前学術会議会長の感懐と題したのは、2015年ノーベル賞物理学賞の受賞者である、梶田隆章さんのインタビューが朝日新聞に載っていたからである。
普通なら学問社会にとって、絶望的な政府の現在のあり方をそれでも絶望しないでわずかな希望を抱いているという、それこそ「科学者の手本みたいな方であるな」と感心している。
私が一人感心しても、現実の世の中のありさまの実態は私の感じているよりも厳しいものであだろうことは想像に難くない。
それでも絶望するとは決して言わないのは見上げたものである。心の底では現在の政府とか自民党のあり方には絶望しているのかもしれないが、そういうことは絶対に言わない。こういう科学者が残っていることに日本の将来に一縷の希望を感じてしまうのだ。
それくらい日本の社会は科学とか工学にとっても厳しい。いや、社会科学とか人文科学にとってはもっと厳しいだろう。
こんな自分たちが科学(もちろん、ここでは科学を自然科学にしぼってはいない)を研究するのが難しい時代はなかろう。だが、科学者のみなさん、希望を失わないでほしい。現実はお先真っ暗で希望を失いそうだが。
梶田さんの写真の横に梶田さんの言葉が載っていた。
「ニュートリノの研究をしたのは、当時の自分の研究に『邪魔』だったから。『邪魔』なものって大事なんです」
とあった。
学術会議は政府にとって邪魔なものかもしれませんが、邪魔なものって国にとってとても大事なものなんですよ
と言いたかったのかもしれないが、このノーベル賞受賞者はそういう、一見して、はしたない言葉は飲み込まれて言われてはいない。見識のある方である。
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