先日、『物理数学入門』I がベクトル解析の書として良書だと述べた。その評価は基本的には変わらないのだが、ベクトルの面積分の箇所はなかなかこれをチェックするのは難しい。他書を参照しなくてはフォローできない。
ここはちょっと飛ばして直交曲線座標系の箇所を先に読むしかないだろう。
私が始めから終わりまで初めて読んだという村上雅人『なるほどベクトル解析』(海鳴社)だが、少なくともストークスの定理やグリーンの定理のところはタネ本だと思われる書がわかった。
これはSpiegel『ベクトル解析』(オーム社)であるらしいことがわかった。もっとも村上さんは訳書ではなくて元のマグロウヒルの原書に拠ったのだろう。
だからといって、『なるほどベクトル解析』がつまらないとかいうつもりはない。だれでもするする読めるベクトル解析の書であることはまちがいがない。
どうしてそういう判断をしたのかというと、積分定理の確かめる例題がSpiegelの書とほとんど同じだからである。もちろん「ほとんど同じ」であって「全く同じではない」。
Spiegelの書で示唆を得たところはストークスの定理やガウスの定理を積分の平均値の定理を使う導出である。その導出自身は前からあることを知っていたのだが、それが積分の平均値の定理を使う導出であるという事実を知らなかった。