10月3日の朝日新聞に大学受験ラジオ講座(旺文社、日本文化放送等で放送)のことが記事となって載った。
これは多分前日の東京証券所の取引ができなかったので、都会では9月2日の夕刊に載った記事が急遽掲載されたらしい。
記事を書いた記者は51歳で、私の子どもと同じくらいの年齢の方である。
それで私などは知らない講師がたくさんでていた。もちろん、英語のJ. B. ハリスさんとか物理の竹内 均先生とかはもちろん存じ上げているが。
私が大学受験ラジオ講座を聞いたのは1957年のことで、このとき高校3年生であった。前年の1956年にも部分的に聞いたかもしれないが、それほど集中的には聞いてはいない。
講師の先生方を書いておこう。
英語では英文法の担当されていて有名だったのはなんと言っても野原三郎先生(元明治大学)だろう。独特の口調で覚える英単語の意味は独自のものであった。
英文解釈の方の先生は覚えていないが、英作文の先生として独自な教え方だったのは海江田 進先生(元東京外国語大学)であった。日本語の意味をくだいてとり、訳しやすい日本語にするということ知ったのは海江田先生のおかげである。
そういうことを教えてくれた先生はそれまでには私の知る限りいなかった。私は予備校には行ったことがないのだが、その後どこかの予備校(たぶん代々木ゼミナール)で英語を教えていた作家の小田実さんの教授法がそういう風であったらしい。
一番影響を受けたのは数学の戸田 清先生(元広島大学)と田島一郎先生(元慶応大学)である。この二人ともわかりやすく数学を教えておられた。特に私は高校の数学ではおちこぼれであったので、それから救われたのはこれらの先生のおかげでもある。
後になって、田島一郎先生は「考え方研究社」の藤森良夫先生の親戚であるらしいことも知った。藤森良夫先生はその後「考え方研究社」をたたまれて東洋大学の数学の先生となられたとか伺っている。だから考え方研究社の学習参考書をもっているのは私の世代くらいでおしまいであろうか。
国語の先生は古文を教えておられた塩田良平先生(確かではないが、二松学舎大学)であろう。この先生はいわゆる受験勉強ではなく、文学としての源氏物語の面白さみたいなことの一端をみせてもらった。だから私はこの塩田先生の時間は好きだった。これは受験には役立たないかもしれないけれども。
もう一人の国語の先生には小西甚一先生(元東京教育大学、現在の筑波大学)がいる。この先生は古文の文法とかドイツ語の発音の初歩を教わった。この先生の『日本文学史』(講談社学術文庫)を最近になって買ってもっているが、まだ詳しく読んだことがない。
大学受験ラジオ講座は。1953年に始まって、1995年に終わったと新聞に出ていたので、やっと歴史の一端を知ることができた。私は1957年に聞いたので、まだはじまって数年目であったことがわかった。
当時はラジオの雑音もひどく、音声が聞こえなくなることもしばしばだった。
(2024.12.17付記)私の家庭には予備校に行くだけの経済的な余裕などなかったので、これらの先生から私の学校では聞けないことを少しでも聞く機会があったから、幸せに感じた。
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