現在考えられる中では、CO2を排出せずに最も利用可能なクリーンエネルギーである水素の実用化が意外にも(と思っていたのは私だけかもしれないが)近くまで来ているとを実感させてくれるシンポジウムだった。
11月20日(木)午後、国交省北海道開発局と北海道が主催して、ロイトン札幌において「北海道のおける水素社会の実現に向けて」と題するシンポジウムが開催され参加した。
シンポジウムは、研究者、行政、メーカーの方々がそれぞれの立場から水素社会の到来間近しといった感の講演、及び報告があった。全体で3時間30分に及ぶシンポジウムはかなりボリュームもあり、専門的な内容も多いものだった。
私がその全てを理解できたわけではないが、私の理解できた範囲内でのレポートを試みてみたい。
まず、岩谷産業の谷氏が水素エネルギーの利点をコンパクトにまとめたものを提示してくれた。それによると、
◇水素 = クリーンエネルギー
◇水素 = CO2フリー
◇水素 = 安全
◇水素 = 水から生まれ水に還る
◇水素 = 貯蔵可能なエネルギー
◇水素 = 輸送可能なエネルギー
と提示してくれた。
このまとめにそって、私の理解を述べてみることにする。
まず、クリーンなエネルギーということだが、この点については既に大方の理解を得ているとおり、水素エネルギーを燃焼させても排出されるのは水だけというきれいなエネルギーということだ。
CO2フリーについては、今のところ水素の製造過程で電力を必要としているため、完全にCO2の排出をゼロとするわけではない。ただし、この電力を再生可能エネルギーで賄うことができるようになれば文字どおりのCO2フリーなエネルギーとなり得るということだ。
次の「安全」については、私が今回のシンポでは理解できなかった点である。
というのも、水素は脆化(もろくなること)しやすいため、水素の貯蔵、取り扱いは化石燃料よりははるかにインフラ整備に費用がかかるということである。
この点については、あるいは気体の水素がもし漏れたとしても空気中では酸素と結びつき水になるだけ、という点で安全としたのだろうか?
4点目はすでに触れているので省略するとして、5点目、6点目については、水素は気体・液体・固体とあらゆる形での製造が可能なため、貯蔵・輸送がしやすいエネルギーだということである。
こうした有為なエネルギーを利用した乗用車「MIRAI」が今月中にトヨタから市販されることが発表されたのはつい先日のことである。ホンダも間もなく、ニッサンも続いていると聞いた。
トヨタの開発責任者である三谷氏は水素自動車の開発では、間違いなく日本がトップを独走しているという。
水素エネルギーの利用はもちろん自動車業界だけに止まらない。
あらゆる分野での利活用のための研究開発が産・官・学それぞれで進められているようである。
ここで私の目を惹いたのが室蘭市長の青山剛氏の講演である。青山氏は夕張市長の鈴木直道氏とともに青年市長として一躍有名なった方である。
室蘭工大出身の理系らしい緻密な論理構成と情熱がほとばしるような講演は、「室蘭から北海道水素社会を創る」という気概に満ちたものだった。
事実、室蘭市は2005年にいち早く「室蘭水素コミュニティ懇話会」を起ち上げ、来るべき水素社会へ向けての取り組みを開始しているのだ。すでに再生可能エネルギー由来水素の利活用の実証実験を開始しているという。
何かにつけて中央から後れをとる北海道だが、それを克服すべく、移動式水素ステーション、続いて定置式水素ステーションを設置をいち早く進め、モノづくりのDNAを受け継ぐ室蘭市が北海道の水素社会実現ためにリーダシップを取っていきたいと力強く語った。
まだまだ多くの研究者、メーカー、行政の方々が語ったのだが、私の理解を超えている部分もあった。ただ、特にメーカーの研究速度は目覚ましく、水素社会の実現がかなり近くまで来ていることを実感させられるシンポジウムであったことは間違いない。
余話を一つ…。私の前にいた高齢の方が「北海道は情報が遅すぎる!」と云いながら途中で席を立っていった。そういう面は確かに否めない点かもしれないが、彼は講演中に居眠りをして大して聞いていなかったように見えた。あるいは照れ隠しのために後の席の我々にそんな呟きを残して席を去ったのかもしれない…。
《追記》
今朝(11/22)のNHK総合TVのニュースの特集で、水素由来の燃料電池自動車 MIRAI について放送していた。すると、その中で私が「安全」について記したことの認識が間違っていたこと気付いた。私は水素(気体)が漏れたとしても酸素と結びつき水になるだけとしたが、水素が酸素と結びつくこと自体が大変危険なことに気付いた。そのため、燃料自動車の開発にあたっての大きな課題の一つが液体化した水素がけっして漏れないようなタンクを製造することだった、とニュースは伝えていた。
このことは、インフラ整備においても水素ステーションの設置が、ガソリンスタンドとは比べものにならないくらいの設備費を必要とすることに繋がるのかもしれない。そこが水素社会到来に当たっての一つの課題のような気がする。
ところでそうすると、岩谷産業の谷氏が「水素は安全」と指摘した意味が分からなくなってきた。
11月20日(木)午後、国交省北海道開発局と北海道が主催して、ロイトン札幌において「北海道のおける水素社会の実現に向けて」と題するシンポジウムが開催され参加した。
シンポジウムは、研究者、行政、メーカーの方々がそれぞれの立場から水素社会の到来間近しといった感の講演、及び報告があった。全体で3時間30分に及ぶシンポジウムはかなりボリュームもあり、専門的な内容も多いものだった。
私がその全てを理解できたわけではないが、私の理解できた範囲内でのレポートを試みてみたい。
まず、岩谷産業の谷氏が水素エネルギーの利点をコンパクトにまとめたものを提示してくれた。それによると、
◇水素 = クリーンエネルギー
◇水素 = CO2フリー
◇水素 = 安全
◇水素 = 水から生まれ水に還る
◇水素 = 貯蔵可能なエネルギー
◇水素 = 輸送可能なエネルギー
と提示してくれた。
このまとめにそって、私の理解を述べてみることにする。
まず、クリーンなエネルギーということだが、この点については既に大方の理解を得ているとおり、水素エネルギーを燃焼させても排出されるのは水だけというきれいなエネルギーということだ。
CO2フリーについては、今のところ水素の製造過程で電力を必要としているため、完全にCO2の排出をゼロとするわけではない。ただし、この電力を再生可能エネルギーで賄うことができるようになれば文字どおりのCO2フリーなエネルギーとなり得るということだ。
次の「安全」については、私が今回のシンポでは理解できなかった点である。
というのも、水素は脆化(もろくなること)しやすいため、水素の貯蔵、取り扱いは化石燃料よりははるかにインフラ整備に費用がかかるということである。
この点については、あるいは気体の水素がもし漏れたとしても空気中では酸素と結びつき水になるだけ、という点で安全としたのだろうか?
4点目はすでに触れているので省略するとして、5点目、6点目については、水素は気体・液体・固体とあらゆる形での製造が可能なため、貯蔵・輸送がしやすいエネルギーだということである。
こうした有為なエネルギーを利用した乗用車「MIRAI」が今月中にトヨタから市販されることが発表されたのはつい先日のことである。ホンダも間もなく、ニッサンも続いていると聞いた。
トヨタの開発責任者である三谷氏は水素自動車の開発では、間違いなく日本がトップを独走しているという。
水素エネルギーの利用はもちろん自動車業界だけに止まらない。
あらゆる分野での利活用のための研究開発が産・官・学それぞれで進められているようである。
ここで私の目を惹いたのが室蘭市長の青山剛氏の講演である。青山氏は夕張市長の鈴木直道氏とともに青年市長として一躍有名なった方である。
室蘭工大出身の理系らしい緻密な論理構成と情熱がほとばしるような講演は、「室蘭から北海道水素社会を創る」という気概に満ちたものだった。
事実、室蘭市は2005年にいち早く「室蘭水素コミュニティ懇話会」を起ち上げ、来るべき水素社会へ向けての取り組みを開始しているのだ。すでに再生可能エネルギー由来水素の利活用の実証実験を開始しているという。
何かにつけて中央から後れをとる北海道だが、それを克服すべく、移動式水素ステーション、続いて定置式水素ステーションを設置をいち早く進め、モノづくりのDNAを受け継ぐ室蘭市が北海道の水素社会実現ためにリーダシップを取っていきたいと力強く語った。
まだまだ多くの研究者、メーカー、行政の方々が語ったのだが、私の理解を超えている部分もあった。ただ、特にメーカーの研究速度は目覚ましく、水素社会の実現がかなり近くまで来ていることを実感させられるシンポジウムであったことは間違いない。
余話を一つ…。私の前にいた高齢の方が「北海道は情報が遅すぎる!」と云いながら途中で席を立っていった。そういう面は確かに否めない点かもしれないが、彼は講演中に居眠りをして大して聞いていなかったように見えた。あるいは照れ隠しのために後の席の我々にそんな呟きを残して席を去ったのかもしれない…。
《追記》
今朝(11/22)のNHK総合TVのニュースの特集で、水素由来の燃料電池自動車 MIRAI について放送していた。すると、その中で私が「安全」について記したことの認識が間違っていたこと気付いた。私は水素(気体)が漏れたとしても酸素と結びつき水になるだけとしたが、水素が酸素と結びつくこと自体が大変危険なことに気付いた。そのため、燃料自動車の開発にあたっての大きな課題の一つが液体化した水素がけっして漏れないようなタンクを製造することだった、とニュースは伝えていた。
このことは、インフラ整備においても水素ステーションの設置が、ガソリンスタンドとは比べものにならないくらいの設備費を必要とすることに繋がるのかもしれない。そこが水素社会到来に当たっての一つの課題のような気がする。
ところでそうすると、岩谷産業の谷氏が「水素は安全」と指摘した意味が分からなくなってきた。