子どものブログを見たら、松本眞さんが統計と乱数の研究会で話をするとあった。それで松本さんのホームページを見たのだが、なかなかしっかりした人のようである。
少なくともいまの世の中の風潮としての社会に役立つ学問とかいうような主張に危惧を感じているのは全く正しいと思う。
松本さんは世に知られたMersenne Twistorといわれる周期のきわめて長い擬似乱数を作った人だが、計算機科学科出身の数学者である。
世の中の役に立つと思われるそのような優れた擬似乱数発生法を考案した人から社会のニーズに即した研究という社会の風潮を危惧する発言を聞くとき、社会に押しつぶされるだけではない、種がまだ残っていることにほんの少しばかり安堵感を覚える。
もう一つ松本さんが危惧している、「数学のギルド化」も本当は心配である。私の友人で同僚でもあったHさんは皮肉を込めて「数学産業」といわれる。私も数学にアクセスしやすいようにと工学部で物理数学のテキストを書いたが、一部の数学の先生には不評であったように感じた。
Hさんのいう「数学産業」とはある意味で「数学ギルド」のことであって、私のような数学の落ちこぼれが何か数学めいたことを書くとその神聖な領域を侵されたとでも感じるのであろうか。
これは私の僻みかもしれないので、本当のところはそんなことはないのかもしれないが、どうもそんな被害妄想から抜けきれない。