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大国ロシアはどこへ行くのか?

2015-06-03 22:54:11 | 大学公開講座
 ロシアの指導者プーチンは、失われた大国の威厳を取り戻そうとするかのように動きが加速している。先の南オセチア紛争、クリミア併合、ウクライナ紛争の対応はその顕著な例である。 大国(?)ロシアはどこへ行こうとしているのだろうか?ロシア問題の専門家から話を聞いた。 

 5月29日(金)夜、北大スラブ・ユーラシア研究センター主催の公開講座「動乱のユーラシア」の第6回目講座があった。
 今回のテーマは「ウクライナ紛争とロシア経済」と題して、一般社団法人ロシアNIS貿易会経済研究所の調査部長を務める服部倫卓(はっとり みちたか)が講師を務めた。
 ※ NISとは、New Independent Statesの略で「旧ソ連諸国」という意味です。

               

 服部氏はまずウクライナの現状から話を進められた。
 ウクライナはソ連邦時代には「ヨーロッパの穀倉地帯」とも称され、さらには重工業も発達し、ソ連邦内においてはロシアに次ぐGDPを誇っていた。その後、ソ連邦崩壊により独立を果たしたが、親露派と親欧米派の対立が激しく、国内には混乱が続いている。そうしたことも影響してGDPを大きく落とし、ウクライナ経済はデフォルト(債務不履行)を宣言する寸前とも評されている。
 こうした混迷を逆手に取るかのようにロシアはウクイナへの攻勢を強めている、というのが雑駁な構図である。

 一方、ロシアの経済はどうかというと、原油・天然ガスの生産・輸出に支えられて国内経済は好調に推移してきたが、ウクライナとの対立を背景として、ウクライナから輸入していた軍需品が輸入できなくなったり、欧米の制裁措置により各種の生産関連機器の輸入がストップする事態となり、肝心の石油ガス産業の生産を担う機器や技術者に依存できなくなったりという事態により、ロシア経済の危機が叫ばれるようになったという。
 その対策としてロシアでは、これまで輸入に頼っていた分野の国内生産を高めよう(輸入代替政策)としているが、思惑通りには進んでいないようである。

 こうした危機にあるロシア経済ではあるが、一方では景気刺激策のために大規模な開発計画(メガプロジェクト)が目白押しであるという。しかし、これも大半は思惑通りに進んでいない現状だと服部氏は指摘した。
 また、お隣中国との関係も微妙である。石油・天然ガスの欧米への輸出を対抗上減少させている代わりに、中国への輸出を本格化させ、中国との経済連携を強め、「シルクロード経済圏」を主導しようとしているが、中国とは同床異夢の懸念を心配する向きもあるようだ。

 ここまでの外観は服部氏の講義の内容をかなり大胆にまとめたきらいがあることをお断りしておきます。
 最後のまとめとして、服部氏は「欧米との関係改善なしにロシア経済の本格的な回復は期待できない」とした。さらには、ウクライナにとっても、ロシアとの関係正常化なくしては国家・経済の再建は不可能であろう、とまとめた。

 プーチンの露骨な欧米に対する対決姿勢、ウクライナの国民に根強い嫌ロシア感情、こうした問題を乗り越えて、関係改善を図ってほしいと願うが、問題はなかなか深刻なようにも思えるのだが…。


 タイトルと内容にやや乖離があるが、その点はご容赦を!