遠山啓、矢野健太郎編の「数学ティータイム」をインターネットで購入して読んだ。
その中の和達清夫さんのエッセイに中学校の先生、宮本久太郎先生の話が出ている。
宮本先生は「比とは割ることと同じです」と教えられた。また比とは比の値のことをいうので、ことさらに比の値とはいわないと教えられたという。小さい事柄かもしれないが、卓見であろう。
a:bという記号はヨーロッパでは日本での分数のb分のa、すなわち、a/bの意味で使われているというから、この宮本先生のいうところは正しいと思える。
だが、日本の小学校ではa:b:cというように連比で使われたりするので、これはどう考えたらいいのだろうか。
a:b:c=d:e:fという比例式なら、これは a/d=b/e=c/f という風に書き換えることが出来て、私自身はこの表現を好む。これは高校で化学を学んだときに知った表現である。
また、a:b=d:eという比例式のとき、その外項の積は内項の積に等しいというのはなぜだか理由が分からないが、これをa/b=d/eまたはa/d=b/eと表現すれば、この比例式のルールは等式の性質から来ていることがわかる。
個人的な思い出で申し訳ないが、亡くなった長兄、Y.T.は長らく中学校の理科の教師であった。
彼も比例式における「外項の積は内項の積に等しい」というルールは理由が分からないから、比例式を分数式で表したほうがよいという意見であった。この意見には私もいつも賛同していたものだ。