先日、朝日新聞に去る6月に亡くなった小川岩雄さんの追悼記事が出ていた。彼は湯川さんの甥でパグウッシュ会議に尽力した人である。
いつだったか広島大学で彼の講演を聞いたことがある。しかし、私の思い出はそのことではない。高校を卒業して大学に入ったときに、物理学の参考書だったか、演習書だったかで彼とあと一人か二人の人が書いたものを購入した。もっともその本は友人に貸して2度と私の手元には帰ってこなかったが。
その中に「力は接触力と遠隔力に分けられる」とあった。そういう記述は他のテキストで見たことがない。大分後になって材料工学で表面力と物体力とに力が分けられると出ていることを知ったが、それが接触力と遠隔力に対応している。。
もちろん、ことは力をその二つに分類することでは終わらないが、そういう認識がはっきりとあった方が絶対にいいと思う。
たくさんの物理のテキストを見てきたはずだが、そういうことがはっきりと書かれているものにはまだお目にかかっていない。なぜ、そういう簡単なことをきちんと明言する人が少ないのだろうか。
数学教育でも物理の教育でも、教育は研究と違って多くの人に関係することである。だから、できるだけわかりやすいように工夫を常にする必要がある。