ヘリコプターを考える① 機動防衛力整備の重要要素

2014-03-16 23:46:02 | 先端軍事テクノロジー

◆これまでの選定迷走の終着点へ

 地中海で米ロ空母が対峙する中ではありますが、本日はUH-Xの話題をひとつ。

Img_6244 UH-Xとは、陸上自衛隊がUH-1B以来導入を続け、UH-1HとUH-1Jとの改良型が生産され続けた多用途ヘリコプターの後継機、小銃班の空中機動y偵察オートバイに対戦車誘導弾や中迫撃砲の空輸、弾薬や負傷者搬送に情報収集と機関銃による火力支援とに活躍し、北部東北東部有部西部の各方面ヘリコプター隊に20機と、師団・旅団飛行隊に2~4機が装備されている主力ヘリコプターの後継機開発を目指すものです。

Img_0099  防衛省は、このUH-Xへ求める性能として、重量5t、最高速度260km/h、行動半径230km、洋上飛行能力を持つ機体を想定し、取得費用は10~15億円程度、という目標で進められました。機体価格ではこの費用を満たすものは世界市場に少なくありませんが、無線機や航法装置等を含めれば、やや性能に対し相当安い費用を目指しており、結果国産開発されることとなったもの。

Amimg_1050 UH-1後継が最初に考えられたのは1990年代で、当初、防衛庁(当時)はUH-1Jの後継ヘリコプターとして、エンジン出力が二倍と航続距離が二倍以上であるとともに、輸送人員が四割増大したUH-60JA多用途ヘリコプターを、その後継機に充てる構想を立てました。前方赤外線監視装置に気象レーダ装置や暗視装置を備え、飛行能力が大幅に向上したUH-60JAですが、その分UH-1Jの三倍という取得費用を要するものとなってしまいました。

Aimg_9773 UH-1J後継機は兎に角数が必要となります。上記の配備数から類推出来るように、最低130機必要で150機程度が必要となる航空機ですので、この取得費用が三倍となってしまっては、防衛費が変わらない以上年間取得数が縮小する為、退役する機数と新規製造機では前者が大きくなるため、必要な機数を調達する事は出来ません。

Img_0290  結果、UH-60JAの調達は年間1~2機という水準でしか進まず、生産ラインの維持費がその生産数に上乗せされ、価格は更に高騰、大型輸送ヘリコプターに匹敵する取得費用となってしまい、生産開始から15年以上を経ても30機しか調達できない状況、陸上自衛隊は止む終えずUH-1Jと並行調達する方針を選択しました。

Img_1923 そのままUH-1Jを調達し続けることが出来れば良かったのですが、防衛省は石破大臣時代に数か年分一括取得による取得費用低減政策を実施した際、三か年分を契約した年度にその後の調達計画、四年後の計画を明示することが出来なかったため、製造元の富士重工は生産ラインを閉鎖してしまいます。四年後の契約など出せるわけがない、と我が国の予算制度を知れば思われるでしょうが、民間企業は設備にも課税されるため、動かさない生産ラインを何年も維持する事は出来ません。

Img_2662 丁度富士重工は、陸上自衛隊へ納入していたAH-1S対戦車ヘリコプターの後継機としてAH-64D戦闘ヘリコプターの納入を開始しましたが、取得計画が当初計画の60機を9機程度で終了する検討が為され、生産ライン整備費用と機体部品発注後の富士重工は大損害を被ります。そこで、その補填を要求した際、導入計画は調達契約ではないと防衛省側に突き付けられ、険悪化していたころ。

Nimg_8921 単年度契約として、ライセンス生産を行う側がライセンスを持つ海外きぎょへ、防衛省のように毎年1機分2機分の輸入部品を要請する事は出来ません、生産が長期化すれば確実に仕様が変更され、生産終了となるためです、つまり、元々防衛省の調達方式は契約を締結することがでkないものだった、と。

Hbimg_1180  防衛省はAH-64Dが開発メーカーであるボーイング社のAH-64Eへの転換に伴い、調達を中止した、としています。ただ、日本向けAH-64Dは空対空戦闘能力を標準としたD型とE型の中間にある機種で、近代化は可能、仕様変更も可能でしたが、決定は生産終了、これではライセンス生産契約等で信用する事は出来ますまい。

Img_4862 UH-1は富士重工が生産、UH-1JはUH-1HのエンジンをAH-1S対戦車ヘリコプターと同型のものとし、飛行性能を強化したものです。その富士重工と防衛省が関係悪化し、UH-X選定の時期を迎えてしまいました。UH-1Jと比較し、防衛省が求めているUH-Xの性能は航続距離の点で不十分なものがありますが、米海兵隊の運用する最新型のUH-1Y軽輸送ヘリコプター、UH-1の双発型であるベル412、候補はいろいろ、無い訳ではないのです。

Mimg_2152 防衛省は、ベル412を富士重工と和解し導入する選択肢が、合理的のようにも思えるのですが、上記関係の影響か、そうした決定は行われませんでした。併せて一説には富士重工はベル社との長年の関係を反故にし、戦闘ヘリコプターとしてベル社製AH-1Zではなくボーイング社製のAH-64Dを生産したことで関係が悪化したのでは、という話もありますが、これは定かではないところ。

Img_9576 こうして、防衛省はUH-1J後継機としてのUH-Xを国産開発する方針を示しました。上記の通り迷走した結果であるため、後継機はいち早く必要ではあるのですが、防衛産業との関係は信頼関係を防衛省が反故とした為悪化、選択肢は終着点に近くなり、強制下車を強いられる形で国産開発へ指向されたわけです。ただ、この国産開発に際しても前途多難な問題が山積、現在計画は停滞中です。

Mimg_0079  この問題については、詳しく触れませんが、川崎重工の観測ヘリコプターOH-1を原型機として開発するべく要求仕様書が作成されたものの、このOH-1を元とする仕様書の作成が官製談合と見做され、開発そのものが入札手続そのものの問題から再検討を強いられ、そのまま二年以上放置され、今に至る。

Gimg_9743  結果、川崎重工社内に準備されていたUH-X開発チームは解散し、UH-1J後継機はその設計に着手できないまま、つまり終着点に到着しつつも乗り換え先も出口も模索している最中、空転している状態で、UH-1Jの老朽化は着実に進んでいます。次回は、この問題について、更に考えてみる事としましょう。

北大路機関:はるな

(本ブログに掲載された本文及び写真は北大路機関の著作物であり、無断転載は厳に禁じる)

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ウクライナ情勢、ロシア軍介入後の中東欧・黒海へ米軍派遣、米ロ海軍・航空戦力が対峙

2014-03-15 23:48:05 | 国際・政治

◆ロシア海軍は空母アドミラルクズネツォフ出動

 ウクライナ騒乱に際するクリミア半島へのロシア軍展開から二週間、危機的状況は拡大しています。

Img_2642 ロシア軍はウクライナへの軍事介入を開始すると同時に、15万規模の部隊が参加する、この地域ではカフカス2009演習以来の大演習を展開し欧州諸国を牽制、この地域の緊張は冷戦終結後最大と言える水準に沸騰しました。ウクライナへの本格介入は着手されていませんが、緊張は継続しているところ。

Img_7086 全欧安全保障協力会議や欧州連合に北大西洋条約機構が対ロ政策へ総論一致各論討議の状況下、ウクライナクリミア半島に隣接する黒海艦隊基地より海軍歩兵が展開し、ロシア軍による軍事介入が本格化しましたが、地中海の米海軍第六艦隊はギリシャ周辺を遊弋中のイージス駆逐艦トラクストンをボスポラス海峡を経て黒海へ急行させました。

Img_8666 あわせて、米空軍はロシアに隣接するバルト三国へ6機のF-16を急派し、ロシア軍のウクライナ軍事介入と並行して展開したNATO諸国との国境地域での15万規模での軍事演習に対する対抗部隊を展開させることとなりました。バルト三国は空軍が編制中であり、NATO諸国より部隊が支援に展開しています。

Img_0479  米空軍の増派は続き、NATO加盟国となっているポーランドへ、6日にF-15戦闘機6機とKC-135空中給油機を1機緊急派遣、さらに同日米国防総省のヘーゲル長官は一週間以内に12機のF-16をポーランド領内へ増派する計画を発表しています。

Img_2807 この中東欧諸国への米軍派遣に際し、12日、ロシアの友好国であるベラルーシは警戒を強め、ロシア空軍に対し12機程度の戦闘機増派を要請しました。この12日には、黒海に展開した米海軍イージス駆逐艦2隻がNATO加盟国となったブルガリア海軍及びルーマニア海軍と合同演習を開始しました。

Img_1122 ロシア海軍は国会での米海軍展開に際し、黒海艦隊のスラヴァ級ミサイル巡洋艦モスクワ等の艦艇を展開させ協力に圧力を掛けると共に、一部情報ではクリミア半島に超音速地対艦ミサイルヤホント/バスチオンを展開させ、イージス艦へ圧力を掛けています。

Img_1980 米海軍は更に第六艦隊の黒海展開増勢を準備中ですがロシアは先んじて北方艦隊より空母アドミラルクズネツォフを地中海へ進出、キプロス南西海域において艦隊戦闘訓練を開始、米海軍の地中海より黒海方面への展開を猛烈に妨害していると、ロシア国内報道で報じられ、滅多に稼働しないとされたロシア空母の地中海展開は非常に稀有な事例と言えるでしょう。

Img_2014  ロシア空母は重航空巡洋艦と位置付けられていますが、米海軍の空母は航空母艦で、黒海と地中海をつなぐボスポラスダータネルス海峡は、沿岸国であるトルコ政府が狭い水路と安全保障上の観点から航空母艦の通峡を禁じており、ロシアの重航空巡洋艦は通峡できますが、逆に米海軍の航空母艦は展開できません。

Iimg_2562 現在は当然ながら本格的な戦闘は生起しておらず、共に有力な戦力を展開させ、牽制し続けている段階ではありますが、偶発的な衝突が発生すれば、最悪の場合第三次世界大戦への導火線に繋が亭るともいえ、その動静には多大な関心を以て見守る必要があるでしょう。

北大路機関:はるな

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平成二十五年度三月期 陸海空自衛隊主要行事実施詳報(2014.03.15・16)

2014-03-14 22:23:00 | 北大路機関 広報

◆自衛隊関連行事

 寝台特急あけぼの最終便発車、寂しい本日ですが、護衛艦あけぼの、は健在、今週末は自衛隊関連行事は行われないようで、艦艇基地一般公開について紹介しましょう。

Miimg_5096
 佐世保基地週末一般公開は15日、16日、ともに一般公開は、護衛艦あきづき、です。あきづき型の一番艦、先週まで2隻だった同型艦は今週からいよいよ4隻となりました、この最新鋭艦ですが来週には最新鋭の護衛艦、すずつき一般公開となってますので、佐世保配備となるようですね。

Img_67_47  舞鶴基地週末一般公開は15日と16日、共に行われますが、桟橋一般公開のみとなってまして甲板の一般公開は行われません。呉基地順子一般公開は16日日曜日のみ、一般公開は訓練支援艦くろべ、が広報担当艦となっています。公開時間などは各地方隊HPをご確認ください。

◆駐屯地祭・基地祭・航空祭

  • 自衛隊関連行事はなし

注意:本情報は私的に情報収集したものであり、北大路機関が実施を保証するものではなく、同時に全行事を網羅したものではない、更に実施や雨天中止情報などについては付記した各基地・駐屯地広報の方に自己責任において確認願いたい。情報には正確を期するが、以上に掲載された情報は天候、及び災害等各種情勢変化により変更される可能性がある。北大路機関

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自衛隊南スーダンPKO派遣、拡大する国連UNMISS任務へ政府が物資提供閣議決定

2014-03-13 23:55:19 | 国際・政治

◆UNMISS任務拡大へテント等を無償提供 

 日経新聞等の報道によれば、政府は南スーダンPKO任務において物資を無償提供することとしました。

Img_0777 政府は南スーダンPKO国連UNMISS活動へ、特に任務拡大により不足するテント等の物資を4700万円分、国連へ提供する閣議決定を行いました。これは国連がUNMISS活動を強化するべく増員した際、活動の展開へ必要な物資が不足しており、日本政府へ提供を求めていたもの。

Mimg_2425  南スーダンPKOは、昨年より情勢悪化が大きく伝えられており、特に北部地域が分離独立をも視野にいれた州規模での反乱が勃発、インド隊等に戦闘に巻き込まれての犠牲者が発生し韓国隊は武装勢力の大部隊に包囲され孤立、自衛隊の弾薬を緊急供与する事態ともなりました。

Img_0481 ソチ五輪開催中、ウクライナでの大規模暴動が大きく報じられ、南スーダン騒乱が拡大していた頃に同じく国家破綻の危機に曝されていた中央アフリカ情勢の緊迫化は外報でも多く伝えられていましたが、南スーダン情勢は沈静化したのか否かについて余り伝えられていません。

Gimg_9378 しかし、停戦交渉が軌道に乗ったという情報ののち、その後の展開は一応停戦の方向で進んでいたようです。PKO部隊が活動を拡大することは、情勢悪化に応じるというもので勿論復興以外に新しい任務が増えている可能性も否定しませんが、国連は活動を強化するもののその範囲を拡大する発表は行っていません。

Img_64_55 もともと、現在のPKO任務は国連憲章七章措置に基づく決議として実施されているため、必要に応じて平和構築から平和執行へ、展開する可能性を有しています。当方が危惧していたのは武器使用の基準が不明確である我が国が、この平和執行、言い換えれば軍事介入への枠組みへ含められることでした。

Img_9911 しかし、戦闘部隊派遣の要請ではなく、テントなどの物資要請であり、このほか、大きな戦闘部隊の重装備展開なども実施されていませんので、前途多難という状況ではないにしても、我が国が想定する最悪の状況へは展開していない、こうしたことが言えるでしょう。

北大路機関:はるな

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マレーシア航空機消息不明事案へ自衛隊派遣 政府がマレーシア国際緊急援助隊派遣命令

2014-03-12 23:55:02 | 防災・災害派遣

◆捜索へ9か国が艦艇42隻・航空機35機派遣

 3月8日、マレーシアクアラルンプールを北京へ向かったマレーシア航空370便のボーイング777が南シナ海洋上にて突如として消息不明となりました。

Img_9566_1p  政府はマレーシア政府からの捜索支援の要請を受け、昨日11日に自衛隊の派遣を決定、本日12日に派遣部隊が日本を続々と離陸しています。この事案は、非常な謎に包まれています。北京に向かったボーイング777は離陸一時間後に航空管制のレーダーより機影が確認できなくなり、緊急事態の宣言も無く、消えたわけです。

Img_7228  現在、マレーシアを中心としてアメリカや中国にヴェトナム等9か国が艦艇42隻と航空機35機を派遣し捜索中で、捜索海域は南シナ海海上を中心に展開していますが、空軍防空レーダーが当該空域近くを飛行する機影のようなものを確認しており、マレー半島を再度横切った可能性もあるとみて、マラッカ海峡方面へも捜索網を広げました。

Timg_3037 自衛隊派遣部隊は、本日マレーシアのクアラルンプールへ現地調整事務所を開設し、防衛大臣命令により自衛艦隊司令官より海上自衛隊国際援助飛行隊としてP-3C哨戒機2機が、航空支援集団司令官より航空自衛隊国際援助飛行隊としてC-130H輸送機3機が、それぞれ派遣と大気を命じられています。

Himg_6809 消息を絶って四日、これだけの期間、事故が発生したと考えられる南シナ海周辺国が不休の捜索を行っているものの、痕跡が発見できないというのは非常に稀有ではあります。旅客機が空中分解すれば破片が広範囲に飛散し洋上で発見されるはずですし、不時着水する状況であれば機長から緊急事態発生の通信を発する余裕があるためです。

Img_4341p ただ、当方の私見ですが、不明機の捜索部隊規模は充分でない、という要素が不明機の発見まで時間を要しているといえるかもしれません。 南シナ海海上の捜索海域は面積にして日本海と同程度、9か国が艦艇42隻と航空機35機を派遣しているわけですが、捜索能力で限界があるのです。

Mimg_7022  自衛隊は100機ものP-3C哨戒機を導入していますが、P-3Cのような高性能哨戒機は小型フリゲイトと同等の取得費用を要します。東南アジア地域でこうした哨戒機を保有しているのはタイ海軍の3機のみ、中国でもSH-5哨戒飛行艇を4機持っているのみ。

Img_1491 このほか、旅客機やビジネス機を流用した海洋観測機であれば、フォッカーF-27をタイ海軍が5機、ポーランド製PZL-M28をヴェトナム海軍が2機とインドネシア海軍が7機、オーストリア製ノーマッドをインドネシア海軍が30機、スイス製ピタラスPC-7をフィリピン海軍が7機、カナダ製CL-215飛行艇をタイ海軍が3機保有するのみ、捜索能力は充分ではありません。

Adimg_7419 自衛隊の派遣部隊は、P-3Cを2機とC-130Hを2機、そしてC-130Hが1機国内で待機します。共に捜索救難に派遣されるとのことですが、機数は限られているものの、捜索機能が高い哨戒機を派遣するわけです。乗客の安否と原因究明に、派遣が開始されましたが、捜索が難航すれば必要に応じ、更に部隊は増勢されることでしょう。

北大路機関:はるな

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