北大路機関

京都防衛フォーラム:榛名研究室/鞍馬事務室(OCNブログ:2005.07.29~/gooブログ:2014.11.24~)

榛名防衛備忘録:四輪駆動機動装甲車と即応予備自衛官② 大学生と兼務の予備役制度

2014-03-04 23:22:07 | 防衛・安全保障

◆基盤的防衛力構成する特務即応予備自衛官部隊

 普通科連隊を二個大隊基幹とし、一個大隊を常備自衛官基幹の動的運用に対応したものとし、もう一個大隊は即応予備自衛官と予備自衛官に充てるという前提で、それならば即応予備自衛官をどう確保するか、という視座に立っています。

Cimg_4934  この問題領域への着眼背景には、奨学金と呼ばれる教育ローンと大学卒業後の返済への苦慮という報道をよく見かける昨今、そもそも給付制奨学金以外のものを教育ローン呼ばず奨学金という呼称を用いているところに若干の疑問符を感じつつ、学費と卒業後の返済のことをある程度考えずに大学生活を送るためには何らかの方法は無いのか、という視点が一つ。

Cimg_0302  更に予備自衛官不足という現状に対応する方策について考えた、以上の二つの視点がのが始まりで、特に東日本大震災において日本通運法に基づく国営企業としての出発点を有する国策企業的会社や在外公館警備対策官へも人員を出向させている企業であっても、全員の召集に応じることが出来なかった状況を踏まえ、何らかの対処はできないか、というもの。

Cimg_2445  その打開策として学生を予備役へ、という思い切った施策を提示したもの。大学生であれば訓練応召の柔軟性は一般企業の会社員よりは無理が聞きますし、災害ボランティアへ赴くよりは即応予備自衛官の方が社会貢献できます。訓練の環境から、即応予備自衛官とは区別し、詳しくは後述しますが訓練期間の関係から特務即応予備自衛官と仮称します。

Cimg_3767  そして、大学入学時には特務即応予備自衛官として任官するわけですが、秋季入学後、春季入学大学生よりも半年遅れて始まるであろう就職活動に際しては即応予備自衛官任期が三年ですので就職時には元即応予備自衛官となるのですから、採用企業は予備自衛官を雇用し訓練日程に配慮する必要も無く、予備役不足と学費への不安に対応できます。

Cimg_2739  特務即応予備自衛官任官への流れは、高校三年の時点で大学入試センター試験と同程度の内容を以て試験を行い、任期制自衛官試験とは別枠で募集します。そういうのも、半年間での予備役編入を前提とした区隊と一任期の任官を前提とした区隊の教育は、共通する部分が多くともその後の対応が違うため、前期教育の三ヶ月間は共通していても後期教育の三ヶ月間は別の部隊で実施しなければなりません。

Cimg_38990  加えて、訓練期間から軽火器区隊以外の選択肢が少なく、前期教育と後期教育での小銃を転換する時間的余裕が無いため、前期教育で64式小銃を使用しているならば後期教育は戦闘職種であっても64式小銃で、前期教育で89式小銃を使用するならば後期教育は後方職種であっても89式小銃で行うべきでしょう。

Cimg_4383  更に奨学金以上の厚遇で学費を国庫から負担する以上、努力が求められ、必要な検定に不合格であり、自衛官体力検定で一定以上の成果を出せない隊員は特務即応予備自衛官に任官させず、大学入学を辞退し任期制自衛官に進むか退職の道を、ということに。特務即応予備自衛官に任官し、併せて大学に進学する。

Cimg_4204  大学在学中の三年間は特務即応予備自衛官とし、本土武力攻撃事態が発生し防衛出動命令が発令された際にはアメリカのROTCのような免除期間はそもそも在学中しか予備役とならないわけですから設定されず、大学へ自動的に休学届を出し、所属する原隊へ出頭せねばなりません。

Cimg_4491  原隊は普通科職種の基盤的防衛力として管区連隊の留守部隊を構成し、基本的には普通科連隊の管区内へ侵攻されない限り、戦闘には参加せず警戒任務に当たる。警戒任務には軽機関銃と無反動砲を搭載した高機動車と重機関銃を搭載した1t半トラック(所謂パジェロ)、を運用する。

Cimg_9631_2  利点として留守部隊が予め設定されているため、常備自衛官基幹の第一大隊は全ての人員を以て展開出来、第一線になくとも予備大隊は増援部隊の中継地点としての支援にもあたる。この行動を以て敵勢力に戦力空白を見せず第二浸透を防ぐ抑止力としての能力が期待できるところ。

Cimg_6201  管区内への侵攻兆候が見られる場合は野戦部隊として陣地構築を行い、対戦車戦闘と対空挺対処を主眼とした戦闘任務を展開する。大規模災害時には管区内の災害であれば防衛大臣命令を以て動員令を発令、現役部隊と共に災害派遣に参加することは考えられるでしょう。

Cimg_7079  もちろん駐屯地を空にして全員出動する、というものでは当然なく、後詰め部隊となる予備自衛官部隊の召集を待ったうえで予備自衛官部隊が警備隊を立ち上げると共に即応予備自衛官部隊も第一線部隊への編入や被災地支援の後方支援部隊への編入が行われる、と想定します。その間、駐屯地業務隊支援を行い、増援部隊の支援に当たることも考えられるというところでしょうか。

Cimg_8089 そうしたうえで防衛出動が長期化した際には即応予備自衛官部隊は自治体の国民保護活動の支援や重要施設警備へ派遣され得る、ただし輸送部隊として常備自衛官部隊や戦闘支援物資を駐屯地から後方へ輸送することがある。と、まあ、任務はこうしたものが考えられます。

Cimg_9631 訓練期間をどう確保するのかというところや現役期間の設定と大学縫う額や学生生活の両立、特務即応予備自衛官退職後の在り方、そもそもこの制度はどの程度の人員確保を検討するのかなど、課題は色々とあるのですが、それら課題については次回以降に改めて検証することとしましょう。

北大路機関:はるな

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コメント (11)
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