◆ノドンは対日攻撃用弾道弾
今朝0200時頃、北朝鮮西岸より日本海に向け弾道ミサイル二発が発射されました。
ミサイルはその射程などからノドンミサイルと推測されますが、特筆すべきはこのミサイル発射を強行した同じ時間帯、オランダのハーグにおいて安倍総理と朴大統領を交えた日米韓首脳の初会談が行われていたまさに開始の時間で、首脳会談に対し圧力を考えたもの、ともいえるもの。
ノドンミサイルは最大射程が1300kmあり、従来のスカッドCまでのミサイル装備体系が韓国領域内を標的としているのに対し、ノドンは東京を含めた日本本土を標的とする弾道弾です。初の実写試験は1993年に実施されましたが、これ以来ノドンミサイルは2006年にも発射実験が行われています。
射程がグアムやアラスカまで到達するテポドンや、米本土を標的とするテポドン2が我が国では大きく取り上げられていますが、射程の面では我が国に対する脅威として、対日用以外の用途が考えにくいノドンの方が脅威と言えるでしょう。
ミサイル発射は今朝0235時と0242時に各1発の合計2発で、黄海沿岸西海岸より発射し、日本海側まで650kmを飛翔し着弾しています。なお、発射位置がミサイル実験施設や基地施設を有しない地域よりの発射であったため、移動発射装置からの運用とみられています。
北朝鮮は2006年の弾道ミサイル実験を契機として国際連合安全保障理事会決議1695号によりミサイル事件を含むロケット開発の実施が禁止されることとなり、この姿勢は日朝平壌宣言においても日朝間の合意として定められており、今回のノドンミサイル実験は国際連合安全保障理事会決議1695号に反するもの。
その後、2009年と2012年4月及び2012年12月に北朝鮮は国際連合安全保障理事会決議1695号に反する形でロケットと称してミサイル実験を強行しています。この際に宇宙条約に基づく宇宙開発の権利が安保理決議に優先するという非常に意味不明な論理を振りかざしてきました。
今回の実験は、過去の弾道ミサイル実験に際しての自らの言い分、宇宙開発の一端であれば安保理決議を無視できるという自らの苦し言い分を、北朝鮮は自ら純粋な弾道ミサイル実験を行うことにより反故にした、こうした見方が出来るかもしれません。
あわせて、北朝鮮は今回のミサイル発射に際し、民間航空機や船舶に対する警戒海域の設定を行わず発射を突如強行しています。万一第三国の船舶や航空機へ被害が生じれば、武力攻撃となる事案でもあり、これは看過できるものではありません。
政府は今回の事案を受け、安倍総理は首相官邸危機管理センターを中心とした情報収集と被害有無を確認すると共に関係各省庁との局長級会議の実施を通じ、最大限の対応を明示しています。被害は確認されていませんが、菅官房長官は厳重抗議するとともに、小野寺防衛大臣によれば注視すべき事案として、自衛隊は情報収集と警戒態勢を強化していることを示唆しました。
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