もういつのETVの放送だったかわからないが、TEDカンファランスで上記のタイトルの講演があった。
要するに、もし人を助けたいと本当に思うなら、助けをほしがっている人がしたいことを黙って聞けという。
これはアフリカとか他の国の人々を助けることに業績をあげている、あるイタリア人の人の話であった。
若いときに7年ほどどこかアフリカの国に出かけてそこの人々に農業を教えようとした。まるまると大きい立派なトマトができたという。
ところがその収穫をする前にカバの大群がやって来て、そのトマトを食べてしまった。土地の人に「なぜ教えなかった?」と聞いたら、「聞かれなかったから」と返事があったという。だから、土地の人が農業をしないのには訳があるとわかった。
そういう失敗続きの7年後には、酒場でだれかと一緒に飲んでいるときにその人の悩みを聞き、どこかで個人的に出会ったときに、相手の言うことをよく聞き、相手のしたいことを助けるというやり方をとったという。
ほんとに何かをしたいと思っている人は集会に来て、こんなことをやりたいとは絶対に言わないという。だってそれが本当にいいことだったら、他の人にそれをやられてしまうから。
経済学者のシューマッハーの書で読んでそれから援助のヒントを得たのだという。それは文句は忘れたが、相手の欲していることでないと意味がないとか、役立たないというような文句であったと思う。
もっとも現状から抜け出したいと思っている人はどこにも必ずいるのだという。そしてその人の言うことに耳を傾け、その人のやりたいことの助けになるような人を紹介したり、仲介したりしていくうちに大きな仕事ができあがっていくのだという。
伊藤穣一さんはこの講演の後のsuperviewでこういうのが最近のdesignerだと言っていた。
私たちはデザイナーというとファッションモードの新モードをつくる人というイメージしかなかったが、そういうイメージは間違ってはいないまでも狭い意味だという。
伊藤穣一さんによれば、designは
1) user-centric design (ユーザー中心型デザイン)
2) paticipating design (参加型デザイン)
3) co-deisgn (共用デザイン)
の3種類があるのだという。
これは援助のあり方としても新しいが、これをサービス産業とか企業でも使えるのではなかろうか。
商売とか技術の現場に行ってすぐに自分の会社の利益に直結しないことでも話を聞いているうちに相手の希望とか、やりたいことを援助できて、それがその相手の利潤につながり、かつ、それがまわり回って自分の会社の利潤にもつながるということがあれば、そういうつながりは長い、いい関係になる。
もっともそういう関係をよしとするような経営者がいまどきいるのかどうか。すぐに利益が上がらないとすぐにその部署をなくしてしまうことを考える経営者でないことを望む。
それがどうしようもない部門なのか現在は利益があがってはいないが、独特の取り組みをしている部門で将来性がおおいにあるのかを見抜く力が経営者には必要であろう。
要するに現在の数字としての会社の利益だけを見るのではない度量があるのかどうか。
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