イキイキと生きる!

縄文小説家・森裕行のブログです。身近な縄文を楽しみ生き甲斐としています。「生き甲斐の心理学」の講師もしています!

苦手な人にラポールをつける (苦手な人との付き合い方 5/10)

2017-11-17 | 第四章「愛とゆるし」

 こちらも嫌だな、相手も自分を嫌だなと思う関係の中では、心理的接触(ラポール)は生まれないことは確かです。普通であったらこんな状況では冷たい関係だけです。しかし、それができてしまう奇跡がこの世にはあるようです。

 先日、某所で釜ヶ崎を舞台にしたドキュメンタリー映画「さとにきたらええやん」を見る機会がありました。その中の一つの名場面は、地域の子供と冬の路上での路上生活者の対話でした。おやじ狩りといった言葉があり、殺される路上生活者がいる一方、こうした心理的接触もあるんだと、絶句してしまいました。

 考えてみれば、自分の生育史のなかにも、奇跡的な心理的接触がありました。それは7歳の時(戦後すぐのころ)にアラスカに行って現地の小学校に入った時のことです。今とは違って、当時はソフトランディングをするための英語の準備や受け入れ方法などもまったくなく。突然英語が全く分からない私が、英語しかできない女の先生の前に立たされたのです。私にとっては絶望的な状況でしたが、その女の先生は奇跡的に私をクラスに引き入れてくれたのです。その先生の言動は忘れがたい思い出です。

 心理的接触は、心理学の大きなテーマの一つだそうです。U先生によればオックスフォード大学では聖書のサマリアの女にイエスが如何に心理的接触を果たし、自己実現の道を示したかを多くの学徒が研究していたそうです。ドストエフスキーの「罪と罰」も、そういった話題を考えるための貴重な名作のようです(まだ、完読していないのですが)。

 相手に関心を向け、そして相手の心の琴線に触れる話題を持ちかける。それは、正に真剣勝負なのでしょう。映画「さとにきたらええやん」を見た時、最近の自分に大いに反省させられました。

苦手な人との付き合い方 5/10

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自己イメージという強敵の背後に・・・(苦手な人との付き合い方 4/10)

2017-11-16 | 第四章「愛とゆるし」

 人生の難問に出会った時に悩む。こんな経験は私も含めて多いと思う。U先生の「生き甲斐の心理学」では、そんな時の回答は自分の中にあるはずだが、それを自己概念が邪魔して見えにくくしているという。それ故に悩む。

 お風呂に入っていたとき、ぼんやりと散歩をしていた時、何かの拍子にふとそれが解けたりするのも、この自己イメージと深い関係があると思う。

 私の経験の一つに、「車の運転に特別な緊張」を覚えるという問題があった。これは、小学校1年の時に友達が目の前で交通事故に遭い、その後亡くなるという、世の中で良くいわれるトラウマ(言葉は暴走するので、普段は私は使わない言葉だが)の問題だった。

 これは、何回もブログに書いたことだが、小学校の頃は「いい子」という自己イメージが邪魔して、そのいじめっ子でもあった友達から解放され安堵した自分をゆるせなかったのだろう。その後、大人になって、自己イメージが変わって「必ずしもいい子でない私」というイメージに変わったが、それでも真実は見えなかったようだ。それが、カトリックの信仰を深めることで「必ずしもいい子でない私を愛する神がいる、人の身体は神の神殿なのだろう」というイメージにかわることで、安堵することに納得したのだと思う。

 今では、車の運転に全く抵抗がなくなった私だが、ここでは、持統天皇のことに想いを馳せてみる。

 昨日の問題であるが、35歳の大病に落ちた持統天皇に対し、誰がどのような治療を行ったのだろうか。それはよくわからない。

 ただ、それからの持統天皇の政治手法は、明らかに何かが変わってきているように思えてならない。草壁皇子の強敵で政治に影響力のあった大津皇子を天武天皇が崩御するとすぐに排除する。さらに、天智天皇の側近の鎌足の息子、藤原不比等を政治のパートナーとして律令政治をすすめていく。何か明るく開き直ったようにさえ思えてならない。藤原京の真南に天武・持統天皇陵があるのは有名であるが、もう一つ山科の天智天皇陵(実父)が真北にある。これは持統天皇が父をゆるし、そして自らの血統を受容したしるしかもしれない。

 苦手な人を一挙に癒してしまうのは、今回のテーマと少しずれる。通常は、苦手な人の古傷に触れぬように、あるいは相手の機嫌がよいときに・・・といった状況を考えるというで十分かもしれない。それから、相手がどのような自己イメージを持っているかを思索するのは、大事なことかもしれない。

 

苦手な人との付き合い方 4/10

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苦手な人に関心を持つと、何となく謙虚になっていく(苦手な人との付き合い方 3/10)

2017-11-15 | 第四章「愛とゆるし」

 日常の中では、おもわず簡単に人を批判したりしてしまうが(自戒を込めて)、U先生の「生き甲斐の心理学」を学び、例えば人の性格がどのように形成されるかを学んでいくと、とんでもないなと思うようになってくる。

 この銀河系宇宙の歴史137億年、生命の歴史、現世人類の歴史、祖先の系譜、どんな時代にどんな文化の中で生まれたか。幼年時代、青年時代、成年時代、・・・自分の生育史も壮大だが、これは他者でも同じなのだ。しかも、他者は神秘的なほど自分とは違っていたりする。しかし、よく知ると、それなりの納得できる理由があるものだ。

 さて、私は「生き甲斐の心理学」の勉強を深めるために女帝・持統天皇の研究をしてきた。西暦645年に生まれて702年に崩御されるまでの人生を楽しみながら学んでいる。漫画、小説、歴史書、万葉集・・・。

 ところで、元気そうな女帝だが、人生の中で680年の35歳の時に病気になられたようだ。夫の天武天皇は、そのため薬師寺を創建されることを決定し、100人のお坊さんを得度させた。当然ながら、女帝へは当時の最高の治療が行われたと思う。しかし、どんな病気だったか、治療方法などの内容は全く記されていない。

 ただ、想像するに、この時期は天武天皇の後継の問題が浮上していて、持統天皇の実子・草壁皇子や自らの立ち位置をどうするかなど未曾有の難問が振りかかっていた時期と重なる。また35歳というのはエリクソンの人格形成論からいうと世話の時代に突入する年齢。そんな時に大病となり、天武天皇から指名された治療者はどのように対処したのだろうか。同時代のお坊さんの道昭さんとか役小角さんに白羽の矢が当たったかもしれない。

 治療者にとって、持統天皇は大きなプレッシャーだったろう。大きな責任ゆえに、このブログの苦手な人以上のストレス?を感じたかもしれない。身体の治療が中心だったのか、メンタルの治療が中心だったかは分からないが、まず治療者は持統天皇について大きな関心を持ち試行錯誤をしたに違いない。

 女帝は後継者争いもあるが、夫の自分以外の9人の妻(歴史書から辿れるかぎり)にも神経を尖らせていたと思う。壬申の乱の時は同じ目標を持つ天武天皇と蜜月の時を得てたかもしれないが、その時点では孤独の蔭が濃かったのではないかと思う。そんな状態なので、治療者は不機嫌そのものの女帝に閉口していた可能性が高いだろう。

 とは言っても、後には引けず、どこかで腹をくくっただろう。

 関心をもち、女帝の生育史をいろいろ確認したかもしれない。もちろん身体や信仰の話もあった可能性もあろう。ここでは、生育史に絞ってみよう。女帝の生育史のあらましは、以下のとおり。

 誕生のころは、父が大化の改新で乱の首謀者であり、胎教はどうだったか。5歳のころには祖父の石川麻呂が孝徳天皇に反逆した罪で死去。その祖父の死を見殺しにしたのか、あるいは実際に首謀した父への信頼を失った母の狂乱と死。9歳のころには育った河内、難波京を離れ飛鳥に父と一緒に引越し。13歳のときに姉と一緒に伯父の天武天皇(当時は大海人皇子)と政略結婚。その後14歳の時に、孝徳天皇の子であり従兄弟だった有馬皇子が父中大兄により謀殺。さらに障がいを持っていた弟の健皇子の死。17歳の時には、大陸の唐との戦いで祖母の斉明天皇、父中大兄と共に九州に従軍として敗戦(白村江で壊滅)。18歳の時に草壁皇子出産。21歳の時に唐使来朝し、23歳のときに唐敗戦処理の一環か大津京遷都で飛鳥を後にする。姉・大田皇女死す。24歳の時に、隋に勝った強国・高句麗が唐に負けて滅ぶ(渤海で再興)。26歳の時に唐・新羅戦争勃発。翌年、夫・天武天皇と共に吉野へ。この年父天智天皇は激動の生涯を閉じる。28歳の時に壬申の乱で夫と共に従兄弟の大友皇子を倒し、29歳で皇后となる。天武天皇と共に政治をすることになる。32歳の時に唐が朝鮮半島から撤退。34歳のときに6皇子と共に吉野盟約。

 当然ながら、1400年前のことであるので、治療者はこれ以上の膨大な生育史にまつわることを聞かれたかもしれない。そして、深く思いを巡らせただろう。

 私もそうだが、どんな人でも、関心をもち深く知れば知るほど、自分の中の何かが変わり始めていく。

 (写真は、持統天皇が遷都した藤原京跡、後ろに天の香久山)

苦手な人との付き合い方 3/10

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相手のことに関心を持つ?(苦手な人との付き合い方2/10)

2017-11-14 | 第一章「意識と知覚」

 この写真は遠方から噴水を背景にバラを望遠で撮ろうとしたものだが、シャッターを押す瞬間に人が通りがかり、また、あとで注意して見てみると昆虫が一匹飛んでいるのが写っていた。

 関心を持っていたバラと、関心が無かった人と昆虫が同居する形にあいなった。

 今は、こんな文章を書いているので、関心を持っているバラと通りがかりの人と昆虫の出会いの、記念写真といたら良いかもしれない。

 さて、日本で有名なマザーテレサが、「愛の反対は憎悪ではなく、無関心である」というようなことを言ったことがある。これは別の表現とすると「愛とは関心」ということかもしれない。

 苦手な人と付き合う。普通は「好きで怖くない」といった人と付き合いたいのが人情だが、そういうことではないので、わけがあってのことなのだろう。

 そして、そこには何らかの意思が働いているようだ。人には愛そのものの何かが存在する。そんな人間観をもって自発的に意志を働かせている人もいるだろう。自分が選んだ職業や立場から、まあ仕方がないけどと意志を働かせている人もいるだろう。時には、この写真のように自分の意志とは無関係に、不思議な意志?が働いていることもあろう。

 まあ、どういう経過があったかは別にして、関心を持ってしまう。それが不思議で大事なことのようだ。では、苦手な人とどう付き合うか。何が何でも良い方向に向かいたい。できる範囲でうまくできれば・・・。いろいろあると思うが、二人の関係に希望を微かかもしれないが、もっているようだ。

 何か苦手な相手に対し行動しようと思う。しかし、現実は厳しい。どこから手を付けたらよいか茫然としてしまう。

 ただ、関心を持っていると、次第にいろいろなことが分かってくるものである。鬼の居ない間に洗濯・・居ないときとはいつか?機嫌がいい時悪い時、相手の生き甲斐、身体の問題、生育史の問題などが分かってくる。より理解を深めていく。その中で、不安定な相手(こちらが苦手な人なので、相手もそれだけで不安定になる)とは言え、より安定的な状況で話し合える場をイメージできるようになってくる。

苦手な人との付き合い方 2/10

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人間関係で悩んだ時、人間観を見直すことはとても大事!(苦手な人との付き合い方 1/10)

2017-11-10 | 第四章「愛とゆるし」

 小学校に入って間もなくのころだった。新しい運動ぐつを母が用意してくれ、学校に登校するため玄関でくつをはこうとした時に、急に白い新しいくつが目についた。新しいくつを友達がからかうと言って母を困らせ、父に叱られて泣いた。さらに鏡を見て、涙が出て友達が笑うといって泣いた。結局は両親に笑われ、励まされたりして、学校に向かった記憶がある。

 その時、私はやや人間恐怖症、人間嫌いであったのだろう。

 そんな私であるが、どういうわけか人間関係の職務を選ぶようになっていく。就職先も営業やマーケティング、そして50歳を過ぎてから福祉関係や「生き甲斐の心理学」の教育事業などである。そういう仕事でやってこられたのは、生育史上の温かい人間関係がベースにあったのだと思うが、最近は哲学的な自分の「人間観」が大事なのかなと思っている。特に、ブレないためにも。

 それは、U先生の「生き甲斐の心理学」の影響と私の信仰からだと思う。

 日々私達が出会う人たちは様々だ。そして、当然ながら様々な感情が湧きおこる。

 基本的な感情として、怖い・怖くない、好き・嫌いがあるという。どんな感情にもこの二つの要素が含まれているという説だ。そして、日々の生活では好き・怖くないという人もいるが、怖い・嫌いといった人もいる。そして、なんらかのしがらみで、そんな人と付き合わざるを得ないときがある。そんな時にどうするか?

 いろいろな切り口があるが、まずは人間観を確かめる為の自問自答があると思う。心理カウンセラーや心理療法理論の世界でも、性善説的な理論、性悪説的な理論、白紙説の理論・・・いろいろあるが。私の学ぶU先生の「生き甲斐の心理学」は、「人の身体は神の神殿」といった聖パウロの思想があり、あきらかに性善説である。

 どんな酷い状態の人でも(当然怖い・嫌いの感情から始まるだろう)、いたわりの心を持ちブレず応対するためには、性善説的な思想があったほうが良いに決まっている。もちろん、その他の理論でもいたわりの心をもつことはできるかもしれない。しかし、それも良く考えると、数万年の歴史をもつ育てられた文化(当然宗教を含む)の影響からいたわりの心が生まれるという面を忘れてはならないと思う。

 愚かな自分でも他者(神仏をふくむ)から愛しまれるのだから、目の前の他者を愛しむ努力をしようと思う。もちろん感情的には、怖い・嫌いが先行するかもしれない。しかし、その感情の意味は、それを乗り越え如何に、怖くない・好きに変換するかという課題を投げかけられていると考えたらどうだろう。性善説の人間観はベクトルの方向を示してくれる。

苦手な人との付き合い方 1/10

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