ここ数日は三角関数の加法定理をどう導入するかについて考えていた。平面上でのベクトルの回転から加法定理を導入したいと考えて武藤徹先生のテクストなどを見ていた。
もっとも、これはどうも「鶏が先か、卵が先か」といった様相を帯びている。加法定理を使わないで、平面上のベクトルの回転の説明することができるか。
武藤先生は平面上の直交座標系上の単位ベクトル(1,0)と(0.1)とが反時計方向に角度 \theta だけ回転するとそれぞれ
(\cos \theta, \sin \theta)と(-\sin \theta, \cos \thteta)となるので、これを列ベクトル式に表すことから、よく知られた回転行列を導出している。すなわち、
\cos \theta -\sin \theta
\sin \theta \cos \theta
である。ただ、その論理がまだ十分に了解できていない。
他の本を参照すべきだろうか。
すでに三角関数の加法定理の導出法については『数学散歩』(国土社)でいろいろ述べている。しかし、このときにはいろいろな知識を前提としていたので、少数の前提から加法定理を導出するという、教育で普通の行われる過程を行ってはいなかった。
しかし、高校時代に学んだような、図形からの加法定理の導入をしたくないのだ。
オイラーの公式から加法定理を導入するということも考えられるが、そのときにはオイラーの公式の導出にはマクローリン展開をする必要があるので、三角関数の微分を導入する必要がある。
それはそれでいいのだが、そんなことをしないで三角関数の加法定理を導けないかと考えている。
(2021.9.28付記) 『数学散歩』(国土社)に書いていた三角関数の加法定理の導出法を改訂した記事を「数学・物理通信」11巻6号に書いた。もっともここでは幾何学的証明は省略した。これは暗に三角関数の加法定理の導出の続編を書くつもりがあるからである。
武藤先生の三角関数の加法定理の導出法を突き詰めて考えたつもりである。それに三省堂の高校数学のテキストにある導出も突き詰めて考えたつもりである。
※コメント投稿者のブログIDはブログ作成者のみに通知されます